法令の基準日:2026年4月1日
最終確認:2026年10月16日
電験三種の法規で問われる、高圧の受電設備と自家発の論点を5つに分けた辞書です。受電点の区分用の負荷開閉器(ふかかいへいき)から並ぶ機器、保護協調(ほごきょうちょう)、保守、流況曲線(りゅうきょうきょくせん)と逆潮流(ぎゃくちょうりゅう)の計算の順に確かめます。
法規の論点:電気事業法①|電気事業法②|関係法規|電技の総則・絶縁|接地工事
保護と発変電所|電線路|分散型電源|電気使用場所|施設管理の計算|受電設備と自家発
高圧受電設備の構成 ── 受電点から役目の順に機器が並ぶ

| 役目(受電点から順に) | 機器 | 働き |
|---|---|---|
| 区分 | 区分開閉器(くぶんかいへいき) | 構内の地絡(ちらく)で開き、配電線と切り分ける |
| 計量 | 電力需給用計器用変成器(でんりょくじゅきゅうようけいきようへんせいき) | 取引用の電力量計へ電圧と電流を送る |
| 断路 | 断路器(だんろき) | 点検のとき、電路を目に見える形で切り離す |
| 遮断 | 主遮断装置 | 短絡(たんらく)や地絡の電流を切る |
| 変成 | 変圧器 | 高圧を構内で使う低圧に下げる |
| 雷から守る(本線から分岐) | 避雷器(ひらいき) | 雷の過電圧を大地へ逃がす |
機器は、受電点から「区分→計量→断路→遮断→変成」の順に並びます。この並びは民間の規格(高圧受電設備規程など)が示す一般的な構成で、法令が決めているものではありません。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 区分開閉器に地絡を知らせるのは、計量用の変成器 | × | 零相変流器(れいそうへんりゅうき)が地絡の電流を見る |
| 計量用の変成器につなぐ計器は、電力計 | × | 取引に使うのは、積算する電力量計 |
| 断路器を通して電路とA種接地の間につなぐのは、電力用コンデンサ(でんりょくようこんでんさ) | × | 避雷器。コンデンサは相と相の間につなぐ |
| 変流器(へんりゅうき)の電流で遮断器(しゃだんき)を引き外すのは、不足電圧継電器 | × | 短絡は電流で見るので、過電流継電器(かでんりゅうけいでんき) |
- 区分開閉器は、負荷電流までしか切れない負荷開閉器の一つです。地絡の電流は、3本の電線をまとめて通す零相変流器で見つけます。
- 計量の変成器は、主遮断装置より電源側に置きます。
- 高圧の架空電線路から受電し、受電電力が500 kW以上の需要場所は、引込口に避雷器を置きます。避雷器にはA種接地工事を施します。
- 高圧の計器用変成器(けいきようへんせいき)の2次側には、D種接地工事を施します。
CB形(しーびーがた)とPF・S形(ぴーえふえすがた)は、主遮断装置で短絡を切るものが違います。
| 形 | 主遮断装置 | 短絡を切るもの |
|---|---|---|
| CB形 | 真空遮断器(しんくうしゃだんき)などの遮断器 | 遮断器。過電流継電器が引き外す |
| PF・S形 | 限流ヒューズと負荷開閉器の組 | 限流ヒューズ。負荷開閉器は負荷電流まで |
関連:接地する箇所|工事計画と使用前検査
保護協調とSOG ── 事故点に近い遮断器から先に動かす

| 事故の場所と種類 | 先に動くもの | どう切り離すか |
|---|---|---|
| 受電用遮断器より負荷側の短絡 | 構内の過電流継電器と遮断器 | 配電用変電所より先に遮断する |
| 区分開閉器と受電用遮断器の間の短絡 | 配電用変電所の遮断器 | 無電圧になってから区分開閉器が開く(SO動作) |
| 区分開閉器より負荷側の地絡 | 区分開閉器 | 地絡を見つけてすぐ開く(G動作) |
| 変圧器の低圧側で、配線用遮断器より電源側の短絡 | 変圧器の一次側の限流ヒューズ | 受電用遮断器より先に溶ける |
