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重要度:◎ よく問われます(市販問題集2冊の頻出印と公式公開問題から。当サイトの判断)
最終確認:2026年9月24日
「重油」と聞くと、水に沈む重たい油を思いうかべるかもしれません。ところが重油は水よりわずかに軽く、こぼれると水の上に浮きます。危険物乙4では、この名前と性質のずれが、第3石油類の問題でよく問われます。
この記事でわかること
- 重油が水に浮くことと、第3石油類で水に沈む物品
- 重油は引火点(いんかてん)が高いのに、燃えると消しにくい理由
- 水に溶けるグリセリン・エチレングリコールの見分け方
重油は水より軽く、第3石油類の主な物品で水に浮くのは重油だけです。
重油は引火点が高く燃えにくい一方、いったん燃えると液温が高く、消火(しょうか)が難しくなります。
クレオソート油・アニリン・ニトロベンゼンは水に沈み、グリセリン・エチレングリコールは水に溶けます。
まず場面で:「重油」なのに水に浮き、クレオソート油は沈む
工場の排水の溝に、重油が漏れ出たとします。重油は水と混ざらず、褐色の膜のように水面に浮いて広がります。同じ第3石油類でも、クレオソート油が漏れた場合は、水の底に沈みます。

第3石油類の物品を水に入れたときの動きは、3通りに分かれます。重油は浮き、クレオソート油・アニリン・ニトロベンゼンは沈み、グリセリンとエチレングリコールは溶けます。
第3石油類は、第4類(だいよんるい)の品名の1つです。1気圧で引火点が70℃以上 {NUM-L-0019}、200℃未満 {NUM-L-0020}の液体が入ります。
重油は水より軽く、燃えると液温が高くて消しにくい
第3石油類の主な物品で水に浮くのは重油だけ
比重(ひじゅう)とは、水を1としたときの液体の重さの比べ方です。重油は比重が1より小さく、水よりわずかに軽い液体です。名前に「重」が付いても、第3石油類の主な物品で水より軽いのは重油だけで、ほかの物品は水より重くなります。
重油は、褐色または暗褐色の、粘り気のある液体です。いろいろな炭化水素がまざった混合物で、水には溶けません。日本産業規格では、1種のA重油、2種のB重油、3種のC重油に分けられています。
クレオソート油・アニリン・ニトロベンゼンも水に溶けませんが、水より重いので底に沈みます。クレオソート油は、コールタールを蒸留して得られる、黄色や暗緑色の液体です。ニトロベンゼンは蒸気に毒があり、アニリンには特有のにおいがあります。
グリセリンとエチレングリコールは、甘みと粘り気のある無色の液体です。水によく溶けるので、法令では水溶性(すいようせい)として扱われます。どちらも比重は1より大きいのですが、水に入れると溶けて見えなくなります。
引火点が高いのに消しにくい理由
重油の引火点は、灯油や軽油より高い温度です。加熱しなければ、引火(いんか)の危険は小さい油です。ところが、いったん燃え出すと液の温度がとても高くなっているので、消火が難しくなります。
重油の火は、熱く焼けた鉄なべにたとえられます。熱くなるまでに時間はかかりますが、一度熱くなるとなかなか冷めません。正確には、引火点が高い液体は、燃えているときの液温も高くなるので、冷やして消すのが難しい、ということです。
消火には、泡などで液面をおおって空気を断つ窒息消火(ちっそくしょうか)が向いています。燃えている重油に棒状(ぼうじょう)の水をかけると、油が飛び散ったり水に浮いて広がったりするので、使いません。 消し方の全体は第4類の消火で扱います。
重油も灯油と同じように、霧状(きりじょう)にしたり布にしみこませたりすると、火がつきやすくなります。また、不純物として硫黄を含むので、燃えると有害な亜硫酸ガス(ありゅうさんガス)が出ます。
第3石油類の数字は、定義の範囲と重油の引火点だけ
覚える数字は、第3石油類の定義の2つと、重油の引火点です。70℃以上は70℃を含み、200℃未満は200℃を含みません。
| 項目 | 引火点 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 第3石油類の定義の下の端(1気圧) | 70℃以上 | 第2石油類の上の端と同じ |
| 第3石油類の定義の上の端(1気圧) | 200℃未満 | 第4石油類の下の端と同じ |
