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調節弁のしくみ|駆動部・弁本体・ポジショナ、空気が来ないと弁はどちらへ動くか(FC/FO)

調節弁のしくみのアイキャッチ

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調節弁は、制御ループの最後で実際に流体を絞る「操作端」です。計器室のコントローラがいくら正しい出力を出しても、調節弁が指示どおりに動かなければ制御は成り立ちません。

調節弁は駆動部(空気の力でステムを動かす部分)と弁本体(プラグとシートで流路を絞る部分)でできていて、空気が失われたときに開くか閉じるかが、駆動部と弁本体の組み合わせで決まります。これは運転員が最初に覚えるべき性質です。

この記事では、調節弁の3つの部分、駆動部の種類と正動作・逆動作、弁本体の形式と使い分け、フェイル動作(FC・FO・保持)の決め方、ポジショナの役割、そして現場で見る場所を説明します。

この記事の結論

  • 調節弁は 駆動部(操作器)・弁本体(弁箱・上蓋・トリム)・補助機器(ポジショナなど) でできている
  • 駆動部の主流は スプリング式ダイアフラム操作器。空気圧の力とスプリングの反力の釣り合いで開度が決まる。作動空気圧 0.4 MPa 程度
  • 正動作=空気でステムが下がる、逆動作=空気でステムが上がる。弁本体の正栓・逆栓と組み合わせて、空気増で閉じる「正作動(AIR TO CLOSE)」か開く「逆作動(AIR TO OPEN)」になる
  • 空気や信号が失われたとき 閉じるのが安全なら逆作動(FC)、開くのが安全なら正作動(FO)、その位置で止めるならロックアップ弁(保持)
  • ポジショナは弁開度を操作信号に正しく合わせる小さなコントローラ。付けると精度が 4〜5% から 1% 程度に上がる
  • 単動式のフェイルセーフスプリングは大気にさらされ腐食する。駆動部の寿命は約 100 万回

1. 調節弁の3つの部分

調節弁ハンドブックは、バルブを機能面から「手動弁」と「自動弁」に分け、自動弁をさらに、制御流体の圧力そのものを動力とする「自力式調整弁」と、外部から指令信号と動力(作動媒体)を受けて動く「他力式調節弁」に分けています。制御ループに組み込まれているのは他力式で、この記事の主題です。

部分中身役割
駆動部(操作器)ダイアフラム、スプリング、操作ステム、ヨーク空気圧を力に変えてステムを動かす
弁本体弁箱、上蓋、トリム(プラグ、シート、ケージ)、グランドパッキンステムの動きでプラグとシートの隙間を変え、流量を絞る
補助機器ポジショナ、電磁弁、ブースタ、スピードコントローラ、ロックアップ弁開度を正確にする、速くする、停電時に保持する

手動弁は、調節弁の前後弁やバイパス弁として使われ、遮断性能が重視されます。調節弁が絞る役、前後の手動弁が止める役、という分担です。

2. 駆動部|空気とスプリングの釣り合い

駆動部には空気式(ダイアフラム式・シリンダ式)、電動式、電油式があります。化学プラントでは空気式が圧倒的に多く、その中でもスプリング式ダイアフラム操作器が汎用の主流です。空気式以外の操作端は調節弁以外の操作端で説明しています。

空気とスプリングの釣り合い
空気とスプリングの釣り合い

構造は、ダイアフラムケース、ゴム製のダイアフラム(厚さ 2〜4 mm)、ダイアフラム受け、スプリング、操作ステム、ヨークです。ダイアフラムに空気圧をかけると力が生じ、スプリングの反力と釣り合う位置でステムが止まります。空気圧を上げればステムはさらに動き、下げれば戻ります。作動空気圧は 0.4 MPa、ストロークは 100 mm 程度までが一般的です。

