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コリオリ流量計は、流体の通る管を細かく振動させ、流れによって管がわずかに「ねじれる」ことから、質量流量を直接測る流量計です。温度や圧力の補正なしに、1台で kg/h が出ます。
振動の速さからは密度も分かるので、質量流量・密度・体積流量・温度の4つが1台から出ます。精度は指示値の 0.15% と、流量計の中でも高い部類です。
その代わり、高価で、圧損が大きく、振動を使うので外部振動と気泡に弱い。この記事では、質量流量が要る理由、原理、4つの値、長所と弱点、よくあるトラブル、現場で見る場所を説明します。
この記事の結論
- 振動する管の中を流体が流れると、入口側と出口側で逆向きの力(コリオリの力)が働いて管がねじれる。入口側と出口側の振動の時間差が質量流量に比例する
- 振動の速さ(固有振動数)から密度、管に貼った測温抵抗体から温度、質量流量 ÷ 密度で体積流量。1台で4つの値が出る
- 精度は 指示値の 0.15%、測れる範囲は 最大流量の 1/100 まで。直管部が要らず、粘度や導電率に関係なく、高粘度液やスラリーも測れる
- 弱点は 高価、圧損が大きい、外部振動を受けやすい、形によっては掃除しにくい。口径は主に 100 mm 以下
- 気泡の含有率が 1% 程度まで増えると、管を振らせ続けられなくなることがある。いちばん効く対策は上流の気液分離器
- 付着は質量流量より 密度の指示 に出る。ゼロ点のずれはそのまま誤差になる
1. なぜ質量流量を測りたいのか
これまでの流量計の多くは、単位時間に流れる量をリットルや m³ など体積で測ります。ところが化学プロセスでは、反応に効くのは原料の体積ではなく質量です。
体積流量計で質量流量を知るには、別に密度を測って掛けなければなりません。密度の測定はそれ自体が面倒で、温度から推定できても、他の成分が混じると難しくなります。気体を差圧式で測るときの温度・圧力の補正は差圧式流量計の温圧補正で説明しています。
関係は1本の式です。
体積流量 = 質量流量 ÷ 密度
たとえば密度 900 kg/m³ の液が 1,800 kg/h 流れていれば、体積流量は 2 m³/h。温度が上がって密度が 850 kg/m³ に下がると、同じ 1,800 kg/h でも体積流量は約 2.12 m³/h に増えます。体積で測っていると、質量は同じなのに「流量が6%増えた」ように見えます。
この面倒を解決したのが、1970年代の終わりに登場したコリオリ流量計です。化学プラントでは、オリフィスや容積式ではカバーしきれなかった石油化学のモノマーから使われ始めました。
2. 原理|振動する管が、流れでねじれる
コリオリの力は、回転している物の上で動く物体に、動く向きと直角に働く力です。物体の質量と速度、回転の速さに比例します。北半球の台風が北上するにつれて東へ向きを変えるのも、この力の影響です。

コリオリ流量計は、流体を回転させる代わりに、管の一部を U 字にして、根元を軸に振動させます。
- U 字管の入口側の半分では、流体は振動の軸から離れる向きに動くので、コリオリの力を受けて振動が遅れる
- 出口側の半分では、流体は軸に近づく向きに動くので、振動が進む
- 入口側と出口側で逆向きの力を受けるので、管がねじれる。このねじれは質量流量に比例する
実際の流量計では、管の中央を電磁石で振らせ、入口側と出口側の2か所に付けた検出コイルで振動を拾います。流れがなければ2つの波は重なり、流れがあると出口側の波が先に進みます。2つの波の時間差(位相差)が質量流量に比例し、これをデジタル処理で質量流量に換算します。位相差はごく小さいものです。
管は、できるだけ小さなエネルギーで振らせるため、管そのものが最も振れやすい振動数(固有振動数)で振らせています。これが次の節の密度につながります。
3. 密度・温度・体積流量も1台で出る
管の固有振動数は、中を流れる流体の密度で変わります。中身が重いほど管はゆっくり振れるので、振動数から密度が分かります。

また、振動の性質は温度でも変わるので、それを補正するために管の外側に白金の測温抵抗体が貼ってあります。これで流体の温度も表示できます。
つまり、質量流量は時間差から、密度は振動数から、温度は測温抵抗体から、体積流量は質量流量 ÷ 密度の計算で出ます。
密度が同時に出るので、産地によって密度が変わるマイナス 162℃ の液化天然ガスや、密度から濁りの量を見て凝集剤の量を決める濁水の管理にも使われています。
4. 長所
連載記事と流量計の解説書が挙げる長所をまとめます。
| 長所 | 内容 |
| 質量流量を直接測れる | 複雑な補正の仕組みなしに、1台で質量流量が得られる。いちばんの長所 |
| 精度が高い | 指示値の 0.15%。ただしゼロ点がずれていれば、その分が誤差になる |
| 流量範囲が広い | 最大流量の 1/100 まで |
| 多種類の流体に使える | 高粘度液、スラリー。電磁流量計のような導電率の制約がない。気体も高圧で密度が高ければ測れる |
| 直管部が要らない | 原理的に流速分布の影響を受けない |
| 脈動に追従する | 応答が速い |
| 流れ方を気にしなくてよい | 粘度や、層流か乱流かといった流れ方の違いに左右されない |
精度の「指示値の 0.15%」は、フルスケールに対する%ではなく、そのとき示している値に対する%です(計器の精度・誤差・校正の記事)。
気体は、密度 × 流速が信号の大きさになるので、高圧(おおむね 1 MPa 以上)で密度の高いガスから使われています。食品では、電磁流量計では導電率の条件で測れなかった油類やマヨネーズ類も測れるようになりました。
5. 弱点|高価・圧損・外部振動
連載記事は「理想的な流量計の条件をすべて備えているようだが、弱点もある」として、次を挙げています。

