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重要度:△ 出題は少なめですが土台の論点です(市販問題集の頻出印はなく、公式公開問題でも見当たりません。当サイトの判断)
最終確認:2026年9月24日
高い山の上でお湯を沸かすと、平地より低い温度でぐらぐらと沸き始めます。水が沸く温度は、いつも同じではありません。危険物乙4では、沸点(ふってん)が外の気圧で変わるしくみと、蒸気圧(じょうきあつ)という言葉が問われます。
この記事でわかること
- 蒸気圧の意味と、液体の温度が上がると蒸気圧がどう変わるか
- 沸点が「蒸気圧が外の気圧に追いついた温度」である理由
- 山の上で沸点が下がる理由と、引火(いんか)とのつながり
沸点とは、液体の蒸気圧が外の気圧と等しくなったときの液温のことです。
外の気圧が低いほど沸点は低く、高いほど沸点は高くなります。
液温が上がると蒸気圧が高くなり、液面から出る蒸気も増えます。
まず場面で:山の上のやかんは、平地より低い温度で沸く
平地では、水は1気圧のもとで100℃ {NUM-P-0021}で沸騰(ふっとう)します。ところが山の上では、同じやかんの水が100℃より低い温度で沸き始めます。山の上は、平地より気圧が低いからです。
沸騰とは、液体の表面だけでなく、内部からも泡が出て激しく蒸発する現象のことです。泡の中身は、その液体自身の蒸気です。液の中に泡ができるかどうかは、中から押す蒸気の力と、外から押さえる気圧の比べ合いで決まります。
この比べ合いを知っておくと、沸点が物ごと・場所ごとに変わる理由が分かります。さらに、ガソリンのような液体が温まるとなぜ危ないのかにも、同じ考え方がつながります。
沸点とは、蒸気圧が外の気圧に追いついた液温
蒸気圧とは、液体から出た蒸気が、まわりを押す力のことです。ふたをした入れ物では、やがて蒸発と凝縮(ぎょうしゅく)がつり合い、見かけの蒸発が止まります。このときの蒸気の圧力を、飽和蒸気圧(ほうわじょうきあつ)といいます。
液体の温度が上がるほど、飽和蒸気圧は高くなります。 反対に、液温が下がると蒸気圧は低くなります。液温が高いほど、液面から出てくる蒸気の量も多くなります。
液温を上げていくと、蒸気圧はだんだん高くなり、やがて外の気圧に追いつきます。追いついたときの液温が沸点で、ここで液の内部から泡が出る沸騰が始まります。 水の場合、蒸気圧が1気圧に追いつく液温が100℃です。

外の気圧が低い山の上では、蒸気圧が低いうちに外の気圧に追いつきます。そのため、平地より低い液温で沸騰します。反対に、外の気圧が高いと、蒸気圧がもっと高くなるまで沸騰しないので、沸点は高くなります。
沸騰は、液の中から押し返す蒸気と、上から押さえる空気の押し合いです。上から押す力が弱い山の上では、中の蒸気が早く押し勝ちます。正確には、沸点とは、液体の飽和蒸気圧が外の気圧と等しくなるときの液温のことです。
覚える関係はこれだけ:液温と外の気圧で沸点と蒸気が決まる
覚えるのは、何を変えると何がどうなるかの向きです。数字として覚えるのは、1気圧の水の沸点だけで足ります。
| 変えるもの | どうなるか |
|---|---|
| 液温を上げる | 蒸気圧が高くなり、蒸気が増える |
| 液温を下げる | 蒸気圧が低くなり、蒸気が減る |
| 外の気圧を下げる(山の上) | 沸点が低くなる |
| 外の気圧を上げる | 沸点が高くなる |
| 液体の種類を変える | 沸点は物質ごとに違う |
| 液体 | 条件 | 沸点 |
|---|---|---|
| 水 | 1気圧 | 100℃ |
1気圧で100℃に沸くのは水の話で、液体の種類が違えば沸点も違います。同じ温度で比べると、飽和蒸気圧は物質ごとに決まっていて、外の気圧を変えても変わりません。沸点の低い液体ほど蒸発しやすく、蒸気を出しやすい液体です。
この「液温が上がると蒸気が増える」ことが、引火の話につながります。液面の近くの可燃性蒸気(かねんせいじょうき)が燃える濃さに届いた液温が、引火点(いんかてん)です。燃える濃さの範囲は燃焼範囲(ねんしょうはんい)、引火点の決まり方は引火点の記事で扱っています。
