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流量計の種類と選び方|10方式の原理を一覧で、体積か質量か、液か気か蒸気か

流量計の種類と選び方のアイキャッチ

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流量計の形式は、代表的なものだけでも 10 近くあります。種類が多いのは、測る流体の性質や流量範囲、必要な精度に応じて、なるべく経済的に測りたいからです。

流量計メーカーの技術者が書いた連載記事は、英国の専門誌の調査を引いて「流量計の選択の半数以上が最適ではなかった」と書いています。ひどい間違いでなければ何とか用が足りてしまうので、最適でなくても気づかれないのです。

この記事では、流量の4つの区別(瞬時と積算、体積と質量)、10方式の原理と得意不得意、選ぶ手順、そして製造部員が自分の担当設備の流量計を「なぜこれなのか」説明できるようになるための見方をまとめます。

この記事の結論

  • 流量には 瞬時流量と積算流量、体積流量と質量流量 の区別がある。何を知りたいかで形式が変わる
  • 監視・警報・制御には高い精度は要らない。取引や原料の積算には要る。目的で必要な精度が決まる
  • 形式は大きく、差圧式・電磁式・渦式・コリオリ式・超音波式・面積式・容積式・タービン式・熱式 の9つに、ピトー管を加えた10
  • 万能な流量計はない。液か気か蒸気か、導電性か、脈動があるか、直管部が取れるかで絞られる
  • 選定の順序は 性質の把握 → 目的の明確化 → 形式の絞込み → 製品仕様の検討 → コスト比較
  • コストは本体価格でなく TCO(本体+関連機器+設置費+保守費) で比べる

1. 「流量」には4つの区別がある

連載記事の第1回は、流量計の話を「流量とは何か」から始めています。

瞬時流量と積算流量
瞬時流量と積算流量
区別意味使いどころ
瞬時流量ある瞬間にどのくらい流れているか監視、警報、制御
積算流量ある期間にどれだけ通過したか取引、原料の仕込み量、収支
体積流量物質の占める体積で数える(m³/h)ほとんどの流量計はこれを測る
質量流量質量で数える(kg/h)温度・圧力・密度から換算するか、直接測る形式(コリオリ、熱式)を使う

水道メータやガソリン計量機は積算流量だけが重要で、瞬時流量の表示はありません。プラントの制御ループは逆に瞬時流量を使います。自分の担当の流量計がどちらの目的で付いているかが、選定を理解する入口です。

もう1つ、脈動流と間欠流があります。ダイヤフラムポンプやプランジャポンプの出口は脈動していて、流量計の種類によっては誤差が出ます。流れたり止まったりする間欠流では、瞬時流量は役に立ちません。

2. 10方式の原理と得意不得意

連載記事の第11回にある適合表を、目的ごとに並べ直します。○は適用可、△は制約あり、×は不適です。

流量計の適合表
流量計の適合表
目的形式液体気体蒸気特長制約
体積流量の監視・警報・制御差圧式(オリフィス)○○○広い測定対象、安価流量範囲が狭い、導圧管
同上電磁式○××耐食・耐磨耗、圧損ゼロ導電性液体に限る
同上面積式(ロータメータ)○○○構造簡単、安価垂直取付のみ
同上超音波式○○△汎用、圧損ゼロ、配管を切らずに付けられる気泡の影響
同上羽根車式○××安価軸受寿命
質量流量の直接測定熱式△○×質量流量信号クリーンなガス専用
同上コリオリ式○△×質量流量と密度、高精度口径範囲、高価格
体積流量の積算容積式(PD メータ)○○×高精度、高粘度可軸受寿命、高価格
同上渦式○○○可動部なし、蒸気に強い低流量で信号が消える、振動
同上タービン式○○△高精度軸受寿命
流速の監視ピトー管○○○構造簡単、安価流速分布の影響大

化学プラントで多いのは、差圧式・電磁式・渦式・コリオリ式です。リンク先の記事で、それぞれの原理とトラブルを説明しています。そのほかの方式は超音波流量計と面積式・容積式・タービン・熱式流量計で説明しています。

連載記事は、理想的な流量計の条件を8つ挙げています。何でも測れる、高粘度や腐食性でも使える、流路に障害物がなく圧損がない、可動部がなく保守不要、設置が簡単、直管部が不要、精度が高い、総費用が低い。そして「これらすべてを同時に満たす製品はない」と結んでいます。