- 値段が高い:わずかなねじれの差を検出するので、機械的にも電気的にも高度な技術が要る
- 口径が限られる:主に 100 mm 以下。10〜25 mm が最も多い
- 圧損が大きい:障害物はないが、管を細くして流速を上げ、コリオリの力を強くして感度を稼いでいる。高粘度液やスラリーの一部では、単純な計算で圧損を予測できないこともある
- 外部振動を受けやすい:測定に振動を使うため。初期の製品はコンクリートの床に直接ボルト止めしたほど
- 掃除しにくい:流路が曲がっている。管から流体が抜けきらない形は食品に向かない
外部振動への答えが、2本の管を向かい合わせて逆向きに振る構造です。測るための振動は2本で逆向きですが、配管から来る振動は2本に同じ向きで入ります。2本の信号の差をとると、流量の信号は約2倍になり、外部の振動は打ち消されます。この改良で、コリオリ流量計は実用に耐えるものになりました。
1本の直管の形も開発されています。掃除しやすく食品に向きますが、U 字管より振幅が小さいので、測れる最小流速が大きく、ゼロ点の安定度もそれほどよくない、という欠点が残っています。
6. トラブル|気泡・付着・固化・腐食
流量計の解説書が挙げる、起こりがちなトラブルです。
外部振動:小口径の1本管は打ち消す構造を持たないので、振動の入らない場所に据える。1本直管形は配管の応力や衝撃が入りやすいので、隣のフランジだけでなく離れたフランジでも配管を支持する。
気泡:スラリーなら固形物も含めた流体全体に力が働くので、正しい質量流量が出ます。気泡も少しなら平均の密度として測れますが、含有率が 1% 程度まで増えると、管を振らせるためのエネルギーが気泡に吸われ、振らせるための電流が急に増え、上限に達すると振動が止まります。気泡を検知する機能はあっても対策の技術は十分でなく、いちばん効く対策は流量計の上流に気液分離器を置くことです。
2本管のバランス:2本の管は同じ状態に保つ必要があり、片方に気泡や沈殿物がたまるとバランスが崩れて誤差になります。
付着:電磁流量計の電極付着のように急に出力に響くことはありません。付着が均一に成長すると固有振動数が変わりますが、管は新しい固有振動数で振られ続けるので、質量流量には影響が出にくく、密度の指示に出ます。2本管は合流部に付着しやすいので、付着する流体では洗い流す工程を組み込むのも対策です。
固化:高温では粘度が低く、冷えると固まるピッチなどでは、配管や流量計を温めるヒーターが故障すると管の中で固まり、流量計が二度と使えなくなった例が報告されています。
腐食:管は常に振動しているので、管の付け根には繰り返しの応力がかかり続けます。高温・高圧ではこれが応力腐食割れを促します。過酷な条件では、繰り返し応力による割れの可能性を事前に検討します。
7. 現場で見る場所
- ゼロ点:流れていないはずのとき(前後の弁を閉めて管が液で満たされているとき)に、指示がゼロ付近にあるか。ずれはそのまま誤差になる
- 密度の指示:普段より急に下がったら気泡やガスの混入を、じわじわ変わるなら付着を疑う
- 管を振らせる電流:変換器の診断表示で、この電流が上がっていないか。気泡のサイン
- 配管の支持と振動源:ポンプや圧縮機の振動が伝わっていないか。支持がメーカーの指示どおりか
- ヒーター:固まる流体では、保温・加熱が効いているか
- 圧損:流量計の前後で圧力がどれだけ下がっているか。導入後にポンプの能力が足りなくなっていないか
直管部が要らない一方で、据え付けの振動と気泡は他の流量計以上に効きます。流量計の設置の考え方は流量計の設置と直管長の記事で扱っています。
8. 先輩に聞かれたら答えられる3問
- コリオリ流量計が質量流量を直接測れるのはなぜですか。
- コリオリ流量計は、密度をどうやって測っていますか。
- コリオリ流量計の指示が不安定になり、管の振動が止まりました。まず何を疑いますか。
答えは順に、コリオリの力は流体の質量と速度に比例し、入口側と出口側の振動の時間差が質量流量に比例するから/中身の密度で管の固有振動数が変わることを使う/気泡の混入(含有率 1% 程度で振動を続けられなくなる)、です。
まとめ
コリオリ流量計は、振動する管が流れでねじれることを使い、入口側と出口側の振動の時間差から質量流量を直接測ります。固有振動数から密度、測温抵抗体から温度も出るので、1台で質量流量・密度・体積流量・温度の4つが得られます。精度は指示値の 0.15%、直管部は要らず、粘度や導電率にも左右されません。
弱点は、高価、圧損が大きい、口径が主に 100 mm 以下、外部振動と気泡に弱いこと。2本の管を逆向きに振って外部振動を打ち消していますが、片方に気泡や沈殿がたまると崩れます。指示がおかしいときは、ゼロ点、密度の指示、管を振らせる電流、配管の支持と振動源を順に見てください。
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参考文献
- 佐鳥聡夫「流量のお話 第6回 コリオリ式流量計」MS TODAY, 2001年12月号
- 『流量計ガイド』, 5「コリオリ流量計」
- 川村貞夫・石川洋次郎『メーカーの技術者が書いた やさしく計装がわかる 工業計測と制御の基礎』工業技術社, 2.3.6「その他の流量計」2)「コリオリ式流量計」 Amazonで見る
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