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バタフライ弁のしくみと選び方|中心形と偏心形、絞り・圧力損失・水撃

バタフライ弁のしくみと選び方|中心形と偏心形、絞り・圧力損失・水撃

バタフライ弁は、円盤の弁体を90°回して開閉する弁です。短くて軽く、大口径の配管に向きます。中間開度で絞ることもできますが、極端な絞りと急な開閉には弱点があります。

  • 中心形(ゴムシート)は低圧・常温の一般用途、偏心形は高温・高圧・高いシール性が要る用途
  • 開度10%以下の極端な絞りと、高差圧での絞りには使わない
  • 90°を素早く回せる分、急開閉は水撃の原因になる。大口径はウォームギヤなどで開閉時間を延ばす

バタフライ弁は、円盤を90°回して開閉する短くて軽い弁

バタフライ弁の断面(全閉と全開):円盤の弁体を90°回して流路をふさぎ、全開でも弁体が流路の中央に残る
この章の要点
  • 円盤を90°回して開閉する、面間が短く軽い大口径向きの弁です。
  • シールは接触面圧によるので、仕切弁や玉形弁ほどのシール性は得られません。
  • 開度10%以下の極端な絞りと、高差圧での絞りには使えません。
部品役割
弁箱筒状。両側の管フランジのあいだに入る
弁座(シート)弁箱の内径に沿った帯状。ゴムなどの柔らかい材料が多い
弁体(ディスク)円盤。弁棒の周りに90°回る
弁棒弁体を回す軸
操作機レバー、ウォームギヤ、自動操作機
  • 弁座が1枚でキャビティ(弁の中の閉じた空間)がないので、閉止中に液が閉じ込められて圧力が上がることは起きにくい構造です。
  • 全開でも弁体が流路の中央に残ります(圧力損失の章)。

中心形はゴムシートで低圧・常温、偏心形は高温・高圧に使う

中心形・単偏心形・二重偏心形の弁体と弁座:弁棒の位置をずらすほど、弁座への当たり方が擦るものから鋭角に着座するものへ変わる

ゴムシート中心形は、ゴムで温度・圧力が制限され、低圧の水・油・空気などの一般用途に使います。それを超える温度・圧力・耐食の用途には、二重偏心形(ハイパフォーマンス形)を使います。

形弁棒の位置弁座への入り方シート使いどころ
中心形(同心形)弁座の中心を貫通擦るように着座ゴム低圧の一般用途
単偏心形弁座の面から外す擦るように着座ゴムなど柔らかい材料中心形のシール性を改善
二重偏心形管の中心からも外す押し付けるように(鋭角に)着座PTFE、メタル高温・高圧・耐食。ハイパフォーマンス弁
三重偏心形弁座の円錐の頂点も外す当たるように着座メタルなど二重偏心形よりさらに高いシール性
  • 二重偏心形は、閉止時に内圧で閉じる向きのトルクが働き、それを弁座の面圧に使ってシール性を上げます。反対向きの流れでは締切り性能が下がるので、決まった流れ方向があります。
  • 二重偏心形は本体も液に触れるので、弁体だけでなく本体の耐食性も考えます。ゴムシート中心形で弁箱側にシートがある形は、シートが健全な間は本体が液に触れません。

ウェハー形はフランジの間に挟む:面間が短い

ウェハー形とフランジ形の取付け:ウェハー形はフランジのない弁箱を管フランジのあいだに挟んで通しボルトで締める

小・中口径は、フランジのない弁を管フランジで挟み込み、通しボルトで締めるウェハー形が広く使われます。大口径はフランジ形にします。

配管接続中身
ウェハー形フランジレス形・フルラグ形・セミラグ形
フランジ形弁箱にフランジがある
  • ゴムシート中心形のウェハー形は、通常は呼び径 40A 以上に使われ、中大口径に利点があります。
  • フランジレス形は、据付けの面から 600〜700A 程度以下が適当とされます。
  • ゴムライニングの弁では、管フランジ面と弁箱端部がシール面になり、ガスケットが要らない場合があります。取扱説明書で確かめます。
  • 全開時は弁体の端が面間からはみ出します。すぐ上流に曲がりがあるときや、隣に弁・機器があるときは、弁体が当たらないか、取付けの向きに注意します。

