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重要度:○ 押さえておきたい論点です(市販問題集の頻出印から。公式公開問題では見当たりません。当サイトの判断)
最終確認:2026年9月24日
冷凍庫から出した氷はやがて水になり、ベランダの鉄の手すりは雨にぬれて赤くさびます。どちらも「変化」ですが、溶けた氷は同じ水のままなのに、さびた部分はもう鉄ではありません。危険物乙4では、この違いを物理変化と化学変化という言葉で見分けます。
この記事でわかること
- 物理変化と化学変化を見分ける1つの基準
- 身近な変化を、2つのどちらかに仕分ける方法
- 潮解(ちょうかい)・風解(ふうかい)・溶解(ようかい)が物理変化に入る理由
物理変化は状態や形が変わるだけの変化、化学変化は別の物質ができる変化です。
見分ける基準は、変化の前と後で物質そのものが変わったかどうかです。
氷が溶ける・砂糖が水に溶けるのは物理変化、鉄がさびる・物が燃えるのは化学変化です。
まず場面で:氷が溶けるのと、鉄がさびるのは何が違う
冷凍庫から出した氷は、しばらくすると溶けて水になります。形は変わっても、氷も水も同じ水という物質で、冷やせばまた氷になります。コーヒーに砂糖を溶かしても、砂糖が別の物に変わったわけではありません。

一方、鉄の手すりがさびると、表面に赤茶色のもろい物ができます。さびは、鉄と酸素が結びついてできた別の物質です。木炭が燃えて灰になるのも、元の木炭とは違う物ができる変化です。
物理変化と化学変化は「別の物質になるか」で分かれる
物理変化とは、物質そのものは変わらず、状態や形だけが変わる変化のことです。氷→水→水蒸気は、どれも水(H2O)のままなので物理変化です。状態が変わっても化学式が同じなら、物理変化です。
化学変化とは、物をつくる粒の結びつき方が組みかわり、元とは性質の違う別の物質ができる変化のことです。水素を燃やすと水ができるように、化学式そのものが変わります。燃焼(ねんしょう)、さびのような酸化(さんか)、分解、酸と塩基(えんき)を混ぜる中和が、化学変化の代表です。
2種類以上の物が結びついて別の物ができることを化合(かごう)といい、できた物を化合物と呼びます。化合物と混合物の見分け方は、単体・化合物・混合物の見分け方で扱います。
反対に、1つの物が2種類以上の物に分かれることを分解といいます。水に電気を通すと水素と酸素に分かれるのが、分解の例です。化合も分解も、別の物質ができるので化学変化です。
物理変化は、粘土の形を丸から四角に変えるようなもので、形が変わっても粘土は粘土です。化学変化は、小麦粉と卵を焼いて、材料とは別のケーキができるようなものです。正確には、物理変化か化学変化かは、元に戻せるかどうかではなく、別の物質ができたかどうかで決まります。
覚える例はこれだけ:溶ける・さびる・潮解・風解の仕分け
覚えるのは、試験によく出る変化の例と、どちらに入るかの組合せです。原油を分留(ぶんりゅう)してガソリンや灯油に分けるのも、混ざっていた物を沸点の違いで分けただけです。迷ったら「変化のあとに別の物質ができたか」を確かめます。
| 物理変化の例 | 変わったのは |
|---|---|
| 氷が溶けて水になる | 状態 |
| ドライアイスが気体になる | 状態 |
| 砂糖が水に溶ける | 混ざり方 |
| 食塩水を煮詰めると食塩が出てくる | 混ざり方 |
| 原油を分留して灯油などに分ける | 混ざり方 |
| ニクロム線に電流を流すと赤く熱くなる | 温度 |
| ばねが伸びる | 形 |
| 化学変化の例 | できた別の物質 |
|---|---|
| 鉄がさびる | さび(酸化鉄) |
| ガソリンが燃える | 二酸化炭素と水 |
| 水に電気を通して分解する | 水素と酸素 |
| 紙が濃硫酸に触れて黒くなる | 炭素 |
| 酸と塩基を混ぜて中和する | 塩と水 |
溶解とは、物質が液体に溶けて、むらのない液になる現象のことです。溶かす液を溶媒(ようばい)、溶けた物を溶質(ようしつ)、できた液を溶液(ようえき)といいます。砂糖や食塩が水に溶けても別の物質はできないので、物理変化です。
