課目Ⅰの省エネ法から、届出・定期報告・中長期計画の違いと非化石転換の計画の論点を並べます。グループと連携の特例、原単位の目標、国の措置も扱います。
同じ分野(工場等の措置)の記事:特定事業者・指定工場と原油換算/選任(統括者・企画推進者・管理者・管理員)
使用状況の届出・定期報告・中長期計画の違い ── 届出は入口、報告・計画は指定後

| 書類 | 出す者と期限 | 中身 |
|---|---|---|
| 使用状況届出書 | 前年度の合計が1,500 kL以上になった未指定の者。毎年度5月末日まで | 前年度の使用量など(指定の入口) |
| 定期報告書 | 特定事業者。毎年度7月末日まで | 前年度の実績(使用量・効率・CO₂排出量・設備) |
| 中長期計画書 | 特定事業者。毎年度7月末日まで(軽減あり) | 目標を達成するためのこれからの計画 |
なぜ:届出は、国が指定の相手を見つけるための入口。指定されれば役目を終え、その後は毎年の定期報告が使用状況を伝える。実績(報告)と計画を同じ時期に出させるので、国は両者のつながりを確かめられる。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 使用状況届出書は、毎年度7月末日までに出す | × | 5月末日。7月末日は報告・計画・選任の届出 |
| 特定事業者に指定された者も、毎年度、使用状況届出書を出す | × | 指定後は出さない(法第7条第3項ただし書) |
| 定期報告は前年度の実績、中長期計画はこれからの取組を示す | ○ | 過去と未来の組 |
| 定期報告の事項に、CO₂の排出量は入らない | × | 入る(法第16条第1項の括弧書) |
| 定期報告に生産数量や延床面積を書かせるのは、原単位で効率を見るため | ○ | 事業の増減と切り離す |
- 例:2025年度の実績を、2026年度の7月末日までに定期報告で出す。
- 届出先は、使用状況届出書が経済産業大臣、定期報告書・中長期計画書が主務大臣。
- CO₂の報告事項を省令で決めるときは、経済産業大臣が環境大臣に協議する(法第16条第2項)。
- 選任・解任の届出は別の書類。期限は選任・解任の期限と届出へ。
非化石転換の目標と計画・報告 ── 合理化とは別に、非化石の割合を上げる計画

| 比べる点 | 合理化の計画(法第15条第1項) | 非化石転換の計画(法第15条第2項) |
|---|---|---|
| 目標の物差し | エネルギー消費原単位などを下げる | 使うエネルギーに占める非化石の割合を上げる |
| 出す者 | 特定事業者すべて | 他者へ供給する熱・電気のための燃料を除いて1,500 kL以上の特定事業者 |
| 提出の軽減 | 効率などの条件を2年度以上続けて満たせば最長5年ごと | 内容が変わらなければ最長5年ごと |
| 不十分なときの措置 | 指示→公表→命令 | 勧告→公表(命令なし) |
なぜ:使う量を減らすことと、中身を非化石に替えることは別の取組。重油を木質バイオマスに替えても使う熱量は減らず、高効率の設備に替えても燃料が化石のままなら割合は上がらない。だから目標も計画も別々に立てる。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 非化石転換の中長期計画は、特定事業者なら例外なく出す | × | 他者供給分の燃料を除いて1,500 kL未満の者は除かれる |
| 非化石転換が著しく不十分なら、国は計画の作成を指示し、従わなければ命令できる | × | 非化石転換は勧告と公表まで |
| 非化石転換の計画は、内容が変わらなければ最長5年ごとに出せばよい | ○ | 則第35条第3項 |
| 合理化と別に非化石転換の計画を求めるのは、量と中身が別の取組だから | ○ | 片方が進んでも、もう片方は進むとは限らない |
| 非化石転換の目標は、非化石エネルギーの割合を上げる目標として立てる | ○ | 物差しは量でなく割合 |
- 定期報告にも非化石エネルギーの使用状況を書く(則第37条第9号)。
- 非化石転換の計画の作成事務は、企画推進者の補佐の範囲から除かれ、統括者の業務に残る(法第9条第1項)。
- 他者に熱や電気を供給する者は、その熱・電気を作るための燃料に係る部分を転換の目標から除く。
関連:エネルギーと非化石エネルギーの定義、非化石エネルギーへの転換の進め方
認定管理統括事業者と連携省エネルギー計画 ── 親子は一括、他社とは共同の計画

