課目Ⅰの電気の使い方の論点を、表と例題で並べました。需要率・負荷率・不等率とデマンド管理、誘導電動機とインバータ、電気加熱と電気化学、照明を扱います。
同じ分野(電気)の記事:電気の基礎と受変電
ポンプ・送風機の回転数制御は熱Ⅱの論点です:相似則/ポンプの特性曲線と運転点/送風機の風量制御
需要率・負荷率・不等率とデマンド管理 ── 不等率は1以上、最大は30分平均

| 係数 | 式 | 大きさ |
|---|---|---|
| 需要率 | 最大需要電力÷設備容量×100[%] | ふつう100%以下(全部が同時に最大にはならない) |
| 負荷率 | ある期間の平均電力÷その期間の最大電力×100[%] | 100%以下。低いほど使い方のむらが大きい |
| 不等率 | 個々の最大需要電力の合計÷合成した最大需要電力 | 常に1以上 |
| 最大需要電力 | 30分ごとの平均電力のうちの最大値 | 契約電力を決める大きな要素 |
なぜ:負荷ごとに最大になる時刻がずれるので、まとめたときの最大は、個々の最大の合計を超えません。だから不等率は1以上になり、受電設備は設備の合計ではなく実際の最大に合わせて決められます。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 需要率は、設備容量の合計を最大需要電力で割った値 | × | 最大需要電力÷設備容量。分子と分母が逆 |
| 1日の使用電力量 4,800 kWh、最大需要電力 400 kW の日の日負荷率は 50% | ○ | 平均 200 kW÷最大 400 kW |
| 不等率は、個々の最大の合計を合成した最大で割るので、常に1以下 | × | 常に1以上 |
| 契約電力の基になる最大需要電力は、ふつう瞬時の電力の最大値をとる | × | 30分の平均電力の最大値 |
| 生産量を変えずに負荷を平準化して最大需要電力を下げると、電力量が同じでも基本料金が下がる | ○ | 基本料金は契約電力で決まる |
例題
A部門(設備 500 kW・最大 300 kW)と B部門(設備 300 kW・最大 200 kW)の工場です。受電点の最大需要電力は 400 kW、1日の電力量は 6,000 kWh です。需要率・不等率・日負荷率を求めます。
①需要率:400÷(500+300)×100=50%。
②不等率:(300+200)÷400=1.25。
③日負荷率:平均電力 6,000÷24=250 kW。250÷400×100=62.5%。
④大小を確かめる:平均 250 kW<最大 400 kW<部門の最大の和 500 kW<設備容量 800 kW。
- 需要電力=工場内の合計負荷電力−自家発電の発生電力。自家発があると、受電点で見るか負荷設備で見るかで係数の意味が変わる。
- 設備容量には、全負荷設備の合計容量[kW]か、受電変圧器の合計定格容量[kV·A]を kW に直したものを使う。
- 電気料金は、契約電力で決まる基本料金と、使った電力量で決まる電力量料金が柱。デマンド制御は、最大需要電力を契約電力以下に抑える管理。
- 判断基準は、電気使用設備の稼働を調整して電気の使用を平準化し、最大電流を下げるよう求めている。
誘導電動機の回転速度・すべりと損失 ── 負荷が増えるとすべりが増える

| 量 | 式 | 例(60 Hz・4極) |
|---|---|---|
| 同期速度 ns[min⁻¹] | 120f/p(f 周波数、p 極数) | 1,800 min⁻¹ |
| すべり s | (ns−n)/ns | 定格負荷で数% |
| 回転速度 n | ns(1−s) | s=3%なら 1,746 min⁻¹ |
| 損失 | 固定損(鉄損・機械損)+直接負荷損(銅損)+漂遊負荷損 | 負荷とともに増えるのは主に銅損 |
なぜ:回転子は回転磁界より少し遅れて回り、その遅れで回転子に電流が誘導されてトルクが出ます。負荷トルクが増えると大きな回転子電流が要るので、すべりが増えます。すべりの小さい範囲でトルクが急に立ち上がるので、速度の変化は数%にとどまります。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 誘導電動機の極数を増やすと、同じ周波数でも同期速度は上がる | × | 極数に反比例して下がる |
| 負荷が増えるとすべりは大きくなるが、無負荷から定格までの速度の変化は数%程度 | ○ | 定速度性 |
| 誘導電動機の鉄損は、負荷電流の2乗に比例して増える負荷損である | × | 鉄損は固定損。2乗で増えるのは銅損 |
| かご形を全電圧で直入れ始動すると、始動電流は定格の5〜7倍程度になる | ○ | 始動の瞬間はすべりが1 |
| 定格の30%程度の軽い負荷で使うほど、効率も力率もよくなる | × | 軽負荷では両方悪い。60〜100%負荷で効率最大 |
例題
50 Hz・6極の三相誘導電動機が 960 min⁻¹ で回っています。入力は 20 kW、全損失は 1.6 kW です。同期速度・すべり・二次周波数・効率を求めます。
①同期速度:ns=120×50÷6=1,000 min⁻¹。
②すべり:s=(1,000−960)÷1,000=0.04(4%)。
③二次周波数:f₂=s×f=0.04×50=2 Hz。
④効率:η=(20−1.6)÷20×100=92%。確かめる:1,000×(1−0.04)=960 min⁻¹ と合う。
- 必要な入力は、軸出力÷効率(掛けない)。軸出力 18.4 kW・効率 92%なら 18.4÷0.92=20 kW。
- 固定損は鉄損と機械損(風損・軸受摩擦損)、直接負荷損は一次・二次の銅損。電動機自身の効率は、導体の断面積を増やす・低損失のけい素鋼板を使うなどで上がる。
- 始動電流を抑えるには、低減電圧始動(スターデルタ・リアクトル・補償器)か、インバータのソフトスタート。
- 省エネ:負荷に見合った容量を選ぶ(判断基準も求める)。不要時の停止、回転速度制御、高効率電動機への交換も効く。永久磁石式同期電動機は高効率・高力率。
関連:インバータによる回転速度制御/ポンプの軸動力・効率・モータ出力
インバータによる回転速度制御 ── 周波数と電圧を一緒に変える

