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フランジの規格と呼び圧力|JIS KとASME Classを混同しない

フランジの規格と呼び圧力|JIS KとASME Classを混同しない

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「10Kフランジなら1 MPaまで」「Class 150なら150 psiまで」と考えるのは危険です。JISのK呼びやASMEのClassは、単独で使用可能圧力を示す数字ではありません。

フランジが設計条件に使えるかは、適用規格と版、呼び圧力またはClass、材料グループ、設計温度をそろえ、圧力―温度レーティングで判断します。さらに、相手側と寸法系列、座面、ガスケット、ボルトが一致して初めて、一つの継手として成立します。

この記事では、数値表の暗記ではなく、フランジ仕様を間違えないための確認順序を説明します。

1. 呼び圧力は使用圧力そのものではない

JIS B 2220は鋼製管フランジを5K、10K、16K、20K、30K、40K、63Kなどの呼び圧力で区分します。ASME B16.5はClass 150、300、400、600、900、1500、2500などのrating classを用います。

これらは、規格の中でフランジを分類する呼び名です。数字だけを取り出して、設計圧力と直接比較してはいけません。

規格と版、呼び圧力またはClass、材料グループ、設計温度から圧力温度レーティングを確認し、設計圧力と比較する流れ
規格と版、呼び圧力またはClass、材料グループ、設計温度から圧力温度レーティングを確認し、設計圧力と比較する流れ(一次資料を参考に当サイト作成)

たとえば、ASMEのClass 150は「150 psiまで使える」という意味ではありません。同じClassでも材料グループと温度が変われば、表から読み取る許容圧力は変わります。

JISのK呼びも同じです。「10K」という名称だけで使用可否を確定せず、該当する規格版の圧力―温度基準を確認します。

2. 圧力―温度レーティングは4つの入力で読む

フランジの圧力―温度レーティングを読むときは、次の4点を先に固定します。

  1. 適用規格と版
  2. 呼び圧力またはClass
  3. フランジ材料と材料グループ
  4. 設計温度

この4点から、該当表に示される最高使用圧力を確認し、設計圧力以上であることを判定します。

確認項目なぜ必要か典型的な誤り
規格と版規定範囲、寸法、材料区分、表が版で異なる古い社内表だけを参照する
呼び圧力・Classレーティング表の系列を決める数字を圧力値として読む
材料グループ同じ等級でも材料により定格が異なる炭素鋼からステンレス鋼へ変更して再確認しない
設計温度温度に応じた許容圧力を選ぶ通常運転温度だけで判断する

実務では、設計圧力と設計温度を別々に最大値だけで扱わず、想定する圧力・温度の組合せを確認します。起動、停止、加熱、冷却、弁閉止などで、最高圧力と最高温度が同時に生じない場合でも、採用する設計条件と規格上の評価方法を明確にします。

また、レーティングを満たしても、腐食性、低温ぜい性、繰返し荷重、ガスケット、ボルト、相手側機器の限界が別にあります。フランジ本体の表だけで継手全体の健全性が保証されるわけではありません。

3. JIS 10KとASME Class 150は換算関係ではない

JISとASMEは別の規格体系です。圧力帯が近く見える呼び名があっても、KとClassを相互換算して選定することはできません。

JISとASMEで外径、ボルト穴、ボルト穴中心円、座面、ガスケット寸法を個別に照合する必要を示した図
JISとASMEで外径、ボルト穴、ボルト穴中心円、座面、ガスケット寸法を個別に照合する必要を示した図(一次資料を参考に当サイト作成)

相手フランジとの接続では、少なくとも次を同じ規格版の寸法表で確認します。

  • 呼び径またはNPS
  • フランジ外径
  • ボルト穴数と穴径
  • ボルト穴中心円径
  • フランジ厚さ
  • 座面の形式と寸法
  • ガスケットの内径・外径・形状
  • 管との接続形式

ボルトが穴へ通ったことは、互換性の証明になりません。座面やガスケットの有効範囲がずれていれば、必要な面圧を得られず、漏えいにつながります。

輸入機器などで規格系列が切り替わる場合は、次のいずれかを設計段階で決めます。

  1. 機器ノズルを配管側と同じ規格で発注する
  2. 規格境界用の接続部品またはトランジションを個別設計する
  3. 境界から先の規格系列を統一し、P&ID、配管図、機器仕様書へ明示する

「変換フランジ」という名称だけで発注せず、両面の規格、寸法、材料、レーティング、座面、ボルト、ガスケットを仕様書で定義します。

4. 座面はFF・RF・RJをガスケットと組み合わせて選ぶ

フランジの接合面は、ガスケットをどこへ配置し、どの範囲へ面圧を与えるかを決めます。代表的な形式は全面座(FF)、平面座・レイズドフェイス(RF)、リングジョイント座(RJ)です。

