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危険物取扱者甲種の高分子化学攻略|重合と樹脂の分類

危険物取扱者甲種の重合と樹脂の分類を解説する記事のアイキャッチ

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困っている人
困っている人

「モノマーとポリマーの関係が曖昧」

「付加重合と縮合重合を見分けられない」

「熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の材料名が混ざる」

そんな疑問を解決します。

この記事の内容

モノマー・ポリマー・重合の関係

付加重合・縮合重合・付加縮合・共重合の違い

熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の比較

代表高分子の原料・性質・用途

試験で間違えやすい12項目

先に結論を言うと、甲種の高分子化学は材料名を単独で覚えるより、次の四つを一列で結ぶと得点しやすくなります。

  • 原料:何という単量体からつくられるか
  • 反応:付加重合、縮合重合、付加縮合のどれか
  • 熱:熱可塑性か熱硬化性か
  • 用途:フィルム、容器、断熱材、パイプ、基板など何に使われるか

炭化水素、官能基、付加反応を復習する人は、先に危険物取扱者甲種の有機化学攻略|炭化水素・官能基・反応を確認してください。

高分子化学は「原料・反応・熱」で整理する

高分子化合物は、小さな分子が多数結びついた大きな分子です。本記事で参照した甲種テキストでは、一般に分子量10,000以上の物質を高分子化合物としています。

用途からは、プラスチック(合成樹脂)、合成繊維、合成ゴムなどに分類されます。試験では定義だけでなく、原料、重合形式、熱による分類、性質、用途の組合せが問われます。

見る順序判定するもの代表的な問い
1. 原料単量体(モノマー)エチレンから何ができるか
2. 反応付加重合・縮合重合・付加縮合二重結合が開くか、小分子が取れるか
3. 熱熱可塑性・熱硬化性加熱で再び軟化するか
4. 用途フィルム・容器・断熱材・パイプ・基板など材料と用途の組合せは正しいか

モノマー・ポリマー・重合を一組で覚える

高分子化合物のもとになる分子量の小さな分子を単量体(モノマー)といいます。単量体が多数結合してできた大きな分子が重合体(ポリマー)です。この反応を重合といいます。

単量体から重合体ができる流れと、付加重合・縮合重合の違いを比較した図
付加重合と縮合重合を、二重結合と小分子の有無で比較(一次資料を参考に当サイト作成)
用語意味覚え方
単量体・モノマー高分子のもとになる小さな分子原料
重合単量体が多数結びつく反応つくる過程
重合体・ポリマー単量体が多数結びついた高分子生成物

「高分子のもとになる小分子を分子コロイドという」という選択肢は誤りです。正しくは単量体またはモノマーです。

付加重合は二重結合が開いて鎖になる

付加重合は、二重結合をもつ単量体が付加反応によって次々に結びつく重合です。反応前にC=Cを探し、それが開いて長い鎖になると考えます。

代表的な組合せは次の四つです。

単量体重合体主な性質主な用途
エチレンポリエチレン耐水性・耐薬品性フィルム、容器
プロピレンポリプロピレン軽量・耐熱性容器のキャップ
スチレンポリスチレン加工性・絶縁性緩衝材、断熱材
塩化ビニルポリ塩化ビニル難燃性・耐薬品性パイプ、シート

エチレンからポリエチレン、スチレンからポリスチレンのように、単量体名へ「ポリ」を付ける組合せが多くあります。ただし、名称だけで重合形式や熱による分類を断定せず、原料と反応を確認してください。

縮合重合は小分子を取りながらつながる

縮合重合は、二つの単量体が結びつくときに、水のような簡単な分子が取れ、その反応を繰り返して高分子になる重合です。

見分けるポイントは次の二つです。

  • 単量体が反応できる官能基を二つもつ
  • 結合するときに水などの小分子が除かれる

合成繊維に使われるナイロンとポリエステルは、官能基を二つもつ単量体の縮合重合によってつくられます。どちらも鎖状構造をもち、融解した高分子を引き伸ばすと繊維になります。

