法令の基準日:2026年4月1日
最終確認:2026年10月16日
電験三種の法規で問われる電路の保護と発変電所の決まりを、7つの論点に分けた辞書です。短絡(たんらく)や地絡(ちらく)で切る遮断器(しゃだんき)・地絡遮断装置(ちらくしゃだんそうち)、電界(でんかい)と磁束密度(じそくみつど)(磁束(じそく)の密度)、避雷器(ひらいき)などを確かめます。
法規の論点:電気事業法①|電気事業法②|関係法規|電技の総則・絶縁|接地工事
保護と発変電所|電線路|分散型電源|電気使用場所|施設管理の計算|受電設備と自家発
過電流遮断器と地絡遮断装置 ── 少し上では切れず大電流で切れる

| 高圧のヒューズ | 耐える電流 | 大きな電流で溶断するまで |
|---|---|---|
| 包装ヒューズ | 1.3倍 | 2倍で120 分以内 |
| 非包装ヒューズ | 1.25 倍(定格電流の) | 2倍で2 分以内 |
過電流遮断器は、定格を少し超えた電流では切れず、大きく超えた電流なら決まった時間内に切れる性能にします。地絡は、別の地絡遮断装置で切ります。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 包装ヒューズは定格の1.5倍に耐え、2倍で120分以内に溶断 | × | 耐えるのは1.3倍 |
| 過電流遮断器は、作動に伴って異常状態を表示する | × | 表示するのは開閉状態 |
| 機器に過電流遮断器を入れれば、地絡遮断装置を省ける | × | 省けるのは漏電遮断器を入れたとき |
| C種・D種の接地抵抗が3 Ω以下なら、地絡遮断装置を省ける | ○ | 外箱の電位がほとんど上がらない |
- 包装ヒューズ(ほうそうひゅーず)は溶ける部分を筒に収めたもの、非包装ヒューズ(ひほうそうひゅーず)はむき出しのものです。非包装のほうが短い時間で切れます。
- 定格の少し上で切れないのは、ふだんの使い方で止まらないため、と考えると覚えやすいです。
- 短絡で作動する高圧の過電流遮断器(かでんりゅうしゃだんき)は、通る短絡電流を遮断できる能力が要ります。作動すると開閉状態を表示します(見て分かるものは除く)。
- 地絡遮断装置が要るのは、金属製外箱を持つ、使用電圧が60 Vを超える低圧の機械器具につながる電路です。乾燥した場所、2重絶縁の機器、接地抵抗が3 Ω以下のときなどは省けます。
- 外箱の接地を省ける絶縁変圧器には、容量の限定があります。地絡遮断装置を省ける絶縁変圧器は、機械器具側が300 V以下なら容量を問いません。
関連:外箱の接地を省ける場合
電界と磁界の上限 ── 地表上1 mで3 kV/m、磁束密度200 μT以下

| 作用 | 上限 | 守る相手 |
|---|---|---|
| 静電誘導(電界) | 高さ1 m(地表上)で3 kV/m以下 | 人が感知しない(特別高圧の架空電線路) |
| 電磁誘導(弱電流電線路を通じて) | 数値の上限なし | 人体に危害を及ぼさない(特別高圧の架空電線路) |
| 電磁誘導(磁界) | 200 μT以下(商用周波数) | 人の健康(変電所・開閉所・変圧器・電線路など) |
電圧がつくる電界は「人が感知しない」、電流がつくる磁界は「人の健康」を基準に上限を決めています。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 特別高圧架空電線路の電界は、地表上1 mで5 kV/m以下 | × | 上限は3 kV/m以下 |
| 静電誘導で、弱電流電線路を通じた人体への危害を防ぐ | × | 弱電流電線路を通じるのは電磁誘導 |
| 変電所の付近の上限は、磁界の強さで決めている | × | 決めているのは磁束密度。上限は200 μT以下(商用周波数) |
| 変電所の磁界の規制は、通信設備を守るため | × | 守るのは人の健康 |
- 静電誘導(せいでんゆうどう)は、高い電圧の電線のまわりの電界で、地上の人や物に電荷が片寄る現象です。傘の柄でぴりっと感じるのがこれです。
- 電磁誘導(でんじゆうどう)は、電流がつくる磁界が、並行する通信線などに電圧を生じさせる現象です。
- 磁束密度の単位はテスラで、マイクロは100万分の1です。変電所等も変圧器・電線路も、上限は同じ値です。
- 田畑・山林など人の往来が少ない所で、人体に危害を及ぼさないように施設すれば、電界と磁界の上限によらなくてかまいません。
関連:通信と環境への害
通信と環境への害 ── 誘導障害・電波障害を防ぎ、PCB油は使わない
| 守る相手 | 害 | 決まり |
|---|---|---|
| 架空弱電流電線(通信線) | 誘導障害 | 低高圧の架空電線と並行するとき2 m以上離す。なお障害があれば、ねん架(ねんか)や接地した金属線 |
| 無線設備 | 電波・高周波電流による障害 | 継続的かつ重大な障害を及ぼさない |
| 土と水 | 絶縁油(ぜつえんゆ)の流出 | 中性点直接接地式の電路の変圧器の所は、構外への流出と地下への浸透を防ぐ |
| 人と環境 | 有害な物質 | PCBを含む絶縁油を使う機器と電線は、電路に施設しない |
