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電験三種 法規 施設管理の計算|需要率・全日効率・力率改善・短絡・高調波

電験三種 法規 施設管理の計算|需要率・全日効率・力率改善・短絡・高調波のアイキャッチ

法令の基準日:2026年4月1日

最終確認:2026年10月16日

電験三種の法規のB問題で問われる施設管理の計算を、7つの論点に分けた辞書です。力率改善(りきりつかいぜん)、電圧降下(でんあつこうか)、短絡(たんらく)・地絡(ちらく)などを、計算の例で確かめます。

法規の論点:電気事業法①|電気事業法②|関係法規|電技の総則・絶縁|接地工事

保護と発変電所|電線路|分散型電源|電気使用場所|施設管理の計算|受電設備と自家発

需要率・負荷率・不等率 ── 分母と分子を取り違えない

需要率・負荷率・不等率:2工場の負荷曲線で、需要率は合成最大700÷設備容量1100、総合負荷率は合成の平均625÷合成最大700、不等率は各最大の和800÷700(kW)
率何を何で割るか大きさ
需要率(じゅようりつ)最大需要電力を、設備容量で割るふつう100%以下
負荷率(ふかりつ)平均需要電力を、最大需要電力で割る100%以下
不等率(ふとうりつ)各最大需要電力の和を、合成最大需要電力で割る1以上
総合負荷率合成の平均需要電力を、合成最大需要電力で割る100%以下

最大需要電力(さいだいじゅようでんりょく)は、需要率では分子、負荷率では分母です。どの率も、先に分母が何かを確かめてから割ります。

問われる形○×ポイント
2つの工場を合わせた総合負荷率の分母に、各工場の最大の和を使う×分母は合成最大需要電力
最大の時刻がずれているほど、不等率は大きい○合わせた山が低くなる
変圧器の台数を、最大需要電力のkWのまま変圧器のkV·Aで割って決める×kWをkV·Aに直してから割る
月の電力量は、最大需要電力に月負荷率と月の時間を掛けた値○最大に負荷率を掛けると平均
  • 1日の電力量は、日負荷曲線(にちふかきょくせん)の下の面積です。階段の形なら、長方形に分けて足します。
  • 3つの率の決まりは、法令ではなく一般の技術の約束です。法令では、需要率や力率(りきりつ)が明らかなら幹線の電流を修正できるとしています(電気設備の技術基準の解釈 第148条第1項・第2項)。
  • 工場・現場では、電力の山を見張る監視の装置で、山が近づくとブロワーや冷凍機の一部を止めます。工程の立ち上げの時刻をずらすのは、不等率を上げて合わせた山を下げることと同じです。

解き方:3つの率を出す

  • ① 最初の一手は、各工場の最大と、その時刻をグラフから読むことです。
  • ② 時刻ごとに足して合わせた曲線を作り、合成最大需要電力(ごうせいさいだいじゅようでんりょく)を読みます。
  • ③ 面積から1日の電力量を出し、24時間で割って平均にします。

言葉の式 平均需要電力 = その期間の電力量 ÷ 期間の時間

Pa=WT

Pa:平均需要電力〔kW〕 W:その期間に使った電力量(日負荷曲線の下の面積)〔kW·h〕 T:期間の時間(1日なら24 h)〔h〕

  • ④ 分母を確かめて割ります。負荷率は100%以下、不等率は1以上かを見ます。

例は、令和5年度上期 法規 問11 の条件です。設備容量は、A工場が400 kW、B工場が700 kWです。

A工場の需要電力は、0〜6時が100 kW、6〜18時が200 kW、18〜24時が100 kWです。

B工場は、0〜6時が600 kW、6〜12時が300 kW、12〜18時が400 kW、18〜24時が600 kWです。

  • 合わせた需要電力は700 kW、500 kW、600 kW、700 kWと変わり、合成最大需要電力は700 kWです。
  • 設備容量の合計は、400+700=1,100 kWです。合わせた需要率は次のとおりです。
需要率=700 kW1100 kW×100=63.64 %

