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原子の構造と化学結合、純物質と混合物・同素体、三態、希薄溶液、コロイドの5つの論点を並べた記事です。どの論点も「どの粒子が、いくつあるか」で見分けると、用語の入替えを見抜けます。
溶解度と析出量、融解熱の計算は危険物取扱者甲種の気体・濃度・熱計算攻略|使う式を条件から選ぶにまとめています。
原子の構造と化学結合 ── 陽子数は原子番号、塩化ナトリウムは陽イオンと陰イオンのイオン結合

| 粒子 | ある場所と電荷 | 数の決まり方 |
|---|---|---|
| 陽子 | 原子核・正 | 原子番号と同じ |
| 中性子 | 原子核・電荷なし | 質量数−原子番号 |
| 電子 | 原子核の周り・負 | 原子では陽子と同数。陰イオンは受け取った分だけ多く、陽イオンは失った分だけ少ない |
陽子の数が原子番号で、陽子と中性子の数の和が質量数です。イオンになるときに変わるのは電子の数だけで、原子核の陽子・中性子は変わりません。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 原子番号17・質量数37の塩化物イオン(Cl⁻)の中身は陽子17・中性子20・電子18 | ○ | 中性子37−17=20、電子17+1=18 |
| 1価の陰イオンになると、電子が1個減る | × | 負の電荷を1つ得る=電子を1個受け取る |
| 質量数を電子の数として数える | × | 電子の数は原子番号(原子のとき) |
| 塩化ナトリウムの結晶は、原子どうしが電子対を共有して結び付く | × | Na⁺とCl⁻の静電気的な引力によるイオン結合 |
原子の中心には正の電荷をもつ原子核があり、その周りを負の電荷をもつ電子が取り巻いています。原子は陽子の数と電子の数が等しいので、全体では電気的に中性です。原子番号と質量数を書くときは、元素記号の左下に原子番号、左上に質量数を書きます。
化学結合は3種類
| 結合 | 何が結び付けるか | 例 |
|---|---|---|
| イオン結合 | 陽イオンと陰イオンの静電気的な引力。一般に金属元素と非金属元素 | 塩化ナトリウムNaCl |
| 金属結合 | 金属の中を動き回る自由電子 | ナトリウムNa、銅Cu |
| 共有結合 | 2つの原子が最外殻電子を出し合い、電子対を共有する。非金属元素どうし | 水素H₂、塩素Cl₂、水H₂O、ダイヤモンド |
- ナトリウムから塩素へ電子が移り、逆符号のNa⁺とCl⁻ができて引き合う。電子対の共有ではない
- 「自由電子による結合」は金属結合で、イオン結合・共有結合ではない
純物質・混合物と同素体 ── ガソリンは混合物、酸素とオゾンは同素体

1つの化学式で書ける物が純物質(単体・化合物)、書けない物が混合物です。ガソリンは複数の炭化水素などの混合物で、沸点は一点に決まらず幅をもちます。酸素O₂とオゾンO₃は、同じ元素からなる性質の違う単体どうしで、同素体です。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| ガソリンは一定の化学式で表される純物質 | × | 複数の炭化水素などの混合物 |
| ガソリンを蒸留すると、沸点が1つの純物質だけが得られる | × | 蒸留は沸点の差で組成を変える操作。得られるのは沸点に幅のある留分 |
| 酸素とオゾンは、中性子の数だけが違う同位体 | × | 同じ元素の単体どうしで同素体。同位体は原子どうしの関係 |
| 分類 | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| 単体 | 1種類の元素だけ | 酸素、水素、炭素、硫黄、鉄、オゾン |
| 化合物 | 2種類以上の元素が結合 | 水、エタノール、ベンゼン、塩化ナトリウム、二酸化炭素 |
| 混合物 | 2種類以上の物質が混ざっただけ | 空気、水溶液、ガソリン、灯油、軽油 |
- 混合物は、蒸留やろ過などの物理的な方法で2種類以上の物質に分けられる。成分は混ざる前の性質を保つ
- 混合物の融点や沸点は、成分の割合によって変わる
同素体・同位体・異性体を見分ける

| 用語 | 何どうしか | 例 |
|---|---|---|
| 同素体 | 同じ元素からなる、性質の違う単体どうし | 酸素とオゾン、ダイヤモンドと黒鉛、赤りんと黄りん、斜方硫黄と単斜硫黄 |
| 同位体 | 陽子の数(原子番号)が同じで、中性子の数(質量数)が違う原子どうし | 水素と重水素 |
| 異性体 | 分子式が同じで、構造が違う化合物どうし | エタノールとジメチルエーテル、n-ブタンとイソブタン |
O₂とO₃の違いは分子をつくる原子の数と結び付き方で、原子核の中性子数の違いではありません。同素体をもつ元素は、硫黄S・炭素C・酸素O・りんPの頭文字で「SCOP(スコップ)」と覚えます。
三態と状態変化 ── 固体から直接気体になる変化が昇華

