最終確認:2026年11月3日
電験三種の電力で、水車とその運転にかかわる4つの論点をまとめた辞書です。水車の種類、比速度(ひそくど)、キャビテーションと水撃作用(すいげきさよう)、自動調速機(じどうちょうそくき)と速度調定率(そくどちょうていりつ)の順に確かめます。
電力の論点:水力発電①|水力発電②|火力発電①|火力発電②|原子力発電|新エネルギーと分散型電源|変電所|架空送電線路|送電の特性
水車の種類 ── 高落差・少流量はペルトン、低落差・大流量はプロペラが向く

| 水車 | 水の当て方 | 向く所(落差の目安) |
|---|---|---|
| ペルトン水車 | 衝動水車(しょうどうすいしゃ)。ノズルの噴流をバケットに当てる | 高落差で流量が比較的少ない所(250 m以上。200 m以上とする資料もある) |
| クロスフロー水車 | 衝動水車の仲間。円筒形(えんとうけい)のランナを、水が軸と直角に横切る | 小水力発電(農業用水・上下水道など) |
| フランシス水車 | 反動水車(はんどうすいしゃ)。渦形ケーシングから入り、ランナの出口で軸の向きに変わる | 中高落差(40〜500 m) |
| 斜流水車(デリア水車) | 反動水車。水がランナを斜めに通る | 中落差(40〜180 m程度) |
| プロペラ水車 | 反動水車。水がランナを軸の向きに通る | 低落差で流量が多い所(5〜80 m程度) |
| カプラン水車 | プロペラ水車の羽根を、流量に合わせて動かせるようにしたもの | プロペラ水車と同じ。部分負荷でも効率が落ちにくい |
落差の大きい所から順に、ペルトン・フランシス・斜流・プロペラが向きます。同じ出力なら、落差が小さいほど多くの水が要るからです。ペルトン水車は速度水頭(そくどすいとう)を使う衝動水車、ほかの3つは圧力水頭(あつりょくすいとう)を使う反動水車です。
言葉の式 理論水力 = 9.8 × 流量 × 有効落差
P0:理論水力〔kW〕 Q:流量〔m³/s〕 H:有効落差〔m〕
| よくある誤り | 正しくは |
|---|---|
| 衝動水車は、圧力をもった水がランナを通り抜けるときの反動で回る | それは反動水車。衝動水車は、ノズルで圧力水頭を速度水頭に変えた噴流を、ランナに当てて回す |
| ペルトン水車を急に止めるときは、ニードル弁でノズルを急に閉じる | ニードル弁を急に閉じると水撃作用が起こる。先にデフレクタで噴流をそらし、ニードル弁はゆっくり閉じる |
| 吸出し管は、ペルトン水車にも付けて、放水面までの落差を使う | 吸出し管は反動水車だけに付ける。ペルトン水車は噴流を空気中でバケットに当てるので、吸出し管は無い |
| フランシス水車の羽根を動かせるようにしたものが、カプラン水車 | カプラン水車は、プロペラ水車の羽根を動かせるようにしたもの |
- ランナは、水車の中で軸といっしょに回る羽根車です。バケットは、ペルトン水車のランナの周りに付いた、水を受けやすいお椀の形の羽根です。
- 水の位置エネルギーは、水圧管の中で圧力水頭になります。衝動水車は、ノズルで有効落差(ゆうこうらくさ)をすべて速度水頭(運動エネルギー)に変えます。反動水車は、圧力水頭のまま使います。
- 反動水車のランナは、水が入るときの衝撃力と、出るときの反動力で回ります。ホースから勢いよく放水すると、後ろへ押されるのと同じ力です。
- 流量は、ペルトン水車ではノズルの中のニードル弁(にーどるべん)、反動水車では入口のガイドベーン(がいどべーん)の開き方で変えます。ガイドベーンは、案内羽根とも呼びます。急停止のときに噴流をそらす板がデフレクタ(でふれくた)です。