需要率:需要率〔%〕 最大需要電力:最大需要電力〔kW〕 設備容量:設備容量(総設備容量)〔kW〕

  • 1日の電力量は、合わせた曲線の面積で、(700+500+600+700)×6=15,000 kW·hです。
Pa=15000 kW·h24 h=625 kW
  • 合わせた平均需要電力は625 kWです。総合負荷率は次のとおりです。
総合負荷率=625 kW700 kW×100=89.29 %

総合負荷率:総合負荷率(複数の需要家を合わせた負荷率)〔%〕 合成平均需要電力:合成平均需要電力(各需要家の平均需要電力の合計)〔kW〕 合成最大需要電力:合成最大需要電力〔kW〕

  • 各工場の最大需要電力は200 kWと600 kWで、和は800 kWです。不等率は次のとおりです。
不等率=800 kW700 kW=1.143

不等率:不等率(1以上。単位なし) 各需要家の最大需要電力の合計:各需要家の最大需要電力の合計〔kW〕 合成最大需要電力:合成最大需要電力〔kW〕

関連:変圧器の全日効率|幹線の許容電流

変圧器の全日効率 ── 鉄損は一定、銅損は負荷率の2乗

変圧器の1日の損失:鉄損90 Wは無負荷の時間も一定に出続け、銅損は全負荷銅損550 Wに変圧器の負荷率の2乗を掛けた大きさで時間帯ごとに変わる
損失大きさの決まり方1日の電力量
鉄損(てっそん)(無負荷損)電圧がかかっていれば一定鉄損×24時間
銅損(負荷損)変圧器の負荷率の2乗に比例時間帯ごとに出して足す

鉄損は負荷が0の時間も出続け、銅損は変圧器の負荷率の2乗で増えます。全日効率(ぜんじつこうりつ)は、1日の出力電力量を、それと損失電力量の和で割ります。

問われる形○×ポイント
変圧器の負荷率を、負荷のkWを定格のkV·Aで割って出す×kWを力率で割ってから
負荷率0.4のときの負荷損を0.4で割ると、定格の負荷損×0.4の2乗の0.16で割る
無負荷の時間は、鉄損を数えない×電圧がかかっていれば24時間
変圧器の二次側に太陽電池があると、変圧器を通るのは負荷と発電の差○銅損はその差で出す
  • ここでの負荷率は、変圧器の負荷率(負荷の皮相電力(ひそうでんりょく)÷定格容量)です。需要率の仲間の負荷率とは別の量です。
  • 変圧器の効率がいちばん高いのは、鉄損と銅損が等しいときです。全日効率とは別の量です。

解き方:全日効率を出す

  • ① 最初の一手は、時間帯ごとに変圧器の負荷率を出すことです。kWを力率で割り、定格容量で割ります。

言葉の式 変圧器の負荷率 = 負荷の皮相電力 ÷ 変圧器の定格容量

α=SPn

α:変圧器の負荷率(割合。1が定格) S:変圧器を通る負荷の皮相電力(有効電力÷力率)〔kV·A〕 Pn:変圧器の定格容量〔kV·A〕

  • ② 銅損の電力量を時間帯ごとに出して、1日分を足します。

言葉の式 その時間帯の銅損の電力量 = 負荷率の2乗 × 全負荷銅損 × 時間

Wc=α2pct

Wc:その時間帯の銅損の電力量〔W·h〕 α:その時間帯の変圧器の負荷率 pc:全負荷銅損〔W〕 t:その時間帯の長さ〔h〕

  • ③ 鉄損の電力量は、鉄損に24時間を掛けます。

言葉の式 鉄損の電力量 = 鉄損 × 電圧をかけている時間(1日なら24時間)