駆動部には向きが2つあります。

駆動部空気をどこに入れるか空気ゼロのとき空気を増やすと
正動作形ダイアフラムの上部ステムは上(最小突出)ステムが下がる(Air to stem down)
逆動作形ダイアフラムの下部ステムは下(最大突出)ステムが上がる(Air to stem up)

シリンダ式は、ピストンで動かす方式で、高リフト・高出力に使われます。スプリングを持たない複動式は、オン・オフ用や、スプリングの腐食を避けたい環境で使われます。

3. 弁本体|形式と使い分け

弁本体はステムの動きで往復動形(グローブ、アングル、三方、ダイアフラム、ゲート)と回転形(バタフライ、ボール、偏心軸回転)に分かれます。計装の教科書の表から、代表的な形式の特徴をまとめます。

形式口径の目安特徴と用途
単座グローブ弁15〜350A制御特性がよく、全閉時の漏れも少ない汎用弁。スラリーや強腐食性を除く水・蒸気・ガス
複座グローブ弁25〜350Aシートとプラグが2組で駆動部の負担を軽くする。全閉時の漏れが多い
ケージ弁40〜200A高差圧でのプラグ振動を防ぐ。ケージとプラグの間に繊維質やごみが噛み込むことに注意
バタフライ弁50〜1500A炉内圧や燃焼空気など低差圧の制御
ボール弁25〜350Aライン切替などオン・オフ操作
偏心回転弁25〜200A弁容量が大きく、スラリーにも使える
ダイアフラム弁(サンダース弁)15〜300A腐食性流体やスラリー。耐久性に難

グローブ弁では、ステムが上下してプラグとシートの隙間面積が変わり、流量が変わります(内弁構造)。プラグの形が流量特性を決め、これは流量特性の記事で扱います。

4. フェイル動作|空気が来ないと弁はどちらへ動くか

弁の作動は、駆動部の正動作・逆動作と、弁本体の正栓・逆栓の組み合わせで決まります。グローブ弁の弁体は正栓がほとんどなので、実際には駆動部の向きで決まります。

空気が失われると弁はどちらへ動くか
空気が失われると弁はどちらへ動くか
弁の作動空気圧信号を増やすと別名空気が失われると
正作動閉じるAIR TO CLOSE開く(FO)
逆作動開くAIR TO OPEN、AIRLESS TO CLOSE閉じる(FC)

どちらにするかは、操作信号の断線、空気配管の漏れ、空気源の停止、停電のとき、弁が閉じるのと開くのとどちらが安全かで決めます。計装の教科書の例では、水と酸を混合するプロセスで酸の流量を弁で制御しているなら、異常時に酸の弁が閉じるほうが安全なので逆作動弁(FC)を選びます。プロセス安全の教科書の表では、加熱炉の燃料弁は閉、冷却水弁は開、緊急遮断弁は閉が基本です。空気源そのものの作り方と、空気が止まったときのプラント全体の動きは計装用空気と計装電源で説明しています。

3つ目の選択肢が「保持」です。全開でも全閉でもなく、失われる直前の位置を保つほうが安全な場合があります。ダイアフラム式ならロックアップ弁を組み合わせ、空気源が低下するとダイアフラム内の空気を閉じ込めます。電動弁は原理的に保持形です。

この向きは、コントローラの正動作・逆動作とも組み合わさります。弁を交換して FC から FO に変わったのに、コントローラの設定を変えなければ暴走します(フィードバック制御の記事)。

5. ポジショナ|開度を信号に合わせる小さなコントローラ

調節弁の内弁は、弁前後の圧力差による反力を受けます。流体の圧力が変動して反力が大きく変わると、操作信号の空気圧を直接駆動部につないだだけでは、弁開度が信号に追従しなくなります。そこでポジショナを付けます。

