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保安管理技術|防爆と静電気の出題|最小点火電流は本質安全防爆に使う【甲種化学】

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困っている人
困っている人

防爆構造の種類が多くて、どれがどういう仕組みなのか区別できない。

最大安全すきまと最小点火電流、どちらがどの構造の選定に使うのか分からない。

そんな悩みを解決します。

この記事の内容

最大安全すきま=耐圧防爆/最小点火電流=本質安全防爆 ── 4回問われた

内圧防爆と耐圧防爆のすり替えが3回

危険場所は特別・第一類・第二類の3区分(0種を落とす誤りが2回)

電荷の減少速度は導電率で決まる ── 4回問われた

この分野は「名前が似ているものを正確に区別できるか」がすべてです。理屈で押さえれば混乱しません。

最初に集計結果です。

国家試験技術検定
該当する問問10(静電気および接地)問9──
記述数202545

誤りの作り方は「用語の適用先を入れ替える」に集中しています。

実務側は防爆構造静電気対策を参照してください。

最頻出① 分類指標と防爆構造の対応(4回)

爆発性ガスは3つの指標で分類されます。 どの指標がどの防爆構造の選定に使われるかが問われます。

ガスの分類指標何を表すか選定に使う防爆構造
最大安全すきま(MESG)容器内の爆発が外部に伝播しないすきまの限界耐圧防爆構造
最小点火電流(MIC)電気火花で着火する最小の回路電流本質安全防爆構造
発火温度加熱だけで発火する温度温度等級(すべての構造に共通)

すきま → 耐圧、電流 → 本質安全。 この対応が核です。

出た誤り記述(令和2年度 国試 問10イ)

耐圧防爆構造は、内部で発生した爆発に耐え、火炎が外部に伝播しない容器の中に電気機器を収容した構造で、最小点火電流値により分類されている。

× 耐圧防爆の選定には最大安全すきまを使う。

令和3年度 検定 問9イでは逆向きに出ています。

最小点火電流は耐圧防爆構造の電気機器の選定に用いられる。

× 本質安全防爆構造に用いる。

令和4年度 検定 問9ロでは「安全増防爆」とすり替えています。 3年で形を変えて出続けています。

なぜこの対応になるのか

耐圧防爆 ── すきまで決まる

容器の中で爆発しても、火炎がすきまを通って外に出ないようにする

→ すきまの寸法設計が命

ガスごとの最大安全すきまが基準になる

本質安全防爆 ── 電流で決まる

そもそも着火に足るエネルギーを発生させない

→ 回路の電流・電圧・インダクタンスを制限する

ガスごとの最小点火電流が基準になる

「火炎を閉じ込める」か「火花を出さない」か。 発想がまったく違います。

防爆構造の詳細消炎距離と最大安全すきま

最頻出② 内圧防爆と耐圧防爆のすり替え(3回)

出た誤り記述(令和3年度 検定 問9ハ)

内圧防爆構造は、容器内部に爆発性ガスが侵入し、内部で爆発を起こしても、容器が爆発圧力に耐える強度をもち、周囲の爆発性ガスに点火しないようにした構造である。

× これは耐圧防爆構造の説明。

正しい区別

耐圧防爆(d)中で爆発してもよい。容器が耐え、火炎を外に出さない

内圧防爆(p)中で爆発させない。保護ガスで加圧してガスの侵入を防ぐ

「耐圧」は爆発に耐える、「内圧」は内側の圧力を高く保つ。 字を見れば分かります。

防爆構造の全体像

構造記号考え方使う場所
本質安全防爆ia / ib着火エネルギーを出さないia:0種場所も可/ib:1種以下
耐圧防爆d内部爆発に耐え、火炎を外に出さない1種以下
内圧防爆p保護ガスで加圧してガス侵入を防ぐ1種以下
安全増防爆e正常時に火花・高温を出さない構造を強化1種以下
油入防爆o接点を油中に沈める1種以下
樹脂充填防爆m樹脂で封止──
非点火防爆n正常時に着火源とならない2種場所限定