Wi=piT

Wi:鉄損の電力量〔W·h〕 pi:鉄損〔W〕 T:電圧をかけている時間〔h〕

  • ④ 全日効率を出します。損失と出力の単位をそろえ、100%に近い値かを確かめます。

言葉の式 全日効率 = 1日の出力電力量 ÷(1日の出力電力量 + 鉄損の電力量 + 銅損の電力量)× 100

ηd=WoWo+Wi+Wc×100

ηd:全日効率〔%〕 Wo:24時間分の出力電力量〔kW·h〕 Wi:24時間分の鉄損の電力量〔kW·h〕 Wc:24時間分の銅損の電力量〔kW·h〕

例は、平成23年度 法規 問11 の条件です。定格容量30 kV·A、鉄損90 W、全負荷銅損550 Wの単相変圧器です。

1日の負荷は、24 kW・力率80%で4時間、15 kW・力率90%で8時間です。

続いて10 kW・力率100%で6時間、無負荷で6時間です。

  • 皮相電力は、24÷0.8=30 kV·A、15÷0.9(kV·A)、10÷1.0=10 kV·Aです。変圧器の負荷率は次のとおりです。
α=30 kV·A30 kV·A=1
α=16.667 kV·A30 kV·A=0.55557
α=10 kV·A30 kV·A=0.3333
  • 銅損の電力量は、時間帯ごとに出して足します。
Wc=1.02×550 W×4 h=2200 W·h
Wc=0.55562×550 W×8 h=1358 W·h
Wc=0.33332×550 W×6 h=366.6 W·h
  • 3つを足した答えは約3.92 kW·hです。
  • 鉄損の電力量は次のとおりです。
Wi=90 W×24 h=2160 W·h
  • 出力電力量は、24×4+15×8+10×6=276 kW·hです。
ηd=276 kW·h276 kW·h+2.16 kW·h+3.92 kW·h×100=97.84 %
  • 答えは約97.8%です。力率を考えずに負荷率を出すと、約98.2%になります。

関連:需要率・負荷率・不等率

力率改善と進相コンデンサ ── 容量は改善前後の無効電力の差

力率改善の電力の三角形:有効電力300 kWは変わらず、遅れの無効電力が400 kvarから225 kvarに縮み、差の175 kvarがコンデンサの容量になる
量改善の前後で理由
有効電力(ゆうこうでんりょく)変わらないコンデンサは有効電力を使わない
遅れの無効電力(むこうでんりょく)コンデンサの分だけ減る進みの無効電力で打ち消す
皮相電力と電流減る三角形の斜辺が短くなる
力率上がる電圧と電流のずれが小さくなる

要るコンデンサの容量は、改善前と改善後の無効電力の差です。直列リアクトル(ちょくれつりあくとる)を付けると、コンデンサの端子電圧は電源電圧より高くなります。

問われる形○×ポイント
コンデンサの無効電力を、遅れの無効電力と同じ向きに足す×逆向き。遅れを打ち消す
6%の直列リアクトル付きなら、端子電圧は電源電圧に1.06を掛けて出す×電源電圧を0.94で割る
直列リアクトル付きのコンデンサ単体の容量は、設備の出力より大きい○リアクトルが打ち消す分を見込む
V結線の2台のバンクは、2台分の容量まで使える×1台の容量の√3倍まで
  • 力率を改善すると、同じ変圧器の容量で、より多くの有効電力を送れます。
  • 直列リアクトルの割合は、組み合わせるコンデンサの容量で変わります。容量の違うコンデンサと組むと、第5調波で共振に近くなることがあります。

解き方:要る容量と端子電圧を出す

  • ① 最初の一手は、改善前と改善後の無効電力を出すことです。有効電力に、力率から出したtanを掛けます。

言葉の式 無効電力 = 有効電力 × tanθ = 有効電力 × sinθ ÷ cosθ

Q=Ptan⁡θ=P1−cos2⁡θcos⁡θ

Q:無効電力(遅れ)〔kvar〕 P:有効電力〔kW〕 θ:力率角(cosθ が力率)

  • ② 2つの差が、設備として要る容量です。単位はkvar(キロバール)です。

言葉の式 要るコンデンサの容量 = 改善前の無効電力 − 改善後の無効電力

QC=Q1−Q2

QC:要る電力用コンデンサの容量(設備としての出力)〔kvar〕 Q1:改善前の無効電力〔kvar〕 Q2:改善後の無効電力〔kvar〕

  • ③ 直列リアクトルが付くときは、コンデンサの端子電圧を出します。単体の容量は、設備の容量×100÷(100−リアクトルの%)です。

言葉の式 コンデンサの端子電圧 = 電源電圧 × コンデンサのリアクタンス ÷(コンデンサのリアクタンス − リアクトルのリアクタンス)

