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重要度:◎ よく問われます(市販問題集2冊の頻出印と公式公開問題から。当サイトの判断)
最終確認:2026年9月23日
化学工場には、引火(いんか)しやすいのに、液面の上に水を張って保管する液体があります。第4類(だいよんるい)の特殊引火物(とくしゅいんかぶつ)の1つ、二硫化炭素(にりゅうかたんそ)です。危険物乙4では、4つの物品の引火点(いんかてん)や発火点(はっかてん)の「いちばん」を入れ替えた問題がよく出ます。
この記事でわかること
- 特殊引火物が燃えやすい3つの理由
- 4つの物品それぞれの「いちばん」と保管のしかた
- 二硫化炭素を水の中で保管する理由
4つの物品のうち、引火点がいちばん低いのはジエチルエーテル、発火点がいちばん低いのは二硫化炭素です。
二硫化炭素は水より重く水に溶けないので、水を張って蒸気が出るのを抑えます。
アセトアルデヒドは、沸点(ふってん)がいちばん低く、燃焼範囲(ねんしょうはんい)もとても広い物品です。
まず場面で:二硫化炭素のタンクは水の中に沈めてある
二硫化炭素を入れた容器やタンクでは、液面の上に水を張ります。屋外の大きなタンクでは、タンクそのものを水を満たした槽の中に沈めます。ほかの第4類の液体では見かけない、変わった保管のしかたです。

水を張れるのは、二硫化炭素が水より重く、水に溶けにくいからです。重い二硫化炭素は下に沈み、その上に水の層ができます。水の層がふたの代わりになり、燃える蒸気が外へ出るのを抑えます。
ほかの第4類の液体の多くは、水より軽く水に浮きます。水を張っても液の上に油の層ができるだけで、ふたにはなりません。第4類で水を張って保管するのは、二硫化炭素だけです。
特殊引火物は、火がつく温度も沸く温度も低い
特殊引火物とは、第4類の中で、特に火がつきやすい液体の区分のことです。1気圧のとき、次のどちらかに当てはまるものをいいます。細かい区切りは第4類の7品名で扱います。
- 発火点が100℃以下
- 引火点が−20℃以下(マイナス20度以下)で、しかも沸点が40℃以下
沸点とは、液体が沸騰(ふっとう)する温度のことです。特殊引火物は、引火点が低いので火がつきやすく、沸点が低いので蒸発しやすい液体です。燃える濃さの幅である燃焼範囲も広く、蒸気が燃えやすい性質があります。
試験で問われる特殊引火物は、代表的な4つの物品です。4つには、それぞれ保管のしかたに表れる「個性」があります。
ジエチルエーテルは、空気に触れたり日光に当たったりすると酸化(さんか)し、爆発しやすい過酸化物(かさんかぶつ)ができます。だから容器は密栓し、直射日光を避けて冷暗所に置きます。蒸気には、吸うと意識がぼんやりする麻酔性があります。
二硫化炭素は、発火点が水の沸点より低い物品です。温めた蒸気の配管に触れるだけで、発火(はっか)するおそれがあります。燃えると青い炎を上げ、有毒な二酸化硫黄(にさんかいおう)が出ます。
アセトアルデヒドと酸化プロピレンは、どちらも水によく溶けます。容器には窒素などの不活性ガスを入れ、空気に触れさせません。銅や銀に触れると、アセトアルデヒドは爆発性の物質を作り、酸化プロピレンは発熱して火がつくおそれがあります。
覚える数字は4物品の「いちばん」4つ
覚える数字は、4物品の「いちばん」にあたる4つです。どの物品が、何の「いちばん」かをセットで覚えます。「低い」と「高い」の向きも、答えの一部です。
| 物品 | 4物品の中のいちばん | 数値 |
|---|---|---|
| ジエチルエーテル | 引火点がいちばん低い | −45℃ |
| 二硫化炭素 | 発火点がいちばん低い | 90℃ |
| アセトアルデヒド | 沸点がいちばん低い | 21℃ |
| 酸化プロピレン | 発火点がいちばん高い | 449℃ |
アセトアルデヒドは、燃焼範囲もとても広い物品です。その範囲は、4.0〜60vol%(ボリュームパーセント)です。
発火点のいちばん低いのが二硫化炭素、いちばん高いのが酸化プロピレンです。
水との関係と保管のしかたも、物品ごとに違います。
| 物品 | 水との関係 | 保管のしかた |
|---|---|---|
| ジエチルエーテル | 少しだけ溶ける | 密栓し、冷暗所に置く |
| 二硫化炭素 | 溶けず、水より重い | 液面に水を張る |
| アセトアルデヒド | よく溶ける | 不活性ガスを入れ、銅・銀を使わない |