通信は離隔とねん架、無線は電波の抑制、環境は絶縁油の流出防止とPCBの禁止で守ります。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 架空弱電流電線路と接近・交差するとき、2 m以上離す | × | 誘導障害の決まりは「並行」するとき |
| 交流架空電線路は、電線を適当な距離で遮へいする | × | 対策はねん架 |
| 電気機械器具は、無線設備に一時的かつ重大な障害を与えない | × | 「継続的かつ重大」な障害 |
| 中性点抵抗接地式の電路の変圧器の所で、絶縁油の流出を防ぐ | × | 中性点直接接地式の電路 |
- 誘導障害(ゆうどうしょうがい)は、電線の誘導作用で通信線に雑音などの障害が出ることです。ねん架は、3本の電線の位置を一定の距離ごとに入れ替えて、誘導を打ち消し合わせる対策です。
- 電線と通信線の間に、金属線(5.26kN以上又は直径4mm以上の硬銅線を2条以上・D種接地)を張る対策もあります。
- PCB(ぴーしーびー)は、かつて絶縁油に使われた有害な物質です。含まないとみなす絶縁油は0.5 mg/kg以下(重量比0.00005%)のものです。取り外したPCB入りの機器を、施設し直すことはできません。
- 変電所などのばい煙は、発電用火力設備の技術基準を準用し、電気事業法の体系で規制します。
- 急傾斜地崩壊危険区域では、設備ががけの崩壊を助長・誘発しないように施設します。
関連:電界と磁界の上限
発変電所の立入防止 ── 高さと距離の和は35 kV以下で5 m以上

| 施設する所 | さく・へいの高さと充電部分までの距離の和 | ほかの条件 |
|---|---|---|
| 高圧の機械器具(さく・へいで囲む方法) | 5 m以上 | 危険の表示 |
| 特別高圧の発電所等(35,000 V以下) | 5 m以上 | 出入口に立入禁止の表示と施錠 |
| 特別高圧の発電所等(35,000 Vを超え160,000 V以下) | 6 m以上 | 同じ |
| 特別高圧の発電所等(160,000 V超) | 6+c m以上(c=(使用電圧−160,000V)/10,000Vの小数点以下切り上げ×0.12) | 同じ |
取扱者以外の人を近づけないため、電圧が高いほど、さく・へいの高さと距離の和を大きくします。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 35,000 Vを超え160,000 V以下でも、和は5 mでよい | × | 6 m以上 |
| 出入口に監視装置を設けて、出入りを制限する | × | 施錠装置で施錠する等 |
| 工場等の構内なら、表示だけで高圧の機械器具を施設できる | × | 構内でも、さく・へいは省けない |
| 電線にケーブルを使い、人が触れない高さに高圧の機械器具を置く | ○ | 地表上4.5 m以上(市街地外は4m)なら、さく・へいは無くてよい |
- 法令は、高圧・特別高圧の機器に「取扱者以外の者」が容易に触れないよう求めています。「技術者」ではありません。
- 高圧の機械器具は、取扱者以外が出入りできない屋内や、D種接地した金属製の箱に収める方法でも施設できます。
- 工場等の構内で省けるのは、和と表示だけです。簡易接触防護措置で済むのは、充電部分が露出しない機械器具に限ります。
- 工場・現場では、屋外の受電設備のまわりのさくと表示、電気室の施錠と鍵の管理が、この決まりの形です。
関連:アークを生じる器具
アークを生じる器具 ── 可燃性の物から高圧1 m・特高2 m離す
| 器具の電圧 | 可燃性の物との離隔 | 離さなくてよい場合 |
|---|---|---|
| 高圧 | 1 m以上 | 耐火性の物で囲むか、間を隔てる |
| 特別高圧(35,000 V以下) | 2 m以上(アークの方向・長さを制限すれば1m) | 同じ |
| 特別高圧(35,000 V超) | 2 m以上 | 同じ |
アークは高温なので、燃える物から離すか、火に耐える物で隔てます。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| アークを生じる器具は、燃えない壁からも決まった距離を離す | × | 離す相手は、木製の壁や天井などの可燃性の物 |
| 特別高圧(35,000 V超)の器具は、3 m以上離す | × | 2 m以上。表に3 mは無い |
| 難燃性の物で隔てれば、離さなくてよい | × | 隔てるのは耐火性の物 |
| ガス絶縁機器の絶縁ガスは、可燃性・腐食性・爆発性が無いもの | × | 3つ目は有毒性 |
- アークを生じる器具(あーくをしょうじるきぐ)は、開閉器・遮断器・避雷器のように、動作のときアーク(空気中の放電の火花)を出す器具です。
- 難燃性は燃えにくいだけで、高温のアークにさらされれば燃えることがあります。
- ガス絶縁機器は、圧力を受ける部分が最高使用圧力に十分耐え、安全なものにします。最高使用圧力の前に圧力を下げる機能と、異常な圧力を早く見つける機能も要ります。
関連:発変電所の立入防止