3. 目的で必要な精度が決まる

連載記事は精度を、便宜的に「高精度=誤差 1% 以下、中精度=1〜3%、低精度=3% 以上」と定義したうえで、次のように整理しています。

  • 体積流量の監視・警報・制御:表示されるのは瞬時流量で、常に細かく変動している。高精度は要らない。警報設定が 2〜3% の違いで問題になるようでは危なくて使えない。無理に平滑に制御しようとすると調節弁を常時動かしてシール部が磨耗する
  • 積算流量:取引(ガソリンの給油量、水道の使用量)や反応槽への原料供給には高精度が要る。質量流量を直接測るのは、主に高精度が要求される場合

つまり、制御用の流量計に高価な高精度品を入れても意味がなく、取引用に安価な低精度品を入れると損失になります。目的を先に決めてから形式を選ぶのは、このためです。

4. 選ぶ手順

連載記事の選定順序です。

流量計を選ぶ順番
流量計を選ぶ順番
  1. 測定対象の性質を把握する:流体の種類(液・気・蒸気・スラリー)、流体名、密度、粘度、導電率(電磁式のときだけ)、色や透明度(直視型のときだけ)、混入物(気泡・異物)、腐食性(温度・濃度で変わる)、流量の最大・常用・最小、脈動の有無(往復動ポンプに注意)、温度、圧力、許容圧損
  2. 測定目的を明確にする:監視か、制御か、積算か。必要な精度はそこから決まる
  3. 形式を絞り込む:上の適合表で、流体と目的に合うものに絞る
  4. 製品仕様を検討する:出力信号(電流・パルス・警報接点、伝送距離)、電源(起動時に数倍の電流が流れるものがある)、設置場所(直管部のスペース、架台、振動、モータやトランスの近く、屋外、直射日光)、保守作業(定期点検が要るか、近づけるか)、関連機器(ストレーナ、整流器、信号変換器)
  5. コストを比較する:本体価格ではなく、TCO(本体と関連機器の価格+設置費+保守作業費)を最小にする
  6. 決定

関連機器の手配を忘れると、流量計が届いても使えません。ストレーナと整流器と信号変換器は、流量計とセットで考えます。

5. 現場で見る場所|自分の流量計を説明できるか

担当設備の流量計について、次を言えるようにしておくと、トラブルのときの切り分けが速くなります。

  1. 形式:銘板か P&ID で。差圧式なら導圧管があり、電磁式なら電線だけ、渦式なら短い胴体
  2. 目的:制御用か、監視用か、積算用か。DCS のタグの機能文字(FIC か FI か FQ か)で分かる
  3. 流体の性質:液か気か蒸気か、導電性か、気泡や固形物が入るか、脈動源(往復動ポンプ)が上流にあるか
  4. 直管部:上流と下流に、口径の何倍の直管があるか。エルボや弁が近くにないか
  5. 関連機器:ストレーナ、整流器、信号変換器、温圧補正の有無

6. 先輩に聞かれたら答えられる3問

  1. 制御用の流量計に高精度が要らないのはなぜですか。
  2. 電磁流量計で測れない流体は何ですか。
  3. 流量計のコスト比較で、本体価格のほかに何を含めますか。

答えは順に、瞬時流量は常に変動していて、2〜3% の違いが問題になるような制御は危なくて使えないから/気体・蒸気・非導電性の液体/関連機器の価格、設置費、保守作業費(TCO)、です。

まとめ

流量には瞬時と積算、体積と質量の区別があり、監視・制御には高精度が要らず、取引や原料の積算には要ります。形式は差圧式・電磁式・渦式・コリオリ式・超音波式・面積式・容積式・タービン式・熱式にピトー管を加えた10で、液か気か蒸気か、導電性か、脈動があるか、直管部が取れるかで絞られます。

選定は性質の把握、目的の明確化、形式の絞込み、製品仕様の検討、コスト比較の順に進め、コストは TCO で比べます。自分の担当の流量計について、形式・目的・流体・直管部・関連機器を言えるようにしておいてください。

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参考文献

  • 佐鳥聡夫「流量のお話 第1回 流量計測の世界」MS TODAY, 2001年7月号
  • 佐鳥聡夫「流量のお話 第11回 流量計の選び方」MS TODAY, 2002年5月号
  • 川村貞夫・石川洋次郎『メーカーの技術者が書いた やさしく計装がわかる 工業計測と制御の基礎』工業技術社, 2.3「流量の測定」  Amazonで見る
  • 高圧ガス保安協会『高圧ガス保安技術』, 11.4.3「流量計」  最新版をAmazonで見る
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