状態変化の名前は、変化の前と後の状態の組合せで決まります。固体が液体を経ずに直接気体になる変化が昇華で、ドライアイス(固体の二酸化炭素)やナフタレンが例です。気体から直接固体になる変化は凝華(昇華とも呼ぶ)です。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| ドライアイスが液体にならずに減っていく変化の名前は昇華 | ○ | 液体を経ない固体→気体 |
| 固体から直接気体になる変化を、融解や蒸発と呼ぶ | × | 融解は固体→液体、蒸発は液体→気体 |
| 固体の二酸化炭素は、いったん融けてから蒸発する | × | 融解と蒸発の2段階ではなく、直接気体になる |
- 固体→液体は融解、液体→固体は凝固、液体→気体は蒸発(気化)、気体→液体は凝縮(液化)
- 固体→液体→気体の向き(融解・蒸発・昇華)は熱を吸収し、逆向き(凝固・凝縮・凝華)は熱を放出する
- 固体が液体になる温度が融点、液体が気体になる温度が沸点。水でも、圧力の低い状態では昇華が起こる
希薄溶液の性質 ── 凝固点降下は溶質粒子の数で決まり、浸透圧は π=cRT

| 性質 | 何が起こるか | 何で決まるか |
|---|---|---|
| 蒸気圧降下 | 不揮発性の物質を溶かすと、蒸気圧が純溶媒より下がる | 溶質の分子・イオンの質量モル濃度に比例 |
| 沸点上昇 | 溶液の沸点が溶媒の沸点より高くなる | 同上(溶質の種類には関係しない) |
| 凝固点降下 | 溶液の凝固点が溶媒の凝固点より低くなる | 同上(溶質の種類には関係しない) |
| 浸透圧 | 半透膜をはさむと溶媒が溶液側へ移る。その流れを止める圧力 | π=cRT。モル濃度と絶対温度に比例 |
希薄溶液の凝固点降下・沸点上昇は、溶質の種類に関係なく、溶液中の粒子(分子・イオン)の質量モル濃度に比例します。塩化ナトリウムはNa⁺とCl⁻に電離して粒子が2倍になるので、同じ質量モル濃度なら非電解質の約2倍下がります。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 同じ質量モル濃度なら、塩化ナトリウムとグルコースの凝固点降下は同じ | × | NaClは完全電離で粒子が2倍。約2倍になる |
| 0.10 mol/Lのグルコース水溶液を300 Kにしたときの浸透圧は約2.46 atm | ○ | 0.10×0.082×300=2.46 atm |
| グルコース(非電解質)の浸透圧にも、電離の係数2を掛ける | × | グルコースは電離しない。そのままcRT |
浸透圧の計算
π=cRT(cはモル濃度、Rは気体定数0.082 L・atm/(mol・K)、Tは絶対温度)
0.10 mol/Lのグルコース水溶液を300 Kとすると、π=0.10×0.082×300=2.46 atmです。電解質の溶液では、cに溶けているイオン全部の濃度を使います。
- 半透膜は、水などの小さい分子は通し、デンプンやタンパク質などの大きな分子は通さない
- 溶媒は、半透膜を通って濃度の低い側から高い側へ移る。これを浸透という
- 融雪剤・凍結防止剤の塩化カルシウムは、凝固点降下を利用している
コロイド ── 透析ではイオンが膜を通りコロイド粒子は残る、凝析と塩析は別

| 現象・操作 | 何が起こるか |
|---|---|
| チンダル現象 | 横から強い光を当てると、粒子が光を散乱して光の通路が明るく見える |
| ブラウン運動 | 水分子が不規則に衝突し、コロイド粒子が不規則に動く |
| 透析 | 半透膜でイオン・小さな分子を除く。コロイド粒子は袋の中に残る |
| 電気泳動 | 直流電圧をかけると、帯電した粒子が反対符号の電極へ移る |
| 凝析 | 疎水コロイドに少量の電解質を加えると、反発力を失って沈殿する |
| 塩析 | 親水コロイドに多量の電解質を加えると沈殿する |
コロイドは、直径およそ1 nm〜数百nmの粒子が分散した状態です。透析では小さなイオンや分子が半透膜を通り、大きいコロイド粒子は残ります。沈殿させる条件は、疎水コロイドが少量の電解質(凝析)、親水コロイドが多量の電解質(塩析)で、区別します。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 透析では、コロイド粒子が半透膜を通り、イオンは膜の内側に残る | × | 逆。イオン・低分子が通り、コロイド粒子が残る |
| 疎水コロイドも親水コロイドも、少量の電解質で同じように沈殿する | × | 少量で沈殿するのは疎水コロイド(凝析)。親水コロイドは多量が要る(塩析) |
| 電気泳動では、帯電した粒子が同じ符号の電極へ移る | × | 反対符号の電極へ移る |
- 疎水コロイド(水酸化鉄(Ⅲ)など)は、粒子の電荷による反発で分散している。少量の電解質で電荷が打ち消されると集まる
- 親水コロイド(タンパク質・デンプンなど)は、粒子を包む水にも守られているので、多量の電解質が要る
- 疎水コロイドに親水コロイドを加えると凝析しにくくなる。この親水コロイドを保護コロイドという(墨汁のにかわなど)
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まとめ
原子は陽子の数で決まり、イオンで変わるのは電子の数だけです。同素体は単体どうし、同位体は原子どうし、異性体は化合物どうしで、ガソリンは混合物です。希薄溶液の性質は溶質粒子の数で決まり、コロイドは透析・凝析・塩析の条件を区別します。
参考文献
- 工藤政孝『わかりやすい!甲種危険物取扱者試験』弘文社、原子と分子、物質の種類、溶液の性質、コロイド溶液 Amazonで見る
- 公論出版『甲種危険物取扱者試験 令和8年版』化学の基礎、物質の三態、溶液、コロイド、同素体と異性体 Amazonで見る
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