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調節弁以外の操作端|インバータ・電動弁・電磁弁・ヒータ、調節弁との使い分け

調節弁以外の操作端のアイキャッチ

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調節計の出力を実際の物の動きに変える最後の機器を、操作端と呼びます。化学プラントでは調節弁が主役ですが、ポンプやファンの回転数を変えるインバータ、電気で動く電動弁、全開か全閉かを切り替える電磁弁、電気ヒータの電力を絞るサイリスタ制御器も操作端です。

使い分けの軸は3つです。流量を「絞って捨てる」か「回転数で作らない」か、連続的に動かすか入り切りだけか、そして動力(空気か電気か)が切れたときにどちらへ動くか。特に大型のポンプやファンでは、弁で絞る代わりに回転数を下げると、軸動力が回転数の3乗で減ります。

この記事では、4つの操作端のしくみと信号の入り方、インバータで回転数を落とすと何が得か、電動弁と電磁弁の性格の違い、ヒータの制御方式、そして調節弁との使い分けを説明します。

この記事の結論

  • 操作端は調節計の出力を物の動きに変える機器。調節弁のほかに インバータ・電動弁・電磁弁・ヒータ(サイリスタ制御器) がある。電磁弁以外は多くが 4〜20 mA で指令を受ける
  • インバータはモータの電圧と周波数を変えて回転数を変える。同じポンプなら流量は回転数に、軸動力は回転数の3乗に比例し、回転数 80% で軸動力は約 51%。弁で絞ったときの絞り損失の分が省エネになる
  • 電動弁は空気源がない場所で使う。開閉は空気式より遅いが、停電すればその位置で止まる。防爆が要る場所では注意
  • 電磁弁は全開か全閉の2つしかとれない入り切りの弁。数十 ms で動く。プラントでは空気回路のスイッチとして、オン・オフ弁の駆動や調節弁の強制開閉に使う。緊急時に働かせる電磁弁は常時励磁にするのがフェイルセーフ
  • ヒータはサイリスタ制御器で電力を絞る。ヒータの材料で定電流・定電圧・定電力を使い分け、計装配線の近くではノイズの出ないゼロクロス制御を選ぶ
  • 使い分けは、調整する幅と時間、応答の速さ、動力が切れたときの動き、空気源と防爆で決める

1. 操作端とは|調節計の出力を最後に物の動きへ変える

調節計は測定値と設定値を比べて出力(MV)を計算しますが、その出力は電気信号にすぎません。流量や温度を実際に変えるのは操作端です。計装の教科書は、調節弁のほかの操作端として、ヒータ制御器と電動機制御器(インバータ)を挙げ、どちらも調節計から 4〜20 mA の制御信号を受けると説明しています。

操作端の種類と信号の入り方
操作端の種類と信号の入り方
操作端受ける信号動かすもの動かし方
調節弁4〜20 mA(電空ポジショナで空気に変換)弁の開度連続
インバータ4〜20 mAモータの回転数連続
電動弁4〜20 mA(ポジショナでモータを正転・逆転)または開・閉の接点弁の開度連続または開閉
電磁弁オン・オフ(接点)空気や流体の通り道入り切りだけ
ヒータ(サイリスタ制御器)4〜20 mAヒータの電力連続

電磁弁だけは連続的な値をとれません。調節計の PID 出力ではなく、シーケンス制御やインターロックの「開け・閉めろ」の指令で動くのが普通です(シーケンス制御と PLC の記事)。

2. インバータ|回転数で流量を変える

インバータは、モータに与える電圧と周波数を変えて回転数を変える装置です。計装の教科書では VVVF(可変電圧・可変周波数)電動機制御器と呼び、可変電圧回路と可変周波数回路で構成されるとしています。用途は、ブロワやファンの回転数制御、ベルトコンベアの速度制御、ロータリフィーダの回転数制御などで、調節弁の代わりにポンプの回転数を制御する方法も採用されています。

回転数80%で軸動力は約半分
回転数80%で軸動力は約半分

回転数で流量を変える利点は、動力です。同じポンプで回転数だけを変えたとき、ポンプの教科書は次の関係を示しています。流量は回転数に比例し、揚程は回転数の2乗、軸動力は回転数の3乗に比例します。

軸動力の比 = (回転数の比)3

回転数を 80% にすると、0.8 × 0.8 × 0.8 = 0.512 で、軸動力は約 51% になります。流量は 80%、揚程は 64% です。

吐出し弁で絞って同じ流量にした場合、ポンプは元の回転数のまま揚程を出し、その一部を弁の圧力損失として捨てています。ポンプの教科書は、回転数を下げた場合との差、つまり弁の絞り損失に相当する動力が省エネルギー効果になると説明しています。