ポリエステルの一種であるポリエチレンテレフタラート(PET)は、合成繊維だけでなくペットボトルにも使われます。

付加縮合と共重合を区別する

付加縮合は、付加反応と縮合反応を繰り返して進む重合です。代表例はフェノール樹脂です。フェノールとホルムアルデヒドから、付加反応と縮合反応を繰り返してつくられます。

共重合は、2種類以上の単量体が結びつく重合です。「単量体が2種類だから縮合重合」とは限りません。分類の基準が違います。

用語判定の基準代表例・要点
付加重合二重結合が開いて次々に結合ポリエチレンなど
縮合重合水などの小分子を取りながら結合ナイロン、ポリエステル
付加縮合付加反応と縮合反応を繰り返すフェノール樹脂
共重合2種類以上の単量体が結合単量体の種類に注目する分類

熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を比較する

プラスチックは、熱を加えたときの変化から熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に分類されます。

熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を加熱時の変化、分子構造、代表例で比較した図
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を、熱による変化と分子構造で比較(一次資料を参考に当サイト作成)
比較項目熱可塑性樹脂熱硬化性樹脂
加熱時軟化する硬化が進む
冷却後・再加熱冷やすと再び硬くなり、再加熱で軟化する一度硬化すると再加熱しても軟化しにくい
分子構造鎖状構造が中心架橋した立体網目構造
加工性成形・加工しやすい硬化後は再成形しにくい
傾向付加重合によるものが多い付加縮合によるものが多い
代表例ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルフェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂

「付加重合なら必ず熱可塑性」「付加縮合なら必ず熱硬化性」と断定しないでください。試験では代表例を押さえたうえで、問題文に示された構造や性質を確認します。

熱可塑性樹脂4種は原料・性質・用途で覚える

熱可塑性樹脂は、単量体、重合体、性質、用途を横に対応させます。

ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリエステル、フェノール樹脂を原料・反応・用途で整理した図
代表高分子を原料、重合体、反応、用途の順に整理(一次資料を参考に当サイト作成)

ポリエチレンは、エチレンの付加重合でつくられます。耐水性、耐薬品性に優れ、フィルムや容器に使われます。

ポリプロピレンは、プロピレンの付加重合でつくられます。軽量で耐熱性があり、容器のキャップなどに使われます。

ポリスチレンは、スチレンの付加重合でつくられます。加工性と絶縁性に優れ、緩衝材や断熱材などに使われます。

ポリ塩化ビニルは、塩化ビニルの付加重合でつくられます。難燃性と耐薬品性に優れ、パイプやシートなどに使われます。「酢酸ビニルからポリ塩化ビニルができる」という選択肢は誤りです。

ナイロン・ポリエステルは縮合重合でつくられる

ナイロンとポリエステルは、どちらも分子中に官能基を二つもつ単量体の縮合重合でつくられます。

材料重合の種類構造・用途の要点
ナイロン縮合重合鎖状構造。合成繊維など
ポリエステル縮合重合鎖状構造。合成繊維など
PETポリエステルの一種繊維、ペットボトル

名称に「ポリ」が付いても、ポリエステルを付加重合と決めつけないでください。「ポリが付けば熱可塑性」という覚え方も、例外を見落とすための完全な判定法にはなりません。

熱硬化性樹脂は架橋構造で覚える

熱硬化性樹脂は、軟らかい樹脂状に成形した後、加熱または硬化剤によって分子鎖の間に架橋構造が形成され、硬化します。立体網目構造になるため、一般に機械的強度と耐熱性に優れますが、一度硬化すると再成形しにくくなります。