構内の事故は、構内の保護装置が配電用変電所より先に切ります。区分開閉器は短絡電流を切れないので、短絡では配電線が止まるのを待ってから開きます。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 短絡を見つけた区分開閉器は、その場ですぐ開く | × | 無電圧になってから開く。すぐ開くのは地絡 |
| SO動作で待つのは、区分開閉器の電源側の短絡 | × | 負荷側。電源側の電流は区分開閉器を通らない |
| 事故点に近い遮断器だけが動く関係を、同期協調という | × | 保護協調という |
| 波及事故を報告するのは、事業用電気工作物の設置者 | × | 自家用電気工作物の設置者 |
- 短絡で待ってから開く動作がSO動作(えすおーどうさ)、地絡ですぐ開く動作がG動作(じーどうさ)で、合わせてSOGと呼びます。区分開閉器が開いた後に変電所の遮断器が再閉路(さいへいろ)すると、配電線の送電が戻ります。
- 協調がとれていれば、需要家の継電器の曲線は、配電用変電所の曲線よりいつも下にあります。地絡継電器(ちらくけいでんき)も、小さい電流・短い時間で動くように整定(動く電流と時間の設定)します。
- 構内のケーブルが長いと、構外の地絡でも構内の電流が零相変流器を流れます。電流の向きで構内と構外を見分けるのが、地絡方向継電器(ちらくほうこうけいでんき)です。
- 電圧3000 V以上の自家用電気工作物の事故で、一般送配電事業者などに供給支障を出したら報告します。責任分界点より電源側の事故は、需要家の報告の対象ではありません。
関連:事故報告|地絡電流と地絡継電器
受電設備の保守 ── CT二次は開かず、停電作業は順番どおり

| 計器用変成器 | 二次側でしてはいけないこと | 理由 |
|---|---|---|
| 変流器(CT) | 開く(開閉器やヒューズも入れない) | 磁束(じそく)の打ち消しが無くなり、二次端子に高い電圧が出る |
| 計器用変圧器(けいきようへんあつき) | 短絡する | 大きな電流が流れる。二次側にはヒューズを入れて守る |
通電中の変流器は、二次側を開きません。計器を取り替えるときは、二次端子を短絡してから外し、付け終えてから短絡を外します。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 変流器は、二次側の抵抗が変わると変流比も変わる | × | 定格負担の範囲なら、変流比はほぼ一定 |
| 全停電では、配線用遮断器を開いた次に断路器を開く | × | 次は遮断器。断路器は電流を切れない |
| 短絡接地器具は、断路器の負荷側に付ける | × | 電気が来うる電源側に付ける |
| 変圧器油の酸化は、運転による湿度の上昇で進む | × | 温度の上昇で進む |
全停電の作業は、負荷側から次の順に進めます。
| 停電の順 | 操作 | ねらい |
|---|---|---|
| ① | 負荷側の配線用遮断器をすべて開く | 上位で切る電流を小さくする |
| ② | 真空遮断器を開く | 負荷電流を切る |
| ③ | 区分開閉器を開く | 受電設備を無電圧にする |
| ④ | 断路器を開く | 目に見える形で切り離す |
| ⑤ | 検電し、残った電荷を放電する | 電気が無いことを確かめる |
| ⑥ | 断路器の電源側に短絡接地器具を付ける | 誤通電や誘導の電圧を大地へ逃がす |
- 絶縁油(ぜつえんゆ)の点検では、絶縁耐力試験と酸価度試験を行います。油は空気中の酸素で酸化し、劣化すると抵抗率と耐圧が下がります。
- 進相コンデンサの直列の素子が1つ短絡すると、その相の静電容量が増え、流れる電流も増えます。
- 過電流継電器の連動試験では、継電器が動くとトリップコイルが回路に加わり、試験の電流が下がります。