- 吸出し管(ドラフトチューブ)は、反動水車のランナの出口から放水面までの管です。この間の落差も使えますが、高くしすぎるとキャビテーションが起きやすくなります。
- ペルトン水車は、最高効率はほかより低いものの、部分負荷でも効率が落ちにくい水車です。フランシス水車は最高効率が高い一方、部分負荷で効率が大きく下がります。
落差と流量の関係を数で見る
同じ理論水力 9 800 kWを出すとき、落差400 mなら流量は2.5 m³/sで足ります。落差20 mでは50 m³/s要ります。
- 少ない水を高い所から落とすなら、ノズルで速い噴流にして当てるペルトン水車が向きます。
- 多い水を通すなら、水が軸の向きにまっすぐ抜けるプロペラ水車が向きます。
- クロスフロー水車は、ガイドベーンを持ち、流量が少ないときでも効率が下がりにくい水車です。衝動水車と反動水車の中間とする資料もあります。
- 小水力発電は、流込み式・水路式が多く、農業用水や上下水道の低落差・少流量の水も使います。
水車発電機と発電所の機器
| 見る所 | 中身 |
|---|---|
| 水車発電機 | 突極形(とっきょくけい)・回転界磁形(かいてんかいじがた)の三相同期発電機。回転が遅いので極数が多く、水車を下に直結した立軸形が多い |
| 電圧と周波数 | 電圧の大きさは自動電圧調整器(じどうでんあつちょうせいき)、周波数(回転速度)は調速機で一定に保つ |
| 主変圧器 | 発電機側をΔ結線、系統側をY結線にしたものが多い。系統側の中性点を接地できる |
| 揚水の機械 | ポンプ水車式は、水車とポンプを兼ねる1台のポンプ水車を発電電動機につなぐ。同じ軸に水車とポンプを別々につなぐのはタンデム式 |
| ポンプ水車 | 反動水車を逆に回してポンプの働きをさせるもの。フランシス形・斜流形などがある |
| 運転 | 国内の大部分の水力発電所は、遠隔監視制御で無人化されている |
- 極数と回転速度の関係は、比速度の論点の同期速度の式で確かめます。
関連:比速度|キャビテーションと水撃作用|水力発電所の出力|揚水発電と調整池の運用|変圧器の結線と保全
比速度 ── 形をそろえて縮めた水車の回転速度で、低落差向きほど大きい

| 量 | 中身 | 単位 |
|---|---|---|
| 回転速度 | 水車が1分間に回る回数 | min⁻¹ |
| 出力 | 水車の定格出力。ペルトン水車はノズル1個、反動水車はランナ1個あたり | kW |
| 有効落差 | 総落差(そうらくさ)から損失水頭(そんしつすいとう)を引いた高さ | m |
| 比速度 | 形と流れ方を相似に保って大きさを変え、有効落差1 mで出力1 kWを出す仮想の水車の回転速度 | 単位は書かない |
比速度は、形をそろえて縮めた仮想の水車の回転速度で、水車の種類を表す数です。落差の小さい所に向く水車ほど大きく、ペルトン、フランシス、斜流、プロペラの順に大きくなります。
言葉の式 比速度 = 回転速度 × √出力 ÷ 有効落差の 5/4 乗
ns:比速度(単位は書かない) n:水車の回転速度〔min⁻¹〕 P:定格出力(衝動水車はノズル1個、反動水車はランナ1個あたり)〔kW〕 H:有効落差〔m〕
| よくある誤り | 正しくは |
|---|---|
| 比速度は、単位流量(1 m³/s)で単位出力を出す仮想の水車の回転速度 | 単位落差(1 m)。式に流量は無く、有効落差が入っている |
| ペルトン水車の比速度は、フランシス水車の比速度より大きい | 小さい。高落差に使うので、式の割る側の有効落差が大きい |
| 比速度は出力ごとに適切な範囲があり、大きいほど性能がよい | 範囲は水車の種類ごとに決まる。大きすぎる比速度の水車を大きな落差で使うと、キャビテーションが起きやすい |
