※本記事の参考文献には、Amazonアソシエイトのリンク(アフィリエイト広告)を含みます。
重要度:○ 押さえておきたい論点です(公式公開問題と市販問題集の出題から。当サイトの判断)
最終確認:2026年9月24日
灯油も、消毒に使うエタノールも、食酢のもとの酢酸(さくさん)も、炭素を骨組みにしてできた物です。第4類(だいよんるい)の危険物(きけんぶつ)は、多くがこの仲間です。危険物乙4では、有機化合物(ゆうきかごうぶつ)に共通する性質と、官能基(かんのうき)という目印の名前が問われます。
この記事でわかること
- 有機化合物に共通する性質(燃えやすい・水に溶けにくい)
- 官能基の名前と、アルコール→アルデヒド→カルボン酸の並び
- 高分子(こうぶんし)が試験に出る形
有機化合物は炭素を中心にした化合物で、燃えるものが多く、水に溶けにくいものが多い仲間です。
アルコールを酸化(さんか)するとアルデヒドになり、さらに酸化するとカルボン酸になります。
エタノール→アセトアルデヒド→酢酸は、第4類の品名をまたいでつながる1本の線です。
まず場面で:灯油もエタノールも、炭素でできた有機化合物
灯油とエタノールは、どちらも火を近づけると燃える液体です。ところが水に入れると、灯油は混ざらずに水に浮き、エタノールは水に溶けて見えなくなります。燃えるという共通点と、水への溶け方の違いには、どちらも理由があります。
有機化合物とは、炭素を中心にしてできた化合物のことです。ただし、一酸化炭素や二酸化炭素、炭酸カルシウムは、炭素を含んでも無機化合物(むきかごうぶつ)として扱います。有機化合物をつくる元素は、炭素と水素のほか、酸素・窒素・硫黄などです。
有機化合物は、燃えるものが多く、水に溶けにくく、アルコールなどの有機溶剤(ゆうきようざい)に溶けやすいものが多い仲間です。 炭素と水素でできた物が完全燃焼(かんぜんねんしょう)すると、二酸化炭素と水ができます。空気が足りない不完全燃焼(ふかんぜんねんしょう)では、有毒な一酸化炭素が出ます。
無機化合物とくらべると、融点や沸点の低いものが多く、種類がとても多いことも特徴です。一酸化炭素の性質は、主な気体の性質で扱っています。
官能基で決まる:アルコール→アルデヒド→カルボン酸
官能基とは、有機化合物の性質を決める、決まった形の原子の集まりのことです。同じ官能基をもつ物は、よく似た性質を示します。アルコールがもつヒドロキシ基は、水になじむ性質のもとになります。
エタノールが水に溶けるのは、このヒドロキシ基をもつからです。灯油は炭素と水素だけでできた物の集まりで、ヒドロキシ基をもたず、水に溶けません。ただし、炭素の数が多いアルコールほど水に溶けにくくなります。
炭素は、つなぎ目が4つあるブロックのようなものです。つなぎ目に水素や酸素、ほかの炭素がつながり、長い鎖や輪ができるので、物の種類がとても多くなります。正確には、炭素は4本の結合の手をもち、ほかの原子と結びついて多くの種類の化合物をつくります。

| 官能基 | 仲間の名前 | 第4類の例 |
|---|---|---|
| ヒドロキシ基(-OH) | アルコール | メタノール、エタノール |
| アルデヒド基(-CHO) | アルデヒド | アセトアルデヒド |
| カルボキシ基(-COOH) | カルボン酸 | 酢酸 |
| カルボニル基(-CO-) | ケトン | アセトン |
| エステル結合(-COO-) | エステル | 酢酸エチル |
| ニトロ基(-NO2) | ニトロ化合物 | ニトロベンゼン |
| アミノ基(-NH2) | アミン | アニリン |
エタノールを酸化するとアセトアルデヒドになり、さらに酸化すると酢酸になります。 メタノールなら、ホルムアルデヒドを経てギ酸になります。アルコールの官能基が、アルデヒド基、カルボキシ基へと1段ずつ変わっていく流れです。
エタノールはアルコール類、アセトアルデヒドは特殊引火物(とくしゅいんかぶつ)、酢酸は第2石油類です。品名はばらばらでも、酸化で1本の線につながる親せきです。反対向きの変化は還元(かんげん)で、アルデヒドは相手を還元する還元性(かんげんせい)をもちます。
カルボン酸は、水に溶けると弱い酸性を示します。酢酸を水にうすめた液が食酢で、酸性の意味は酸と塩基とpHで扱っています。
カルボン酸とアルコールが結びつき、水が取れてできる物をエステルといいます。酢酸とエタノールからは、第1石油類の酢酸エチルができます。
1-ブタノールも、ヒドロキシ基をもつアルコールの仲間です。ただし、炭素の数が法令のアルコール類の範囲より多いので、品名は第2石油類に入ります。メタノールとエタノールの違いは、アルコール類の記事で扱っています。
ここは覚えなくていい
アルコールを第1級・第2級・第3級に分ける区別は、覚えなくてかまいません。形によってはケトンになったり、酸化されにくかったりする話も同じです。構造式の書き方や、炭化水素を鎖式・環式・飽和・不飽和に分ける名前も同じです。
高分子は出る形だけ:ポリエチレンはエチレンがつながった物
高分子化合物とは、分子量がとても大きい化合物のことです。小さな分子である単量体(たんりょうたい)が次々につながる反応を重合(じゅうごう)といい、できた物を重合体といいます。ポリエチレンは、エチレンという単量体が重合してできた高分子です。