| かご形の速度制御 | 変えるもの | 特徴 |
|---|---|---|
| 一次周波数制御(V/f 一定) | 周波数と、それに比例した電圧 | 同期速度が周波数に比例。連続に変えられる。インバータと組んで最も多く使われる |
| 一次電圧制御 | 電圧だけ | トルク速度特性が電圧の2乗に比例して変わることを使う |
| 極数変換 | 極数 | 構造が複雑で、段階的にしか変えられない |
なぜ:電動機の磁束は、おおむね電圧÷周波数で決まります。周波数だけ下げると磁束が増えすぎて鉄心が飽和し、電圧だけ下げると磁束が減ってトルクが出ません。V/f を一定に保てば、磁束を保ったまま回転磁界の速さを変えられます。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| インバータの V/f 一定制御では、周波数を下げても電動機に加える電圧は一定に保つ | × | 周波数に比例して電圧も下げる |
| インバータで駆動している電動機の端子には、力率改善用の進相コンデンサを接続してはならない | ○ | 高い周波数の成分の電流が流れ込む |
| 4極のかご形をインバータで 60 Hz から 45 Hz にすると、同期速度は 1,800 から 1,350 min⁻¹ に下がる | ○ | 120×45÷4 |
| 一次電圧制御では、同じすべりで出せるトルクは一次電圧に比例する | × | 電圧の2乗に比例 |
| インバータの始動で始動電流が小さいのは、周波数を低い値から上げ、すべりを小さく保てるから | ○ | ソフトスタート |
例題
定格 400 V・50 Hz の4極かご形誘導電動機を、インバータの V/f 一定制御で 40 Hz にします。加える電圧と同期速度、すべり 2%のときの回転速度を求めます。
①V/f:400÷50=8 V/Hz。
②電圧:8×40=320 V。
③同期速度:ns=120×40÷4=1,200 min⁻¹(50 Hz では 1,500 min⁻¹)。
④回転速度:1,200×(1−0.02)=1,176 min⁻¹。確かめる:40÷50=0.8 で、電圧も同期速度も 0.8 倍。
- インバータの出力は、半導体の高速な開閉で作るので高い周波数の成分を含む。コンデンサは周波数が高いほど電流を通しやすく、そこへ大きな電流が流れて傷める。
- 巻線形の速度制御:二次抵抗制御は低速で負荷損が増えて効率が下がる。二次励磁制御は効率よく速度を変えられる。
- 判断基準(目標及び措置部分)は、負荷変動の大きい電動力応用設備に回転数制御装置等の設置を検討するよう求めている。
- ポンプ・送風機で回転速度制御がよく効く理由(軸動力は回転速度の3乗)は、熱Ⅱの相似則で扱う。
関連:相似則/調節弁以外の操作端(インバータ)
電気加熱と電気化学設備 ── 熱の出る場所が加熱方式で変わる

