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重要度:○ 押さえておきたい論点です(公式公開問題と市販問題集の出題から。当サイトの判断)
最終確認:2026年9月24日
石油ストーブに火をつけると、灯油が燃えて部屋が暖まります。燃えるという化学変化が、まわりに熱を出しているからです。危険物乙4では、この熱の出入りを書いた熱化学方程式(ねつかがくほうていしき)の読み方が問われます。
この記事でわかること
- 熱化学方程式の右側の「+○kJ」と「−○kJ」の読み方
- 燃焼熱(ねんしょうねつ)が「1molあたりの熱」であること
- 2つの式を足して、途中の物質を消す手順(例題2題)
熱化学方程式の右側の+○kJは熱を出す発熱反応、−○kJは熱を吸う吸熱反応を表します。
燃焼(ねんしょう)は必ず発熱なので、−○kJの式は、酸化(さんか)の反応でも燃焼には当たりません。
まず場面で:灯油が燃えるとストーブが熱を出す
灯油やガスが燃えると、まわりに熱が出ます。物が別の物に変わる化学変化には、このように熱を出すものと、反対に熱を吸うものがあります。熱を出す反応を発熱反応(はつねつはんのう)、熱を吸う反応を吸熱反応(きゅうねつはんのう)といいます。
燃焼とは、熱と光を出しながら、物が酸素と激しく結びつくことです。燃焼は、発熱反応のなかでも激しいものです。酸素と結びつく反応でも、熱を吸うものは燃焼とはいいません。
試験では、この熱の出入りを、式の右側に書いた数字と符号で読ませます。式の形さえ読めれば、計算をしなくても答えられる問題がいくつもあります。
熱化学方程式とは、反応式に出入りする熱を書き足した式
熱化学方程式とは、化学反応の式に、反応で出入りする熱を書き足し、両側を等号で結んだ式のことです。熱は式の右側の最後に書き、単位はkJ(キロジュール)です。右側の+○kJは発熱、−○kJは吸熱で、符号は必ず付けます。
右側の+○kJは、反応のあとにまわりへ配られるおつりのようなものです。−○kJは、反応するためにまわりから払ってもらう代金にあたります。正確には、+は反応でまわりに熱が出ること、−はまわりから熱を吸うことを表します。
反応熱(はんのうねつ)とは、式に書く熱のことで、1molの物質が反応するときに出入りする熱の量を表します。molは、物の量をまとめて数える単位です。反応する量が倍になれば、出入りする熱も倍になります。
反応熱は、何の反応かで名前が変わります。燃焼熱は、物質1molが完全に燃えるときの熱です。生成熱(せいせいねつ)は、化合物1molが単体からできるときの熱です。
中和熱(ちゅうわねつ)は、酸と塩基が中和して水が1molできるときの熱です。
燃焼熱は、「○kJ/mol」の正の値で示されることもあります。たとえば問題に「ある物質の燃焼熱は800kJ/mol」とあったとします。これは、その物質1molが完全に燃えると800kJの熱が出る、と読みます。
同じ物質でも、気体か液体かで反応熱の値が変わります。そのため熱化学方程式では、物質の後ろに(気)(液)(固)を付けて状態を書きます。
高校の新しい教科書では、反応熱をΔH(デルタエイチ)という記号で表し、発熱をマイナスで書きます。試験の問題は右側に+○kJと書く形なので、この記事もその形で書きます。
解き方の手順(3ステップ):2つの式を足して同じ物質を消す
計算の型の中で、熱化学方程式の計算は後回しにしてよい型です。どの型を先にやるかは、電卓なしで解ける計算の5つの型で見渡せます。ここでは、出たときに手が止まらないよう、式を足す手順だけを押さえます。
2つの式を足せるのは、ヘスの法則(ヘスのほうそく)があるからです。ヘスの法則とは、最初と最後の物質が同じなら、途中の道すじによらず熱の合計は同じになる、という決まりのことです。例題では、物質の名前を記号のA〜Eで書きます。

- ステップ1 求めたい式を確かめる:最初の物質は左側、最後にできる物質は右側に来る
- ステップ2 式を縦に並べて足す:左側どうし、右側どうし、熱どうしを足す
- ステップ3 両側にある同じ物質を消す:残った熱の符号で、発熱か吸熱かを読む
例題1は、次の2つの式から、AとBからEができるときの反応熱を求める問題です。
- 式① A+B=C+120kJ
- 式② C+D=E+280kJ
- ステップ1 求めたい式は、A+B+D=E+?kJ(Cは途中でできて消える物質)
- ステップ2 ①+②:A+B+C+D=C+E+120kJ+280kJ
- ステップ3 両側のCを消す:A+B+D=E+400kJ(+なので400kJの発熱)
例題2は、熱を吸う式がまじる場合です。
- 式① A=B−50kJ
- 式② B+C=D+300kJ
