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エネルギー概論の論点|単位・変換効率・資源・貯蔵・エネルギーの質【エネ管・課目Ⅰ】

エネルギー概論の論点

課目Ⅰのエネルギー概論の論点を、表と例題で並べました。単位と接頭語、変換効率、資源の分類、貯蔵、エネルギーの質を扱います。

エクセルギーとヒートポンプは熱分野の論点です:エクセルギー/ヒートポンプ

エネルギーの単位と接頭語 ── 量はJとkWh、速さはW

エネルギーの単位と接頭語:電力(W=J/s)は速さでグラフの高さ、時間を掛けた面積が量。1 kW×1時間も2 kW×30分も1 kWhで、1 kWh=3.6 MJ
量単位組み立て
エネルギー・仕事・熱量J(ジュール)1 J=1 N·m
電力・動力(仕事率)W(ワット)1 W=1 J/s
電力量kWh1 kWh=1,000 J/s×3,600 s=3.6 MJ
力N(ニュートン)1 N=1 kg·m/s²(組立単位)
温度の差K と ℃1℃の差=1 K の差

なぜ:W は「1秒あたりの J」なので、時間を掛けると量に戻ります。kWh の 3.6 は、時間から秒への 3,600 倍と、k から M への 1/1,000 が重なった係数です。

問われる形正誤ポイント
1 kW の機器を1時間動かしたエネルギーは 3.6 MJ○1,000 J/s×3,600 s=3.6×10⁶ J
熱量の単位がワット、動力の単位がジュール×逆。量が J、速さが W
SI の7つの基本単位には、力のニュートンが入る×7つ目は物質量 mol。N は kg·m/s² の組立単位
大気圧 1.01325×10⁵ Pa は、約 101 kPa、1,013.25 hPa とも書ける○h は 10²、k は 10³
比熱は J/(kg·K) で書いても J/(kg·℃) で書いても数値が同じ○目盛りの間隔が同じで、原点だけが違う

例題

15 kW の電動機を 8 時間運転したときの電力量を、MJ と GJ で表します。

①量にする:速さ×時間で、15 kW×8 h=120 kWh。

②熱量の単位に直す:1 kWh=3.6 MJ なので、120×3.6=432 MJ。

③接頭語を上げる:G は M の 1,000 倍なので、432 MJ=0.432 GJ。

④桁を確かめる:1 kWh は約 4 MJ。120 kWh なら数百 MJ で、432 MJ と合う。

  • 接頭語は h=10²、k=10³、M=10⁶、G=10⁹。換算はいったん基本の単位(J・Pa・s)に戻すと桁を落とさない。
  • 温度そのものを使う式(状態式・放射)は T=t+273.15 で K に直す。温度差だけを使う式は℃のままでよい。
  • kWh を 3.6 MJ で直すのは熱量としての換算。省エネ法の使用量の換算は、発電の損失まで含めた別の係数を使う。

関連:購入した電気の熱量換算

エネルギーの形態と変換効率 ── 段を重ねると効率は掛け算で下がる

エネルギーの形態と変換効率:火力発電で燃料の化学エネルギー100は熱90、力学36、電気約35と段ごとに減り、全体0.9×0.4×0.98≒0.35はどの段より低い。落ちた分は熱に
火力発電の段変換と効率の例燃料 100 から残る量
燃焼(ボイラ)化学 → 熱:0.990
タービン熱 → 力学:0.436
発電機力学 → 電気:0.98約35
全体化学 → 電気:0.9×0.4×0.98≒0.35どの段の効率よりも低い

なぜ:前の段で残った分だけが次の段の入力になるので、全体の効率は各段の効率の積です。1 より小さい数を掛けるたびに値は小さくなり、落ちた分は熱として周囲へ出ていきます。

問われる形正誤ポイント
燃料電池は、燃料の化学エネルギーを燃焼でいったん熱にしてから電気に変える×化学 → 電気を熱を経ずに直接変える
各段の効率が 0.9・0.4・0.98 の火力発電の全体効率は約0.35で、どの段よりも低い○効率は掛け算
核分裂では原子核の質量が増え、増えた分がエネルギーになる×質量は減る(質量欠損)。減った分が E=mc²
使ったエネルギーが最後に熱となって散らばるのは、変換の損失も使い終えた電気・動力も熱になるから○摩擦・電気抵抗で熱になる

