動画解説はこちら|YouTube

P&ID の計装記号とタグ番号の読み方|FIC-101 の F・I・C は何か、丸・線種・現場か計器室か

P&ID の計装記号とタグ番号の読み方のアイキャッチ

※本記事の参考文献には、Amazonアソシエイトのリンク(アフィリエイト広告)を含みます。

P&ID(配管計装図)の丸い記号は計器で、中の文字は「何を測り、何をするか」を表します。FIC-101 なら、F=流量、I=指示、C=調節、101=ループ番号です。

丸の描き方で「現場にあるか、計器室にあるか、DCS の中の機能か」が分かり、線の種類で「配管か、電気信号か、空気信号か」が分かります。

この記事では、バルーンの文字の読み方、丸の描き分け、線種、そして1本のループを P&ID の上でたどる方法を、流量制御ループの例で説明します。配管側のライン番号や配管クラスの読み方は、配管の記事(P&ID とライン番号の読み方)に譲ります。

この記事の結論

  • 1文字目は測る量(F 流量、P 圧力、T 温度、L 液面、A 分析)、2文字目以降は機能(I 指示、C 調節、T 伝送、A 警報、S 遮断、V 弁)
  • 同じループ番号の記号は1本のループ。FT-101 → FIC-101 → FV-101 とたどれる
  • 丸の中の線で場所が分かる。線なし=現場、横線=計器室(主操作場所)、四角で囲む=DCS などのシステム内
  • 実線=配管、破線=電気信号、斜線付き=空気信号。細い線の意味を取り違えると、信号か配管か分からなくなる
  • 記号の細かい流儀は会社・プロジェクトで違う。必ず図面の凡例を先に見る
  • P&ID の線は機能を示すもので、実際の配管ルートや高さではない

1. バルーンの文字は「測る量+機能」

計器の記号は円(バルーン)で描き、中に英字の組合せとループ番号を書きます。英字の読み方には決まりがあります。

計器記号の読み方
計器記号の読み方

1文字目は測る量です。

文字測る量
F流量(Flow)
P圧力(Pressure)
T温度(Temperature)
L液面・レベル(Level)
A分析(Analysis。pH、濃度、酸素など)

2文字目以降は機能です。複数並ぶことがあります。

文字機能
I指示する(Indicate)
C調節する(Control)
T伝送する(Transmit)
R記録する(Record)
A警報する(Alarm)
S遮断・スイッチ(Switch)
V弁(Valve)

組み合わせると、次のように読めます。

  • FT-101:流量を伝送する機器=流量伝送器
  • FIC-101:流量を指示し調節する=流量指示調節計
  • FV-101:流量調節用の弁=調節弁
  • PAH-205:圧力の高い側の警報(H は High)
  • LSLL-310:液面の低低スイッチ(LL は Low-Low)

1文字目の A は「分析」、2文字目以降の A は「警報」というように、同じ文字でも位置で意味が変わる点に注意します。

2. 同じ番号は1本のループ

英字のあとの数字はループ番号です。同じ番号を持つ記号は、すべて1本の制御ループの部品です。

流量制御ループなら、P&ID の上で次のようにたどれます。

  1. 配管上のオリフィス記号と、そこから出る FT-101(伝送器)
  2. 破線でつながる FIC-101(調節計。計器室や DCS の中)
  3. FIC-101 から破線または空気信号線で戻ってくる FV-101(調節弁)

「FIC-101 の値がおかしい」と言われたら、P&ID で 101 番を追えば、伝送器がどの配管のどこに付き、弁がどこにあるかが分かります。タグ番号は、画面と現場と図面をつなぐ共通の鍵です。

番号の付け方(装置ごとの連番か、系列ごとの千番台かなど)は会社やプロジェクトで違います。図面の凡例と番号体系の説明を最初に確認します。

3. 丸の描き方で「どこにあるか」が分かる

バルーンの中の線は、その計器がどこに置かれているかを表します。

描き方場所
線なしの丸現場(フィールド)に置く計器。伝送器、現場圧力計、現場指示計
横線が1本入った丸計器室など、運転員が普段いる場所に置く計器
四角で囲んだ丸DCS や PLC などのシステムの中の機能(画面上の調節計)
破線の横線補助の操作場所(現場盤など)

DCS の時代では、FIC のような調節機能はほとんど「四角で囲んだ丸」です。現場に置くものは、伝送器(FT)、現場指示計(PI や TI)、スイッチ(LS など)、弁(FV)です。