重合には、分子の中の二重結合などを開いてつながる付加重合(ふかじゅうごう)と、水などの小さな分子が取れながらつながる縮合重合(しゅくごうじゅうごう)があります。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルは、付加重合でできる高分子です。第2石油類のアクリル酸で注意する「重合しやすさ」も、この重合のことです。
プラスチックは、熱でやわらかくなる熱可塑性樹脂(ねつかそせいじゅし)と、熱で固まって戻らない熱硬化性樹脂(ねつこうかせいじゅし)に分けられます。ポリエチレンや塩化ビニル樹脂は熱可塑性、フェノール樹脂やメラミン樹脂は熱硬化性です。一般に、電気を通しにくく、酸や塩基に侵されにくく、軽いものが多いとされています。
試験では、「塩化ビニル樹脂は熱硬化性樹脂」「プラスチックは電気を通しやすい」という誤りの形で出ます。ポリエチレンが何の単量体からできるかを、穴埋めで問う形もあります。
試験ではこう聞かれる:官能基の名前と物質の組合せ
1つめは、官能基と物質の組合せです。「酢酸はカルボニル基をもつ」は誤りで、酢酸がもつのはカルボキシ基です。「アセトンはカルボキシ基をもつ」も誤りで、アセトンはカルボニル基をもつケトンです。
2つめは、酸化の順番の入れ替えです。「アルコールを酸化するとカルボン酸になり、さらに酸化するとアルデヒドになる」は誤りです。順番はアルコール→アルデヒド→カルボン酸で、アルデヒドがまん中です。
3つめは、有機化合物の性質の逆転です。「水に溶けやすいものが多い」「無機化合物より種類が少ない」「融点の高いものが多い」は、どれも誤りです。「完全燃焼すると一酸化炭素と水ができる」も誤りで、できるのは二酸化炭素と水です。
4つめは、アルデヒドの性質です。「アルデヒドは強い酸化性(さんかせい)をもつ」は誤りで、アルデヒドがもつのは還元性です。
覚え方:アル・アル・カル(アルコール→アルデヒド→カルボン酸)、酸化で右へ進む。
工場・現場ではこうなる:溶剤の移し替えと、樹脂の配管
化学プラントでは、トルエンや酢酸エチルのような有機溶剤を、塗料や洗浄に使います。有機化合物は電気を通しにくいものが多いので、溶剤を移し替える配管や容器は接地(せっち)して静電気(せいでんき)を逃がします。一方、酸やアルカリの薬品には、侵されにくい樹脂の配管やタンクを使うことがあります。
確認問題
問1 一酸化炭素は炭素をふくむが、有機化合物(ゆうきかごうぶつ)ではなく無機化合物として扱われる。
答え:○
根拠:有機化合物は炭素を中心とする化合物ですが、一酸化炭素や二酸化炭素は無機化合物として扱います。
なぜか:炭素をふくむ化合物のうち、一酸化炭素・二酸化炭素・炭酸カルシウムなどは例外です。これらは有機化合物に入れないと決まっています。
狙われる形:「炭素をふくめばどれも有機化合物」と、例外を落とした形で出ます。
問2 酢酸がもつカルボキシ基(−COOH)は、カルボン酸に共通する官能基(かんのうき)である。
答え:○
根拠:カルボン酸は、カルボキシ基(−COOH)をもつ有機化合物です。
なぜか:酢酸の水溶液が弱い酸性を示すのは、この−COOHがあるからです。アルデヒド基(−CHO)をもつアセトアルデヒドとは別の仲間です。
狙われる形:カルボキシ基を、アルデヒド基やヒドロキシ基と入れかえた形で出ます。
問3 アルコールの酸化(さんか)でできたカルボン酸は、もう一段酸化されるとアルデヒドに変わる。
答え:×
訂正:カルボン酸はアルデヒドがさらに酸化されてできる物で、カルボン酸を酸化してもアルデヒドには戻らない。
根拠:メタノールやエタノールのようなアルコールの酸化は、アルデヒドを経てカルボン酸へと順に進みます。
なぜか:1段目は水素がとれる酸化で、アルデヒドができます。2段目は酸素が加わる酸化で、カルボン酸ができます。
狙われる形:アルデヒドとカルボン酸の順番を入れかえた形で出ます。
まとめ
有機化合物は炭素を中心にした化合物で、燃えるものが多く、水に溶けにくく有機溶剤に溶けやすいものが多い仲間です。性質は官能基で決まり、エタノールを酸化するとアセトアルデヒド、さらに酸化すると酢酸になります。高分子は、ポリエチレンがエチレンの重合でできることと、熱可塑性・熱硬化性の区別が出る形です。
次に読む
参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、2-8 有機化合物・4-5 アルコール類 Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、2-29 有機化合物・2-30 高分子材料・3-8 アルコール類の性状(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
内容の誤りに気づいた方へ:誤りの報告フォーム
PLANT NEWS ON NOTE
化学プラントニュース
化学・石油プラントの重要ニュースを、毎週の週報と事故速報でお届けします。現場で押さえたい動きを、わかりやすく整理します。
noteで最新ニュースを読む ↗
化学プラント大全 