ただし、3乗の関係はそのまま電気代の削減率にはなりません。配管に静揚程(高さの差)があると、回転数を下げられる範囲に下限があり、ポンプの最低流量や効率の変化も効いてきます。ポンプは流量の絞り調節とインバータの記事、送風機は風量制御と省エネの記事で、性能曲線を使って確かめてください。

3. 電動弁|空気がない場所の操作端

電動弁は、モータと減速機構で弁棒を動かす弁です。バルブの教科書は、空気圧操作機と電動操作機を次のように比べています。

電動弁は差が中立帯を超えたら回る
電動弁は差が中立帯を超えたら回る
項目空気圧操作機電動操作機
動力源除湿した圧縮空気 0.2〜0.7 MPa。空気源設備が要る商用電源(AC100〜400 V、DC24 V)
出力中大
連続流量調整最適可能
停止位置の保持補助機構が要る可能
開閉時間の調整補助機器で容易インチング(細切れ通電)で可能
周囲環境ほとんど考慮不要十分な考慮が要る
危険性なし(電気を使う付属機器を除く)引火・火花に注意(防爆構造)
動力源の故障時若干の余裕あり作動不能の危険あり

電動弁は、構造が複雑で空気式より経済性や耐久性がやや劣り、開閉速度も空気式より遅いとされます。それでも、空気源を確保しにくい工場や設備では多く使われています。電動操作機そのものの開閉時間は機器で決まっていて速くはできず、遅くしたいときはインチングで調整します。

連続制御に使うときは、電電ポジショナ(電動弁用のポジショナ)を組み合わせます。弁開度をポテンショメータ(可変抵抗器)で電圧として戻し、調節計の信号と比べて、モータを正転・停止・逆転させます。このとき、わずかな差ではモータを回さない中立帯を設けます。中立帯がないと、モータが正転と逆転を小刻みに繰り返してしまうからです。そのぶん、中立帯より小さな指令の変化には追従しません。空気式のポジショナの不感帯と調整はポジショナの役割と調整で説明しています。

電動弁には保護装置も付いています。全開・全閉位置でモータを止めるリミットスイッチ、弁が異物を噛んだときなどに過大な力を検知して止めるトルクスイッチ、開閉頻度が高すぎてコイルが発熱したときに働くサーマルプロテクタ、ケース内の結露を防ぐスペースヒータです。スペースヒータは常時通電が必要です。

4. 電磁弁|全開か全閉かのスイッチ

電磁弁は、電磁石で可動鉄心を吸い上げて弁を開閉する弁です。バルブの教科書によれば、応答が速く、ソレノイドによっては数十 ms で動作します。原理上、全開か全閉のどちらかしか保持できないオン・オフ弁で、電気で動く弁の約8割を占めますが、サイズは呼び径 50A 以下の小口径に限られます。

そのため化学プラントでは、プロセス流体を直接止めるより、空気回路のスイッチとして使うことが多くなります。計装の教科書は、電磁弁は空気回路のスイッチの役目をし、オン・オフ弁の駆動回路や空気信号の切り替えに使うと説明しています。三方電磁弁なら、通電時と非通電時で空気の通り道が切り替わります。調節弁ハンドブックでも、電磁弁を調節弁の信号入力やポジショナの出力配管に組み付けて、電源のオン・オフで弁のロック、強制開、強制閉を行う使い方が紹介されています。

安全上の決まりがあります。計装の教科書はフェイルセーフの例として、緊急時に動作しなければならないリレーや電磁弁は、正常時に励磁しておくと書いています。こうしておけば、断線や停電で電気が失われたときに、弁は安全側へ切り替わります。インターロックの電磁弁が普段から通電されているのはこのためです(DCS と SIS の役割分担の記事)。

もう1つの注意は、速く閉まりすぎることです。計装の教科書は、液体の配管で弁を急激に閉じるとウォータハンマ(配管が叩かれたような衝撃と振動)が起き、弁や配管の損傷、接続部からの漏れに至ることがあると書いています。例として、200A・長さ 30 m の配管を水が 3 m/s で流れていれば、重さ1トンの水が時速 11 km で動いているのと同じです。対策として、空気信号に遅れを持たせるスピードコントローラや、オン・オフ弁の2段閉止が挙げられています。

5. ヒータ|サイリスタで電力を絞る

温度制御の操作端がヒータの場合は、交流電源を効率よく制御できるサイリスタ制御器を使います。調節計の 4〜20 mA に応じて、ヒータに流す電力を連続的に変えます。

計装の教科書によれば、ヒータは材料によって温度と抵抗の関係が違うので、制御方式を合わせる必要があります。タングステン・モリブデン・白金のように温度が上がると抵抗が大きく増える材料は限流制御(定電流制御)、ニクロムや黒鉛のように抵抗があまり変わらない材料は定電圧制御、炭化けい素系のように温度が上がると抵抗がいったん大きく下がる材料は定電力制御です。

