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シーケンス制御と PLC|起動・停止の順序を自動にする、リレー・ラダー・器具番号の入口

シーケンス制御と PLCのアイキャッチ

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シーケンス制御は、あらかじめ決めた順序に従って、制御の各段階を次々に進める制御です。「潤滑油ポンプを起動し、油圧が上がったら本体を起動し、吐出弁を開ける」のような、起動・停止の手順を自動にするのがシーケンス制御です。

フィードバック制御が「目標に合わせて連続的に調節する」のに対し、シーケンス制御には目標値も修正動作もありません。条件が揃ったら次へ進む、揃わなければ進まない。これだけです。だから、起動条件が揃わないと起動できない「インターロック」も、シーケンス制御の一種として作られます。

この記事では、シーケンス制御の考え方、リレーから PLC への移り変わり、ラダー図の読み方の入口、電気の器具番号、そして DCS とどう分担するかを、製造部員向けに説明します。

この記事の結論

  • シーケンス制御は 決めた順序で段階を進める制御。目標値も修正動作もないので、外乱には追従しない
  • 用途は 起動・停止の自動化、インターロック(起動条件が揃わないと動かない)、バッチの手順
  • 昔は リレーとタイマの組合せ回路、今は PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)でロジックを組む
  • PLC のプログラムは ラダー図で書かれることが多い。左の条件(接点)が成立すると右の出力(コイル)が入る、という読み方
  • 電気の盤の図面には 器具番号(52 は遮断器、51 は過電流継電器など)が使われる。数字の意味を知ると図面が読める
  • DCS はプロセスの連続制御、PLC は機械の起動停止という分担が基本。ただし DCS にもシーケンス機能があり、PLC も連続量を扱う

1. シーケンス制御とは

計装の教科書は、シーケンス制御の例として温水槽を挙げています。熱水の弁を一定時間開けて閉じ、次に冷水の弁を開けて閉じる。時間が来たら次へ進む。この方式には目標値も修正動作もないので、外乱には追従しません。教科書は、温水槽の温度を保ちたければフィードバック制御を使い、シーケンスは「手順を進める」ことに使う、と分けています。

電験三種の教科書は、自動制御を3つに分け、シーケンス制御を「あらかじめ定められた順序に従い制御の各段階を逐次進めていく制御」と定義しています。自動販売機や交通信号機がこれです。

プラントでは、次の場面がシーケンス制御です。

場面例
起動補機(潤滑油ポンプ、冷却水)→ 条件確認 → 本体起動 → 弁開
停止通常停止の手順、緊急停止(シャットダウン)
インターロック起動条件が揃わないと起動できない。運転中に条件が崩れたら停止
バッチ仕込み → 加熱 → 反応 → 冷却 → 排出を順に進める
切替予備機への自動切替、フィルタの自動洗浄

高圧ガス保安技術の教科書も、連続プロセスのシーケンス制御の代表例として「スタートアップ・シャットダウンなどの非定常運転の自動化」を挙げています。

2. インターロックはシーケンスで作る

高圧ガス保安技術の教科書には、圧縮機のインターロック論理回路図があります。要素を簡略化すると次のようになります。

起動インターロックの論理
起動インターロックの論理
  • 起動条件:潤滑油タンク液面が一定以上 AND 潤滑油圧力が一定以上 AND ガス吸入ブロック弁が全開 AND 冷却水圧力が一定以上 → 「起動条件完」のランプ点灯
  • 起動:起動条件完 AND 現場または計器室の START ボタン AND 電力側の起動条件 → 圧縮機 RUN
  • 停止:現場または計器室の STOP ボタン OR 潤滑油圧力が下限以下 OR 電力側の停止条件 → 圧縮機 STOP
  • 記憶:起動信号でセット、停止信号でリセット。ボタンを離しても運転が続く

AND・OR・NOT・記憶(セット/リセット)・タイマ。シーケンス制御は、この5種類の部品の組合せでできています。「潤滑油圧力が上がらないと起動できない」「運転中に油圧が落ちたら止まる」という当たり前のことを、確実に、毎回同じように行うのがインターロックです。

3. リレーから PLC へ

シーケンス制御は、もともとリレー(電磁継電器)とタイマを電線でつないだ回路で作られていました。条件が変わるたびに配線をやり直す必要があり、複雑な回路は保守が大変でした。

計装の教科書は、従来のリレーとタイマの組合せ回路から、マイクロプロセッサを搭載した小型軽量の PLC でロジックをプログラムし、リレーで操作する組合せへ移行した、と説明しています。高圧ガス保安技術の教科書も、最近はシーケンサ(PLC の通称)で複雑かつ高度なシーケンスを簡単にプログラムできる、と書いています。

PLC の利点は、配線を変えずにプログラムを変えられることと、条件やタイマの値を画面で確認できることです。用途は、モータの起動/停止や弁の開/閉に加え、温度・流量・圧力・液位などの連続量も処理できるよう機能強化されています。

4. ラダー図の読み方の入口

PLC のプログラムは、リレー回路の図面(ラダー図)の形で書かれることが多く、電気の担当者はこれを読みます。製造部員が全部を読む必要はありませんが、入口だけ知っておくと、「なぜ起動できないか」を電気担当と話すときに役立ちます。