VC=V×XCXC−XL

VC:コンデンサの端子電圧〔V〕 V:電源電圧(受電電圧)〔V〕 XC:コンデンサのリアクタンス(%で与えられることが多い)〔%〕 XL:直列リアクトルのリアクタンス(コンデンサと同じ基準の%)〔%〕

  • ④ ③の値が、電源電圧や②の容量より数%大きいかを確かめます。

例は、令和6年度上期 法規 問12 の条件です。線間電圧6,600 Vの高圧電路に、300 kW、遅れ力率0.6の三相負荷があります。

直列リアクトルのリアクタンスは、コンデンサのリアクタンスの6%です。力率を遅れ0.8に改善します。

  • 改善前と改善後の無効電力は次のとおりです。
Q=300 kW×1−0.620.6=400 kvar
Q=300 kW×1−0.820.8=225 kvar
QC=400 kvar−225 kvar=175 kvar
VC=6600 V×100 %100 %−6 %=7021 V
  • コンデンサ単体の容量は、次のとおり約186 kvarです。
QC′=175 kvar×100 %100 %−6 %=186.2 kvar

QC′:コンデンサ単体の容量(定格)〔kvar〕 QC:設備としての出力(電源に出す進みの無効電力)〔kvar〕 XC:コンデンサのリアクタンス〔%〕 XL:直列リアクトルのリアクタンス〔%〕

関連:配電線の電圧降下|高調波の流出電流

配電線の電圧降下 ── 無効電力を減らすと電圧が戻る

電圧降下のベクトル図:受電端の電圧に、電流と同じ向きの抵抗の降下と90°進むリアクタンスの降下を足すと送電端の電圧になり、水平の差が電圧降下の近似
電圧降下の項中身力率を改善すると
抵抗の項有効電力×1線の抵抗変わらない
リアクタンスの項無効電力×1線のリアクタンス小さくなる
三相の電圧降下2つの項の和÷受電端の線間電圧小さくなる

配電線の電圧降下は、有効電力と抵抗の項、無効電力とリアクタンスの項の和で決まります。遅れの無効電力を減らすと後ろの項が小さくなり、電圧が戻ります。

問われる形○×ポイント
三相の電圧降下で、√3を掛けずに送電端の電圧を出す×1線分の降下を√3倍する
力率改善の前後の電圧降下の比は、電流の比と同じ×抵抗の項とリアクタンスの項で減り方が違う
電源に近い区間には、下流の負荷の電流がまとめて流れる○区間ごとに電流を足す
受電端の電圧を上げるコンデンサの容量は、設置後に残る無効電力×設置前の無効電力との差
  • 一般送配電事業者は、供給する電気の電圧を、101±6 Vなどの値に保つよう努めます(電気事業法 第26条第1項)。
  • 配電線では、リアクタンスが抵抗より大きいことが多く、無効電力を減らすと電圧降下がよく下がります。

解き方:送電端の電圧と降下の比を出す

  • ① 最初の一手は、力率からsinを出し、1線の抵抗の項とリアクタンスの項をそろえることです。送電端と受電端の電圧の角度のずれが小さいとした近似式です。

言葉の式 sinθ = √(1 − 力率の2乗)

sin⁡θ=1−cos2⁡θ

θ:力率角(cosθ が力率)

言葉の式 電圧降下 = √3 × 線電流 ×(1線の抵抗 × cosθ + 1線のリアクタンス × sinθ)

v=3I(Rcos⁡θ+Xsin⁡θ)

v:三相3線式の電圧降下(送電端と受電端の線間電圧の差)〔V〕 I:線電流〔A〕 R:電線1線当たりの抵抗〔Ω〕 X:電線1線当たりのリアクタンス〔Ω〕 θ:負荷の力率角(遅れ)

  • ② 線電流は、有効電力と受電端の電圧と力率から出します。

言葉の式 線電流 = 有効電力 ÷(√3 × 線間電圧 × 力率)

I=P3Vrcos⁡θ

I:線電流〔A〕 P:三相負荷の有効電力〔W〕 Vr:受電端の線間電圧〔V〕 θ:負荷の力率角(cosθ が力率)