| 方式 | 熱の出る所 | 特徴 |
|---|---|---|
| 間接抵抗加熱 | 発熱体(被加熱物へは伝導・対流・放射で伝える) | 複雑な形でも精密な温度。設備費が安い |
| 直接抵抗加熱 | 被加熱物そのもの(電流を直接流す) | 装置が簡単で効率がよく、急速加熱 |
| アーク加熱 | アーク(4,000〜6,000 K) | 鉄鋼などの溶解・精錬 |
| 誘導加熱 | 導電性の被加熱物の表面側(渦電流) | 無接触。周波数が高いほど浅い所だけ |
| 誘電加熱・マイクロ波加熱 | 絶縁物(誘電体)の内部 | 内部から急速・均一に加熱 |
| 赤外加熱 | 被加熱物の表面層 | 媒体なしで伝わる。塗装の乾燥 |
なぜ:電気は、品物の中や加熱したい所に直接熱を出せるので、伝える途中の損失が少なく制御もしやすい加熱です。ただし発電の段階で燃料の熱の多くを失っているので、一次エネルギーで見ると通常は高価で、燃焼や蒸気の加熱と比べて選びます。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 誘導加熱では、周波数を高くするほど電流は被加熱物の深い所まで入る | × | 浅くなる(浸透深さは √f に反比例) |
| 誘電加熱の発熱量は、周波数・比誘電率・tanδ に比例し、電界の強さの2乗に比例する | ○ | 内部から加熱できる |
| 電気加熱は、一次エネルギーに換算して比べても、燃焼による加熱より常に安上がり | × | 一次エネルギーでは通常は高価 |
| アーク炉や直接抵抗加熱など大電流の設備は、炉と電源の距離を短くして配線損失を減らす | ○ | 損失は電流の2乗 |
| 電気分解で反応電子数 z が大きい物質ほど、同じ電気量で析出する物質量は多い | × | M/z に比例するので少ない |
- 浸透深さ δ=503√(ρ/(f·μr))[m]。周波数を4倍にすると 1/2。表面焼入れは高い周波数、芯まで温めるなら低い周波数を選ぶ。
- 誘電加熱の発熱量 P=(5/9)·f·E²·εrtanδ×10⁻¹⁰[W/m³]。周波数は 2〜数十 MHz が一般的。
- 電気加熱設備の省エネ:炉壁の断熱と蓄熱量の低減(セラミックファイバ)、方式ごとに最適な周波数の選定。配線損失の低減、廃熱回収、自動温度制御も効く。
- 電気化学:析出量は w=(1/F)(M/z)Q(ファラデーの法則)。F=96,485 C/mol=26.80 A·h/mol。
- 電解の省エネは2本立て。電圧効率は過電圧の小さい電極・電極間隔の短縮・電解浴の抵抗率の切下げで、電流効率は副反応を抑えて上げる。
照明(光の量と照明の省エネ) ── 点光源の照度は距離の2乗に反比例

| 量[単位] | 何を表すか | 求め方 |
|---|---|---|
| 光束[lm] | 光源から出る光の量 | 人の目の感じ方で重みを付けた放射の量 |
| 光度[cd] | ある方向への光の強さ | 光束の立体角密度 |
| 照度[lx] | 照らされる面の明るさ | 面に入る光束÷面積(lm/m²) |
| 輝度[cd/m²] | ある方向から見た明るさ | その方向への光度÷見かけの面積 |
なぜ:点光源の光は球面に広がり、球の表面積は半径の2乗に比例します。同じ光束が、距離2倍で4倍の面積に広がるので照度は1/4です。真下の照度は E=I/ℓ²(I 光度、ℓ 距離)。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 照度の単位は cd/m² である | × | lx(=lm/m²)。cd/m² は輝度 |
| 光度一定の点光源で、被照面までの距離を2倍にすると、真下の照度は1/4 | ○ | 逆二乗 |
| 設計照度 500 lx、床面積 100 m²、1台 5,000 lm、照明率 0.6、保守率 0.8 なら、器具は21台 | ○ | 20.8 を切り上げ |
| 清掃やランプ交換をこまめに行うと、設計で見込む保守率は小さくなり台数が増える | × | 保守率を大きくとれ、台数が減る |
| 放電ランプは安定器の損失が加わらないので、総合効率はランプ効率と等しい | × | 安定器の損失の分、総合効率は小さい |
例題
設計照度 750 lx、床面積 200 m² の作業場です。器具は1台の光束 8,000 lm・消費電力 60 W。照明率 0.7、保守率 0.75、年間の点灯時間 3,000 時間として、台数と年間の消費電力量を求めます。
①床に要る光束:E·A=750×200=150,000 lm。
②1台が床に届ける光束:Φ·U·M=8,000×0.7×0.75=4,200 lm。
③台数:N≧150,000÷4,200≒35.7 なので 36台。確かめる:35台では 147,000 lm で足りない。
④年間の消費電力量:N·W·T×10⁻³=36×60×3,000÷1,000=6,480 kWh。
- 消費電力量を減らすには、W・T・E・A を小さく、Φ・U・M を大きく。過剰な照度にしない、タスク・アンビエント照明を使う。
- 照明率 U=作業面に入る光束÷ランプ光束。広い部屋ほど、内装の反射率が高いほど高い。
- 総合効率=全光束÷(ランプと点灯装置の消費電力の和)。損失の少ない電子式安定器が有利。
- 判断基準は、JIS Z 9110 などに基づく管理標準と、調光・消灯の管理を求めている。新設・更新では、LED 照明器具などの採用、昼光を使える場所の別回路、人感センサやタイマによる消灯。
関連:空調負荷とその低減
出典:エネルギー管理士試験講座 共通Ⅰ(省エネルギーセンター)3編2章 2.2.13〜2.2.17。
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