熱Ⅲの燃焼装置のうち、ガスを燃やす側の論点を表で並べました。気体燃料の供給系、混合方式、逆火と吹き飛び、保炎と通風、低NOx燃焼です。
油バーナと固体燃料の燃焼装置は油バーナと固体燃料の燃焼装置の論点の記事にあります。
気体燃料の供給系と安全装置 ── ガバナで圧を下げて一定に、異常時は遮断
| 機器・方式 | 役割 | 押さえる所 |
|---|---|---|
| ガバナ(圧力調整器) | バーナ側(2次側)のガス圧を一定に保つ | 2次側は1次側(供給側)より必ず低く設定 |
| ガスブースタ(昇圧器) | 一時的に多量に送るとき圧力を上げる | 出口圧が異常に高いとバイパスが開く |
| 均圧弁方式 | ガス圧を空気圧に等しくして空気比を一定に | 拡散燃焼形バーナに使う |
| ベンチュリーミキサ方式 | 空気流にガスを(またはガス流に空気を)吸い込ませる | 予混合形バーナに使う |
| 緊急遮断弁(燃焼安全制御) | 異常時に燃料を自動で断つ | 燃料・燃焼用空気・冷却水の供給圧力の異常低下、火炎検出器の異常信号、停電 |
なぜ:ガバナは弁で絞って圧力を下げる機器です。絞りで作れるのは「上流より低い圧力」だけなので、2次側を1次側より低く決めておけば、上流が揺れても下流を一定に保てます。炎が消えたままガスが出続けると、炉内に燃える混合気がたまって爆発します。だから異常を感じたら燃料そのものを断つのが安全装置の役目です。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| ガバナは、バーナ側の圧力を供給側より高く設定して使う | × | 2次側(バーナ側)は1次側より低く |
| 均圧弁でガス圧を空気圧にそろえる方式は、拡散燃焼形バーナに使う | ○ | 予混合形はベンチュリーミキサ方式 |
| ガスブースタの出口圧が上がりすぎると、バイパスが開いて圧力を下げる | ○ | 昇圧したガスを入口側へ戻す |
| 燃焼安全制御で燃料を自動で断つのは、炎が消えたときだけ | × | 燃料・空気・冷却水の供給圧力の異常低下や停電でも断つ |
- 均圧弁方式とベンチュリーミキサ方式は、どちらもガス量と空気量の比を一定に保つ空気比例制御の方式。
- ガバナには高圧用・中圧用・低圧用がある。ダイヤフラムで2次側の圧力を感じて弁の開きを変える。
- LPG は液体で貯蔵し、使う量が多いときは水蒸気・温水・電気を熱源にした蒸発器で気体にする。
- 燃焼炉の安全は、JIS B 8415(工業用燃焼炉の安全通則)や海外の規格に準じて工場・メーカが自主的に規制している。
関連:気体燃料の性状と種類
ガスバーナの混合方式 ── 炎の前で混ぜるか、炎の中で混ぜるか

| 方式 | 混ぜる場所 | 炎・逆火・使われ方 |
|---|---|---|
| 拡散燃焼 | 別々の噴孔から出て、接する面で混ざる | 輝炎ですすが出やすい。逆火なし。工業用でもっとも多く、予熱空気も使える |
| 部分予混合(大気圧ガスバーナ) | 1次空気(全燃焼空気の30〜80%)を先に混ぜ、残りは2次空気 | 1次空気の量で炎の長さ・輝度が変わる。逆火に配慮 |
| 完全予混合 | 燃焼に要る空気の全量を先に混ぜる | 不輝炎で急速燃焼。燃焼室を小形にでき、高熱炉・雰囲気炉に。逆火に十分な配慮 |
なぜ:先に混ぜておけば、炎は混ざるのを待たずに燃え進むので、速く短く燃えます。その代わりバーナの中に燃える混合気があるので、炎が逆向きに入り込むおそれ(逆火)が生まれます。拡散燃焼は混ざる速さで燃え方が決まるので反応が遅く、酸素の届かない所で燃料が分解して炭素ができ、輝炎・すすになります。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 燃料と空気を別の噴孔から出し、接する面で混ぜて燃やすのは予混合燃焼バーナ | × | それは拡散燃焼バーナ |
| 拡散燃焼バーナが工業用に多いのは、逆火の心配がなく燃焼量を広く変えられるから | ○ | 予熱空気も使える |