例題

ボイラ 0.85、タービン 0.35、発電機 0.97 の発電所で、燃料 100 GJ から得られる電気を求めます。

①段の順に掛ける:0.85×0.35=0.2975、×0.97=0.2886。

②量にする:100 GJ×0.2886≒29 GJ が電気になる。

③残りの行き先:100−29=71 GJ は、各段の損失として熱になって周囲へ出る。

④桁を確かめる:全体の約0.29 は、いちばん低い段(タービンの 0.35)より低い。掛け算なので、どの段より大きくなることはない。

  • エネルギーの形態は、力学・電磁気・光・化学・熱・核の6つに分けて整理する。
  • 熱機関は熱 → 力学、発電機は力学 → 電気、電動機は電気 → 力学、燃料電池は化学 → 電気。
  • 総量は保存されるが、熱以外から熱への変換は摩擦・電気抵抗などで自然に起こり、逆向きには熱機関のような仕組みが要る。
  • 核エネルギーだけは、エネルギー単独ではなく「質量とエネルギーの和」が保存される。

関連:火力発電の効率(発電端と送電端)

エネルギー資源の分類と資源量 ── 原子力は非化石、可採年数は埋蔵÷生産

区分資源性質
化石エネルギー資源石油・石炭・天然ガス・オイルサンドとオイルシェール生物が長い年月で蓄えた太陽エネルギー。使えば減る
非化石:自然エネルギー水力・地熱・太陽・風力・海洋(波力・潮流・潮位差・海洋温度差)再生可能。枯渇しないが、密度が低く、時間・気象・地理に左右される
非化石:バイオマス生物源再生可能
非化石:原子力ウラン化石ではない。核分裂で熱を出し、使えば減る
残りの目安可採年数=確認可採埋蔵量÷年生産量今のペースで掘り続けたら何年もつか

なぜ:化石燃料は、太古の生物が取り込んだ太陽エネルギーが地中で燃料になったものです。ウランは生物由来でも燃焼でもないので、使えば減る資源でも化石には入らず、非化石に分類されます。

問われる形正誤ポイント
原子力は、石油・石炭・天然ガスと同じ化石エネルギー資源に入る×原子力は非化石エネルギー資源
可採年数は確認可採埋蔵量÷年生産量なので、埋蔵量が同じなら生産量が増えると短くなる○分母が年生産量
再生可能エネルギーの利用が難しいのは、使い続けるといずれ枯渇するから×枯渇はしない。密度が低く、時間・気象・地理に左右される
新しい埋蔵が見つかり確認可採埋蔵量が増えると、可採年数は長くなる○分子が増える
  • 可採年数は、資源が実際に何年で尽きるかの予言ではない。埋蔵量(分子)と生産量(分母)が動けば変わる。
  • 例:確認可採埋蔵量 1,000、年生産量 20 なら 50 年。生産量が 25 に増えると 40 年に縮む。
  • 化石燃料の中で可採年数がいちばん長いのは石炭。ただし灰分・硫黄分が多く、発熱量あたりの CO₂ も多い。
  • 再生可能エネルギーのうち、いちばん多く使われているのは水力。

関連:一次エネルギー供給の構成と自給率

エネルギーの貯蔵 ── 揚水は位置、電池は化学、氷は潜熱で貯める

エネルギーの貯蔵:余る時間の電気を別の形で貯めて足りない時間に戻す。揚水は位置、二次電池は化学、氷は潜熱が上乗せされ冷水の約10倍、フライホイールは周速度の2乗で貯まる
方式貯める形押さえる点
揚水発電位置エネルギー(高さ)余る時間に水を上部の調整池へくみ上げ、需要の多い時間に水力発電。可逆ポンプ水車
二次電池(NaS 電池など)化学エネルギー電気と化学の変換を両方向にできる
圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)圧力余る電力で空気を圧縮して貯め、需要の大きい時間に発電
フライホイール運動エネルギー(回転)貯まる量は周速度の2乗に比例
水蓄熱・氷蓄熱熱(顕熱・潜熱)氷は凝固の潜熱が上乗せされ、同じ質量で多く貯まる
スチームアキュムレータ熱(蒸気の潜熱を熱水の顕熱に置き換え)工程用の蓄熱

なぜ:電気は発生と消費が同時で、そのままでは大量に貯められません。余る時間に別の形へ変えて貯め、足りない時間に戻せば、ピークに合わせた発電設備を減らせます。ただし変えて戻すたびに損失が出ます。