| ノズルが4本のペルトン水車では、式に水車全体の出力を入れる | ノズル1個あたりの出力を入れる。反動水車はランナ1個あたり |
- 式に有効落差1 m、出力1 kWを入れると、比速度は回転速度そのものになります。これが定義と式のつながりです。
- 形が同じ水車は、大きさが違っても比速度が同じです。だから比速度は、ランナの形や特性を表す数として使われます。
- 比速度は回転速度に比例します。有効落差が半分になると、比速度は約2.38倍(2の4分の5乗)になります。
- 同じ出力のフランシス水車どうしでは、高い落差に使うものほど比速度が小さく、ランナの形が扁平になります。
- 比速度の大きな水車を大きな落差で使い、吸出し管を付けると、放水の速さが大きくなります。キャビテーションが起きやすいので、種類ごとに比速度に合った有効落差が決められています。
回転速度と極数
水車は同期発電機と直結するので、回転速度は同期速度(どうきそくど)の値から選びます。極数(きょくすう)は偶数です。
言葉の式 同期速度 = 120 × 周波数 ÷ 極数
Ns:同期速度〔min⁻¹〕 f:周波数〔Hz〕 p:極数(偶数)
| 比べる所 | 水車発電機 | タービン発電機 |
|---|---|---|
| 回転速度 | 遅い(100〜1 200 min⁻¹程度) | 速い(3 000〜3 600 min⁻¹) |
| 極数 | 多い | 少ない(火力は主に2極、原子力は4極) |
| 回転子の形と軸 | 突極形。直径が大きく、主に立軸形 | 円筒形。直径が小さく軸の向きに長い、横軸形 |
- 極数の式は、120×周波数÷回転速度です。出た値にいちばん近い偶数を選び、その極数の回転速度で比速度を出し直します。
- 50 Hz(ヘルツ)か60 Hzかで、同じ極数でも回転速度が1.2倍違います。
- 電卓では、有効落差の4分の5乗を「√を2回押して元の数を掛ける」で出せます。200なら、√200≒14.14、√14.14≒3.761、×200で約752.1です。
解き方:比速度から回転速度と極数を出す
- ① 最初の一手は、出力をノズル1個(ランナ1個)あたりの値にそろえることです。
- ② 有効落差の4分の5乗と、出力の平方根を出します。
- ③ 回転速度は、比速度×有効落差の4分の5乗÷出力の平方根で出します。
- ④ 同期速度の式で極数を選び、その回転速度で比速度を出し直します。
例の条件を短くまとめます(令和6年度上期 問15)。有効落差200 m、水車出力85 000 kW、比速度100の水車を、50 Hzの系統の同期発電機に直結します。
- 200の4分の5乗は約752.1、85 000の平方根は約291.5です。
- nは100×752.1÷291.5≒258 min⁻¹です。
- 比速度の限界は、有効落差で変わる式で決まります。有効落差200 mでの値と、この式と組で示される適用落差は次のとおりです。適用落差の端は、資料によって上の表の目安と少し違います。
| 水車 | 比速度の限界(有効落差200 m) | 適用落差 |
|---|---|---|
| ペルトン | 約27以下 | 250 m以上 |
| フランシス | 約159以下 | 50〜500 m |
| 斜流 | 約148以下 | 40〜200 m |
| プロペラ | 約149以下 | 5〜80 m |
- 比速度100は、ペルトン水車の限界を超えます。カプラン水車は、比速度は収まりますが、落差200 mが大きすぎます。
- フランシス水車は、比速度も落差も満たします。
- 極数は120×50÷258≒23.3なので、いちばん近い偶数の24極にします。
- 回転速度250 min⁻¹で、比速度を出し直します。