代表例原料・反応主な特徴・用途
フェノール樹脂フェノールとホルムアルデヒドの付加縮合ベークライト。耐水性・耐薬品性・電気絶縁性、プリント基板
尿素樹脂尿素とホルムアルデヒドの付加縮合アミノ樹脂の一種
メラミン樹脂メラミンとホルムアルデヒドの付加縮合アミノ樹脂の一種
エポキシ樹脂硬化剤により架橋構造を形成熱硬化性樹脂の代表例

フェノール樹脂を「フェノールの付加重合」とする選択肢は誤りです。付加反応と縮合反応を繰り返す付加縮合です。

ポリウレタンには熱可塑性のものと熱硬化性のものがあります。「ポリウレタンは必ず熱硬化性」と断定しないでください。

試験で間違えやすい12項目

  1. 高分子のもとになる小分子は単量体(モノマー)である
  2. 単量体が多数結合した高分子は重合体(ポリマー)である
  3. 付加重合は二重結合をもつ単量体が付加反応でつながる
  4. 縮合重合は水などの小分子を取りながらつながる
  5. エチレンの付加重合でポリエチレンができる
  6. スチレンの付加重合でポリスチレンができる
  7. 塩化ビニルの付加重合でポリ塩化ビニルができる
  8. ナイロンとポリエステルは縮合重合でつくられる
  9. 熱可塑性樹脂は加熱で軟化し、冷却で再び硬くなる
  10. 熱硬化性樹脂は架橋構造を形成し、硬化後は再成形しにくい
  11. フェノール樹脂は付加重合ではなく付加縮合でつくられる
  12. ポリウレタンには熱可塑性と熱硬化性の両方がある

4段階の暗記手順

1. 用語を三角形で結ぶ

単量体(モノマー)→重合→重合体(ポリマー)を一組で書きます。

2. 重合形式を二つの合図で分ける

二重結合が開くなら付加重合、水などの小分子が取れるなら縮合重合と判定します。

3. 熱による分類を構造と結ぶ

熱可塑性は鎖状・再加熱で軟化、熱硬化性は架橋・再加熱しても軟化しにくい、と対比します。

4. 材料カードを往復する

原料から材料名を答える練習と、材料名から原料・反応・用途を答える練習を往復します。

30秒セルフテスト

  1. 高分子のもとになる小分子を何というか
  2. 二重結合をもつ単量体が次々に結びつく重合を何というか
  3. 水などの小分子を取りながら結びつく重合を何というか
  4. エチレンからできる重合体は何か
  5. 加熱すると軟化し、冷やすと再び硬くなる樹脂を何というか
  6. フェノール樹脂は何という重合でつくられるか
  7. ナイロンとポリエステルは何という重合でつくられるか

答えは、1.単量体(モノマー)、2.付加重合、3.縮合重合、4.ポリエチレン、5.熱可塑性樹脂、6.付加縮合、7.縮合重合です。

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まとめ

危険物取扱者甲種の高分子化学を、原料、反応、熱、用途の四層で整理しました。

  • 単量体(モノマー)が重合して重合体(ポリマー)になる
  • 付加重合では二重結合が開き、縮合重合では水などの小分子が取れる
  • ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルは代表的な付加重合体である
  • ナイロンとポリエステルは縮合重合でつくられる
  • 熱可塑性樹脂は再加熱で軟化し、熱硬化性樹脂は架橋して再成形しにくい
  • フェノール樹脂は付加縮合でつくられる
  • 材料名は原料、反応、性質、用途まで一列で覚える

迷ったら、材料名を単独で思い出そうとせず、原料→重合形式→熱による分類→用途の順へ戻ってください。対応関係を一列にすると、正誤問題の入れ替えを見抜きやすくなります。

参考文献

  • 工藤政孝『わかりやすい!甲種危険物取扱者試験』弘文社、重合・高分子材料・熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂(PDF p.185、p.223、p.275-277) Amazonで見る
  • 公論出版『甲種危険物取扱者試験 令和8年版』高分子化合物・重合の種類・プラスチックの分類(PDF p.342-345) Amazonで見る