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P&ID(配管計装図)の丸い記号は計器で、中の文字は「何を測り、何をするか」を表します。FIC-101 なら、F=流量、I=指示、C=調節、101=ループ番号です。
丸の描き方で「現場にあるか、計器室にあるか、DCS の中の機能か」が分かり、線の種類で「配管か、電気信号か、空気信号か」が分かります。
この記事では、バルーンの文字の読み方、丸の描き分け、線種、そして1本のループを P&ID の上でたどる方法を、流量制御ループの例で説明します。配管側のライン番号や配管クラスの読み方は、配管の記事(P&ID とライン番号の読み方)に譲ります。
この記事の結論
- 1文字目は測る量(F 流量、P 圧力、T 温度、L 液面、A 分析)、2文字目以降は機能(I 指示、C 調節、T 伝送、A 警報、S 遮断、V 弁)
- 同じループ番号の記号は1本のループ。FT-101 → FIC-101 → FV-101 とたどれる
- 丸の中の線で場所が分かる。線なし=現場、横線=計器室(主操作場所)、四角で囲む=DCS などのシステム内
- 実線=配管、破線=電気信号、斜線付き=空気信号。細い線の意味を取り違えると、信号か配管か分からなくなる
- 記号の細かい流儀は会社・プロジェクトで違う。必ず図面の凡例を先に見る
- P&ID の線は機能を示すもので、実際の配管ルートや高さではない
1. バルーンの文字は「測る量+機能」
計器の記号は円(バルーン)で描き、中に英字の組合せとループ番号を書きます。英字の読み方には決まりがあります。

1文字目は測る量です。
| 文字 | 測る量 |
| F | 流量(Flow) |
| P | 圧力(Pressure) |
| T | 温度(Temperature) |
| L | 液面・レベル(Level) |
| A | 分析(Analysis。pH、濃度、酸素など) |
2文字目以降は機能です。複数並ぶことがあります。
| 文字 | 機能 |
| I | 指示する(Indicate) |
| C | 調節する(Control) |
| T | 伝送する(Transmit) |
| R | 記録する(Record) |
| A | 警報する(Alarm) |
| S | 遮断・スイッチ(Switch) |
| V | 弁(Valve) |
組み合わせると、次のように読めます。
- FT-101:流量を伝送する機器=流量伝送器
- FIC-101:流量を指示し調節する=流量指示調節計
- FV-101:流量調節用の弁=調節弁
- PAH-205:圧力の高い側の警報(H は High)
- LSLL-310:液面の低低スイッチ(LL は Low-Low)
1文字目の A は「分析」、2文字目以降の A は「警報」というように、同じ文字でも位置で意味が変わる点に注意します。
2. 同じ番号は1本のループ
英字のあとの数字はループ番号です。同じ番号を持つ記号は、すべて1本の制御ループの部品です。
流量制御ループなら、P&ID の上で次のようにたどれます。
- 配管上のオリフィス記号と、そこから出る FT-101(伝送器)
- 破線でつながる FIC-101(調節計。計器室や DCS の中)
- FIC-101 から破線または空気信号線で戻ってくる FV-101(調節弁)
「FIC-101 の値がおかしい」と言われたら、P&ID で 101 番を追えば、伝送器がどの配管のどこに付き、弁がどこにあるかが分かります。タグ番号は、画面と現場と図面をつなぐ共通の鍵です。
番号の付け方(装置ごとの連番か、系列ごとの千番台かなど)は会社やプロジェクトで違います。図面の凡例と番号体系の説明を最初に確認します。
3. 丸の描き方で「どこにあるか」が分かる
バルーンの中の線は、その計器がどこに置かれているかを表します。
| 描き方 | 場所 |
| 線なしの丸 | 現場(フィールド)に置く計器。伝送器、現場圧力計、現場指示計 |
| 横線が1本入った丸 | 計器室など、運転員が普段いる場所に置く計器 |
| 四角で囲んだ丸 | DCS や PLC などのシステムの中の機能(画面上の調節計) |
