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貯蔵所の許可と届出|3,000と1,000、10kg=1m³、そして「例外の一言」【甲種化学・法令】

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困っている人
困っている人

第一種貯蔵所と第二種貯蔵所の境目の数字が覚えられない。

液化ガスがトンで出てくると、そこで手が止まる。

そんな悩みを解決します。

この記事の内容

3,000m³/1,000m³の使い分けと、判定式 N=1,000+(2/3)×M

液化ガスの換算 10kg=1m³ ── これを知らないと解けない

10年で4回出た「第一種製造者なら貯蔵所の許可は不要」の例外

第二種貯蔵所でも技術基準は第一種と同じ

この分野は10年で13記述。ほぼ毎年、しかも同じ数字が出ています。

貯蔵所は製造の許可と届出まったく同じ構造をしています。

危険度の低いガスは閾値を緩く。混合は式で判定。境界は「以上」。

違うのは数字だけです。だから片方を理解していれば、ここは数字を入れ替えるだけで済みます。

3,000m³と1,000m³ ── まず数字を固定する

ガスの区分第一種貯蔵所(許可)になる量備考
第一種ガス
(不活性ガス・空気など)
3,000m³以上燃えず毒性もないので緩い
第二種ガス
(第一種ガス以外)
1,000m³以上可燃性・毒性を持ちうる
〔法〕第16条第1項、〔令〕第5条

これ未満(かつ一定量以上)なら第二種貯蔵所=届出です。

呼び名が変わることに注意

場面危険度の低いガスそれ以外
製造(〔法〕第5条)第一種ガス「第一種ガス以外のガス」
貯蔵(〔法〕第16条)第一種ガス「第二種ガス」

同じものを指しているのに、条文の場所で呼び名が変わります。これ自体が出題されたことはありませんが、条文を読むときに混乱する原因になります。

10年で6回、数値だけで判断させる出題

年度・問出た数値判定
H28問4イ/R5問4ロ第一種ガス 2,200m³× 3,000に届かない
H28問4ハ/R5問4ハ第二種ガス 900m³× 1,000に届かない
R2問2ロ第二種ガス ちょうど1,000m³×(記述は「第二種貯蔵所でよい」)
「以上」なので第一種貯蔵所が必要
H29問2ロ種類によらず 3,000m³以上 高いほうの閾値を超えている

2,200と3,000、900と1,000。 近い数値で迷わせるのが定番です。

そしてちょうど1,000m³は第一種貯蔵所。条文は「以上」だからです。この「以上/超える」の話は製造の記事でも同じ形で出ています。法令全体を通じた最頻出の引っかけだと思ってください。

混合したら N=1,000+(2/3)×M

貯蔵の判定式

N=1,000+(2/3)×M

N:第一種貯蔵所になる閾値[m³]

M:第一種ガスの貯蔵容積[m³]

貯蔵量の合計がN以上なら第一種貯蔵所

製造の T=100+(2/3)×Sまったく同じ形です。100が1,000に変わっただけ。

実際に出た計算(平成28年度 問4ロ・令和5年度 問4イ)

第一種ガスを1,200m³、第二種ガスを600m³貯蔵する。第一種貯蔵所か。

〔解答〕

M=1,200

N=1,000+(2/3)×1,200=1,000+800=1,800

貯蔵量の合計=1,200+600=1,800

1,800 ≧ 1,800 なので 第一種貯蔵所(○)

この問題、10年で2回まったく同じ数字で出ています。しかも製造側の計算問題も「ちょうど閾値と一致」でした。作問者は境界値を試したがっています。

式の意味を1行で

第一種ガスが多いほど、閾値が上がる。 M=0なら N=1,000、M=3,000なら N=3,000。両端でちゃんと単独の閾値に戻るように作られています。

暗記ではなく、この性質で式を思い出してください。 係数が2/3であることさえ覚えていれば、切片の1,000(製造なら100)は単独の閾値そのものです。

液化ガスは 10kg=1m³ に換算してから判定する

換算則

質量10kg = 容積1m³

1トン=1,000kg=100m³

→ トンで出てきたら ×100 でm³になる

この換算を知らないと、液化ガスの問題は手が出ません。

実際に出た形(令和元年度 問2ロ)