中間開度で絞れるが、開度10%以下や高差圧の絞りは避ける

中間開度の流れと開度・トルクの関係:絞ると縮流部が低圧になり弁体の後ろに渦ができ、トルクは開度70°付近で最大になる

玉形弁とバタフライ弁は中間開度でも使えますが、開度10%以下の極端な絞りと、高差圧での絞りには使えません。過度の絞りはキャビテーションを起こします。

  • 調節弁として使うバタフライ弁は、流れから受けるトルクが開度70°付近で最大になるため、一般に最大開度を60°にして使います(オンオフ弁なら90°まで)。
  • 一般には大流量・低差圧の制御に使います。流量特性はイコールパーセントに近い形です。
  • 汎用ディスクの調節弁は弁座からの漏れが大きいので、締切りが要るときはシートの材料やすき間で対策します。
  • 中間開度の弁体には流れによって閉じる向きのトルクが働きます。弁体と弁棒をつなぐキーが壊れると弁が急に閉じ、水撃を起こすおそれがあります。

全開でも弁体が流路に残るので、圧力損失はゼロにならない

項目値・中身
全開時の相当管長比 Le/D(計算例)45(同じ例のエルボは1個あたり 14)
圧力損失の比較ボール弁や仕切弁より大きい
弁容量(Cv)玉形弁(グローブ弁)より大きい

バタフライ弁は全開でも弁体が流れの中に残ります。圧力損失は、直通流路のボール弁や仕切弁より大きくなります。

  • 計算例:80A の重力流れの配管で、エルボ8個(相当管長比 14×8)とバタフライ弁1個(45)を合わせて ΣLe/D = 157 として損失水頭を求め、使える落差の余りをバタフライ弁で絞って流量を合わせています。
  • 相当長さ法とK値法の考え方は エルボ・ティー・バルブの圧力損失。

90°を速く回すと水撃になる:ウォームギヤで開閉時間を延ばす

操作機の違いと閉止時間:レバー式は素早く開閉でき、ウォームギヤで閉止時間を延ばすと水撃による圧力上昇が小さくなる

レバーを90°回すだけで開閉できる反面、急な開閉はウォーターハンマーの原因になります。大口径では、ウォームギヤ操作機などで開閉時間を延ばします。

  • ウォームギヤ操作機は、トルクを増やすためだけでなく、急に開閉できない「遅速装置」として使うことがあります。
  • ゴムシート中心形の操作機には、逆転防止機能のあるものを使います。全閉時のゴムの反発や、中間開度で流れから受けるトルクで、弁の側から逆に回されるおそれがあるためです。ボール弁用の操作機を転用するときは、この機能があるか確かめます。
  • 閉止時間と圧力上昇の関係は ウォーターハンマーの計算。

シートのゴムが、使える温度・圧力・流体を決める

呼び圧力ゴムシート材料最高許容圧力[MPa]使用温度範囲[℃]
10KNBR、CR0.980〜70
10KEPDM0.980〜90
10KEPDM0.69120 以下
16KNBR、CR1.570〜70
16KEPDM1.570〜90
16KEPDM1.1120 以下

ゴムシート中心形(JIS B 2032)の温度・圧力の例です。EPDM は鉱物油・植物油などの油類に使えません。

  • ゴムは流体で使い分けます。給水には通常 EPDM、腐食条件の厳しい給湯には FKM(フッ素ゴム)などを選びます。
  • 0℃未満や表にないゴム材料は、受渡し当事者間の協議で決めます。
  • 表を超える温度・圧力には、PTFE やメタルシートの偏心形を使います。

選定と点検の要点

条件中心形(ゴムシート)偏心形・二重偏心形
粘性のある液使える使える
スラリー条件による条件による
高温向かない使える
高圧向かない使える
締切りのシール性仕切弁・玉形弁に劣る中心形より高い

使い方(手動で開閉、任意の開度で固定、自動で開閉、開度を制御)に合った弁箱と操作機を組み合わせて選ぶことが、長く安定して使う第一条件です。

関連記事:バルブの選び方、玉形弁、ボール弁、調節弁の選定とサイジング

出典:西野悠司『プラント配管の原理としくみ』9.5 バタフライ弁のしくみ・3.3 損失水頭の展開、西野悠司『配管設計実用ノート』10.5 バタフライ弁のエッセンス、小岩井隆『絵とき「バルブ」基礎のきそ』第3章 表3-8・第4章(4)バタフライ弁・表4-1・表6-1、『工業プロセス用調節弁の実技ハンドブック 改訂第2版』1章(f)バタフライ弁、『高圧ガス保安技術』表11.5

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