| 破線の横線 | 補助の操作場所(現場盤など) |
DCS の時代では、FIC のような調節機能はほとんど「四角で囲んだ丸」です。現場に置くものは、伝送器(FT)、現場指示計(PI や TI)、スイッチ(LS など)、弁(FV)です。
4. 線種で「配管か信号か」が分かる
P&ID には太さや模様の違う線が混在します。初学者が最も混乱するところです。
| 線 | 意味 |
| 太い実線 | 主要な配管(プロセス流体が流れる) |
| 細い実線 | 補助配管、または機器と計器を結ぶ取り出し配管(導圧管など) |
| 破線 | 電気信号(4〜20 mA、接点信号) |
| 実線に斜線(ハッチ)を等間隔に入れたもの | 空気信号(計装用空気による 20〜100 kPa の信号) |
| ソフトウェアリンク(丸印付きの線など) | DCS 内部の信号のつながり |
計装の教科書の図では、現場の伝送器から調節計への測定信号と、調節計から調節弁への制御信号を破線で描き、空気配管を斜線付きの線で描いています。破線を配管と思い込むと、存在しない配管を探すことになります。
5. 弁と伝送器の記号
制御ループの終点である調節弁は、弁の記号の上に「駆動部」の記号を重ねて描きます。空気式ダイアフラム駆動なら半円、電動なら箱、電磁弁なら四角の中に S、といった具合です。
弁の横に、空気や信号が失われたときの動作を書き添えることがあります。FC(フェイルクローズ、空気なしで閉)、FO(フェイルオープン、空気なしで開)、FL(その位置で保持)の表示です。この表示は運転員にとって最も重要な情報の1つで、P&ID を読むときは調節弁ごとに必ず確認します。
伝送器は現場の丸(FT、PT、TT、LT)で描き、プロセスの取り出し点から細い線でつなぎます。温度計は保護管(サーモウェル)とセットで描かれることが多く、圧力伝送器は導圧管の取り出し弁とセットで描かれます。
6. 現場で見る場所|図面と現物を合わせる
P&ID を読めるようになったら、次は現物と合わせます。
- タグ札:現場の計器や弁には、タグ番号を刻んだ札が付いている。P&ID の番号と同じか
- 取り出し位置:P&ID で伝送器がどの配管のどこに付くか。現物ではその配管に導圧管が引かれているか
- 弁のフェイル動作:P&ID の FC/FO 表示と、現物の駆動部の種類(スプリングの向き)が合っているか
- 凡例:その図面の凡例に、線種と丸の描き方が書いてある。会社が変われば流儀も変わる
P&ID の線の曲がりや上下は、実際の配管ルートや高さを表していません。配管の高点・低点・勾配は、配管図やアイソメ図で確認します。
7. 先輩に聞かれたら答えられる3問
- TIC-205 は何をする計器ですか。
- 破線で描かれた線は、配管ですか、信号ですか。
- 調節弁の横の「FC」は何を表しますか。
答えは順に、温度を指示して調節する調節計(205 番ループ)、電気信号、空気が失われたとき弁が閉じるフェイルクローズです。
まとめ
P&ID の計器記号は、1文字目が測る量、2文字目以降が機能、数字がループ番号です。同じ番号をたどれば、伝送器から調節計、調節弁まで1本のループが追えます。丸の中の線で現場・計器室・システム内が分かり、実線・破線・斜線付きの線で配管・電気信号・空気信号を見分けます。
記号の流儀は会社やプロジェクトで異なるので、必ず図面の凡例から読み始めます。現場ではタグ札、取り出し位置、弁のフェイル動作を P&ID と突き合わせ、線の曲がりを配管ルートと誤解しないようにしてください。
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参考文献
- 川村貞夫・石川洋次郎『メーカーの技術者が書いた やさしく計装がわかる 工業計測と制御の基礎』工業技術社, 1.3「計装システムの基本構成」、1.5「ループの構成方法」(図中の記号と線種) Amazonで見る
- 高圧ガス保安協会『高圧ガス保安技術』, 11.8「計装」(温度制御ループの図) 最新版をAmazonで見る
- 日本産業規格 JIS Z 8204「計装用記号」
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