| 重油(A重油・B重油) | 60℃以上 | 灯油や軽油より高い |
A重油とB重油の引火点は60℃以上で、定義の下の端より低い値も含みます。それでも重油は、法令の第3石油類の定義に名前が挙がっているので、第3石油類に入ります。名前で品名が決まる物品の考え方は、第4類の例外まとめで扱います。
指定数量(していすうりょう)は、水に溶けるかどうかの組ごとに決まっています。
| 組 | 主な物品 | 指定数量 |
|---|---|---|
| 非水溶性 | 重油、クレオソート油、アニリン、ニトロベンゼン | 2,000L |
| 水溶性 | グリセリン、エチレングリコール | 4,000L |
ここは覚えなくていい
クレオソート油・アニリン・ニトロベンゼン・エチレングリコールの引火点や沸点の細かい値は、覚えなくてかまいません。これらは「重油のほかは水より重い」「グリセリンとエチレングリコールは水に溶ける」の2つで答えられます。
試験ではこう聞かれる:「重油は水より重い」は誤り
1つめは、重さの入れ替えです。「重油は水に沈む」「重油は比重が1より大きい」は、どちらも誤りです。第3石油類の主な物品で水に浮くのは重油だけで、クレオソート油・アニリン・ニトロベンゼンは水に沈みます。
2つめは、消火のしやすさの逆転です。「重油は引火点が高いので、燃えても消火はやさしい」は誤りです。燃えているときは液温が高いので、消火は難しくなります。
3つめは、性質や品名の入れ替えです。「グリセリンは水に溶けない」「クレオソート油は第4石油類」は、どちらも誤りです。重油の引火点の範囲を、発火点(はっかてん)の値として示す文にも注意します。
覚え方:重いのは名前だけ、重油は水に浮く。
工場・現場ではこうなる:重油は温めて送り、漏れは水面で止める
工場では、重油をボイラーや炉の燃料に使うことがあります。粘り気の強い重油は、タンクや配管を温めて流れやすくして送るので、液温の管理が欠かせません。漏れた重油は排水の溝で水に浮いて広がるので、水面の油をせき止めて回収する設備を備えます。
確認問題
問1 重油という名前でも、水に入れると上に浮く。
答え:○
根拠:物品の名前と、水に浮くか沈むかは、必ずしも一致しません。
なぜか:重油の比重は0.9〜1.0ほどで、水よりわずかに軽い液体です。水に溶けないので、こぼれると水面に広がります。
狙われる形:「重油」という名前から、水に沈むと思わせる形で出ます。
問2 第3石油類のクレオソート油は、水に入れると沈む。
答え:○
根拠:同じ第3石油類でも、水に浮く物品と沈む物品があります。
なぜか:クレオソート油は比重が1より大きく、水より重い液体です。水に溶けないので、水の下に沈んでたまります。
狙われる形:クレオソート油を、重油と同じく「水に浮く」とした形で出ます。
問3 エチレングリコールは、車のエンジンを潤す潤滑油として使われる。
答え:×
訂正:エチレングリコールは、エンジンの冷却水に混ぜる不凍液に使われる。
根拠:エチレングリコールは水によく溶け、水に混ぜると凍りにくくなるので、不凍液に使われます。
なぜか:エチレングリコールは水に溶けて、水を凍りにくくする液体です。潤滑油に使われるギヤー油などは、第4石油類の物品です。
狙われる形:エチレングリコールの用途を、潤滑油や燃料にずらした形で出ます。
まとめ
重油は名前に「重」が付いても水よりわずかに軽く、第3石油類の主な物品で水に浮くのは重油だけです。引火点が高く燃えにくい一方、燃えると液温が高いので消火が難しくなります。クレオソート油・アニリン・ニトロベンゼンは水に沈み、グリセリン・エチレングリコールは水に溶けます。
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参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、4-7 第3石油類・4-10 第4類の危険物の特徴まとめ Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、1-3 第4類危険物・1-4 危険物の指定数量・3-10 第3石油類の性状(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
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