サイリスタの制御方式には、交流の波の途中でオンにする位相制御と、波がゼロを通るときだけ入り切りするゼロクロス制御があります。一般には位相制御が使われますが、オフからオンに切り替わる瞬間にノイズが出ます。計装の信号線の近くでは、ノイズの出ないゼロクロス制御を選びます。

6. 使い分け|弁で絞るか、回転数で落とすか

操作端を選ぶときの判断軸を表にします。

判断軸調節弁インバータ電動弁電磁弁
動かし方連続連続連続(中立帯あり)または開閉入り切りだけ
動力計装用空気電気電気電気(空気回路を切り替える)
余った圧力弁で捨てるそもそも作らない弁で捨てる流すか止めるか
動力が切れたときスプリングで開か閉(FC/FO)停止その位置で止まる非励磁側へ切り替わる
向いている場面汎用。速い流量・圧力制御大型のポンプ・ファンを長時間絞って運転空気源がない、または大きな操作力が要る起動・停止、インターロック、強制開閉

「弁で絞るか、回転数で落とすか」は、どれだけの幅を、どれだけの時間絞っているかで考えます。長い時間、大きく絞って運転している大型のポンプやファンほど、回転数制御の省エネ効果が大きくなります。一方、1台のポンプから複数の系統へ送っていて系統ごとに流量を変えたいなら、回転数は1つしか選べないので、それぞれの系統に調節弁が要ります。

もう1つの判断軸は、動力が切れたときに安全側へ動くかです。調節弁はスプリングで決まった側へ動きますが、電動弁は原理的にその位置で止まり、インバータで回しているポンプは止まります。止まった状態で安全かどうかを、プロセスごとに確かめてください(フェイルセーフ設計の記事)。

7. 現場で見る場所

  1. インバータ:盤の周波数表示と DCS の MV が合っているか。下限周波数の設定で、ポンプが最低流量を割っていないか
  2. 電動弁:開度表示と DCS の開度。リミットスイッチ・トルクスイッチが働いて止まっていないか。スペースヒータの通電
  3. 電動弁の防爆表示:危険場所に置く電動操作機や電磁弁は、銘板の防爆記号を確認する(防爆の基礎の記事)
  4. 電磁弁:コイルの発熱や焦げ臭さ、うなり音。インターロック用なら、普段は励磁されているのが正常
  5. オン・オフ弁の閉まり方:閉まる瞬間の配管の衝撃音や振動。スピードコントローラの設定
  6. ヒータ盤:サイリスタ制御器の出力表示と MV、冷却ファン。近くの計装信号に揺れが出ていないか

8. 先輩に聞かれたら答えられる3問

  1. ポンプの回転数を 80% にすると、軸動力はおよそ何 % になりますか。
  2. 緊急時に働かせる電磁弁を、普段は励磁しておくのはなぜですか。
  3. 電動弁に中立帯を設けるのはなぜですか。

答えは順に、約 51%(0.8 の3乗)/断線や停電で電気が失われたときに、弁が安全側へ切り替わるようにするため(フェイルセーフ)/わずかな差でモータが正転と逆転を繰り返すのを防ぐため、です。

まとめ

操作端は調節計の出力を物の動きに変える最後の機器で、調節弁のほかにインバータ、電動弁、電磁弁、ヒータのサイリスタ制御器があります。インバータは回転数で流量を変え、軸動力が回転数の3乗で減るので、弁の絞り損失を省けます。電動弁は空気源がない場所に向き、動力が切れるとその位置で止まります。電磁弁は入り切りだけの弁で、空気回路のスイッチやインターロックに使い、緊急用は常時励磁にします。

選ぶときは、絞る幅と時間、応答の速さ、動力が切れたときの動き、空気源と防爆を並べて考えてください。長時間大きく絞っている大型のポンプやファンは、回転数制御を検討する価値があります。

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参考文献

  • 川村貞夫・石川洋次郎『メーカーの技術者が書いた やさしく計装がわかる 工業計測と制御の基礎』工業技術社, 3.1.3「操作端補助機器」(電電ポジショナ、電磁弁、スピードコントローラ、【解説】ウォータハンマ現象)、3.2「その他の操作端」(ヒータ制御器、【解説】位相制御とゼロクロス制御、VVVF 電動機制御器)、7.2.2「安全設計」  Amazonで見る
  • 小岩井隆『絵とき「バルブ」基礎のきそ』日刊工業新聞社, 第5章「自動弁」(表5-2 空気圧操作機と電動操作機の特徴比較、電動操作式自動弁、電磁弁)  Amazonで見る
  • 山武 調節弁ハンドブック編纂委員会編『工業プロセス用調節弁の実技ハンドブック 改訂第2版』日本工業出版, 第9章 9.3「電磁弁」  Amazonで見る
  • 松村正夫『入門 新ポンプ技術』丸善, 5.3「ポンプの運転方法」(回転数とポンプ性能)  Amazonで見る
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