第4類(だいよんるい)の液体では、一般に沸点の低いものほど引火点も低い、とされています。物品ごとの値は、品名の記事で確かめます。
ここは覚えなくていい
水に塩などを溶かすと沸点が上がる沸点上昇(ふってんじょうしょう)と、凍りにくくなる凝固点降下(ぎょうこてんこうか)のしくみや計算は、覚えなくてかまいません。富士山の山頂で水が何℃で沸くかといった、場所ごとの細かい温度も同じです。
試験ではこう聞かれる:「外の気圧が高いほど低い温度で沸騰する」は誤り
1つめは、外の気圧と沸点の向きを逆にした形です。「外の気圧が高いほど、低い温度で沸騰する」は誤りです。外の気圧が高いほど、蒸気圧がそこまで高くならないと沸騰しないので、沸点は高くなります。
2つめは、液温と蒸気圧の向きを逆にした形です。「液温が上がると、蒸気圧は小さくなる」は誤りで、液温が上がるほど蒸気圧は大きくなります。「蒸気圧が外の気圧より低くなると沸騰する」も誤りで、沸騰するのは蒸気圧が外の気圧に達したときです。
3つめは、「1気圧のもとでは、どの液体も100℃で沸騰する」という形です。100℃で沸騰するのは水で、液体の種類が違えば沸点も違います。沸点が決まった温度だと思わず、「その液体の蒸気圧が外の気圧と等しくなる温度」と覚えます。
4つめは、沸点の定義の穴埋めです。「飽和蒸気圧は温度とともに増え、大気の圧力と等しくなる温度が沸点」という文の、語を入れ替えて問われます。
工場・現場ではこうなる:蒸留塔の圧力を下げて、低い温度で沸かす
化学プラントの蒸留塔では、熱に弱い物を分けるとき、塔の中の圧力を下げて低い温度で沸かす減圧蒸留(げんあつじょうりゅう)を使います。反対に、夏の日差しでタンクの液が温まると蒸気圧が上がり、通気管から出る蒸気が増えます。そのため、引火点の低い液体のタンクでは、液温と通気管のまわりの火気に気を配ります。
確認問題
問1 液温が上がって、飽和蒸気圧(ほうわじょうきあつ)がまわりの気圧に追いつくと、液体は沸騰を始める。
答え:○
根拠:沸点は、飽和蒸気圧が外の気圧と等しくなるときの液温です。
なぜか:蒸気の押す力が空気の押す力と同じになると、液の中からも泡ができるようになります。これが沸騰です。
狙われる形:「飽和蒸気圧が外の気圧より低くなると沸騰する」と、向きを逆にした形で出ます。
問2 標高の高い山小屋では、気圧が低いので、湯を沸かすには平地より高い温度が要る。
答え:×
訂正:標高が高く気圧の低い所では、水は平地より低い温度で沸騰する。
根拠:外の気圧が低いほど、液体の沸点は低くなります。
なぜか:気圧が低いと、蒸気の押す力が小さいうちにまわりの気圧とつり合います。そのため、平地より低い温度で沸騰が始まります。
狙われる形:気圧と沸点の関係を逆にして、「気圧が低いと沸点が上がる」とする形で出ます。
問3 ふたのない容器の液体は、沸騰していなくても、液面から少しずつ蒸発していく。
答え:○
根拠:蒸発は沸点より低い温度でも液面で起こり、沸騰は液の内部からも蒸発が起こる状態です。
なぜか:洗濯物が乾くのは、水が沸騰しなくても蒸発するからです。引火性の液体も、沸点より低い液温で蒸気を出しています。
狙われる形:「沸点より低ければ蒸気は出ない」と、蒸発と沸騰を同じにする形で出ます。
まとめ
沸点は、液体の蒸気圧が外の気圧と等しくなったときの液温で、決まった1つの温度ではありません。外の気圧が低い山の上では沸点が下がり、外の気圧が高いと沸点は上がります。液温が上がると蒸気圧が高くなり、液面から出る蒸気が増えることが、引火点の考え方につながります。
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参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、1-2 物質の状態変化(飽和蒸気圧と沸点) Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、2-13 沸点と飽和蒸気圧(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
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