潮解とは、固体が空気中の水分を吸って、その水に溶けていく現象のことです。風解とは、水分を含んだ結晶が、空気中で水分を失って粉のようになる現象のことです。試験では、潮解も風解も物理変化の例として扱われます。
ここは覚えなくていい
化学変化の反応式や、紙が濃硫酸で黒くなるしくみの細部は、この記事では覚えなくてかまいません。風解する結晶の物質名も同じです。
試験ではこう聞かれる:ドライアイスが気体になるのは化学変化ではない
1つめは、見た目にだまされる形です。「ドライアイスが気体の二酸化炭素になるのは化学変化」は誤りです。固体も気体も同じ二酸化炭素なので、ドライアイスの昇華は物理変化です。
2つめは、「分ける」操作の取り違えです。「油を蒸留して灯油をつくるのは化学変化」は誤りです。原油にもともと混ざっている物を、沸点の違いで分けているだけなので物理変化です。
3つめは、熱や光が出る変化です。ニクロム線が電流で赤く熱くなっても、ニクロム線は別の物質になっていないので物理変化です。熱や光が出るかどうかではなく、別の物質ができたかどうかで見分けます。
4つめは、潮解と風解の入れかえです。「結晶が空気中で水分を失って粉になるのが潮解」は誤りで、それは風解です。潮解は反対に、空気中の水分を吸って溶ける現象です。
5つめは、さびの扱いです。「鉄くぎがさびてぼろぼろになるのは、形が変わっただけの物理変化」は誤りです。鉄が酸素と結びついて酸化鉄という別の物質になっているので、化学変化です。
工場・現場ではこうなる:蒸留塔は物理変化、反応器は化学変化
化学プラントの蒸留塔は、沸点の違いで混ざった液を分ける設備で、中の物質そのものは変わりません。反応器は原料を反応させて別の物質をつくる設備で、熱が出る反応では冷やしながら温度を保ちます。固形の水酸化ナトリウムのように、空気中の水分を吸って潮解する薬品は、袋や容器の口を閉じて保管します。
確認問題
問1 化学変化とは、ある物質が性質の違う別の物質に変わる変化である。
答え:○
根拠:物質そのものが別の物質に変わるのが化学変化、状態や形が変わるだけなのが物理変化です。
なぜか:木炭が燃えると二酸化炭素ができ、元の炭とは違う物質になります。このように粒の組み合わせが変わる変化を化学変化といいます。
狙われる形:物理変化と化学変化の説明を入れかえた形で出ます。
問2 鉄のさびは元の鉄と同じ物質なので、鉄がさびるのは物理変化である。
答え:×
訂正:さびは鉄が酸素と結びついてできた別の物質で、鉄がさびるのは化学変化である。
根拠:物質が酸素と結びついて別の物質になる変化は、化学変化です。
なぜか:赤茶色のさびは、元の鉄とは色も硬さも違います。鉄の粒に酸素が結びつき、酸化鉄という別の物質に変わっています。
狙われる形:さびを「形がくずれただけ」と考え、物理変化とした形で出ます。
問3 空気中に置いた結晶が水分を放出して粉末になる現象を、風解(ふうかい)という。
答え:○
根拠:結晶が空気中で水分を失って粉末になるのが風解、固体が水分を吸って溶けるのが潮解です。
なぜか:結晶の中に取り込まれていた水が空気中へ出ていくと、結晶の形が保てずに粉のようにくずれます。水を取り込む潮解とは、向きが逆です。
狙われる形:風解と潮解の名前を入れかえた形で出ます。
まとめ
物理変化は状態や形だけが変わる変化、化学変化は別の物質ができる変化で、見分けるのは物質そのものが変わったかどうかです。氷やドライアイスの状態変化、砂糖の溶解、原油の分留、潮解と風解は物理変化です。鉄のさび、燃焼、水の電気分解、中和は化学変化です。
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参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、2-2 物理変化と化学変化 Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、2-19 物理変化と化学変化、2-12 物質の三態(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
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