- 約97です。回転速度が258から250に下がった分だけ、比速度も下がります。
- 28極にすると約214 min⁻¹で、比速度は約83になり、外れます。
関連:水車の種類|キャビテーションと水撃作用|タービン発電機と水車発電機|平方根と三平方の定理
キャビテーションと水撃作用 ── 圧力が下がると泡、流れを急に止めると圧力の山

| 比べる所 | キャビテーション | 水撃作用 |
|---|---|---|
| 起きること | 圧力が飽和水蒸気圧以下に下がった所で水が蒸発して泡ができ、圧力の高い所でつぶれる | 流れの速さが急に変わり、管の中の圧力が急に上がる・下がる |
| 害 | ランナやガイドベーンの壊食、効率の低下、振動や騒音 | 水圧管が壊れることがある |
| 大きくなる条件 | 吸出し管が高い、比速度が大きすぎる、部分負荷の運転 | 案内羽根(ガイドベーン)や入口弁を閉める時間が短い、弁から開いた水面までの管が長い |
| 主な対策 | 吸出し管を高くしすぎない、比速度を大きくとりすぎない | 弁をゆっくり閉める、サージタンクを置く |
キャビテーションは、流れの中の圧力が飽和水蒸気圧より下がってできた泡が、圧力の高い所でつぶれる現象です。水撃作用は、流れを急に止めたときの圧力の跳ね上がりで、速く閉めるほど、管が長いほど大きくなります。
| よくある誤り | 正しくは |
|---|---|
| キャビテーションは、流速が最低流速より下がると起きる | 流速ではなく圧力。圧力が飽和水蒸気圧以下になると、水が蒸発して泡ができる |
| 吸出し管の高さを高くすると、キャビテーションを防げる | 高いほどランナの出口の圧力が下がり、起きやすい。低くするのが対策 |
| 水撃作用は、水圧管が短いほど、閉める時間が短いほど大きい | 管が長いほど、閉める時間が短いほど大きい |
| サージタンクは、どの形式も密閉した水槽 | 上が開いていて、水位の上下で圧力の変化を和らげる。密閉した構造ではない |
- 水は、温度が高いほど、また圧力が低いほど、水蒸気になりやすいです。その温度で水と水蒸気が釣り合うときの圧力を、飽和水蒸気圧(飽和蒸気圧)と呼びます。
- 流れの速い所では、ベルヌーイの定理のとおり圧力が下がります。ランナの出口は放水面より高いので、高さの分だけ圧力が下がり、大気圧より低くなります。
- 泡はランナなどの硬い面にくっつきやすく、つぶれるときの衝撃で表面を傷めます。この傷みを壊食(かいしょく)と呼びます。
- 水撃作用は、ウォーターハンマーとも呼びます。負荷を急に遮断すると圧力が急に上がり、急に増やすと圧力が急に下がります。水道の蛇口を急に閉めて「ドン」と鳴るのも同じです。
- 工場・現場では、ポンプの吐出側の弁が急に閉まると、同じウォーターハンマが起きます。吸込み側の圧力が足りないと、羽根車の入口で泡ができ、同じキャビテーションが起きます。
キャビテーションの対策
| 対策 | かかわる所 |
|---|---|
| 反動水車の吸出し管の高さを、高くしすぎない | 吸出し管 |
| 水車の比速度を、大きくとりすぎない | 水車の選び方 |
| 吸出し管の上部に、空気を入れる | 吸出し管 |
| 流れに接する面をなめらかな形にし、表面をよく仕上げる | ランナ・ガイドベーン |
| なるべく部分負荷で運転しない | 運転 |
| 壊食に強い材料を使う | 材料 |
水撃作用とサージタンク
| 水槽 | 置く所 | 役目 |
|---|---|---|
| ヘッドタンク(上水槽) | 無圧の水路と水圧管の間 | 流量を調整する |
| サージタンク(さーじたんく)(調圧水槽) | 圧力トンネル(圧力水路)と水圧管の間 | 水位が上下して、水撃作用による圧力の変化を和らげ、水圧管を守る |