避雷器の施設場所 ── 雷が入ってくる引込口と引出口に置く

| 置く所 | 置く口 | 条件 |
|---|---|---|
| 発電所・蓄電所・変電所など | 架空電線の引込口(ひきこみぐち)と引出口(ひきだしぐち) | 両方に置く |
| 配電用変圧器 | 高圧側・特別高圧側 | 架空電線路に接続するもの |
| 高圧架空電線路から受電する需要場所 | 引込口 | 受電電力が500 kW以上 |
| 特別高圧架空電線路から受電する需要場所 | 引込口 | 受電電力によらない |
雷は架空電線を伝って入ってくるので、電線が出入りする口に避雷器を置きます。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 発変電所の架空電線の引出口には、避雷器は要らない | × | 引込口と引出口の両方に置く |
| 高圧で受電電力が50 kWの需要場所の引込口に必要 | × | 義務は500 kW以上の所だけ |
| 高圧で受電電力がちょうど境目の値の需要場所に必要 | ○ | 500 kW以上は、境目の値を含む |
| 受電用設備の高圧側に、避雷器を置くと定めている | × | 条文の言葉は、配電用変圧器 |
- 避雷器は、雷の高い電圧を大地へ逃がして、機器の絶縁破壊を防ぎます。接地はA種接地工事です。
- 受電電力の線引きは、電気設備の技術基準の解釈 第37条第1項〜第3項にあります。省令の条文には、数字がありません。
- 直接つながる電線が短い所は、省けます。使用電圧が60,000 Vを超える特別高圧電路で、同じ母線に架空電線路が多くつながる所も省けます。
- 引出口は、電気が出ていく側でも雷が落ちれば伝ってくるので、引込口と同じく置きます。
関連:接地する箇所
発電機の保護と常時監視をしない発電所 ── 異常で自ら止まる
| 自動で電路から遮断する異常 | 対象 | 容量・出力 |
|---|---|---|
| 過電流 | すべての発電機 | 条件なし |
| 圧油装置の油圧などが著しく低下 | 水車で動かす発電機 | 500 kV·A以上 |
| 油圧・空気圧などが著しく低下 | 風車で動かす発電機 | 100 kV·A以上 |
| スラスト軸受の温度が著しく上昇 | 水車発電機 | 2,000 kV·A以上 |
| 発電機の内部の故障 | 発電機 | 10,000 kV·A以上 |
| スラスト軸受の著しい摩耗・温度上昇 | 蒸気タービン | 定格出力が10,000 kWを超える |
異常の兆しで発電機を自動で止め、人が常にいない発電所は、異常のとき安全かつ確実に止まるようにします。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 発電機には、過電圧で自動的に遮断する装置を施設する | × | 容量によらず求めるのは過電流 |
| 水車の圧油装置の油圧が著しく上昇したら遮断する | × | 遮断は「低下」のとき。上昇はスラスト軸受の温度 |
| 随時巡回方式は、技術員が必要に応じて巡回する | × | 「適当な間隔をおいて」巡回する |
| 水力の随時巡回方式で、出力を3,000 kWにした | × | 出力は2,000 kW未満 |
| 方式 | 技術員 | 行うこと |
|---|---|---|
| 随時巡回方式 | 適当な間隔をおいて巡回する | 運転状態の監視 |
| 随時監視制御方式 | 必要に応じて出向く | 運転状態の監視・制御などの措置 |
| 遠隔常時監視制御方式 | 制御所に常時駐在する | 運転状態の監視・制御を遠隔で |
- 3方式とも、監視するのは「技術員」です。随時監視制御方式は、異常を技術員へ知らせる警報装置を置きます。
- 常時監視をしない発電所や変電所は、異常のとき安全かつ確実に「停止」できる措置を講じます。
- 水力の随時巡回方式は、出力2,000 kW未満に限ります。内燃力は1,000 kW未満です。風力と太陽電池には、出力の上限がありません。
- 蓄電池(非常用予備電源を除く)は、過電圧・過電流・制御装置の異常などで自動的に切り離します。
関連:分散型電源の論点
まとめ
過電流遮断器は少し上で切れず大電流で切れ、地絡は地絡遮断装置で切ります。
電界・磁界、通信、環境への害は、守る相手ごとに上限や禁止があります。
人を近づけず、アークを燃え移らせず、雷は口で止め、発電機は異常で自ら止めます。
次に読む
- 前:接地工事の論点
- 次:電線路の論点
- 関連:受電設備と自家発の論点
参考文献
- 電気事業法 第1条
- 電気設備に関する技術基準を定める省令 第9条・第14条・第15条・第19条・第23条・第27条・第27条の2・第33条・第42条・第44条・第46条・第49条・第67条
- 電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正) 第21条・第23条・第32条・第34条・第36条・第37条・第38条・第42条・第44条・第47条の2・第52条
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