0種場所に使えるのは本質安全防爆(ia)だけです。ここは頻出。

令和2年度 国試 問10ロで「非点火防爆は第二類危険箇所に限定」が正しい記述として出ています。

非点火防爆(n)は最も等級が低いので、2種場所(異常時にだけガスが出る場所)専用です。

危険場所の区分 ── 0種を落とす誤りが2回

区分別称定義使える防爆構造
特別危険箇所0種場所爆発性雰囲気が連続して、または長時間存在する場所(タンク内部など)本質安全防爆(ia)のみ
第一類危険箇所1種場所通常の運転で爆発性雰囲気が生成するおそれがある場所ia・ib・d・p・e・o・m
第二類危険箇所2種場所異常時にだけ爆発性雰囲気が生成する場所上記+n

出た誤り記述(令和3年度 検定 問9ロ)

爆発危険箇所は、第一類危険箇所、第二類危険箇所、非危険箇所の3種類に区分されている。

× 特別危険箇所が抜けている。

「非危険箇所」を混ぜて3つに見せるのが手口です。危険箇所は特別・第一類・第二類の3つ。

令和6年度 検定 問9イでも特別危険箇所の扱いが問われています。

区分の考え方 ── 時間で決まる

目安(IEC 60079-10)

0種:年間1,000時間超(連続的)

1種:年間10〜1,000時間

2種:年間10時間未満

「どれだけの時間、爆発性雰囲気があるか」で区分します。

タンクの内部は0種、フランジの周囲は1種、その外側は2種というのが典型的な設定です。

危険場所の設定は防爆機器のコストに直結します。広く取りすぎると設備費が跳ね上がる。

防爆構造と危険場所

最頻出③ 電荷の減少速度は導電率で決まる(4回)

年度・問記述判定
R3国試問10イ導電率が高い液体ほど早く減少する
R2検定問9ホ電荷の減少に要する時間は導電率によって変わらない×
R4検定問9ホ(同系統)──
R5検定問9ハ(同系統)──

4回とも同じ論点です。「導電率によらない」と書いてあれば即×。

緩和時間(電荷が減る時間)

緩和時間 τ

τ = ε / κ(ε:誘電率、κ:導電率

導電率が高いほど τ が小さい = 早く電荷が逃げる

液体導電率[S/m]帯電のしやすさ
10⁻⁴程度帯電しない
アルコール類10⁻⁶〜10⁻⁷帯電しにくい
軽油・灯油10⁻¹¹〜10⁻¹³帯電しやすい
LPガス(液状)10⁻¹³以下極めて帯電しやすい
トルエン・ベンゼン10⁻¹⁴極めて帯電しやすい

10⁻¹⁰ S/m 以下は要注意とされています。

純度が高いほど危険です。不純物(イオン)が導電性を与えるので、精製すると帯電しやすくなる。

対策は帯電防止剤の添加(導電率を上げる)と流速制限(発生を抑える)。

静電気の発生と対策LPガスの静電気

不導体は接地しても電荷が逃げない(2回)

正しい記述(令和2年度 検定 問9ハ)

導電率の低い不導体では、電荷の移動が緩慢であり、接地しても帯電した電荷は導体に比べて逃しにくい

令和6年度 国試 問10ニでは「接地すれば同じ速さで逃げる」という誤りが出ています。

接地は導体にしか効きません。 プラスチック・樹脂ライニング・粉体には別の対策が要ります。

不導体への対策

導電性材料に替える(導電性ホース・帯電防止フィルム)

加湿(表面導電率を上げる)

除電器(イオナイザ)を使う

発生そのものを抑える(流速制限・落差を減らす)

放電エネルギーは導体のほうが大きい(令和3年度 国試 問10ロ)

出た誤り記述

帯電した物質が一度で放電するエネルギーは、静電エネルギーが同じ場合には、導電率が低いほど大きくなる

× 導体のほうが一度に全量を放出する。

なぜ導体のほうが危険か

導体:電荷が自由に動ける → 放電時に全量が一度に放出される(火花放電)

不導体:電荷が動けない → 局所的に少しずつ放出される(沿面放電・コロナ放電)

孤立した導体(未接地の金属)が最も危険です。だから接地が最優先の対策になります。

ドラム缶・工具・作業者の体も導体です。人体の静電容量は約100〜200 pF。

帯電機構は「摩擦だけではない」(2回)

出た誤り記述(R2検定問9ロ・R5検定問9ホ:同一記述が2回)