| 比べる点 | 認定管理統括事業者(法第31条) | 連携省エネルギー計画(法第50条) |
|---|---|---|
| 組む相手 | 完全子会社・子会社・関連会社などの密接関係者 | 他の工場等を設置している者 |
| 手続 | 親が経済産業大臣の認定を受ける | 共同で計画を作り、経済産業大臣の認定を受ける |
| まとまるもの | 定期報告・中長期計画、統括者・企画推進者 | 連携した措置の省エネ量を、決めた算出方法で各社へ配分 |
| 残るもの | 指定工場等ごとの管理者・管理員 | 各社の定期報告(配分した量も書く) |
なぜ:グループの省エネの方針や投資は親会社が決めることが多いので、親が一体で計画・報告し、事業者の段の役もまとめる。ただし設備の管理は現場でしかできないので、工場等ごとの管理者・管理員は残る。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 親会社は密接関係者と一体で取り組むなら、認定を受けてグループの報告・計画をまとめて出せる | ○ | 法第31条・第39条・第40条 |
| 認定を受けると、子会社の指定工場等でも管理者・管理員を選ばなくてよい | × | まとまるのは統括者・企画推進者まで |
| 連携省エネルギー計画は、連携する事業者がそれぞれ単独で作って認定を受ける | × | 共同で作り、共同で申請する |
| 計画に各社の使用量の算出方法を書かせるのは、成果の分け方を前もって決めるため | ○ | 一社に偏って表れる効果を配分する |
| 認定を受けるには、親会社単独で1,500 kL以上が要る | × | 親と申請に係る密接関係者の合計で1,500 kL以上 |
- 密接関係者の範囲は規則で定める(則第43条)。
- グループの合計が1,500 kL以上となる見込みがなくなれば、認定は取り消されうる(法第31条第2項第2号)。
- 連携の計画の変更も共同で認定を受ける。軽微な変更は共同で届け出る(法第51条)。
原単位の努力目標とベンチマーク ── 中長期に年平均1%以上、毎年の義務でない

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目標 | エネルギー消費原単位(または電気需要最適化評価原単位)を、中長期的にみて年平均1%以上下げる |
| 性格 | 努力目標。毎年度の達成を義務づけるものではない |
| ベンチマーク | 業種ごとの指標で、目指すべき水準の達成を目指す |
| 効率の計算 | 当年度の原単位 ÷ 4年度前の原単位、の4乗根 |
| 計画の軽減 | 効率99%以下か、ベンチマークの水準達成が2年度以上続けば、合理化の計画は最長5年ごと |
なぜ:総量で目標を立てると、事業を広げた会社は省エネしても外れ、縮めた会社は何もしなくても達成してしまう。原単位なら事業の伸び縮みと切り離して効率だけを見られる。単年度は生産の変動で上下するので、数年の平均で見る。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 目標は、原単位を中長期的にみて年平均1%以上下げるよう努めること | ○ | 判断基準の目標部分 |
| 原単位は、毎年度かならず前年度比1%以上下げなければならない | × | 中長期の平均で見る努力目標 |
| 計画の軽減で使う効率は、4年度前との比の5乗根である | × | 4乗根。年と年の間の変化は4回 |
| 4乗根の効率が99%以下の状態が2年度以上続けば、合理化の計画は最長5年ごとでよい | ○ | 則第35条第2項第1号 |
| 目標を総量でなく原単位で示すのは、事業の伸び縮みと切り離すため | ○ | 効率の変化だけを取り出す |
- 毎年1%ずつ下がると、4年度前との比は0.99⁴≒0.961。その4乗根が0.99=99%。
- ベンチマークの水準達成で軽減を受けるには条件がある。達成した事業の使用量が、全工場等の使用量の過半を占めること(則第35条第2項第2号)。
- 定期報告には、生産数量や延床面積など使用量と密接な関係をもつ値と、効率を書く(則第37条)。
関連:原単位管理
合理化計画の指示・公表・命令 ── 指示→公表→命令、非化石は勧告・公表まで

| 段 | 合理化(法第17条) | 非化石転換(法第18条) |
|---|---|---|
| 指導・助言 | 工場等でエネルギーを使って事業を行う者すべて(法第6条) | 同じ |
| 1段目 | 指示(合理化計画の作成・提出、変更、実施) | 勧告 |
| 2段目 | 公表(指示に従わないとき) | 公表(勧告に従わないとき) |
| 3段目 | 命令(正当な理由なく措置をとらないとき。審議会等の意見を聴く) | なし |
なぜ:いきなり強制すると、技術水準や投資の時期など事業者の事情を無視してしまう。そこで弱い手段から順に強める。命令は従わなければ罰則につながる重い処分なので、審議会の意見を聴いて妥当かを確かめる。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 合理化が著しく不十分な特定事業者には、指示・公表・命令と段階を追って強める | ○ | 法第17条 |
| 指示に従わない特定事業者に命令するとき、審議会等の意見を聴く必要はない | × | 総合資源エネルギー調査会などの意見を聴く |
| 判断基準を勘案した指導・助言は、特定事業者だけが対象である | × | 工場等でエネルギーを使って事業を行う者すべて |
- 公表と命令は、どちらも指示に従わない場合の措置。命令の前に公表を経ることは条文上の要件ではない。
- 意見を聴く審議会等は総合資源エネルギー調査会。業種によっては事業を所管する大臣ごとの審議会になる(令第7条)。
- 非化石転換に命令がないのは、燃料や電気の調達など事業者だけでは決めきれない条件に左右されやすいためと考えられる。
関連:罰則の対象
出典:省エネ法 第2・6・7・9・15〜18・31・39・40・50〜52条、同法施行令 第7条。同法施行規則 第5・35〜37・43条(2026年4月1日時点)。エネルギー管理士試験講座 共通Ⅰ(省エネルギーセンター)1編2章。
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