  • ③ 降下に受電端の電圧を足して、送電端の電圧にします。

言葉の式 送電端の電圧 = 受電端の電圧 + 電圧降下

Vs=Vr+v

Vs:送電端の線間電圧〔V〕 Vr:受電端の線間電圧〔V〕 v:電圧降下〔V〕

  • ④ 力率を改善した後は、電力の形の式で、無効電力だけを入れ替えます。単位の桁をそろえてから入れます。

言葉の式 電圧降下 =(有効電力 × 1線の抵抗 + 無効電力 × 1線のリアクタンス)÷ 受電端の線間電圧

v=PR+QXVr

v:三相3線式の電圧降下〔V〕 P:三相負荷の有効電力〔W〕 R:電線1線当たりの抵抗〔Ω〕 Q:三相負荷の無効電力(遅れ)〔var〕 X:電線1線当たりのリアクタンス〔Ω〕 Vr:受電端の線間電圧〔V〕

例は、令和6年度上期 法規 問11 の条件です。三相3線式(さんそうさんせんしき)1回線の配電線で、電線1条の抵抗は3 Ω、リアクタンスは5 Ωです。

使用電力は8,000 kW、力率は0.8(遅れ)、受電電圧は20 kVです。改善後の力率は0.95(遅れ)で、受電電圧は変わらないとします。

  • 線電流は次のとおりです。sinは0.6です。
I=8000 kW3×20 kV×0.8=288.7 A
  • 電圧降下は次のとおり約2,700 Vです。
v=3×288.7 A×(3 Ω×0.8+5 Ω×0.6)=2700 V
Vs=20000 V+2700 V=22700 V
  • 改善前と改善後の無効電力は次のとおりです。
Q=8000 kW×1−0.820.8=6000 kvar

Q:無効電力(遅れ)〔kvar〕 P:有効電力〔kW〕 θ:力率角(cosθ が力率)

Q=8000 kW×1−0.9520.95=2629 kvar
  • 改善後の降下は次のとおり約1,857 Vです。
v=8000 kW×3 Ω+2629 kvar×5 Ω20 kV=1857 V
  • 比は、1,857÷2,700×100≒68.8%です。

関連:力率改善|電線路

短絡電流と%Z ── %Zが小さいほど短絡電流は大きい

短絡電流と%Z:10 MV·A基準の配電線の%Zを300 kV·A基準にそろえて変圧器と足すと5.81%で、短絡電流は約14.2 kAになる
手順すること落とし穴
基準容量配電線の値を、変圧器の容量にそろえるそろえずに足す
合成抵抗分どうし、リアクタンス分どうしを足してから三平方先に三平方してから足す
定格電流短絡点の側の電圧で出す一次側の電圧で出す
継電器に入る電流一次側に換算し、変流比で割る二次側のまま割る

短絡電流(たんらくでんりゅう)は、定格電流をパーセントインピーダンスで割って100を掛けた大きさです。パーセントインピーダンスが小さいほど、短絡電流は大きくなります。

問われる形○×ポイント
10 MV·A基準の配電線の値を、そのまま300 kV·A基準の変圧器の値と足す×300÷10,000倍してから足す
合成は、抵抗分とリアクタンス分を別々に足してから三平方○先に三平方すると誤る
変圧器の二次側の短絡を一次側の変流器(へんりゅうき)で見るときは、電圧の比で換算する○一次側の電流に直す
高圧の過電流遮断器は、通過する短絡電流を遮断できる能力が要る○解釈 第34条第1項
  • パーセントインピーダンス(ぱーせんといんぴーだんす)とは、定格電流を流したときの電圧降下を、定格電圧に対する%で表した量です。基準容量に比例します。
  • 変流器は、大きな電流を、継電器で扱える小さな電流に変えます。過電流を見る過電流継電器(かでんりゅうけいでんき)には変流器を、地絡を見る地絡継電器(ちらくけいでんき)には零相変流器(れいそうへんりゅうき)をつなぎます。