- ステップ1 求めたい式は、A+C=D+?kJ(Bは途中の物質)
- ステップ2 ①+②:A+B+C=B+D−50kJ+300kJ
- ステップ3 両側のBを消す:A+C=D+250kJ(−50kJ+300kJ=+250kJで、250kJの発熱)
−○kJは、足すときにマイナスの数として足します。 50kJを足して350kJとすると、答えがずれます。
ここは覚えなくていい
式を左右ひっくり返したり、何倍かしてから足したりする計算は、後回しでかまいません。燃焼熱や生成熱の具体的な値も、覚えなくてかまいません。
化学反応式の作り方と燃焼の計算:係数合わせは余力がある人向け
試験ではこう聞かれる:−○kJの式を燃焼に入れるひっかけ
1つめは、いくつかの熱化学方程式から、燃焼に当たらないものを選ぶ型です。どの物質の式か知らなくても、右側の符号を見れば答えが出ます。−○kJの式は吸熱反応なので、酸素と結びつく反応でも燃焼には当たりません。
2つめは、式から言えることを選ぶ型です。「+○kJ」の式に「○kJの熱を吸収する」と書いた文は誤りで、熱を出す発熱です。式の係数は、その物質が何mol反応し、何molできるかを表します。
3つめは、反応熱の種類を選ぶ型です。蒸発熱(じょうはつねつ)や凝縮熱(ぎょうしゅくねつ)、融解熱(ゆうかいねつ)は、液体が気体になるような状態の変化の熱です。化学変化の熱ではないので、反応熱には入りません。
選択肢の中では、中和熱や燃焼熱が反応熱です。状態の変化の熱は、物質の三態と状態変化で扱います。
4つめは、2つの式を足して反応熱を求める計算です。炭素が一酸化炭素を経て二酸化炭素になる流れが、よく題材になります。答えの選択肢は「○kJの発熱」「○kJ/mol」のように書かれるので、最後に符号の向きを確かめます。
工場・現場ではこうなる:反応器の熱を冷却水で取り除く
化学プラントでは、発熱反応を行う反応器に冷却水を流すジャケットやコイルを付け、出てくる反応熱を取り除きます。冷却が止まると液の温度が上がって反応が速くなり、さらに熱が出る悪循環になるおそれがあります。そのため、反応熱から冷却に要る熱量を見積もり、冷却水の流量や温度を常に見張ります。
確認問題
問1 熱化学方程式(ねつかがくほうていしき)の右辺に「+」で書いた反応熱は、熱が出る発熱反応を表す。
答え:○
根拠:熱化学方程式では、発熱反応の反応熱を「+」、吸熱反応の反応熱を「−」で書きます。
なぜか:右辺に熱を足して書くのは、反応のあとに物質といっしょに熱が出てくるからです。熱を取り込む反応では、右辺から熱を引いて書きます。
狙われる形:「+」を吸熱と読みちがえる形で出ます。
問2 燃焼熱は、物質1gあたりの完全燃焼(かんぜんねんしょう)で発生する熱量として表す。
答え:×
訂正:燃焼熱は、物質1molが完全燃焼するときに出る熱量である。
根拠:反応熱は、反応する物質1molあたりの熱量で表します。
なぜか:熱化学方程式の反応熱は、物質の粒の数をそろえた1molを基準にしています。質量の1gを基準にしているわけではありません。
狙われる形:基準の量を1molから1gにすりかえた形で出ます。
問3 熱化学方程式の反応熱は、できる物質が気体でも液体でも同じ値になる。
答え:×
訂正:同じ反応でも、できる物質が気体か液体かで反応熱の値は変わる。
根拠:反応熱は物質の状態によって変わるので、熱化学方程式には状態を書き添えます。
なぜか:気体が液体になるときには、凝縮による熱が出ます。そのため、できる物質が液体のほうが、出てくる熱の合計が大きくなります。
狙われる形:物質の状態を書き添える理由を落とした形で出ます。
まとめ
熱化学方程式は、右側の最後に反応熱を書いた式で、+○kJは発熱、−○kJは吸熱です。反応熱は1molあたりの熱で、燃焼熱は物質が完全に燃えるときに出る熱です。燃焼は発熱なので−○kJの式は燃焼ではなく、2つの式は縦に並べて足し、両側の同じ物質を消して求めます。
次に読む
化学反応式の作り方と燃焼の計算:係数合わせは余力がある人向け
参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、2-3 化学反応式と熱化学方程式 Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、2-1 燃焼の化学・2-21 化学の基礎(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
- 『過去に出題された問題』一般財団法人 消防試験研究センター
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