帯電機構は、摩擦、剥離、流動、混合・撹拌による帯電および誘導帯電であって、滴下、沈降・浮上によるものではない

× 滴下、沈降・浮上によっても発生する。

まったく同じ誤り記述が2回出ています。 「〜によるものではない」は即×。

帯電機構(すべて起きる)

摩擦帯電:異種物質の接触・分離

剥離帯電:密着したものを剥がす(フィルム・テープ)

流動帯電:液体が配管を流れる

噴出帯電:ノズルから噴出(粒子を含むと強い

滴下帯電:液滴が落ちる

沈降・浮上帯電:粒子や気泡が液中を移動

撹拌帯電:混合・撹拌

誘導帯電:帯電体の近くで電荷が偏る

タンクへのローディングでは、滴下・沈降・流動が同時に起きます。

だから「底部から静かに入れる」(ボトムローディング)が標準になっています。

上から落とし込む(スプラッシュローディング)は帯電と蒸発の両方で危険です。

静電気の発生機構

接地とボンディング(3回、すべて正しい記述)

R2検定問9ニ・R3検定問9ニ・R6検定問9ホ

複数の金属導体を電気的に同電位にするために、電線などを用いて互いに接続することをボンディングという。

接地(アース)ボンディング
目的大地と同電位にする導体どうしを同電位にする
対象設備と大地複数の導体間
効果電荷を大地に逃がす導体間の電位差をなくす(放電を防ぐ)

タンクローリーからの荷卸しでは、まずボンディングしてからホースをつなぎます。 順序が逆だと放電します。

接地抵抗の目安

目的接地抵抗
静電気対策10⁶ Ω以下で十分
電気機器の保安接地(D種)100 Ω以下
避雷接地極力小さく(10 Ω以下)

静電気対策の接地抵抗は緩いです。10⁶ Ω(1 MΩ)でも電荷は十分に逃げます。

「接地抵抗が高いから静電気対策にならない」というのは誤解です。桁が違います。

避雷接地(令和3年度 国試 問10ニ・正しい記述)

外部雷保護システムにおける避雷接地は、接地抵抗値を極力小さくするとともに被保護物とその周辺の接地電位を一様にすることが重要である。

電位を一様にするのが重要な理由は、電位差があると逆流雷(側撃)が起きるからです。

雷は大電流なので、わずかな抵抗でも大きな電位差を生みます。

帯電電位から危険性を計算する(3回)

正しい記述(令和3年度 国試 問10ハ)

可燃物を取り扱う作業者の、火災・爆発の災害発生限界の帯電電位は、可燃物の最小発火エネルギーと作業者の静電容量から計算することができる。

計算式

E = (1/2) C V²

E:静電エネルギー[J]、C:静電容量[F]、V:帯電電位[V]

V = √(2E / C)

人体(C = 200 pF)で、水素(MIE = 0.02 mJ)が着火する帯電電位は?

〔解答〕

V = √(2 × 0.02×10⁻³ / 200×10⁻¹²)

 = √(4×10⁻⁵ / 2×10⁻¹⁰) = √(2×10⁵)

 = 約450 V

わずか450 Vで水素に着火します。 人が歩くだけで数kVは帯電するので、まったく足りません。

可燃物MIE[mJ]人体(200pF)で着火する電位
水素・アセチレン0.02約450 V
メタン・プロパン0.25約1,600 V
粉じん(一般)10〜100約10〜32 kV

人体の帯電電位は、乾燥時に10 kVを超えることがあります。

だから静電気帯電防止服・導電性靴・アースバンドが必要になります。

最小着火エネルギー粉じん爆発

電源設備 ── 蓄電池の容量は「安全に停止できるまで」

出た誤り記述(令和2年度 国試 問10ニ)

非常用電源の蓄電池容量は、非常用発電設備がある場合はその起動までの時間、ない場合は常用電源が回復するまでの想定時間から決定する。

× 設備を安全に停止できる時間から決める。

正しい考え方

非常用電源の目的は運転の継続ではなく、安全な停止

→ 容量は安全停止に必要な時間で決める

目安:非常用発電設備あり 5〜10分/なし 30分程度

「電源が回復するまで持たせる」という発想ではありません。 いつ回復するか分からないので、設計基準にならない。

これは保安の基本思想です。異常時は「継続」ではなく「安全に止める」ことを目指す。

フェイルセーフ設計安全計装システム

UPS(無停電電源装置)