| 酸化プロピレン | よく溶ける | 不活性ガスを入れる |
ここは覚えなくていい
表にない沸点・比重(ひじゅう)・燃焼範囲の細かい数値と、化学式は覚えなくてかまいません。4つの物品のほかにも特殊引火物に入る物質はありますが、まずはこの4つで足ります。
試験ではこう聞かれる:「いちばん」の入れ替えと「二硫化炭素は水より軽い」
1つめは、「いちばん」の入れ替えです。「発火点がいちばん低いのはジエチルエーテル」のように、物品と性質をずらして出ます。引火点のいちばんはジエチルエーテル、発火点のいちばんは二硫化炭素です。
2つめは、二硫化炭素の性質の逆転です。「水より軽い」「水によく溶ける」「蒸気は空気より軽い」は、どれも誤りです。燃えて出るのは二酸化硫黄で、「硫化水素が出る」と書いてあれば誤りです。
3つめは、過酸化物を作る物質を選ばせる形です。空気や日光で爆発しやすい過酸化物を作りやすいのは、ジエチルエーテルです。アセトアルデヒドも、圧力をかけた状態で空気に触れると過酸化物を作るおそれがあります。
4つめは、水に溶けるかどうかです。アセトアルデヒドと酸化プロピレンは水によく溶けるので、火事には水溶性液体用泡消火剤(すいようせいえきたいようあわしょうかざい)を使います。「酸化プロピレンは水に溶けにくい」は誤りです。
覚え方:引火はエーテル、発火は二硫化、沸くのはアセトアルデヒド、で「いちばん」を並べる。
工場・現場ではこうなる:窒素と水で空気から隔てるタンク
化学プラントでは、アセトアルデヒドや酸化プロピレンのタンクの上の空間を窒素で満たし、空気が入らないようにします。二硫化炭素のタンクは液面に水を張り、屋外ではタンクごと水槽に沈めて置きます。どちらも、燃える蒸気と空気を出会わせないための工夫です。
確認問題
問1 特殊引火物(とくしゅいんかぶつ)の4物品で、引火点が最も低いのは二硫化炭素である。
答え:×
訂正:4物品で引火点が最も低いのはジエチルエーテルで、二硫化炭素は発火点が最も低い。
根拠:特殊引火物の代表4物品では、引火点が最も低いのはジエチルエーテル、発火点が最も低いのは二硫化炭素で、別の物品です。
なぜか:4物品の引火点は、どれも−30℃以下の低い値です。その中で最も低いのは、ジエチルエーテルの−45℃です。
狙われる形:発火点がいちばん低い二硫化炭素と入れかえた形で出ます。
問2 水より重い二硫化炭素は、上に水を浮かべてふたをすることで、蒸気が出ないようにしておく。
答え:○
根拠:第4類で液面に水を張って貯蔵するのは、水より重く水に溶けにくい二硫化炭素です。
なぜか:二硫化炭素は水に溶けにくく、水の下に沈みます。上に浮いた水が、蒸気の出口をふさぎます。
狙われる形:水を張る物品を、水より軽い別の特殊引火物にすり替えた形で出ます。
問3 特殊引火物の4物品で、いちばん沸点が低く、蒸発しやすいのはジエチルエーテルである。
答え:×
訂正:4物品で沸点がいちばん低いのはアセトアルデヒドである。
根拠:代表4物品の「いちばん」は、引火点・発火点・沸点で別の物品になります。
なぜか:ジエチルエーテルの沸点は35℃、アセトアルデヒドは21℃です。沸点で比べると、アセトアルデヒドのほうが低くなります。
狙われる形:引火点がいちばん低いジエチルエーテルを、沸点でもいちばんとした形で出ます。
まとめ
引火点がいちばん低いのはジエチルエーテル、発火点がいちばん低いのは二硫化炭素、いちばん高いのは酸化プロピレンです。アセトアルデヒドは沸点がいちばん低く、燃焼範囲もとても広い物品です。二硫化炭素は水より重く水に溶けないので、水を張って蒸気を封じます。
次に読む
- 前に戻る:第4類の貯蔵・取扱いの注意:蒸気・火花・あふれを防ぐ理由
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- もっと詳しく(甲種レベル):第4類を品名ごとにまとめて復習する
参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、4-3 特殊引火物 Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、3-6 特殊引火物の性状(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
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