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流量計の設置と直管長|エルボの旋回流、上流下流に何を置くか、ポンプと制御弁の近くを避ける

流量計の設置と直管長のアイキャッチ

流量計は、正しい場所に正しい向きで付いて初めて精度が出ます。カタログの精度は、上流と下流に十分な直管部があり、管内が満水で、流速分布が整っている条件での値です。

現場で最も多い設置の失敗は、直管部が足りない、エルボの直後に置く、気泡やゴミが溜まる場所に置く、ポンプや制御弁のすぐ近くに置く、の4つです。どれも流量計は正常なのに指示が狂います。

この記事では、なぜ直管部が要るのか、形式ごとの目安、エルボと旋回流、上流の弁、気泡とゴミの溜まる配管、脈動源とノイズ源からの距離、そして流量計の周辺に付ける関連機器を説明します。

この記事の結論

  • 直管部が要るのは、流速分布の偏りと旋回流を消して、校正時と同じ流れにするため
  • 目安は 差圧式・渦式が上流 10D・下流 5D、電磁式が上流 5D。ベンチュリや整流器で短縮できる
  • 二平面にまたがる二重エルボは強い旋回流を作り、タービンメータなどに大きな誤差を生む
  • 上流 5D 以内の弁は全開で使う。流量を絞る弁は流量計の下流に置く
  • 気泡は上に凸の頂部に、ゴミは下に凸の底に溜まる。液体の流量計は頂部に、クリーンでない液の流量計は底に置かない
  • 往復動ポンプ、容積式・渦式流量計の出口、笛鳴りする制御弁、インバータやリレーの近くを避ける

1. なぜ直管部が要るのか

流量計の多くは、管の断面の平均流速を測っているのではなく、特定の場所の流速や渦の周波数を測って、「流速分布がいつもと同じ」という前提で流量に換算しています。エルボや弁の直後では流れが片寄ったり回転したりして、この前提が崩れます。

連載記事は、差圧式の直管部について「オリフィス前後の直管部は流速分布の偏りや旋回流を減少させ、測定条件を一定にする」と説明し、これは渦式・超音波式・タービン式など「管内の流速分布の影響を受ける流量計に共通する問題」だとしています。

メーカーの実務書は、上流直管長が基準に満たないときの誤差は「定量的に定められていない」と書いています。つまり、直管部が足りない流量計の指示は、後から補正できません。

2. 形式ごとの目安

形式上流下流備考
差圧式(オリフィス)10D 以上5D 以上整流器で上流を短縮できる。ベンチュリや V コーンは大幅に短い
渦式10D 程度5D 程度配管状況によってはさらに長く
電磁式5D 程度―曲管の約 5D 下流でほぼ軸対称になる
超音波式・タービン式差圧式と同程度流速分布の影響を受ける
面積式垂直取付直管部より取付姿勢が条件
コリオリ式ほぼ不要外部振動を避ける

D は配管の口径です。100 mm の配管なら 10D は 1 m、5D は 0.5 m です。

直管長の物差し
直管長の物差し

3. エルボと旋回流

エルボが1つなら、下流で流れが片寄るだけで、数 D の直管で回復します。問題は二平面にまたがる二重エルボです。連載記事の最終回は、狭いスペースに直管部を確保するために配管を何度も曲げた例を図にして、「二平面にまたがるエルボーは強い旋回流を作り出し、タービンメータに大きな誤差を生じさせる」と書いています。

旋回流(配管の軸まわりに回転する流れ)は、直管をかなり長く取らないと消えません。直管部を稼ぐために配管を曲げ回すのは逆効果です。スペースがなければ、整流器を入れるか、旋回流に強い形式(コリオリ式など)を選びます。

電磁流量計では、実務書が 90° ベンド後の直管長と誤差の関係を、電極と配管平面の角度別に試験しています。電極軸とベンドの平面の関係で誤差の向きが変わるので、取付け向きも精度に効きます。

4. 上流の弁は全開で

流量計の上流 5D 以内に弁を置くと、弁の開度によって誤差の大きさが変わり、電磁流量計では締切方向と電極の相対関係で誤差の正負まで変わります。実務書は「仕切弁および各種弁を流量計上流に設置する場合は全開で使用しなければならない」としています。

流量を絞る弁は、流量計の下流に置きます。制御ループでも、流量検出部は調節弁の上流側に置くのが基本です。下流の弁でも、ちょう形弁を流量計に直結すると開度で大きな誤差が出るので、弁体が流量計の中に入らない距離を取ります。

