レゾナックは2023年にできた新しい社名ですが、中身は昭和電工と日立化成という2つの老舗です。統合して何が起きたのか——決算を開くと、答えははっきりしています。**半導体材料の会社になりつつある**。
私は化学メーカーの生産技術者として12年働いています。この記事では決算短信と募集要項から「何で稼ぎ、どこで働くのか」を読み解きます。難易度や口コミは扱いません。
数字を1つ先に出すと、2025年12月期のコア営業利益1,091億円に対し、半導体・電子材料セグメントだけで1,084億円。**残り4セグメントの合計はほぼゼロ**です。この偏りが、この会社を理解する鍵になります。
化学業界そのものが曖昧な人は先に「化学業界とは」(→化学業界とは)へ。
一言でいうと|半導体材料に賭けている統合会社
2023年1月、昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧・日立化成)が統合し、持株会社の「レゾナック・ホールディングス」と事業会社の「レゾナック」が誕生しました。
| 項目 | 数字(出典・基準日) |
|---|---|
| 売上収益 | 1兆3,471億円(2025年12月期。前期比▲3.2%) |
| コア営業利益 | 1,091億円(同。前期比+18.4%) |
| 営業利益 | 467億円(同。前期比▲47.6%) |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 290億円(同。前期比▲60.5%) |
| 資本金 | 1,821億円(2025年12月31日現在) |
| 連結従業員数 | 21,525名(同) |
| 本社 | 東京・東新橋(汐留) |
| 設立 | 1939年6月(ホールディングス) |
就活生が押さえるべき性格は3つです。
- **決算期が12月**:他の化学大手はほとんど3月期です。就活のスケジュールとは関係ありませんが、他社と数字を比べるときは期のずれに注意してください
- 半導体後工程材料が世界的な強み:パッケージ基板材料や封止材など、チップを組み立てる工程の材料で高い地位を持ちます
- 構造改革の途中:コア営業利益1,091億円に対して営業利益は467億円。差は事業譲渡に伴う減損などで、事業の入れ替えを進めている最中です
事業の中身|5セグメントを売上と利益で見る

| セグメント | 主な製品 | 売上収益 | コア営業利益 |
|---|---|---|---|
| 半導体・電子材料 | 半導体前工程材料、半導体後工程材料(パッケージ基板材料・封止材)、ハードディスクメディア、SiCエピタキシャルウェハー | 5,063億円 | 1,084億円 |
| クラサスケミカル | 石油化学(エチレン、オレフィン、有機化学品) | 3,003億円 | 47億円 |
| モビリティ | 自動車部品、アルミ機能部材、リチウムイオン電池材料 | 1,784億円 | 44億円 |
| ケミカル | 工業ガス、化学品、黒鉛電極(グラファイト) | 1,744億円 | ▲55億円 |
| イノベーション材料 | 機能性化学品、セラミックスなど | 922億円 | 104億円 |
| その他・調整額 | 955億円 | ▲132億円 | |
| 合計 | 1兆3,471億円 | 1,091億円 |
※ 出典:2025年12月期 決算短信。当期から報告セグメントの区分を変更しています。
読み方のポイント:
- **コア営業利益1,091億円のうち1,084億円が半導体・電子材料**。前期比+47%で伸びており、AI向けの先端半導体需要が追い風になっています
- 石油化学(クラサスケミカル)は売上3,003億円で2番目に大きいのに、利益は47億円。ナフサ価格下落で売価も下がり、市況の影響をそのまま受けています
- ケミカルは黒鉛電極(鉄のリサイクルに使う電極)の市況低迷で赤字。工業ガスや化学品は堅調です
- 営業利益が467億円まで落ちているのは、複数事業の譲渡に伴う減損損失を計上したため。「稼ぐ事業に集中し、そうでない事業を手放す」局面にあります
半導体材料が全社を支える構造は、信越化学(→信越化学工業の企業研究)とも似ています。ただし信越がどの事業も高利益率なのに対し、レゾナックは1本足に近い。ここが違いです。
川のどこにいるか|石化を持ちながら、川下に賭ける

化学業界の川(→化学業界とは)に当てはめます。
- 川上:クラサスケミカル(エチレンなどの石油化学)。大分コンビナートが拠点
- 中流:ケミカル(工業ガス、化学品、黒鉛電極)、モビリティ(アルミ機能部材、電池材料)
- 川下:半導体・電子材料(前工程・後工程材料、SiC、HDメディア)、イノベーション材料
半導体材料の中でも「後工程材料」は、チップを基板に載せて封止する工程で使う材料です。前工程(ウエハに回路を作る)に強い信越化学とは違う場所で戦っている、と理解すると分かりやすくなります。
就活生にとって重要なのは、**同じ会社でも大分の石化プラントと、川崎や山崎の半導体材料の現場では仕事がまったく違う**という点です(→化学メーカーの職種図鑑、→化学メーカーの選び方)。
工場と研究所|どこで働くか

