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電験三種 法規 電気事業法①|事業の種類・電圧の区分・電気工作物の区分

電験三種 法規 電気事業法①|事業の種類・電圧の区分・電気工作物の区分のアイキャッチ

法令の基準日:2026年4月1日

最終確認:2026年10月16日

電験三種の法規で問われる電気事業法(でんきじぎょうほう)の前半を、6つの論点に分けた辞書です。事業の種類と需給の決まり、電圧の区分、電気工作物の区分と守り方を確かめます。

法規の論点:電気事業法①|電気事業法②|関係法規|電技の総則・絶縁|接地工事

保護と発変電所|電線路|分散型電源|電気使用場所|施設管理の計算|受電設備と自家発

電気事業の種類 ── 送配電は許可、小売は登録、発電は届出

電気事業の種類と手続き:発電から小売までの流れで、送電・配電を受け持つ一般送配電・送電・配電の3事業は許可、小売電気事業は登録、発電・特定送配電・特定卸供給は届出
事業始める手続き何をする事業か
一般送配電事業許可供給区域で、託送供給と電力量調整供給を行う
送電事業許可自分の送電の設備で、一般送配電事業者などに振替供給を行う
配電事業許可自分の配電の設備で、供給区域に託送供給などを行う
小売電気事業登録一般の需要に応じて電気を供給する(小売供給)
特定送配電事業届出特定の供給地点で、小売供給や託送供給を行う
発電事業届出小売や送配電の事業に使う電気を、発電・放電する
特定卸供給事業届出ほかの者の発電などを束ねた電気を、小売などに供給する

地域の電気の通り道を受け持つ事業ほど、手続きが重いと考えると覚えやすくなります。一般送配電・送電・配電は許可、小売は登録、ほかは届出です。

問われる形○×ポイント
小売電気事業を始めるには、大臣の許可が要る×小売は登録。許可は送配電の3つ
小売供給とは、特定の需要に応じて電気を供給すること×「一般の需要」に応じる供給
小売電気事業者は、相手の需要に応じる供給能力を確保する○発電設備を持つ義務ではない。他社からの調達でもよい
一般送配電事業は、供給区域で特定卸供給を行う事業×託送供給と電力量調整供給。特定卸供給は別の事業
  • 託送供給は、ほかの者の電気を自分の電線路で運ぶことです。電力量調整供給は、需要と供給のずれを埋める供給です。
  • 一般送配電事業は、最終保障供給と離島等供給も含みます。最終保障供給は、小売電気事業者などから電気を受けていない需要家に、供給を保障するものです。
  • 送配電の3つの事業を始める手続きは「許可(きょか)」です。「認可(にんか)」は、料金の約款などに使う言葉です。
  • 7つの事業をまとめて電気事業、その事業者をまとめて電気事業者(でんきじぎょうしゃ)といいます。

関連:電力の需給と広域機関|電気工事業法

電力の需給と広域機関 ── 計画・指示・命令・制限の順に強まる

段誰が→誰に何をするか
供給計画電気事業者→電力広域的運営推進機関(でんりょくこういきてきうんえいすいしんきかん)を経由して大臣毎年度、電気の供給と設備の計画を届け出る
指示電力広域的運営推進機関→会員業務規程に基づき、融通や設備の共用を指示する
命令大臣→電気事業者電気の供給や設備の貸し借りなどを命じる
使用制限大臣→電気の供給を受ける者使用電力量や使用最大電力の限度を定めて制限する

需給が悪くなるおそれが大きいほど、相手が広がり、手段が強くなると考えると覚えやすくなります。指示は会員に向けて、命令は電気事業者に向けて出ます。

問われる形○×ポイント
電力広域的運営推進機関が会員に指示する根拠は、その保安規程×業務規程。保安規程は設置者が定めるもの
大臣が供給を命じられる相手は、一般送配電事業者だけ×相手は電気事業者(7つの事業者の総称)
使用制限では、使用を停止すべき区域を定める×定めるのは用途や、使用を停止すべき日時
使用制限の限度は、供給電力量で定める×使う側の使用電力量と使用最大電力
  • 電力広域的運営推進機関は、電気事業者が会員になる組織です。全国の需給を見て、足りない地域へ電気を回します。
  • 電気は大量にためにくく、発生と消費が同時です。供給力は使用電力量ではなく、想定される最大電力に合わせ、さらに供給予備力を持ちます。
  • 供給計画(きょうきゅうけいかく)の年度別の内容は、10年間について書きます。長期の内容は、需要の見通しと設備の新増設などです。
  • ディマンドリスポンスは、供給の状況に応じて、需要家が消費のパターンを変えることです。ネガワット取引は、需要の削減量を取引します。アグリゲーターは、需要家を束ねて取引する事業者です。
  • 電気事業者は、広域的運営による安定供給の確保のため、相互に協調します(電気事業法 第28条)。発電用の自家用電気工作物の設置者も同じです。