解き方:短絡電流と変流器の電流を出す

  • ① 最初の一手は、パーセントインピーダンスの基準容量をそろえることです。

言葉の式 そろえた後の%Z = 元の%Z × 新しい基準容量 ÷ 元の基準容量

%Z′=%Z×P′P

%Z′:新しい基準容量にそろえた%インピーダンス〔%〕 %Z:元の基準容量での%インピーダンス〔%〕 P′:新しい基準容量〔V·A〕 P:元の基準容量〔V·A〕

  • ② 抵抗分とリアクタンス分を別々に足し、三平方で1つにします。

言葉の式 合成の%Z = √(%R の合計の2乗 + %X の合計の2乗)

%Z=%R2+%X2

%Z:短絡点から電源側を見た合成の%インピーダンス〔%〕 %R:直列の%抵抗の合計〔%〕 %X:直列の%リアクタンスの合計〔%〕

  • ③ 短絡点の側の電圧で定格電流を出し、短絡電流にします。

言葉の式 三相の定格電流 = 容量 ÷(√3 × 線間電圧)

In=S3V

In:三相の定格電流(変圧器なら最大供給電流)〔A〕 S:三相の容量(変圧器の定格容量・負荷の皮相電力)〔V·A〕 V:線間電圧〔V〕

言葉の式 短絡電流 = 基準容量での定格電流 × 100 ÷ 合成の%Z

Is=100%Z×In

Is:三相短絡電流〔A〕 %Z:短絡点から電源側を見た合成の%インピーダンス〔%〕 In:基準容量での定格電流(短絡点の側の電圧で出す)〔A〕

  • ④ 変流器の電流は、一次側に換算してから変流比で割ります。

言葉の式 一次側の電流 = 二次側の電流 × 二次電圧 ÷ 一次電圧

I1=I2×V2V1

I1:変圧器の一次側に流れる電流〔A〕 I2:変圧器の二次側に流れる電流(短絡電流など)〔A〕 V2:二次電圧〔V〕 V1:一次電圧〔V〕

言葉の式 CT の二次電流 = 一次電流 × 定格二次電流 ÷ 定格一次電流

i2=I1×I2nI1n

i2:CT の二次側に出る電流(過電流継電器に流れる電流)〔A〕 I1:CT の一次側に流れる電流〔A〕 I2n:CT の定格二次電流(ふつう5 A)〔A〕 I1n:CT の定格一次電流(変流比 75 A/5 A の 75 A)〔A〕

例は、平成29年度 法規 問12 の条件です。三相300 kV·A、6.6 kV/210 Vの変圧器の二次側のF点で、三相短絡が起きます。

変圧器は、300 kV·A基準で百分率抵抗降下2%、百分率リアクタンス降下4%です。配電線路は、10 MV·A基準で20%と40%です。

変流器は変圧器の一次側にあり、変流比は75 A/5 Aです。

  • 配電線路を300 kV·A基準にします。
%Z′=20 %×300 kV·A10 MV·A=0.6 %
%Z′=40 %×300 kV·A10 MV·A=1.2 %
  • 合計は抵抗分2.6%、リアクタンス分5.2%です。合成は次のとおりです。
%Z=(2.6 %)2+(5.2 %)2=5.814 %
  • 定格電流は、300 kV·Aと210 Vから出します。
In=300 kV·A3×210 V=824.8 A
  • 短絡電流は次のとおり約14.2 kAです。
Is=1005.814 %×824.8 A=14186 A
  • 一次側の電流と、変流器の二次側の電流は次のとおりです。
I1=14186 A×210 V6600 V=451.37 A
i2=451.4 A×5 A75 A=30.09 A
  • 過電流継電器に入る電流は約30 Aです。基準容量をそろえずに足すと、約1.7 kAと誤ります。

関連:地絡電流|保護と発変電所

地絡電流と地絡継電器 ── 構外の事故でも構内の電流が流れる

地絡の場所と零相変流器:構外の地絡でも構内のケーブルの対地静電容量を通る電流が零相変流器を流れ、構内の地絡とは向きが逆になる
量決まり方注意
1線完全地絡の電流相電圧(そうでんあつ)と、3線分の対地静電容量で決まる3線分の3を落とさない
構外の事故で零相変流器を通る電流地絡電流を容量の比で分けた、構内側の分分子は構内側の容量
地絡方向継電器(ちらくほうこうけいでんき)電流と電圧の関係から、地絡の向きを見る構内と構外を見分ける