問われる形正誤ポイント
昼夜・季節の電力需要の差を埋めるには、余った電力を別の形で貯める技術が要る○電力は発生=消費
揚水発電は、くみ上げた水に化学エネルギーとして蓄える×位置エネルギー。化学は二次電池
比熱 4.18 kJ/(kg·K)・凝固潜熱 334 kJ/kg なら、20℃の水を0℃の氷にする熱は、10℃の冷水にする熱の約10倍○顕熱に潜熱が上乗せされる
フライホイールの貯蔵量は周速度に比例し、周速度2倍で2倍×周速度の2乗に比例。2倍で4倍

例題

15℃の水 1,000 kg に蓄えられる冷熱を、0℃の氷にする場合と 5℃の冷水にする場合で比べます。比熱は 4.18 kJ/(kg·K)、凝固の潜熱は 334 kJ/kg とします。

①冷水:4.18×(15−5)=41.8 kJ/kg。1,000 kg で 41.8 MJ。

②氷:顕熱 4.18×15=62.7 kJ/kg に潜熱 334 kJ/kg を足して 396.7 kJ/kg。1,000 kg で約397 MJ。

③比べる:396.7÷41.8≒9.5 倍。

④桁を確かめる:潜熱だけでも 334÷41.8≒8.0 倍あり、差の大部分は凝固の潜熱から来ている。

  • 貯蔵に求める性能は、貯蔵密度・貯蔵効率・貯蔵できる時間・耐久性・応答性・安全性・経済性。
  • NaS 電池は、負極にナトリウム、正極に硫黄、固体電解質にベータアルミナを使い、300〜350℃の高温で運転する。
  • フライホイールは周速度を上げるほど密度が上がるが、遠心力に耐える材料が要る。

関連:蒸気アキュムレータ

エネルギーの質と熱のカスケード利用 ── 高温の熱から順に使い回す

エネルギーの質と熱のカスケード利用:同じ燃料の熱でも、いきなり給湯に使うと温度の落差を捨て、発電・動力→工程の蒸気→暖房・給湯と高い順に使うと落差を生かせる
量・考え方式・中身向き
エネルギー有効度指数 II=(E−X)/E(E:プロセスへの入力、X:低質化の損失)大きいほどよい
損失の割合X/E小さいほどよい(I と逆向き)
熱のカスケード利用高温の熱 → 電力・動力 → 工程の蒸気 → 冷暖房・給湯(温度の高い順)エクセルギーの消失が小さい
低温の用途へ直接燃料の高温の熱をいきなり給湯・暖房に使う仕事に変えられた分を捨てる

なぜ:エネルギーの総量は保存されますが、使うたびに周囲の温度に近い熱へ散らばり、仕事をさせる能力(質)は下がります。高温の熱ほど仕事に変えられる割合が大きいので、温度の高い用途から順に割り当てると無駄が少なくなります。

問われる形正誤ポイント
エネルギー有効度指数は、入力 E と低質化の損失 X で I=X/E×I=(E−X)/E。X/E は損失の割合
高温の熱をまず発電・動力に使い、排熱を温度の高い用途から順に回すと、エクセルギーの失われ方が小さい○熱のカスケード利用
エネルギー保存則があるので、燃料を使っても質は下がらない×量は保存、質は下がる(低質化)
入力の3割が低質化の損失になったプロセスの有効度指数は 0.3×(1−0.3)/1=0.7

例題

入力 200 GJ のプロセスで、50 GJ が低質化の損失になりました。有効度指数を求めます。

①生かせた分:E−X=200−50=150 GJ。

②割る:I=150/200=0.75。

③損失の割合:X/E=50/200=0.25。

④確かめる:0.75+0.25=1。I は損失の割合ではなく、残った割合。

  • 電気や軸動力はほぼ全部を仕事に変えられるので、エクセルギーがエネルギーに等しい。熱は温度が高いほどエクセルギーが大きい。
  • コージェネレーションは、高温側で発電し、排熱を蒸気・温水で使うカスケード利用の代表。
  • ヒートポンプは電気を熱そのものではなく、熱を運ぶ動力として使うので、消費電力より多くの熱を届けられる。

関連:有効エネルギー・最大仕事とエクセルギー/コージェネレーション/ヒートポンプと一次エネルギーでの評価

出典:エネルギー管理士試験講座 共通Ⅰ(省エネルギーセンター)2編2章「エネルギー概論」

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