5. 気泡とゴミの溜まる配管

連載記事の最終回に、避けるべき配管の図が2つあります。

流量計を置いてはいけない場所
流量計を置いてはいけない場所
  • 気泡の溜まりやすい配管:配管が上に凸のループを描き、その頂部に流量計がある。液体では気泡が頂部に溜まって、流量計の中が満水でなくなる。気体を測るなら可
  • ゴミの溜まりやすい配管:配管が下に凸で、その底に流量計がある。固形物が底に沈む。クリーンな液体なら可

液体の流量計は、気泡が抜けていく立ち上がりの縦配管に置くのが最も安全です。横配管に置くなら、頂部を避け、電磁流量計は電極が水平になる向きにします。電磁流量計の実務書も、気泡が上側に偏ると出力が狂うことを図で示しています。

6. 脈動源とノイズ源から離す

  • 往復動ポンプ:プランジャポンプやダイヤフラムポンプの出口は脈動していて、渦式や容積式では誤差になる。単動ダイヤフラムポンプでは流れたり止まったりする間欠流になり、瞬時流量は意味をなさない
  • 容積式・渦式流量計の出口:これらの流量計自体が脈動を作るので、そのすぐ下流に別の渦式を置かない
  • 笛鳴りする制御弁:上流の制御弁が高周波の音を出すと、渦式の圧電素子がそれを渦と誤認する
  • 電気ノイズ:電磁リレー、ソレノイドコイル、インバータの近くは、電子回路を持つ流量計の信号に影響する。連載記事は「モータやトランスのすぐ近くは避ける」としている
  • 配管振動:ポンプや圧縮機の振動が配管を伝わる場所は、渦式とコリオリ式に不利

7. 周辺に何を付けるか

連載記事の第1回の「流量計測システム」の図には、流量計本体のほかに次が描かれています。

機器役割
フィルタ・整流器異物を除き、流れを整える。上流直管長の短縮
圧力計・温度計気体の温圧補正、密度換算
信号変換器開平、パルス分周、温圧補正、4〜20 mA への変換
バイパス配管と弁流量計の点検・交換時に流れを止めない。ただしバイパス弁が漏れると流量計にマイナス誤差
前後の止め弁取り外しのため

「関連機器の手配を忘れると、流量計が届いても使えません」と連載記事は念を押しています。バイパス弁の漏れは、トラブルの記事で扱う典型的な原因の1つです。

8. 現場で見る場所

  1. 直管部の実測:上流と下流の直管が口径の何倍あるか。図面でなく現物で
  2. エルボの数と平面:上流にエルボが2つ以上、しかも別の平面にないか
  3. 上流の弁:5D 以内の弁が全開か
  4. 配管の高さ関係:流量計が頂部や底にないか。液体なら縦配管の立ち上がりか
  5. 脈動源:往復動ポンプ、別の容積式・渦式が上流にないか
  6. バイパス弁:全閉で漏れていないか

9. 先輩に聞かれたら答えられる3問

  1. 直管部が足りない流量計の指示は、後から補正できますか。
  2. 二平面にまたがる二重エルボが問題なのはなぜですか。
  3. 液体の流量計を配管の頂部に置いてはいけないのはなぜですか。

答えは順に、できない(誤差が定量的に定められていない)/強い旋回流を作り、直管でも消えにくいから/気泡が溜まって満水でなくなるから、です。

まとめ

流量計の精度は、上流と下流に十分な直管部があり、満水で、流速分布が整っている条件での値です。目安は差圧式・渦式が上流 10D・下流 5D、電磁式が上流 5D で、二平面の二重エルボは旋回流を作るので避けます。上流 5D 以内の弁は全開で使い、流量を絞る弁は下流に置きます。

気泡は頂部に、ゴミは底に溜まるので、液体の流量計は縦配管の立ち上がりが安全です。往復動ポンプ、容積式・渦式の出口、笛鳴りする制御弁、電気ノイズ源、配管振動から離し、フィルタ・整流器・信号変換器・バイパスを流量計とセットで計画してください。

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参考文献

  • 佐鳥聡夫「流量のお話 第12回 流量計のトラブル」MS TODAY, 2002年6月号
  • 佐鳥聡夫「流量のお話 第1回 流量計測の世界」「第2回 差圧式流量計」「第11回 流量計の選び方」MS TODAY, 2001年7月号・8月号、2002年5月号
  • 横河電機編『計装メーカが書いた フィールド機器・虎の巻』工業技術社, Ⅲ 10.1「直管長による影響」、10.5「気泡混入の影響」
  • 佐鳥聡夫「現場計器の”不思議な”トラブルシューティング 第4回 流量計(その3)」計装, Vol.41 No.6 (1998)
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