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計装とは何か|測る・伝える・調節する・動かす、1つの制御ループを現場から計器室まで追う

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計装とは、プラントの温度・圧力・流量・液面を「測り」、その値を「信号」にして計器室へ「伝え」、目標の値に合うように「調節」し、弁などを「動かす」仕組み全体のことです。

DCS の画面に出ている数字1つの裏には、現場の検出器から伝送器、コントローラ、調節弁へとつながる1本の「制御ループ」が必ずあります。

この記事では、流量制御ループを1本だけ取り上げ、現場のオリフィスから計器室のコントローラを通って調節弁に戻るまでを、順番に追いかけます。

この記事の結論

  • 計装の仕事は「測る・伝える・調節する・動かす」の4つで、画面で見張るのは人間の仕事
  • 1本の制御ループは、検出部 → 伝送部 → 調節部 → 操作部 の4つの部分でできている
  • 現場から計器室への信号も、計器室から調節弁への信号も、4〜20 mA の電流が標準
  • 差圧式の流量計では、流量が50%のとき差圧は25%にしかならない。この2乗の関係を直すのが「開平」
  • 調節弁は空気で動くものが多い。空気が止まったとき弁がどちらへ動くかは、ループごとに決まっている
  • 指示がおかしいときは、DCS の値と現場の計器を突き合わせるところから始める

1. 計装の4つの仕事|測る・伝える・調節する・動かす

プラントは、原料を装置に通して製品にする「プロセス」と、それを狙いどおりに動かすための「計装システム」でできています。計装の教科書では、計装システムを次の4つの部分に分けています。

部分仕事現場での姿
検出部温度・圧力・流量・液面を測る温度計、圧力伝送器、オリフィスと差圧伝送器、レベル計
伝送部測った値を信号にして伝える4〜20 mA の電線、空気の細い配管
調節部目標の値と比べて、どれだけ動かすか調節するコントローラ(DCS の中の PID 調節計)
操作部決めた分だけ弁などを動かす調節弁、インバータ、電磁弁

この4つの上に、人間が監視・操作するための画面(HMI、ヒューマンマシンインタフェース)があります。画面で「見張る」のは人間の仕事で、計装システムはその材料を出し、指示を現場へ届ける役目です。

「計装」という言葉は、この4つの部分の機器を選び、つなぎ、調整し、保つ仕事全体を指します。計装部門が扱う範囲は広いのですが、製造部員が最初に押さえるべきなのは、自分が見ている数字がどの部分を通ってきたかを言えることです。

2. 流量制御ループを1周する

ここからは、配管を流れる液の流量を一定に保つループを例にします。DCS の画面では「FIC-101」のような1つのタグ番号ですが、現場と計器室にまたがって次の機器が並んでいます。

制御ループの4つの部分
制御ループの4つの部分
  1. オリフィス(絞り機構):配管の中に穴の開いた板を入れ、前後に圧力差(差圧)を作る
  2. 差圧伝送器:その差圧を測り、4〜20 mA の電流信号に変える
  3. コントローラ:計器室で信号を受け取り、目標の流量(設定値)と比べて、弁の開度(操作量)を決める
  4. 調節弁:コントローラから 4〜20 mA の信号を受け、空気の力で弁を開閉する

流量が目標より多ければ弁を少し閉め、少なければ少し開ける。この「測って、比べて、動かす」を数秒ごとに繰り返しているのが、制御ループです。画面の数字は止まって見えても、裏では常にこの1周が回っています。

流量の検出部は、調節弁の上流側に置くのが基本です。弁の下流は流れが乱れていて、圧力も流速の分布も安定しないためです。

3. 検出部の中で何が起きているか|計測部・変換部・発信部

差圧伝送器の中も、さらに3段階に分かれています。高圧ガス保安技術の教科書は、流量の測定を次のように整理しています。

流量 → 計測部(オリフィス)→ 圧力 → 変換部(センサ)→ 電気信号 → 発信部 → 4〜20 mA 信号

  • 計測部:物理法則(ここではベルヌーイの定理)を使って、流量を「差圧」という測りやすい量に置き換える
  • 変換部:差圧を受けたダイアフラムの変形を、電気信号に変える
  • 発信部:その電気信号を、世界共通の 4〜20 mA に整えて外へ出す

ここで初学者がつまずくのが、差圧と流量の関係が比例ではないことです。差圧は流量の2乗に比例します。教科書の数値例では、流量が50%のとき差圧は 0.5 の2乗、つまり25%にしかなりません。

この2乗の関係を元に戻す計算を「開平」と呼びます。開平は伝送器の中で行う場合と、計器室側の機器で行う場合があります。どちらか一方だけで行うのが正しく、両方で行うと流量の指示が大きく狂います。この失敗は流量計のトラブル事例として実際に報告されています(差圧式流量計の記事で詳しく扱います)。

4. 伝送部|なぜ 4〜20 mA なのか

現場から計器室まで、信号は電線を通って 4〜20 mA の直流電流で送られます。測定範囲の 0% が 4 mA、100% が 20 mA です。空気で送る方式もあり、こちらは 20〜100 kPa が標準です。

電流信号のいちばんの利点は、メーカーが違う機器を自由につなげることです。1970 年に国際規格で 4〜20 mA に統一されてから、伝送器も調節計も弁も、この信号で会話するようになりました。