関連:電気事業の種類|需要率・負荷率・不等率

電圧の維持と区分 ── 低圧は交流600 V以下、7000 V超が特別高圧

電圧の区分:低圧は交流600 V以下・直流750 V以下で、それを超え7000 V以下が高圧、7000 Vを超えると交流・直流とも特別高圧
区分交流直流
低圧600 V以下750 V以下
高圧低圧の上限を超え、境の値以下低圧の上限を超え、境の値以下
高圧と特別高圧の境7,000 V7,000 V

低圧の上限だけが交流と直流で違い、直流のほうが高くなっています。高圧と特別高圧の境は、交流も直流も同じです。

電圧の幅は、一般送配電事業者が標準電圧ごとに保つよう努めます。

標準電圧維持すべき値範囲
100 V101±6 V95〜107 V
200 V202±20 V182〜222 V
問われる形○×ポイント
交流の低圧の上限は450 V×交流は600 V以下、直流は750 V以下
6600 Vの配電線は高圧に入る○境は7,000 V。配電の電圧と取り違えない
標準電圧200 Vは、202 Vの上下12 Vに保つ×上下20 V。100 Vは上下6 V
電圧を保つよう努める義務は、一般送配電事業者にある○配電事業者と特定送配電事業者にも準用される
  • 周波数は、標準周波数に等しい値に保つよう努めます(電気事業法施行規則 第38条第1項・第2項)。
  • 低圧(ていあつ)・高圧(こうあつ)・特別高圧(とくべつこうあつ)の区分によって、離隔距離、接地、電気主任技術者(でんきしゅにんぎじゅつしゃ)の扱いなどが変わります。
  • 境の値ちょうどの電圧は、下の区分に入ります。高圧の上限を超えたものが、特別高圧です。

関連:絶縁抵抗と漏えい電流|接地工事の種類

一般用と事業用 ── 600 V以下で受電し、小規模発電設備だけなら一般用

電気工作物の区分:一般用と事業用に分かれ、事業用は電気事業用と自家用、自家用の中に小規模事業用があり、一般用と小規模事業用は保安規程と主任技術者が要らない
区分どんなものか保安規程・電気主任技術者
一般用電気工作物低圧で受電し、構外とつながらない構内の設備要らない
事業用電気工作物一般用以外のすべて下の区分による
電気事業に使う電気工作物一般送配電事業や、一定の発電事業などに使う設備要る
自家用電気工作物電気事業用でも一般用でもない設備要る
小規模事業用電気工作物自家用のうち、一般用の上限以上の小規模発電設備要らない

一般用かどうかは受電電圧と発電設備で決まり、受電電力では決まりません。600 V以下で受電し、構内に小規模発電設備以外の発電設備が無ければ、使う側の設備は一般用です。発電設備そのものは、出力が一般用の上限未満なら一般用、上限以上なら小規模事業用です。

問われる形○×ポイント
受電電圧6.6 kV・受電電力45 kWの事務所は一般用×高圧で受電すれば、受電電力によらず自家用
低圧受電でも、内燃力15 kWの非常用発電機がある病院は一般用×内燃力の小規模発電設備は10 kW未満。それ以上の発電設備がある構内は一般用にならない
事業用電気工作物とは、自家用以外の電気工作物×一般用以外。自家用は事業用の一部
構外と、受電用以外の電線路でつながる設備は一般用にならない○見るのは「構外」とのつながり
  • 一般用電気工作物(いっぱんようでんきこうさくぶつ)から除くのは、小規模発電設備以外の発電設備と同じ構内のものです。爆発性や引火性の物があり、事故のおそれが多い場所のものも除きます。
  • 境の値ちょうどで受電する設備は低圧に入るので、一般用になりえます。
  • 送電線路は、発電所・蓄電所・変電所どうしを結ぶ電線路です。配電線路は、それらや送電線路と需要設備を結ぶ電線路と、需要設備どうしを結ぶ電線路です。どちらも附属する開閉所などを含みます。
  • 自家用電気工作物(じかようでんきこうさくぶつ)の使用開始の届出(電気事業法 第53条)は、使用の開始の後に出します。要るのは、工事計画の認可や届出をした設備を譲り受け、又は借り受けて使う場合に限られます。
  • 工場・現場では、高圧で受電する工場の電気工作物は自家用で、保安規程と電気主任技術者が要ります。