4. 線種で「配管か信号か」が分かる

P&ID には太さや模様の違う線が混在します。初学者が最も混乱するところです。

線意味
太い実線主要な配管(プロセス流体が流れる)
細い実線補助配管、または機器と計器を結ぶ取り出し配管(導圧管など)
破線電気信号(4〜20 mA、接点信号)
実線に斜線(ハッチ)を等間隔に入れたもの空気信号(計装用空気による 20〜100 kPa の信号)
ソフトウェアリンク(丸印付きの線など)DCS 内部の信号のつながり

計装の教科書の図では、現場の伝送器から調節計への測定信号と、調節計から調節弁への制御信号を破線で描き、空気配管を斜線付きの線で描いています。破線を配管と思い込むと、存在しない配管を探すことになります。

5. 弁と伝送器の記号

制御ループの終点である調節弁は、弁の記号の上に「駆動部」の記号を重ねて描きます。空気式ダイアフラム駆動なら半円、電動なら箱、電磁弁なら四角の中に S、といった具合です。

弁の横に、空気や信号が失われたときの動作を書き添えることがあります。FC(フェイルクローズ、空気なしで閉)、FO(フェイルオープン、空気なしで開)、FL(その位置で保持)の表示です。この表示は運転員にとって最も重要な情報の1つで、P&ID を読むときは調節弁ごとに必ず確認します。

伝送器は現場の丸(FT、PT、TT、LT)で描き、プロセスの取り出し点から細い線でつなぎます。温度計は保護管(サーモウェル)とセットで描かれることが多く、圧力伝送器は導圧管の取り出し弁とセットで描かれます。

6. 現場で見る場所|図面と現物を合わせる

P&ID を読めるようになったら、次は現物と合わせます。

  1. タグ札:現場の計器や弁には、タグ番号を刻んだ札が付いている。P&ID の番号と同じか
  2. 取り出し位置:P&ID で伝送器がどの配管のどこに付くか。現物ではその配管に導圧管が引かれているか
  3. 弁のフェイル動作:P&ID の FC/FO 表示と、現物の駆動部の種類(スプリングの向き)が合っているか
  4. 凡例:その図面の凡例に、線種と丸の描き方が書いてある。会社が変われば流儀も変わる

P&ID の線の曲がりや上下は、実際の配管ルートや高さを表していません。配管の高点・低点・勾配は、配管図やアイソメ図で確認します。

7. 先輩に聞かれたら答えられる3問

  1. TIC-205 は何をする計器ですか。
  2. 破線で描かれた線は、配管ですか、信号ですか。
  3. 調節弁の横の「FC」は何を表しますか。

答えは順に、温度を指示して調節する調節計(205 番ループ)、電気信号、空気が失われたとき弁が閉じるフェイルクローズです。

まとめ

P&ID の計器記号は、1文字目が測る量、2文字目以降が機能、数字がループ番号です。同じ番号をたどれば、伝送器から調節計、調節弁まで1本のループが追えます。丸の中の線で現場・計器室・システム内が分かり、実線・破線・斜線付きの線で配管・電気信号・空気信号を見分けます。

記号の流儀は会社やプロジェクトで異なるので、必ず図面の凡例から読み始めます。現場ではタグ札、取り出し位置、弁のフェイル動作を P&ID と突き合わせ、線の曲がりを配管ルートと誤解しないようにしてください。

関連記事

この章(計装の基礎)の記事

  • 計装とは何か:測る・伝える・調節する・動かす、1つの制御ループを現場から計器室まで追う
  • 4〜20 mA と計装信号:なぜ 0 でなく 4 から始まるのか、空気式 20〜100 kPa、断線はどう分かるか
  • 防爆の基礎:危険場所のゾーン、耐圧・本質安全・安全増の違い、現場計器の銘板の読み方
  • 計器の精度・誤差・校正:「±0.5%」は何の 0.5% か、ゼロ点とスパン、いつ校正するか
  • 現場計器の日常点検:導圧管のドレン・凍結・指示値の疑い方、DCS の値と現場計器を突き合わせる

あわせて読みたい

参考文献

  • 川村貞夫・石川洋次郎『メーカーの技術者が書いた やさしく計装がわかる 工業計測と制御の基礎』工業技術社, 1.3「計装システムの基本構成」、1.5「ループの構成方法」(図中の記号と線種)  Amazonで見る
  • 高圧ガス保安協会『高圧ガス保安技術』, 11.8「計装」(温度制御ループの図)  最新版をAmazonで見る
  • 日本産業規格 JIS Z 8204「計装用記号」
化学プラントニュース―週報と事故速報をわかりやすく紹介するnoteマガジン PLANT NEWS ON NOTE 化学プラントニュース 化学・石油プラントの重要ニュースを、毎週の週報と事故速報でお届けします。現場で押さえたい動きを、わかりやすく整理します。 noteで最新ニュースを読む