| 部分予混合バーナで先に混ぜる1次空気は、全燃焼空気の1〜2割程度 | × | 30〜80%。この量で炎の長さ・輝度を変える |
| 完全予混合バーナは燃焼が速いので、燃焼室を小さくできる | ○ | 2次空気が要らない |
| リング形の拡散バーナは、0.1〜0.25 MPa の比較的高いガス圧で使う | × | 高圧用はガン形・マルチスパッド形。リング形は低圧用 |
- ガスバーナは、燃料と空気の混合方式で拡散燃焼方式と予混合燃焼方式に大別される。
- 拡散燃焼のノズル形バーナは、噴孔の径・数・配置・角度を変えて、燃焼室の形に合った炎にできる。
- 部分予混合ガスバーナはベンチュリー管を使い、ガス圧の動圧で1次空気を大気から吸い込む。
関連:拡散燃焼
逆火と吹き飛び ── 流速が遅すぎれば逆火、速すぎれば吹き飛び

| 予混合気の流速 | 炎のふるまい | 結果 |
|---|---|---|
| 燃焼速度より小さい | 炎が出口から管の中(上流)へ戻る | 逆火 |
| 炎の面に垂直な成分が燃焼速度とつり合う | 炎が出口の縁にとどまる | 安定 |
| 大きすぎる | 炎が出口から離れて消える | 吹き飛び(消炎) |
なぜ:予混合の炎は、未燃の混合気に向かって燃焼速度で進みます。流れが炎を押し返す速さと、炎が上流へ進む速さがつり合う所で炎は止まります。流れが負ければ炎は上流へ入り込み(逆火)、勝ちすぎれば炎が押し流されて消えます(吹き飛び)。拡散燃焼はバーナの中に燃える混合気がないので、逆火は起こりません。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 予混合燃焼で混合気の流速を大きくしすぎると、逆火が起こる | × | 吹き飛び。逆火は流速が燃焼速度より小さいとき |
| 燃料や空気を予熱して混合気の温度を上げると、逆火しやすくなる | ○ | 予混合燃焼は予熱による余熱利用が難しい |
| ブンゼン炎の内炎の頂角を2α、流速を v とすると、燃焼速度は v cosα | × | v sinα。炎の面に垂直な成分 |
| プロパン−空気の予混合では、燃料を濃くするほど安定に燃える範囲が狭くなる | × | 広くなる |
| 拡散燃焼に逆火のおそれがないのは、炎が伝わっていく混合気がバーナの中にないから | ○ | 燃料と空気の境目で燃える |
- 燃焼速度は、火炎面に垂直に未燃混合気へ進む火炎面の相対的な速さ。
- ブンゼン炎では内炎の表面が着火面で、Vt=v sinα(α は流れと内炎の面のなす角)で燃焼速度を求められる。
- 流速を縦軸にとると、安定に燃える範囲は逆火の境と吹き飛びの境にはさまれた帯になる。燃料が濃いほど吹き飛びの境が上がり、帯が広がる。
- 予混合燃焼は単位時間当たりの燃焼量を大きくとれ、高負荷燃焼に向く。
関連:予混合燃焼と燃焼速度
保炎(エアーレジスタ)と通風方式 ── 循環域に高温ガスをとどめて炎を保つ

| エアーレジスタの部品 | 役割 | 押さえる所 |
|---|---|---|
| 風箱(ウィンドボックス) | 炉へ送る空気の流れを一様・対称にする | 押込み通風・平衡通風で使う |
| レジスタベーン | 空気に旋回を与えて燃料との混合を促す | 可変式は開度で炎の形をある程度変えられる |
| 保炎器(スワラタイプ) | 旋回羽根で空気を回して循環流を作る | 軸流式・半径流式・混流式 |
| 保炎器(バッフルタイプ) | 保炎板(スリットのある円すい状の板)で炎を保つ | 旋回羽根ではない |
| バーナタイル | 燃焼室の入口をつくる耐火物の壁。内面は円すい状 | 円すい角と炎の開き角を合わせる |
なぜ:バーナから出る空気と燃料の流れは速く、そのままでは炎が押し流されて吹き消えます。旋回を与えると、中心付近に戻る流れ(循環流)ができます。流れの遅い所に高温のガスがとどまり、次に来る燃料に火を付け続けるので炎が安定します。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 押込み通風では、炉内は大気圧より低い負圧になる | × | 正圧。負圧になるのは自然通風・誘引通風 |