正しい記述(令和2年度 国試 問10ハ)

UPSは、常用電源を直流に変換して蓄電池に充電するとともに、再度交流に変換して電力を供給する。

交流 → 直流 → 交流という二重変換方式です。これにより無瞬断で切り替わります。

燃料電池の正極・負極(2回)

正しい記述(令和2年度 検定 問9イ)

燃料電池は、負極に燃料となる水素正極に酸化剤として空気中の酸素を供給する。

令和4年度 検定 問9ハでは正極と負極を入れ替えた誤りが出ています。

覚え方

負極(アノード)=酸化される側=燃料(水素)

正極(カソード)=還元される側=酸化剤(酸素)

電池では「酸化される側が負極」です。腐食のアノード(溶ける側)と同じ理屈。

腐食のアノード・カソード

この分野の対策

  1. 最大安全すきま=耐圧/最小点火電流=本質安全(4回出た)
  2. 耐圧防爆と内圧防爆の区別(3回出た)
  3. 危険場所は特別・第一類・第二類の3区分(0種を落とさない)
  4. 電荷の減少は導電率で決まる(4回出た)

この4つで、45記述のうち誤りの半分以上が切れます。

よくある失点

失点対策
すきまと電流の適用先を逆にするすきま→耐圧、電流→本質安全
耐圧と内圧を取り違える耐圧=爆発に耐える/内圧=圧力を高く保つ
特別危険箇所を落とす危険箇所は3区分(非危険箇所は含まない)
「導電率によらない」を見落とす緩和時間 τ = ε/κ
帯電機構を摩擦だけと思う滴下・沈降・浮上でも起きる
不導体も接地で逃げると思う接地は導体にしか効かない

暗記カードにするならこれだけ

分類指標と防爆構造(4回出た)

最大安全すきま(MESG)→ 耐圧防爆(d)

最小点火電流(MIC)→ 本質安全防爆(ia/ib)

発火温度 → 温度等級(全構造共通)

防爆構造の考え方

耐圧(d)=中で爆発してもよい。容器が耐え、火炎を出さない

内圧(p)=中で爆発させない。保護ガスで加圧

本質安全(ia)=着火エネルギーを出さない0種場所に使える唯一

非点火(n)=2種場所限定

危険場所(3区分)

特別危険箇所(0種)=連続・長時間 → ia のみ

第一類(1種)=通常運転で生成

第二類(2種)=異常時のみ

静電気(4回出た)

緩和時間 τ = ε/κ導電率が高いほど早く逃げる

不導体は接地しても逃げにくい

放電エネルギーは導体のほうが大きい(全量を一度に)

帯電機構は滴下・沈降・浮上でも起きる

E = (1/2)CV²(人体200 pF、水素なら450 Vで着火)

その他

ボンディング=導体どうしを同電位/接地=大地と同電位

静電気対策の接地抵抗は10⁶ Ω以下で十分

非常用電源の容量は「安全に停止できるまで」

燃料電池:負極=水素、正極=酸素

まとめ

  • 国試の問10・検定の問9がここ。10年で45記述
  • 最大安全すきま=耐圧防爆/最小点火電流=本質安全防爆(4回)
  • 耐圧(爆発に耐える)と内圧(圧力を高く保つ)のすり替えが3回
  • 危険場所は特別・第一類・第二類。0種を落とす誤りが2回
  • 0種場所に使えるのは本質安全防爆(ia)だけ
  • 電荷の減少速度は導電率で決まる(4回)
  • 不導体は接地しても逃げにくい
  • 帯電機構は滴下・沈降・浮上でも起きる(同一記述が2回)
  • 非常用電源は「安全に停止できるまで」で容量を決める

次は安全装置・保安装置・計装です。10年で160記述、この科目で最大の分野です。→ 安全装置と計装の出題

実務側は防爆構造静電気対策を参照してください。

保安管理技術の全体像は保安管理技術15問の攻略へ。

出典:高圧ガス保安協会『甲種化学・機械 試験問題集 令和7年度版』甲種化学編。集計は令和2〜6年度の国家試験5回・技術検定5回、計150問671記述を筆者が1記述ずつ分解して独自に行ったものです。設問の要約と解説にとどめ、問題文そのものの転載は行っていません。