| ライザ付きのサージタンク | 同じ | ライザ(上昇管)の水面がすばやく上がって圧力の上がりを受け、小穴から水位をゆっくり戻す |
- 弁を閉めると、圧力の波がおよそ1 000 m/sで上流へ伝わり、池やサージタンクの開いた水面で折り返して戻ります。
μ:圧力波の1往復の時間〔s〕 L:管の全長(弁から開いた水面まで)〔m〕 a:圧力波の伝わる速さ(一般に 1 000 m/s 内外)〔m/s〕
- 往復の時間より短く閉め切ると、圧力の上がりは最大の値(弁を一瞬で閉めたとき)まで上がります。往復より長くかけて閉めれば、山は低くなります。
言葉の式 圧力上昇(水頭)の最大値 = 波の速さ × 閉める前の流速 ÷ 重力加速度
Δh:圧力上昇の最大値(水頭)〔m〕 a:圧力波の伝わる速さ〔m/s〕 v:閉める前の流速〔m/s〕 g:重力加速度(9.8)〔m/s²〕
- サージタンクは、管の途中に開いた水面を作り、弁から見た管を短くします。開いた水面まで1 000 mなら、往復は2 sです。
- 試験では、式の計算よりも「管が長いほど・閉める時間が短いほど大きい」という向きが問われます。
- 試験では、ライザ付きのものを差動式と呼びます。ほかに小孔式(制水孔)、水室式があり、単動式と呼ぶ形もあります。
- どの形式も水位の上下で働くので、密閉した構造ではありません。ポンプのサージング、雷サージとは別のものです。
関連:ベルヌーイの定理と水頭|水車の種類|比速度|水力発電所の分類
調速機と速度調定率 ── 調定率が小さく定格出力の大きい機ほど多く分担する

| 周波数(回転速度) | 調速機の動き | 出力 |
|---|---|---|
| 上がる(負荷が減った) | 水車に入る水の量を減らす | 下がる |
| 下がる(負荷が増えた) | 水車に入る水の量を増やす | 上がる |
速度調定率が小さく定格出力の大きい発電機ほど、周波数の変化を多く分担します。周波数が下がると、ガバナフリー運転の発電機は調定率の直線に沿って出力を増やします。増える割合は、周波数の下がった割合÷速度調定率です。
言葉の式 速度調定率 = (回転速度の変化÷定格回転速度) ÷ (出力の変化÷定格出力) × 100
R:速度調定率〔%〕 N1:回転速度(変化前)〔min⁻¹〕 N2:回転速度(変化後)〔min⁻¹〕 Nn:回転速度(定格)〔min⁻¹〕 P1:出力(変化前)〔kW〕 P2:出力(変化後)〔kW〕 Pn:出力(定格)〔kW〕
| よくある誤り | 正しくは |
|---|---|
| 速度調定率が大きい発電機ほど、周波数の変化に対して出力を大きく変える | 出力の変化の割合は、周波数の変化の割合÷速度調定率。調定率が大きいほど、出力の変わり方は小さい |
| 周波数が下がったあとの出力は、増えた分(80 MWなど)そのもの | 初めの出力(定格×初めの割合)に、増えた分を足す |
| 調速機は、発電機の電圧の大きさを一定に保つ | 調速機は回転速度(周波数)を保つ。電圧の大きさは自動電圧調整器 |
| 調速機は、系統に並列したあとも回転速度だけを制御する | 並列までは回転速度、並列のあとは出力を調整する。事故のときは回転速度の異常な上昇を防ぐ |
- 負荷が急に減ると、水車の回転速度が上がり、周波数も上がります。回転速度を一定に保つため、水車の流量を自動で変える装置が自動調速機(ガバナ)です。
- 自動調速機を働かせたまま、周波数に応じて出力を変える運転を、ガバナフリー運転と呼びます。
- 同期発電機の回転速度は周波数に比例するので、式の回転速度は周波数に置き換えて計算できます。