ポジショナは開度を合わせる
ポジショナは開度を合わせる

ポジショナは、ステムの位置を検出し、操作信号と比較して、差がゼロになるように駆動部への空気圧を変える、いわば小さなコントローラです。ハンドブックは、内弁の不平衡推力、上下で異なるグランドパッキンの摩擦、給気・排気で異なる空気圧特性といった非線形な要素と無関係に、弁開度を操作信号に直接比例させるのがポジショナの主な役割だと書いています。

効果は数字で分かります。操作器単独では、ダイアフラム式で精度 4〜5%、ヒステリシス 2〜3%、シリンダ式では 5% 以上ですが、ポジショナを付けると 1% 程度まで改善します。ほかにも、応答の改善(むだ時間と時定数を小さく)、大出力、スプリットレンジ(1つの信号で2台の弁を分担)、流量特性の変更、締切性の向上に使われます。

操作信号が電流(4〜20 mA)なら、電気信号を空気圧に変える電空ポジショナが必要です。計装の教科書は、単動式で弁サイズ 50A 以下、かつ空気信号の伝送距離 30 m 未満ならポジショナを省略できるとしつつ、「後から追加する作業は面倒。迷った時は付けておいたほうが安全」と書いています。ポジショナの調整と診断はポジショナの役割と調整で説明しています。

6. 現場で見る場所

  1. 銘板と P&ID のフェイル動作:FC か FO か保持か。現物の駆動部(空気が上から入るか下から入るか)と一致しているか
  2. 開度指針:ヨークの目盛板で開度が読める。コントローラの MV と一致しているか
  3. 空気配管:供給空気(0.4 MPa 程度)と信号の配管。漏れ音、フィルタ付減圧弁の圧力
  4. スプリングの腐食:単動式のフェイルセーフスプリングは大気にさらされる。海岸や腐食性ガスの環境では腐食による折損の危険
  5. ダイアフラムの寿命:駆動部の寿命は約 100 万回。動作回数に応じてダイアフラムを定期交換。許容周囲温度は −20〜70℃
  6. ポジショナの有無と種類:空空か電空か、スマートか。カバーの中に水が入っていないか

7. 先輩に聞かれたら答えられる3問

  1. 逆作動弁(AIR TO OPEN)は、空気が失われるとどちらへ動きますか。
  2. ポジショナを付けると、弁開度の精度はどのくらい改善しますか。
  3. 空気が失われたとき「その位置で止める」には、何を組み合わせますか。

答えは順に、閉じる(フェイルクローズ)/4〜5% から 1% 程度/ロックアップ弁、です。

まとめ

調節弁は駆動部・弁本体・補助機器でできていて、駆動部の主流は空気圧とスプリングの釣り合いで動くスプリング式ダイアフラム操作器です。正動作・逆動作と正栓・逆栓の組み合わせで、空気増で閉じる正作動(FO)か開く逆作動(FC)が決まり、異常時にどちらが安全かでプロセスごとに選びます。保持が要るならロックアップ弁です。

ポジショナは開度を信号に合わせる小さなコントローラで、精度を 1% 程度に上げます。現場では、フェイル動作の表示と現物、開度指針と MV、空気配管、スプリングの腐食、ダイアフラムの寿命を確認してください。

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参考文献

  • 川村貞夫・石川洋次郎『メーカーの技術者が書いた やさしく計装がわかる 工業計測と制御の基礎』工業技術社, 3.1「調節弁」(駆動部、弁体、操作端補助機器、調節弁の作動、【解説】弁の作動、【解説】弁駆動部の選定と使用上の注意)  Amazonで見る
  • 山武 調節弁ハンドブック編纂委員会編『工業プロセス用調節弁の実技ハンドブック 改訂第2版』日本工業出版, 第1章「調節弁の基礎」、第5章「操作器」、第8章「バルブポジショナ」  Amazonで見る
  • 安全工学会監修『実践・安全工学シリーズ2「プロセス安全の基礎」』化学工業日報社, 第3章 7「フェイルセーフ設計」表3-9  Amazonで見る
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