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現場計器の日常点検|導圧管のドレン・凍結・指示値の疑い方、DCS の値と現場計器を突き合わせる

現場計器の日常点検のアイキャッチ

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現場計器の日常点検で見るのは、配管部の漏れ、導圧管のドレンとガス抜き、ゼロ点、各部の締め込みの4つです。計器メーカーの実務書がこの4項目を挙げています。

伝送器そのものが壊れることは多くありません。指示が狂う原因の多くは、伝送器につながる細い配管(導圧管)に液や気体が溜まったり、凍ったり、弁が閉まっていたりする「配管側」にあります。

この記事では、巡回で現場計器のどこを見るか、DCS の値と現場の計器をどう突き合わせるか、潮風や日射など環境からどう守るかを、初めて巡回を任された人向けにまとめます。

この記事の結論

  • 日常点検の4項目は 漏れ・ドレンとガス抜き・ゼロ点・締め込み
  • 指示のトラブルは 伝送器本体より導圧管側が多い。液が溜まる、気体が溜まる、凍る、弁が閉まっている
  • DCS の値と現場の圧力計・液面計を突き合わせるのが切り分けの第一歩
  • レベル計の導圧管には、液側に入った気体と気側に溜まったドレンを抜くための連通管がある
  • 臨海立地では伝送器のケースとボルトが潮風で腐食する。重防食塗装・ステンレスボルト・カバーで守る
  • 定期点検(校正・ループチェック)は別枠。監視用 2 年、制御用 1 年が目安

1. 日常点検の4項目

計器メーカーの実務書は、圧力計と圧力伝送器の日常点検として次の4つを挙げています。

項目何を見るか見逃すとどうなるか
配管部と漏れ導圧管の継手、マニホールド弁、フランジからの滲み・漏れ圧力が抜けて指示が低く出る。可燃性液なら火災の火種
ドレンとガス抜き気体を測る導圧管に液が溜まっていないか、液を測る導圧管に気体が入っていないか溜まった液の高さ分だけ指示がずれる。気体が入ると指示が振れる
ゼロ点均圧してゼロ入力にしたとき、出力が 4 mA(0%)になるか全体が平行にずれたまま運転を続ける
締め込み端子、カバー、取付ボルト、導圧管の継手の緩み振動で緩んで漏れ・断線・水の侵入

この4項目は「壊れていないか」ではなく、「計器が正しく測れる状態が保たれているか」を見るものです。計器本体は精密機器なので、巡回で分解することはありません。

2. 指示が狂う原因は導圧管側に多い

差圧伝送器や圧力伝送器は、プロセスの配管から細い管(導圧管)を引いてきて、その先で圧力を受けます。この導圧管が、指示トラブルの主な発生源です。

  • 液が溜まる:気体を測っている導圧管に凝縮した液が溜まると、液柱の高さの分だけ圧力が上乗せされる。ドレン抜きで直る
  • 気体が溜まる:液を測っている導圧管に気泡が入ると、指示が不安定になる。ガス抜きで直る
  • 凍る:冬に水分を含む導圧管が凍ると、圧力が伝わらず指示が固まる。保温・ヒータ・不凍液封入で防ぐ
  • 弁が閉まっている:点検後にマニホールド弁や元弁の戻し忘れ。指示がまったく動かない

差圧式のレベル計では、液相側(高圧側)の導圧管に入った気体や、気相側(低圧側)に溜まったドレンを抜くために、両方の導圧管の間に連通管を設けることがあります。ボイラの飽和水のレベル計でよく使われる構造で、巡回ではこの連通管の弁の開閉状態も確認対象です。

導圧管の正しい引き回し(勾配、伝送器の位置、液封)は別の記事で詳しく扱います。日常点検では「ドレン弁とベント弁がどこにあり、何が溜まるはずか」を1台ごとに覚えておくことが第一歩です。

3. DCS の値と現場の計器を突き合わせる

画面の数字が信じられないときの切り分けは、次の順です。

指示が疑わしいときの切り分け
指示が疑わしいときの切り分け
  1. 同じ場所の現場計器と比べる:多くの伝送器の近くには、現場圧力計やガラス管の液面計があります。まずその値と DCS の値を比べます。合っていれば、プロセスが本当にその値です
  2. 伝送器の表示と比べる:現場の伝送器に表示部があれば、DCS と同じ値かを見ます。同じなら現場側(導圧管やセンサ)、違えば信号線や計器室側を疑います
  3. 導圧管を見る:上の4項目を順に確認します。ドレン抜き・ガス抜きで直れば、それが原因です
  4. 調節弁の開度と比べる:制御ループなら、コントローラの出力と弁の開度指針が一致しているかも見ます