貯蔵能力1,000トンの貯槽で液化プロピレンを貯蔵する。第一種製造者が製造の許可を受けたところに従う場合、第一種貯蔵所としての許可は要るか。

〔解答〕

1,000トン = 1,000,000kg = 100,000m³

第二種ガスの閾値1,000m³を100倍も超えている。

それでも 許可は不要(○)。理由は次の節。

わざわざ換算させて「閾値を大きく超える」と印象づけたうえで、結論は「許可不要」。数値に気を取られると間違えます。

最頻出の例外 ── 第一種製造者は貯蔵所の許可が要らない

〔法〕第16条第1項ただし書。10年で4回出ています。

例外の内容

第一種製造者(冷凍のため製造をする者を除く)が、

製造の許可を受けたところに従って貯蔵するなら、

第一種貯蔵所の許可は要らない

なぜ要らないのか

二重規制を避けるためです。

第一種製造者は、製造の許可を取るときに貯蔵設備も含めて審査されています。同じ設備をもう一度、貯蔵所として審査する意味がない。だから貯蔵所の規制がかかりません。

これは法規制の全体像でも出てくる考え方で、「すでに審査を受けているものは重ねて規制しない」という一貫した設計です。

出た形はすべて同じ

年度・問記述判定
H30問2ロ水素3,000m³。許可を受けたところに従っても第一種貯蔵所の許可が要る×
R1問2ロ液化プロピレン1,000トン。許可を受けたところに従うなら不要
R4問2ロ酸素3,000m³。許可を受けたところに従っても許可が要る×
R6問2ハ3,000m³でも許可の範囲なら第一種貯蔵所は不要

4回とも同じ論点。数値が3,000m³だったり1,000トンだったりするだけです。

判定手順を固定してください。

  1. 主体は誰かを先に見る。第一種製造者か、販売業者か、第二種製造者か
  2. 第一種製造者で、許可を受けたところに従うなら → 貯蔵所の許可は不要
  3. それ以外なら → 数値を閾値と比べる

数値から先に見ると引っかかります。 主体が先です。

逆に、主体が販売業者・第二種製造者なら

例外は使えません。素直に数値で判定します。令和5年度の問4(イ・ロ・ハ)はすべて「販売業者が販売のため貯蔵する」設定でした。

第二種貯蔵所でも、技術上の基準は第一種と同じ

出た正しい記述(令和3年度 問2ハ)

技術上の基準に適合するよう維持する義務は第二種貯蔵所の所有者・占有者にもあり、その基準の中身は第一種貯蔵所に適用されるものと変わらない

○(正しい)

第一種と第二種の違いは、規制の入口(許可か届出か)だけ。設備に求める安全水準は同じです。

貯蔵しているガスの危険性は、量が少なくても変わりません。量が半分だからといって、腐食が半分になるわけでも、爆発範囲が狭くなるわけでもない。 だから基準を下げる理由がない、という理屈です。

条文も、第二種貯蔵所について第一種貯蔵所の規定を準用する形をとっています(〔法〕第18条第2項)。

なお貯蔵の方法の技術基準(容器の置き方、通風、火気の距離など)は移動と貯蔵の技術基準で扱います。

暗記カードにするならこれだけ

閾値

第一種ガス(不活性・空気等):3,000m³以上で第一種貯蔵所

第二種ガス(それ以外):1,000m³以上で第一種貯蔵所

混合:N=1,000+(2/3)×M(M=第一種ガスの容積)

液化ガス:10kg=1m³。トンなら×100

例外(最頻出)

第一種製造者製造の許可を受けたところに従って貯蔵 → 貯蔵所の許可は不要

(冷凍のため製造をする者は除く)

判定は主体 → 数値の順。数値から見ない

その他

第一種と第二種の違いは入口(許可か届出か)だけ

技術上の基準は同じ(〔法〕第18条第2項で準用)

境界は「以上」。ちょうど1,000m³は第一種貯蔵所

まとめ

  • 第一種ガス3,000m³/第二種ガス1,000m³。以上なら第一種貯蔵所(許可)
  • 混合は N=1,000+(2/3)×M。製造の T=100+(2/3)×S と同じ構造
  • 液化ガスは 10kg=1m³ に換算してから判定
  • 第一種製造者が許可の範囲で貯蔵するなら、貯蔵所の許可は不要(10年で4回)
  • 判定は主体から。数値から見ると例外を見落とす
  • 第二種貯蔵所でも技術上の基準は第一種と同じ

次は販売と消費です。ここだけ「事前20日」という別のタイミングが出てきます。→ 販売・特定高圧ガス消費・廃棄

法令全体の骨格は法令20問の攻略へ。

出典:高圧ガス保安協会『甲種化学・機械 試験問題集 令和7年度版』ほか。集計は平成28年度〜令和7年度の法令20問を筆者が1記述ずつ分解して独自に行ったものです。問題文そのものの転載は行っていません。