国内の事業所は20か所前後あります。代表的なものを挙げます。
| 拠点 | 所在地 | 内容 |
|---|---|---|
| 川崎事業所 | 神奈川県川崎市川崎区(扇町・大川・千鳥の3地区) | アンモニア、苛性ソーダなどの工業薬品、産業用ガス。使用済みプラスチックからアンモニアを作るケミカルリサイクルの拠点 |
| 大分コンビナート | 大分県大分市 | 石油化学(クラサスケミカル)の中核 |
| 秩父事業所 | 埼玉県秩父市 | SiCエピタキシャルウェハー、LED素子などエレクトロニクス関連 |
| 山崎事業所 | 千葉県 | 半導体材料・高分子研究 |
| 五井事業所 | 千葉県市原市 | 京葉コンビナートの化学品拠点 |
| 塩尻・大町 | 長野県 | 電子材料関連 |
| そのほか | 喜多方・東長原(福島)、伊勢崎(群馬)、小山(栃木)、下館(茨城)、松戸・千葉(千葉)、横浜・新川崎(神奈川)、彦根(滋賀)、龍野(兵庫)、徳山(山口)ほか |
研究開発は、先端融合研究所・高分子研究所・計算情報科学研究センターなどが複数拠点に分散しています。旧・昭和電工と旧・日立化成の拠点が合わさったため、**事業所の数が多く全国に散らばっている**のがこの会社の特徴です。
現役として補足すると、大分と五井はコンビナート型(→コンビナート地域で働くという選択)、秩父や塩尻は内陸の電子材料拠点で、働く環境の性格が大きく違います(→化学メーカーの選び方)。
職種・初任給|募集要項を読む
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 募集職種 | 研究開発、生産技術、知的財産、情報管理 など |
| 募集学部・学科 | 有機・高分子、無機・金属、物理化学・電気化学、物理・応用物理、数理・計算科学、化学工学、機械工学、電気・電子工学、制御工学、土木工学、建築学、情報工学、管理工学 ほか |
| 初任給 | 学部卒 280,000円/修士了 315,000円/博士了 354,000円 |
| 賞与 | 年2回(6月・12月) |
| 勤務時間 | 9:00〜17:45(実働7.75時間)※事業所ごとに始業・終業は異なる |
| 休日 | 年間休日123日(完全週休2日制、祝日、年末年始) |
| 住まい・手当 | 独身寮・社宅(事業所ごとに異なる)または家賃補助、ライフサポートプレミアム(月1万円)など |
読み方:
- **技術系はジョブマッチング面接で初任配属を検討する**と明記されています。専攻と希望を聞いたうえで配属を決める仕組みなので、面接までに「どの事業で何をしたいか」を言語化しておくと有利です(→化学メーカーの志望動機の書き方、→化学メーカーの面接で聞かれること)
- 募集学科の幅が広い。土木・建築・情報まで含むのは、工場を持ち、DXを進める会社の共通点です(職種の中身は→化学メーカーの職種図鑑)
- 初任給は全産業平均(大学卒26.2万円、→化学メーカーの初任給と年収カーブ)より高め
公開資料の読み方|この会社を自分で追いかけるには
| 資料 | 見るところ |
|---|---|
| 決算短信・決算説明資料(IR) | セグメント別のコア営業利益。半導体・電子材料の一本足であることと、その伸び方 |
| 統合報告書・長期ビジョン(IR) | どの事業を伸ばし、どれを手放すか。統合後の再編方針が読める |
| 採用サイト | 募集職種、ジョブマッチング面接の説明、事業紹介 |
面接では「コア営業利益のほとんどを半導体・電子材料が稼いでいますね」と言えると、決算を読んだ学生だと伝わります。そのうえで「自分は石化やケミカルでこう貢献したい」と言えるなら、なお良い(→化学メーカーの面接で聞かれること)。
どんな人に向くか
- 半導体の世界で戦いたい人:後工程材料は日本勢が強い領域。AI向け需要の伸びを直接受ける事業です
- 変化の中で働ける人:統合と事業の入れ替えが同時進行。安定一辺倒より、動いている会社が好きな人向き
- 配属の幅を受け入れられる人:石化・ガス・黒鉛電極・電池材料・半導体材料と事業の幅が広く、拠点も全国に散らばっています(→化学メーカーの選び方)
志望動機の③会社の層(→化学メーカーの志望動機の書き方)では、「統合してできた会社で、半導体材料に集中している」という現在地を踏まえて語れると強いです。
この記事の使い方と注意
- 数字は2025年12月期決算と、執筆時点の募集要項に基づきます(最終更新:2026年8月)。**この会社は12月決算**なので、3月期の他社と単純比較はできません
- 就職難易度・採用大学・口コミは扱いません。一次資料と現場の感覚だけを書いています
- 住友化学の企業研究〜信越化学工業の企業研究と並べると、「石化のあとの柱」をどこに置いたかの違いが見えます
レゾナックは昭和電工と日立化成が統合してできた会社で、コア営業利益1,091億円のうち1,084億円を半導体・電子材料が稼いでいます。石化・ケミカルは市況に押され、事業の入れ替えが進行中。拠点は川崎・大分・秩父など全国に散らばります。決算期は12月。他社比較は住友化学の企業研究〜信越化学工業の企業研究へ。
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