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計算のたびに電卓を叩くのが面倒
式は分かったが、自分の条件だとどうなる?
そんな悩みを解決します。
・熱交換器の検討で使える計算ツール6本
・設計のどの段階でどれを使うか
・ツールの使いどころと限界

私の仕事は化学プラントの設計です。
記事の計算例をそのまま動かせるツールを作りました。すべてブラウザだけで動き、入力はどこにも送られません。
熱交換器の検討は、式そのものより「自分の条件だとどうなるか」を何度も試すことに時間がかかります。温度を少し変えたら成立するのか。流量を1.3倍にしたら出口は何℃になるのか。どこに手を打てば U が上がるのか。
そうした問いに、その場で答えられるツールを6本用意しました。いずれも当ブログの記事に埋め込んであり、記事の計算例と同じ数値が出ることを確認しています。
① 温度クロス・補正係数F 判定 温度4つで、その条件が成立するか・何シェル必要か
② 熱抵抗の内訳ビジュアライザ どこが律速していて、そこを直すと U がどれだけ変わるか
③ 必要伝熱面積の概算 Q → ΔTm → U → A を一度に。面積は幅で出る
④ レーティング電卓 既設機に別条件を流したときの出口温度と、流量の上限
⑤ 汚れ抵抗の逆算とトレンド 運転データから現在の汚れと、洗浄時期の目安
⑥ リボイラの設計熱流束チェック バーンアウトまでどれだけ余裕があるか
設計の流れとツールの対応
どの段階で何を使うかを整理します。上から順に進めるのが基本の流れです。
| 段階 | やること | 使うツール |
|---|---|---|
| 規模を掴む | 熱収支から必要面積の当たりをつける | ③ 必要伝熱面積の概算 |
| 成立性を確かめる | 温度条件が1台で成立するか判定する | ① 温度クロス・F 判定 |
| 性能を詰める | 律速側を見極めて手を打つ | ② 熱抵抗の内訳 |
| 相変化を扱う | リボイラの熱流束が目安内か確認する | ⑥ 設計熱流束チェック |
| 既設機を評価する | 増産や条件変更に耐えるか検証する | ④ レーティング電卓 |
| 運転を続ける | 汚れの進行を数字で追い、洗浄時期を決める | ⑤ 汚れ抵抗の逆算 |
それぞれのツール
① 温度クロス・補正係数F 判定ツール
高温側と低温側の入口・出口、合計4つの温度を入れるだけで、その条件が1-2型(シェル1パス・チューブ2パス)で成立するか、何シェル直列にすれば F ≧ 0.8 を満たせるかが分かります。流量も伝熱面積も要りません。
こんなときに 熱収支を組んだ直後、面積を計算する前の成立性チェック
・P・R・ΔTlm・1-2型の P 上限を表示
・1〜4シェルそれぞれの F と判定を一覧
・F の落ち方をグラフで表示。設計点が「崖」のどこにいるかが見える
・温度プロファイルでクロス量を可視化
② 熱抵抗の内訳ビジュアライザ
両側の熱伝達率・汚れ係数・管寸法から、5つの熱抵抗(両側の境膜、両側の汚れ、管壁)の割合を帯グラフにします。どこが律速しているかが一目で分かります。
こんなときに 「流速を上げれば良くなるはず」と考えたとき、それが本当に効くかの確認
・外面基準 Uo と内面基準 Ui の両方を表示
・清浄時 Uc と、汚れによる性能低下率
・各項目を半分にしたときの U を全部計算。律速していない項を直しても動かないことが確かめられる
③ 必要伝熱面積の概算ツール
熱負荷 Q → 平均温度差 ΔTm → 総括伝熱係数 U → 面積 A の4ステップを一度に計算します。U は幅を持った概算値なので、面積も幅で出ます。
こんなときに 引き合いを出す前に、機器の規模と用役の必要量を掴む
・流体の組合せを選ぶと U のレンジが自動で入る
・冷却側の必要流量も同時に計算(用役の余力確認に使う)
・温度クロスなら「面積を増やしても達成できない」と警告
④ レーティング電卓(ε-NTU 法)
伝熱面積と総括伝熱係数が分かっている既設機に、いまの条件を流したら何℃で出てくるかを計算します。スライダーで流量を振ると、目標出口温度を満たせる流量の上限まで出ます。
こんなときに 増産できるか、原料を変えても足りるか、遊休機を転用できるかの判断
・出口温度・Q・ε・NTU・Cr を表示
・圧力損失の倍率も併記(伝熱だけ見て圧損を忘れる失敗を防ぐ)
・流量とともに U が上がる効果を n(U ∝ 流量ⁿ)で見込める
⑤ 汚れ抵抗の逆算とトレンド判定
運転データから実測の U を逆算し、いまの汚れ抵抗を出します。経過データを入れると、汚れの進み方(漸近型・直線型・加速型)と洗浄時期の目安が分かります。
こんなときに 「効きが悪い」を数字にする。洗浄すべきか、まだ持つかの判断
・最初に熱収支の不一致を判定。5%を超えたら汚れより先に計測・流量・バイパスを疑う
・汚れ抵抗の推移をグラフ化し、設計汚れ係数に達する時期を外挿
・加速型が出たら「閉塞の可能性あり」と警告
⑥ リボイラの設計熱流束チェック
熱負荷と伝熱面積から熱流束 q = Q/A を出し、設計目安と限界熱流束(バーンアウト)に対してどの位置にいるかを帯グラフで示します。
こんなときに リボイラの面積が足りているか、温度差を広げてよいかの判断
・流体種別(水・軽質有機・重質有機)と減圧条件で目安が変わる
・限界熱流束に対する比率を表示
・目安に収めるのに必要な面積を逆算
使うときに気をつけること
概算であることを忘れない
これらのツールは規模を掴み、判断の材料を得るためのものです。機器を確定させるためのものではありません。
伝熱性能の最終的な保証はメーカーの責任範囲です。とくにシェル側の熱伝達率は、バッフル間隔など機器メーカー側の設計変数がないと正確には計算できません。
相変化やゾーン分割が必要な条件では使えない
過熱蒸気の冷却部を含むコンデンサや、粘度が温度で大きく変わる高粘度液では、U が場所によって変わります。この場合は伝熱面をゾーンに分けた計算が必要で、単一の U と ΔTm では扱えません。
入力はどこにも送られません
すべてブラウザ内で計算しています。サーバーへの送信も保存もありません。実機の運転データを入れても差し支えありません。
まとめ
・6本のツールはすべて記事に埋め込まれていて、記事の計算例と同じ数値が出ます。
・まず ③ で規模を掴み、① で成立性を確かめる。この順が効率的です。
・② は「どこに手を打つべきか」、④⑤ は既設機の評価と運転管理に使います。
・いずれも概算です。最終的な性能保証はメーカーの計算に委ねてください。
・入力はブラウザ内で処理され、どこにも送信されません。
熱交換器の設計・運用の全体像は、次の記事にまとめています。
化学プラント大全 