「なぜ 0 mA からではなく 4 mA から始まるのか」には、はっきりした理由があります。0 mA は「測定値ゼロ」ではなく「線が切れた」ことを意味するように設計されているのです。この仕組みの詳しい説明と、計器室の中で電流を電圧に変えて分配する話は、別の記事(4〜20 mA と計装信号)に譲ります。

5. 調節部|測った値と目標の値の差で、弁をどれだけ動かすか決める

コントローラは、測定値(PV)と設定値(SV)を比べ、その差に応じて操作量(MV)を計算します。連続プロセスでは、この「結果を見て修正する」フィードバック制御が主役です。バッチプロセスでは、決まった手順を順番に進めるシーケンス制御が多く使われます。

コントローラには「正動作」と「逆動作」があり、測定値が上がったときに出力を上げるか下げるかが逆になります。これは調節弁が「空気で開く」か「空気で閉じる」かと組み合わせて決めるもので、間違えると流量が増えたのにさらに弁を開けるという危険な動きになります。現場でコントローラの設定を触るときは、この向きを必ず確認します。

PID の意味や、自動と手動の切り替えで何が起きるかは、プロセス制御の章で1つずつ説明します。

6. 操作部|調節弁は空気で動くものが多い

コントローラの信号は、最後に調節弁へ届きます。化学プラントの調節弁の駆動部は、空気式が最も多く使われています。構造が簡単で故障が少なく、電気の火花が出ないので防爆対策が要らず、空気が止まったときに安全側へ動かす設計がしやすいためです。

「安全側」とは、空気がなくなったとき弁を全閉にするのか、全開にするのか、その位置で止めるのかを、プロセスの危険性から決めることです。たとえば加熱炉の燃料弁は空気がなくなれば閉じ、冷却水の弁は開くのが普通です。自分の担当装置の弁が空気喪失でどちらへ動くかは、運転員が最初に覚えるべき事項の1つです。

7. ループの外側にあるもの|記録・警報・電源

制御ループの信号は、コントローラだけでなく、記録計や警報設定器にも分けて送られます。計器室の中では、電流をいったん電圧(1〜5 V)に変え、それを並列に分岐して各機器に配るのが一般的です。

警報のうち、プラントを止めるための重要な警報は、コントローラの中の警報機能ではなく、独立した警報設定器で出します。制御と安全を同じ箱に入れないという考え方で、これは DCS と安全計装システム(SIS)の役割分担にもつながります。

電源にも決まりがあります。制御用の計器には1台ずつのスイッチがなく、ループ単位で1つの電源スイッチにまとめます。1台だけ電源を切ってしまって警報が誤動作する、といった誤操作を防ぐためです。連続プロセスの計装電源は、ほとんどの場合、停電しても止まらない無停電電源装置から供給されます。

8. 現場で見る場所|指示がおかしいと思ったら

画面の数字が信じられないとき、いきなり「計器が壊れた」と決めつけないでください。ループのどこで狂ったかを、次の順で切り分けます。

  1. DCS の値と現場の計器を突き合わせる:同じ配管に現場圧力計やガラス管の液面計があれば、まずその値と比べる
  2. 伝送器の表示を見る:現場の伝送器に表示が付いていれば、DCS と同じ値かを見る。同じなら現場側、違えば信号線や計器室側を疑う
  3. 導圧管の状態を見る:伝送器につながる細い配管にドレンが溜まっていないか、凍っていないか、弁が閉まっていないか
  4. 調節弁の開度を見る:コントローラの出力(MV)と、弁に付いている開度の指針が一致しているか

この4点は、計器の日常点検や流量計のトラブルの記事で1つずつ深掘りします。ここでは、「ループのどこか」で必ず原因が見つかるという見方を持ってください。

9. 先輩に聞かれたら答えられる3問

  1. 制御ループの4つの部分を、流量制御を例に順番に言えますか。
  2. 差圧式流量計で流量が半分になったとき、差圧は何%になりますか。
  3. 空気が止まったとき、自分の担当装置の燃料弁と冷却水弁はそれぞれどちらへ動きますか。

答えは順に、検出部(オリフィスと差圧伝送器)→伝送部(4〜20 mA)→調節部(コントローラ)→操作部(調節弁)、25%、燃料弁は閉・冷却水弁は開が一般的(ただし実際の設定は自分のプラントで確認)です。

まとめ

計装は、測る・伝える・調節する・動かすの4つの仕事でできていて、DCS 画面の数字1つに必ず1本の制御ループが対応しています。流量制御ループなら、オリフィスと差圧伝送器で測り、4〜20 mA で計器室へ送り、コントローラが設定値と比べて出力を決め、空気式の調節弁が動きます。

差圧が流量の2乗になること、4 mA が「ゼロ」で 0 mA が「断線」であること、空気喪失時に弁がどちらへ動くかは、この先の記事すべての土台になります。指示がおかしいときは、DCS の値と現場の計器を突き合わせ、ループのどこで狂ったかを順に切り分けてください。

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参考文献

  • 川村貞夫・石川洋次郎『メーカーの技術者が書いた やさしく計装がわかる 工業計測と制御の基礎』工業技術社, 第1章「計装システムの基本構成」、1.5.3「流量制御ループの構成例」  Amazonで見る
  • 高圧ガス保安協会『高圧ガス保安技術』, 11.8「計装」(計装制御システム、検出部、調節部、操作部、伝送部)  最新版をAmazonで見る
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