| 平衡通風は押込みと誘引を併用し、炉内圧を大気圧付近に保つ | ○ | 通風抵抗の大きい大型設備に多い |
| 旋回羽根で空気を回し循環流を作るのは、バッフルタイプの保炎器 | × | スワラタイプ。バッフルは保炎板 |
| 可変式のレジスタベーンでは、開度で炎の形をある程度変えられる | ○ | 固定式と可変式がある |
- 自然通風:煙突の通風力だけ。炉内は負圧。構造は簡単だが、気象で通風量が変わる。
- 押込み通風:送風機で燃焼用空気を送る。炉内は正圧。誘引通風:煙道の排風機で排ガスを吸い出す。炉内は負圧。
- 平衡通風:押込み送風機と排風機を併用し、炉内圧を大気圧かごくわずか低いくらいに調節する。
- 炉圧が負圧すぎると周りの空気が入り込んで過剰空気の損失、高すぎると炉内ガスがすき間から漏れて損失と炉殻の損傷になる。
関連:工業炉の計装と制御
低NOx燃焼法 ── 炎の温度と酸素の濃さを下げてNOxを抑える

| 燃焼での抑え方 | やること | 下げるもの |
|---|---|---|
| 2段(多段)燃焼 | 1段目を空気比 0.8〜0.9 で燃やし、残りの空気を下流で足す | 酸素の濃さ・炎の温度 |
| 濃淡燃焼 | バーナを二分し、燃料過剰の炎と空気過剰の炎に分ける | 2段燃焼と同じ効果 |
| 排ガス再循環 | 低温の排ガスを燃焼用空気に混ぜる(混合率30%以下) | 酸素の濃さ・炎の温度 |
| 低酸素燃焼 | 空気比を下げる | 酸素の濃さ(これだけでは大幅には減らない) |
| 水・水蒸気噴射、空気予熱温度の低減 | 炎を冷やす | 炎の温度 |
| 燃焼室熱発生率の低減 | 放熱を増やして燃焼室のガス温度を下げる | 炎の温度 |
| 炉内脱硝燃焼 | 主燃焼域の後に2次燃料を吹き込み、還元域を作る | できた NOx を還元する |
なぜ:空気中の窒素からできる NOx は、温度が高いほど、酸素が多いほど、高温にいる時間が長いほど多くできます。通常の燃焼では空気比 1.0〜1.2 で最大になります。だから燃焼の工夫は、炎の温度・酸素の濃さ・高温域にいる時間のどれかを下げることになります。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 低NOxバーナは、炎の温度を高く保ち、高温域に長くとどめてNOxを抑える | × | 炎の温度を下げ、高温域の滞留時間を短くする(急速燃焼形・緩慢燃焼形・分割火炎形などの方式がある) |
| 2段燃焼式のガスバーナは、1段目を NOx が最大の空気比 1.0〜1.2 で燃やす | × | そこを避け、0.8〜0.9 のような低い空気比で |
| 排ガス再循環は、排ガスで燃焼用空気の酸素濃度を上げる方法 | × | 下げて燃焼温度を下げる |
| 濃淡燃焼では、すべてのバーナを理論空気量以下で燃やす | × | それは2段燃焼。濃淡は燃料過剰と空気過剰に分ける |
| 低酸素燃焼で空気比をどこまで下げられるかは、ばいじん・CO・炭化水素の増え方で決まる | ○ | これだけで大幅な低減は期待できない |
- 低NOxバーナの基本は、①燃料と空気の拡散混合を緩慢に ②非化学量論的な燃焼を促す ③炎の熱放射を促す、の3つ。
- 流体噴霧式油バーナの低NOx形チップは、噴射孔を集めて燃料の濃淡を作り、燃料過剰炎と空気過剰炎で燃やす。
- 排ガス再循環は量が多いほど効くが、炎の安定のため混合率は30%以下にする。多段燃焼はもっとも有望な方法とされる。
- ガス用の2段燃焼式バーナは、一般に大容量バーナには使われていない。
出典:エネルギー管理士試験講座(省エネルギーセンター)熱分野Ⅲ「燃料と燃焼」1編 3・4・6章。同 熱分野Ⅳ「熱利用設備及びその管理」2編 3章
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