- 速度調定率5%は、定格出力の分だけ出力が変わると、周波数(回転速度)が5%変わる傾きです。
- 速度調定率は、火力・原子力の蒸気タービンでも同じ考え方で、蒸気の量を変えます。試験では、式が問題文に示されます。
調速機の働き
| 見る所 | 中身 |
|---|---|
| 系統に並列する前 | 水車の回転速度を制御する |
| 系統に並列した後 | 出力を調整する |
| 事故のとき | 回転速度の異常な上昇を防ぐ |
| 動かす所 | ペルトン水車はニードル弁、フランシス水車はガイドベーンの開き方 |
| しくみ | 回転速度を検出し、演算部の信号で配圧弁を介してサーボモータを動かす |
- 横じくに出力(定格の何%)、縦じくに周波数をとると、ガバナフリー運転の発電機は右下がりの直線の上で動きます。
- 速度調定率が小さいほど直線はなだらかで、同じ周波数の変化でも出力が大きく変わります。
解き方:周波数が下がったときの2台の出力
- ① 最初の一手は、周波数の変化を定格周波数で割って、割合にすることです。
- ② その割合を各機の速度調定率で割ると、出力が定格の何割増えるかが出ます。
- ③ 定格出力を掛けてMWにし、初めの出力に足します。
例の条件を短くまとめます(令和5年度下期 問2)。2台が50 Hzでガバナフリー運転をしていて、周波数が0.2 Hz下がります。
- タービン発電機:定格1 000 MW、速度調定率5%、80%出力
- 水車発電機:定格300 MW、速度調定率3%、60%出力
- 周波数の低下は、0.2÷50=0.004で、0.4%です。0.2%や2%と取り違えないようにします。
- タービン発電機は、0.4÷5=0.08で定格の8%、1 000×0.08=80 MW増えます。初めの800 MWに足して、880 MWです。
- 水車発電機は、0.4÷3≒0.133で定格の約13.3%、300×0.4÷3=40 MW増えます。初めの180 MWに足して、220 MWです。
- 割合では水車発電機が大きく増えますが、MWでは定格の大きいタービン発電機が2倍を受け持ちます。
- 出力の変化から周波数を求める型もあります。定格出力の何割変わったかに、速度調定率と定格周波数を掛けると、周波数の変化です。
関連:比速度|水車の種類|蒸気タービンと保護装置|分数・比・割合
まとめ
水車は衝動水車と反動水車に分かれ、落差の大きい順にペルトン・フランシス・斜流・プロペラが向きます。
比速度は形をそろえて縮めた水車の回転速度で、落差の小さい所に向く水車ほど大きくなります。
圧力が下がると泡、流れを急に止めると圧力の山ができ、周波数が下がると調定率に沿って出力が増えます。
次に読む
- 前:水力発電①の論点|次:火力発電①の論点
- 関連:ベルヌーイの定理と水頭|水力発電所の出力|タービン発電機と水車発電機
- 準備編:平方根と三平方の定理|分数・比・割合
参考文献
- 『みんなが欲しかった!電験三種 電力の教科書&問題集』TAC出版 初版(2018年) CH01 水力発電の章(SEC01・SEC04)、CH02 汽力発電の章(タービン発電機と水車発電機の比較)
- 『電験3種過去問マスタ 電力の20年間』2026年版 電気書院 第1章 水力発電、第2章 汽力発電(速度調定率)
- 『流体のエネルギーと流体機械』高橋 徹 ほか 理工学社 1·6 節(水撃)
- 第三種電気主任技術者試験 電力・法規 問題(電気技術者試験センター) 平成29年度・平成30年度・令和元年度・令和2年度・令和4年度上期・令和4年度下期・令和5年度上期・令和5年度下期・令和6年度上期・令和6年度下期
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