現場圧力計にも誤差はあります。1 台の現場計器だけを絶対の基準にせず、複数の情報が同じ方向を指しているかで判断します。

4. 環境から計器を守る

現場計器は雨風にさらされ、臨海立地では潮風を受けます。教科書は次の実例を挙げています。

  • 伝送器のアルミダイカスト製アンプケースが潮風で腐食して割れる
  • 差圧伝送器の鉄製ボルト・ナットが錆びる

対策は、重防食塗装(エポキシ塗装の上にポリウレタン塗装)、ステンレス製ボルト・ナット、現場の収納箱や透明ビニルカバーでの保護です。巡回では、塗装の剥がれ、赤錆、カバーの破れを見ます。

日射や蒸気配管の近くも要注意です。周囲温度は計器の誤差要因の1つで、ダイアフラムシール形の伝送器では、封入液の温度が変わるだけで指示が動きます。冬と夏、昼と夜で指示が周期的に動くときは、周囲温度の影響を疑います。

5. 計器交換後の漏れ確認

現場計器を交換したあとの漏れ確認や、バルブのグランド漏れ確認には、次の方法があります。

方法やり方向き・不向き
石鹸水内部を空気で加圧し、外側に石鹸水をスプレーして泡を見る一般的。簡単。場所も分かる
圧力変化加圧または減圧して密閉・放置し、圧力の変化を見る微量の漏れが分かる。時間がかかり、場所は分からない。周囲温度の影響を受ける
ヘリウム検出器内部にヘリウムを加圧し、外からプローブで探る微小な漏れの位置を特定できる。調節弁の弁軸シールの試験などに使う

巡回で使うのは石鹸水です。可燃性ガスの配管では、漏れ確認の前に周囲のガス検知と火気の確認を忘れないでください。

6. 日常点検と定期点検の分担

日常点検は「保つ」ための点検で、校正や分解はしません。校正・調整・ループチェックは定期点検の仕事で、実務書は監視用は 2 年に 1 回、制御用は 1 年に 1 回を目安に挙げています。

日常点検で「ゼロ点がずれている」と気づいたときに、その場でゼロ調整を回すかどうかは、職場のルールに従います。制御用の計器のゼロ点を巡回中に触ると、その瞬間に制御出力が動きます。 自動運転中なら、計装担当と運転員が合意してから行います。

計器の精度の読み方、ゼロ点とスパンの違い、校正の手順は、精度と校正の記事で扱います。

7. 現場で見る場所|巡回の順番

現場計器 1 台の点検を、次の順に固定すると抜けにくくなります。

  1. タグ札:タグ番号と DCS の表示が同じ計器か
  2. 導圧管とマニホールド:元弁・均圧弁・ドレン弁の位置、継手の滲み、保温の破れ、凍結
  3. 伝送器本体:ケースの腐食・割れ、カバーの締め込み、端子箱の水、表示値
  4. 現場計器:現場圧力計・液面計の値と DCS の値
  5. 調節弁:開度指針とコントローラ出力、空気配管の漏れ音、ポジショナのカバー

8. 先輩に聞かれたら答えられる3問

  1. 現場計器の日常点検の 4 項目は何ですか。
  2. 気体を測る導圧管に液が溜まると、指示はどちらへずれますか。
  3. DCS の値が疑わしいとき、最初に何と比べますか。

答えは順に、漏れ・ドレンとガス抜き・ゼロ点・締め込み、溜まった液柱の分だけ高く出る、同じ場所の現場圧力計や液面計です。

まとめ

現場計器の日常点検は、漏れ・ドレンとガス抜き・ゼロ点・締め込みの4項目です。指示が狂う原因は伝送器本体より導圧管側に多く、液や気体の溜まり、凍結、弁の閉め忘れを順に確認します。

DCS の値が疑わしいときは、同じ場所の現場計器、伝送器の表示、導圧管、調節弁の開度の順に突き合わせます。潮風や日射から計器を守り、校正やループチェックは定期点検に任せ、制御用計器のゼロ点を巡回中に勝手に触らないことが、安全に点検を続けるコツです。

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参考文献

  • 横河電機編『計装メーカが書いた フィールド機器・虎の巻』工業技術社, Ⅱ 8「知っていると便利な know how」、9「保守と点検」
  • 川村貞夫・石川洋次郎『メーカーの技術者が書いた やさしく計装がわかる 工業計測と制御の基礎』工業技術社, 9.2「現場計器の保守」  Amazonで見る
  • 高圧ガス保安協会『高圧ガス保安技術』, 2.4「用役設備」(計装用空気)  最新版をAmazonで見る
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