全面座FF、レイズドフェイスRF、リングジョイントRJの断面とガスケット位置を比較した図
全面座FF、レイズドフェイスRF、リングジョイントRJの断面とガスケット位置を比較した図(一次資料を参考に当サイト作成)
座面構造選定上の要点
FF(Flat Face、全面座)フランジ面が一面で、全面形ガスケットはボルト穴部分まで覆う鋳鉄、非鉄、非金属など曲げ強さが低い相手で採用されることがある。相手材とメーカー指定を確認する
RF(Raised Face)ボルト円の内側に盛り上がったガスケット座を設けるプロセス配管で広く使われる。座面寸法とガスケット寸法を同じ規格系列でそろえる
RJ(Ring Joint)対向する溝へ金属リングを組み込む高温・高圧用途などで使われる。溝、リング番号、材料、硬さ、規格系列を一致させる

FFとRFを「ボルト穴が合うから」と現場合わせしてはいけません。相手が鋳鉄、樹脂、FRPなど曲げに弱い材料の場合、局部的な曲げや座面荷重が損傷につながる可能性があります。組合せの可否は、適用規格、機器・弁メーカーの要領、ガスケット仕様に基づき判断します。

RJも、金属リングを入れればよいわけではありません。溝形状とリングが対応し、両側の座面が同じ規格系列である必要があります。RF用ガスケットとの代用はできません。

5. フランジ形式は管との接続方法も指定する

フランジ仕様は座面だけでは決まりません。管へどう取り付けるかも指定します。

形式管との接続主な確認点
ウェルドネック突合せ溶接管厚、開先、内径段差、非破壊検査、外力
スリップオン管を差し込み、内外をすみ肉溶接差込み位置、溶接部、適用範囲
ソケット溶接小口径管をソケットへ差し込み、すみ肉溶接すき間、滞留、疲労、適用口径
ねじ込み管用ねじで接続ねじ規格、シール、振動、危険流体への制限
ラップジョイントスタブエンドと遊合フランジ接液材、スタブエンド、フランジ材、回転による穴合わせ
閉止フランジ配管端を閉止内圧荷重、開放手順、重量、将来接続

形式の詳しい使い分けは、管継手と配管溶接の記事で扱います。本記事では、発注時に形式を省略しないことが要点です。

6. フランジは継手一式で仕様を決める

フランジ継手は、左右のフランジ、ガスケット、ボルト・ナットの組合せです。一つの部品だけを上位材や上位Classへ変更しても、継手全体が自動的に強くなるわけではありません。

フランジ仕様書または配管クラスには、次を一式で記載します。

  1. 適用規格と版
  2. 呼び径またはNPS
  3. 呼び圧力またはClass
  4. フランジ材料
  5. 管との接続形式
  6. 座面形式と仕上げ
  7. ガスケットの形式・材料・寸法規格
  8. ボルト・ナットの材料、寸法規格、必要な施工条件

とくに既設取り合い、輸入機器、仮設配管、異材接続では、配管クラスの標準から外れる項目が増えます。規格境界を図面へ記入し、調達品のミルシート、マーキング、寸法を受入時に照合します。

7. 選定は設計条件から相手フランジまで順に確認する

フランジを選ぶ実務手順は次のとおりです。

  1. 流体、設計圧力、設計温度、異常時条件を確定する
  2. 適用法規、設計コード、会社標準、規格版を決める
  3. 腐食、低温、高温、接液条件から材料を決める
  4. 呼び圧力またはClassと材料グループを選び、P―Tレーティングを確認する
  5. 呼び径、管厚、接続形式を決める
  6. 座面、ガスケット、ボルト・ナットを一式で選ぶ
  7. 相手側の規格、寸法、座面、定格が一致するか照合する
  8. 配管クラス、機器仕様書、ラインリスト、図面へ境界を反映する
  9. 製作、検査、締付け、保全空間までレビューする

この順序なら、先に在庫品のフランジを選び、あとから条件を合わせる逆転を防げます。

8. よくある間違い

10Kは1 MPaまで使える

呼び名だけでは判断できません。規格版、材料、設計温度に対応するP―Tレーティングを確認します。

Class 150は150 psiまで使える

Classは等級名です。実際の定格は材料グループと温度によって変わります。

JIS 10KとASME Class 150は近いのでつながる

直接換算できません。外径、ボルト穴、中心円、座面、ガスケット寸法を規格表で照合します。

ボルトが通れば使える

座面とガスケットが正しく重なり、必要面圧を得られることが必要です。ボルト穴だけでは判断できません。

フランジ本体の定格だけ見ればよい

ガスケット、ボルト、相手フランジ、機器ノズル、流体条件のうち、最も厳しい制限が継手全体の限界になります。

9. まとめ

  • JISのK呼びとASMEのClassは、使用可能圧力そのものではない
  • 規格と版、等級、材料グループ、設計温度からP―Tレーティングを確認する
  • JISとASMEは別の寸法体系であり、呼び名を直接換算しない
  • FF、RF、RJはガスケットと相手フランジを含めて組み合わせる
  • フランジ、ガスケット、ボルト・ナット、相手側を一つの継手として評価する
  • 規格境界は配管クラス、機器仕様書、P&ID、配管図へ明示する

フランジ選定の本質は、設計条件から規格表を引き、相手側まで同じ仕様体系で接続できることを確認する作業です。

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参考文献

※ 規格の適用範囲、圧力―温度レーティング、寸法、材料区分は改訂されます。実設計・発注では、適用法規、最新版規格、会社標準、機器・弁メーカーの仕様書を確認してください。