- 工場・現場では:年次点検の日に全停電し、上の順で開いて検電(けんでん)と短絡接地(たんらくせっち)をしてから機器に触ります。送電の前に、付けた短絡接地を全部外したかを確かめます。
関連:保安規程
流況曲線と発電電力量 ── 最大使用水量で頭を切った面積が水の量

| 言葉 | 意味 | 流況曲線の上では |
|---|---|---|
| 流況曲線 | 1年の流量を多い順に並べた線 | 左が高く、右へ下がる線 |
| 最大使用水量 | 発電所が取り入れられる流量の上限 | 横線 |
| 溢水 | 使いきれずに流す水 | 横線より上の部分 |
| 使える水の量 | 1年に発電に使う水 | 横線で頭を切った下の面積 |
1年の発電電力量は、最大使用水量の横線で頭を切った、流況曲線の下の面積から出します。横線と曲線の交点の日数が、計算の分かれ目です。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 最大使用水量で1年中運転できるとして、電力量を出す | × | 交点より右は、河川の流量しか使えない |
| 溢水する日数は、流量が最大使用水量を超える日数 | ○ | 多い順の線なので、0日から交点まで |
| 調整池にためる量は、1日の流入量の全部 | × | ためるのは、発電を止めている間の流入分 |
| 設備利用率は、電力量を最大出力と365で割る | × | 1年の時間(8760 h)で割る |
- 流況曲線の下の面積は、流量に日数を掛けたものなので、1年に流れる水の量になります。最大使用水量(さいだいしようすいりょう)より多い水は、発電に使えません。
- 水力発電の出力は、使う流量と有効落差(ゆうこうらくさ)と総合効率に比例します。
言葉の式 水力発電所の出力 = 9.8 × 流量 × 有効落差 × 総合効率
P:水力発電所の出力〔kW〕 Q:使用水量(流量)〔m³/s〕 H:有効落差〔m〕 η:総合効率(水車効率 × 発電機効率。小数)
解き方:流況曲線から1年の発電電力量を出す
- ① 最初の一手は、最大使用水量の横線と流況曲線の交点の日数を出すことです。
- ② 交点までは最大使用水量で一定に使い、交点から後は河川の流量どおりに使います。流量が直線で減る区間は、平均の流量を入れます。
- ③ 区間ごとに数字を入れて電力量を出し、足します。
言葉の式 発電電力量 = 9.8 × 流量 × 有効落差 × 総合効率 × 24 × 日数
W:その期間の発電電力量〔kW·h〕 Q:その期間の使用水量(変わる区間は平均の値)〔m³/s〕 H:有効落差〔m〕 η:総合効率(小数) d:日数(24 は1日の時間数)〔日〕
- ④ 答えの単位は kW·h です。選択肢が10⁶倍の単位なら、10⁶で割って比べます。
例は、令和7年度上期 法規 問11 の条件です。有効落差90 m、総合効率80%の流込式で、最大使用水量は渇水量の2倍です。渇水量は、流況曲線の355日目の流量です。
流況曲線は、90日目の21 m³/sから1日に0.05 m³/sずつ下がる直線です。式では、流量は 25.5−0.05×日数 です。水の密度と重力加速度は、式の9.8に入っています。
- 渇水量は −0.05×355+25.5=7.75 m³/s で、最大使用水量は2倍の15.5 m³/sです。
- 交点は、25.5−0.05×日数=15.5 から200日目です。365日目の流量は7.25 m³/sです。
- 0〜200日は、15.5 m³/sで一定に使います。
- 200〜365日の165日間は、平均の流量(15.5+7.25)÷2 を入れます。
2つを足すと、1年の発電電力量は約84.3×10⁶ kW·hです。最大使用水量のときの出力で1年を通した電力量で割ると、設備利用率は約88.0%です。
関連:需要率・負荷率・不等率
逆潮流と自給率 ── 重なりが自家消費、はみ出しが送電

| 面積の部分 | 意味 | 求め方 |
|---|---|---|