関連:小規模事業用と小規模発電設備|主任技術者の選び方

小規模事業用と小規模発電設備 ── 保安規程と主任技術者は要らない

発電設備の出力と区分:一般用の上限と小規模発電設備の上限の間の小規模事業用の幅があるのは、太陽電池(10 kW以上50 kW未満)と風力(20 kW未満)だけ
発電設備小規模発電設備になる出力一般用に入る出力
太陽電池50 kW未満10 kW未満
風力20 kW未満入らない(上限が0 kW)
水力20 kW未満20 kW未満
内燃力10 kW未満10 kW未満
燃料電池10 kW未満10 kW未満
スターリングエンジン10 kW未満10 kW未満

小規模事業用電気工作物(しょうきぼじぎょうようでんきこうさくぶつ)は事業用ですが、保安規程と電気主任技術者は要りません。一般用の上限との間に幅があるのは、太陽電池と風力だけです。

問われる形○×ポイント
低圧受電の構内に太陽電池20 kWを置くと、電気主任技術者を置く必要がある×10 kW以上50 kW未満は小規模事業用。電気主任技術者は要らない
出力の小さい風力なら、一般用に入る×風力は出力によらず一般用にならない
低圧受電で、太陽電池5 kWだけの事務所は一般用○太陽電池は10 kW未満なら一般用
一般用の構内に水力の小規模発電設備を足すと、自家用になる×水力は20 kW未満なら一般用のまま
  • 小規模発電設備(しょうきぼはつでんせつび)は、低圧の発電設備で、上の表の出力未満のものです。水力は、最大使用水量が毎秒1 m³未満でダムを伴わないことなどの条件も付きます。
  • 同じ構内でつながる小規模発電設備の出力の合計が50 kW以上になると、小規模発電設備から外れます。
  • 小規模事業用の設置者は、使用の開始前に氏名などを大臣に届け出ます(電気事業法 第46条第1項)。使用前自己確認も要ります。
  • 2023年の改正の前は、小型の風力や中くらいの太陽電池も一般用でした。古い教科書の基準で判定しないようにします。

関連:一般用と事業用|電気工事士法

技術基準の適合維持 ── 事業用は自分で、一般用は調査で守る

項目事業用電気工作物一般用電気工作物
基準を守る人設置者が、適合するよう維持する電線路維持運用者が、調査する
合わないとき主務大臣(しゅむだいじん)が、設置者に命令する所有者又は占有者に、措置と結果を通知する
命令する者主務大臣経済産業大臣(相手は所有者又は占有者)

事業用は設置者が自分で基準に合わせ続け、一般用は電気を送る側が調べて知らせます。

問われる形○×ポイント
設置者は、事業用電気工作物を技術基準に適合するよう設置する×「維持」する。使っている間ずっと
適合命令で、使用の禁止や撤去を命じられる×修理・改造・移転・使用の一時停止と、使用の制限
適合命令の相手は、事業用電気工作物を運用する者×設置する者
一般用の調査をするのは、その所有者又は占有者×電線路維持運用者。所有者や占有者は通知を受ける側
  • 技術基準は、人体や物件を守ることと、ほかの設備に電気的又は磁気的な障害を与えないことなどを求めます(電気事業法 第39条第1項・第2項)。
  • 電線路維持運用者(でんせんろいじうんようしゃ)は、一般用と直接つながる電線路を維持し、運用する者です。調査は登録調査機関(とうろくちょうさきかん)に委託できます。
  • 設置の場所への立ち入りに、所有者又は占有者の承諾が得られないときは、調査しなくてよいとされます。通知するのは、とるべき措置と、とらなかったときに生ずべき結果です。
  • 事業用の命令は主務大臣(原子力以外は経済産業大臣)が出し、一般用の命令の条文は「経済産業大臣」です。
  • 低圧の電路で絶縁抵抗を測れないときは、使用電圧を加えた状態の漏えい電流が1 mA以下であればよいとされます。

関連:保安規程|立入検査と報告の徴収|絶縁抵抗と漏えい電流

まとめ

送配電は許可、小売は登録、発電などは届出で事業を始めます。

需給が悪くなるほど、計画・指示・命令・使用制限と手段が強まります。

電圧は3つに区分し、一般用かどうかは受電電圧と発電設備で決まり、事業用は設置者が基準を維持します。

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