ラダー図の1段:起動と自己保持
ラダー図の1段:起動と自己保持
  • 図は横の線(ラング)の集まりで、左が条件、右が出力
  • 左の接点が「閉じる」条件が全部成立すると、右のコイル(出力)が入る
  • 直列に並んだ接点は AND、並列に並んだ接点は OR
  • 「a 接点」は普段開いていて条件成立で閉じる、「b 接点」は普段閉じていて条件成立で開く(停止条件によく使う)
  • 出力コイルの状態を、自分の接点として左に戻すと「記憶(自己保持)」になる

「起動できない」と言われたら、電気担当は該当するラングを見て、どの接点が開いたままかを探します。運転員が「潤滑油の圧力スイッチが入っていないのでは」と言えれば、切り分けが速くなります。

5. 器具番号|盤の図面の数字

電気の盤や単線結線図には、機器を数字で表す「器具番号」が使われます。日本の規格(JEM 1090)で決まっていて、代表的なものを覚えておくと図面が読めます。

番号機器
3操作スイッチ
5停止スイッチまたは継電器
27交流不足電圧継電器(電圧が下がったら動作)
49回転機の温度スイッチ・過負荷継電器
51交流過電流継電器(電流が大きすぎたら動作)
52交流遮断器または接触器(モータの電源を入り切りする)
88補機用の遮断器・スイッチ・接触器

「52 が落ちた」は「遮断器が開いてモータの電源が切れた」、「51 が動作した」は「過電流で保護が働いた」という意味です。計装のインターロックと電気の保護継電器は別の系統ですが、どちらもモータを止めるので、止まった原因が計装側か電気側かを切り分けるときに器具番号の知識が要ります。

6. DCS と PLC の分担

計装の教科書の「制御機器と用途」の図では、PLC は「非連続プロセス・シーケンス制御・単純小規模」、DCS は「連続プロセス・連続制御・複雑大規模」に位置づけられています。基本の分担は次のとおりです。

DCS と PLC の守備範囲
DCS と PLC の守備範囲
制御担当例
プロセスの連続制御(PID)DCS塔の温度、流量、圧力、液面
機械の起動停止・保護PLC(または機械付属の制御盤)圧縮機、パッケージ機器、ユーティリティ
安全インターロック安全専用の PLC(SIS)緊急遮断
起動停止の手順、バッチDCS のシーケンス機能、または PLCプラント全体の起動、バッチ反応

DCS のコントローラにもシーケンス制御の機能があり、逆に PLC も連続制御を扱えます。DCS のゲートウェイを通して PLC を接続し、DCS の画面で PLC の設備を監視するのが普通です。画面が DCS でも、実際に起動停止を判断しているのは PLC、という構成を知っておかないと、PLC の故障で設備が止まったときに DCS 側を疑い続けることになります。

7. 現場で見る場所

  1. 起動条件の一覧:担当設備の起動条件(インターロック条件)を、リストとして持っておく。起動できないとき、上から順に確認する
  2. 条件の表示:PLC の画面や現場盤のランプで、どの条件が未成立かが分かるか
  3. どこで判断しているか:その設備の起動停止は DCS か PLC か現場盤か。故障時に誰に連絡するか
  4. 器具番号:盤の図面と現物のラベルの対応。52 と 51 の位置

8. 先輩に聞かれたら答えられる3問

  1. シーケンス制御とフィードバック制御の違いは何ですか。
  2. ラダー図で、直列に並んだ接点と並列に並んだ接点は、それぞれ何を意味しますか。
  3. 器具番号の 52 と 51 は何ですか。

答えは順に、シーケンスは決めた順序で段階を進め目標値も修正動作もない、フィードバックは目標値との差で連続的に修正する/直列は AND、並列は OR/52 は遮断器または接触器、51 は過電流継電器、です。

まとめ

シーケンス制御は、決めた順序で段階を進める制御で、起動・停止の自動化、インターロック、バッチの手順に使われます。AND・OR・NOT・記憶・タイマの組合せでできていて、昔はリレー回路、今は PLC でプログラムします。

ラダー図は左の条件が成立すると右の出力が入る、直列は AND、並列は OR と読みます。器具番号の 52 は遮断器、51 は過電流継電器です。DCS は連続制御、PLC は機械の起動停止という分担が基本で、自分の担当設備がどこで判断されているかを知っておいてください。

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参考文献

  • 川村貞夫・石川洋次郎『メーカーの技術者が書いた やさしく計装がわかる 工業計測と制御の基礎』工業技術社, 6.4.1「制御の種類」、8.1.2「分散形制御システム・ネットワークベース制御システム・シーケンス制御機器」  Amazonで見る
  • 高圧ガス保安協会『高圧ガス保安技術』, 11.8.3「調節部」6) シーケンス制御、11.8.6「安全計装」図11.136  最新版をAmazonで見る
  • TAC出版編集部『みんなが欲しかった! 電験三種 機械の教科書&問題集』TAC出版, CHAPTER 06「自動制御」
  • 日本電機工業会『JEM 1090 制御器具番号』
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