構外の地絡でも、構内のケーブルの対地静電容量を通る電流が、零相変流器を流れます。構内のケーブルが長いと、地絡継電器が不必要に動くことがあります。

問われる形○×ポイント
地絡電流の式で、3線分の対地静電容量の3を落とす×3線の容量が並列で3倍
構外の事故で検出される分は、地絡電流を配電線側の容量の割合で分けた値×分子は零相変流器の負荷側の容量
構内のケーブルが極めて短ければ、無方向の地絡継電器でも不必要動作は少ない○構内側の容量が小さい
地絡方向継電器の整定は、動作時限だけ変電所と協調すればよい×動作電流などの整定値も小さくする
  • 対地静電容量(たいちせいでんようりょう)とは、電線と大地の間の静電容量です。非接地方式(ひせっちほうしき)では、地絡電流はこの容量を通って戻ります。
  • 需要家の地絡継電器は、動作電流も動作時限も、配電用変電所より小さく整定します。構内の地絡を先に切り、配電線全体の停電を防ぎます。
  • 地絡で感電や火災が起きないよう、必要な所には地絡遮断装置(ちらくしゃだんそうち)などを置きます(電気設備に関する技術基準を定める省令 第15条)。

解き方:零相変流器を通る電流を出す

  • ① 最初の一手は、配電線側と構内側の対地静電容量を並べ、分かれる比を作ることです。
  • ② 1線完全地絡の電流を出します。μF(マイクロファラド)の値には、10⁻⁶を掛けます。

言葉の式 1線完全地絡電流 = 2√3 × π × 周波数 × 線間電圧 ×(配電線側と構内側の1線の対地静電容量の和)

Ig=23πfV(C1+C2)

Ig:1線完全地絡のときの地絡電流〔A〕 f:周波数〔Hz〕 V:線間電圧〔V〕 C1:配電線側の1線の対地静電容量〔F〕 C2:構内側(需要設備)の1線の対地静電容量〔F〕

  • ③ 零相変流器の負荷側にある容量の割合を掛けます。

言葉の式 零相変流器が検出する電流 = 地絡電流 × 零相変流器の負荷側の容量 ÷(2つの容量の和)

I0=Ig×C2C1+C2

I0:零相変流器で検出される地絡電流〔A〕 Ig:1線完全地絡電流〔A〕 C2:零相変流器の負荷側にある1線の対地静電容量(構外の事故なら構内側)〔F〕 C1:反対側の1線の対地静電容量〔F〕

  • ④ 地絡電流はAの桁、構外の事故で構内に分かれる電流はmAの桁かを確かめます。

例は、令和5年度下期 法規 問11 の条件です。中性点非接地方式の三相3線式の高圧配電線路で、線間電圧は6,600 V、周波数は60 Hz(ヘルツ)です。

配電線路の一相の対地静電容量は2.3 μF、需要設備の一相は0.02 μFです。需要設備の外で1線完全地絡が起きます。

  • 地絡電流は次のとおり約10.0 Aです。
Ig=23π×60 Hz×6600 V×(2.3 μF+0.02 μF)=9.998 A
  • 零相変流器を通る電流は次のとおりです。
I0=10.0 A×0.02 μF2.3 μF+0.02 μF=0.08621 A
  • 0.0862 Aは、約86 mAです。分ける比を逆にすると、ほとんど全部が流れる値になります。

関連:接地工事のB種接地抵抗|短絡電流

高調波の流出電流 ── リアクトルはn倍、コンデンサは1/n倍

高調波の次数とリアクタンス:リアクトルは次数に比例しコンデンサは反比例するので、6%の直列リアクトル付きでは約4.1次から上で設備が誘導性になる
第n調波でリアクタンス理由
リアクトル(配電系統も)n倍周波数に比例
コンデンサ1/n倍周波数に反比例
直列リアクトル付きの設備2つの差差が正ならコイルとして振る舞う