| 発電と消費が重なる部分 | 自家消費 | 発電電力量から送電した量を引く |
| 発電が消費を上回る部分 | 逆潮流(系統へ送電) | 交点の時刻で三角形と台形に分けて足す |
| 消費が発電を上回る部分 | 系統からの受電 | 同じように区切って足す |
系統へ送る電力量は、発電が消費からはみ出した部分の面積だけです。発電した電力量の全部ではありません。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 送電した電力量は、1日の発電電力量と同じ | × | 消費を上回った部分だけ |
| 自給率の分母は、1日の発電電力量 | × | 分母は消費電力量。発電量で割るのは自家消費率 |
| 1日の合計の差(消費−発電)が受電した量 | × | 時間ごとの差を見て、送電と受電を別々に足す |
- 逆潮流は、構内から系統の側へ向かう有効電力の流れです(電気設備の技術基準の解釈 第220条第四号)。
- 自給率(じきゅうりつ)と自家消費率(じかしょうひりつ)は、分子が同じで分母が違います。問題文の「〜のうち」が分母を示します。
| 率 | 分母 | 意味 |
|---|---|---|
| 自給率 | 1日の消費電力量 | 使った電気のうち、自分の発電でまかなった割合 |
| 自家消費率 | 1日の発電電力量 | 発電した電気のうち、構内で使った割合 |
解き方:送電した電力量と自給率を出す
- ① 最初の一手は、発電と消費の線の交点の時刻を出すことです。
- ② 交点と消費の段の境で区切り、発電がはみ出した部分を三角形と台形に分けて足します。
- ③ 自家消費は、発電電力量から送電した量を引いて出します。自給率は、それを消費電力量で割ります。
言葉の式 自給率 = 自家消費した電力量 ÷ 1日の消費電力量 × 100
自給率:自給率〔%〕 自家消費した電力量:自家消費(自給)した電力量〔kW·h〕 消費電力量:全消費電力量(消費の線の下の面積)〔kW·h〕
- ④ 送電した量が発電電力量より小さく、自給率が100%未満かを確かめます。
例は、令和7年度上期 法規 問13 の条件です。出力600 kWの太陽電池の発電は、6時から12時まで直線で増え、18時まで直線で減ります。消費は0〜10時が100 kW、10〜17時が300 kW、17〜21時が400 kW、21〜24時が100 kWです。
- 発電は1時間に100 kWずつ変わるので、消費の線と7時と15時に交わります。
- 7〜10時は三角形で、300×3÷2=450 kW·hです。10〜12時は台形で、(100+300)÷2×2=400 kW·hです。12〜15時は三角形で450 kW·hです。
- 送電した電力量は 450+400+450=1300 kW·h です。
- 発電電力量は 600×12÷2=3600 kW·h で、自家消費は 3600−1300=2300 kW·h です。消費電力量は5000 kW·hです。
関連:分散型電源
まとめ
受電設備は受電点から区分・計量・断路・遮断・変成の順に並び、構内の事故は構内の保護装置が先に切ります。
変流器の二次側は開かず、停電作業は負荷側から開いて検電と短絡接地をしてから触ります。
流況曲線と逆潮流の計算は、交点を出して面積を区切ることから始めます。
次に読む
- 前:施設管理の計算の論点
- 関連:電気事業法②の論点
- 関連:分散型電源の論点
参考文献
- 電気事業法 第39条
- 電気関係報告規則 第3条
- 電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正) 第28条・第37条・第220条
- 第三種電気主任技術者試験(電気技術者試験センター) 令和7年度上期 法規 問11・問13
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