第n調波では、リアクトルはn倍、コンデンサは1/n倍になります。系統へ流れ出る電流は、2つの枝のインピーダンスの逆の比で分かれます。

問われる形○×ポイント
第5調波では、コンデンサのリアクタンスも5倍×5分の1。周波数に反比例
発生した第5調波電流の全部が、配電系統へ流れ出る×コンデンサ設備側にも分かれる
分流の式で、系統側のインピーダンスを分子に置く×分子は相手側のコンデンサ設備側
6%の直列リアクトル付きの設備は、第5調波でコイルとして振る舞う○30%が20%を上回る
  • 高調波(こうちょうは)とは、基本波(きほんは)の整数倍の周波数の成分です。インバータや整流器が発生源になります。
  • 直列リアクトルの割合が足りないと、第5調波で直列共振に近くなります。大きな電流が流れ、焼損のおそれがあります。
  • 系統へ流れ出る電流の上限は、法令ではなく指針で示されています。

解き方:系統へ流れ出る電流を出す

  • ① 最初の一手は、基本波のリアクタンスを、リアクトルはn倍、コンデンサは1/n倍にすることです。

言葉の式 第n調波のリアクトルのリアクタンス = 基本波のリアクタンス × n

XLn=nXL

XLn:第n調波に対するリアクトルのリアクタンス〔%〕 n:高調波の次数〔次〕 XL:基本波に対するリアクトルのリアクタンス〔%〕

言葉の式 第n調波のコンデンサのリアクタンス = 基本波のリアクタンス ÷ n

XCn=XCn

XCn:第n調波に対するコンデンサのリアクタンス〔%〕 XC:基本波に対するコンデンサのリアクタンス〔%〕 n:高調波の次数〔次〕

  • ② 負荷の定格電流に発生の割合を掛けて、発生する高調波電流を出します。
In=S3V
  • ③ 系統へ流れ出る電流は、発生した電流に、コンデンサ設備側の値÷(系統側+コンデンサ設備側)を掛けた値です。2つの枝がどちらもコイルとして振る舞うときに、この形で使えます。
  • ④ 系統へ出る電流が、発生した電流より小さいかを確かめます。

例は、令和7年度上期 法規 問12 の条件です。6,600 Vで受電する定格容量500 kV·Aの三相負荷設備に、6%の直列リアクトル付きコンデンサ設備があります。

第5調波電流は、定格電流の15%が発生します。インピーダンスは問題の式で与えられ、10 MV·A基準です。

  • 定格電流は、500 kV·Aと6.6 kVから出します。
In=500 kV·A3×6.6 kV=43.74 A

In:三相の定格電流(変圧器なら最大供給電流)〔A〕 S:三相の容量(変圧器の定格容量・負荷の皮相電力)〔V·A〕 V:線間電圧〔V〕

  • 発生する第5調波電流は次のとおりです。
Ih=0.15×43.74 A=6.561 A

Ih:負荷から発生する第n調波の電流〔A〕 kn:第n調波の発生の割合(定格電流に対する比。小数) In:負荷の定格電流(受電点の電流に換算した値)〔A〕

  • 問題の式に第5調波を入れると、配電線路側は30%、コンデンサ設備側は500%で、どちらもコイルとして振る舞います。
  • 系統へ流れ出る電流は次のとおりです。
Io=6.56 A×500 %30 %+500 %=6.189 A

Io:系統へ流れ出る高調波電流〔A〕 Ih:負荷から発生した高調波電流〔A〕 ZS:系統側の第n調波のインピーダンス(同じ基準の%)〔%〕 ZC:コンデンサ設備側の第n調波のインピーダンス(リアクトル分−コンデンサ分)〔%〕

  • 答えは約6.2 Aです。15%を掛け忘れると、約41.2 Aと誤ります。

関連:力率改善

まとめ

3つの率は、分母が設備容量・最大需要電力・合成最大需要電力のどれかを先に確かめます。

変圧器の損失は鉄損が一定、銅損が負荷率の2乗で、力率改善は無効電力の差で考えます。

短絡と地絡と高調波は、基準をそろえ、インピーダンスや容量の比で電流を分けます。

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参考文献

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