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「設置は許可、品名変更は届出で合っている?」
「完成検査と完成検査前検査は何が違う?」
そんな疑問を解決します。
製造所等の1+7+4区分
設置・変更の許可から使用開始までの流れ
完成検査・完成検査前検査・仮使用
仮使用と仮貯蔵・仮取扱いの違い
許可・承認・届出の使い分け
届出の「10日前」と「遅滞なく」
先に結論を言うと、この論点は問題文の「動詞」で手続きを判定します。
製造所等を設置する、または位置・構造・設備を変更するなら「許可」です。許可後に工事し、原則として完成検査で基準適合と認められてから使用します。
一方、位置・構造・設備を変えずに、貯蔵・取扱いする危険物の品名、数量、指定数量の倍数を変えるなら「変更日の10日前までに届出」です。譲渡・引渡しや用途廃止は、事後に「遅滞なく届出」します。
法令15問全体の優先順位は、先に危険物取扱者甲種の法令の出題傾向と勉強法で確認できます。
製造所等は1+7+4で12区分
消防法でいう「製造所等」は、製造所、貯蔵所、取扱所の総称です。区分は1+7+4の合計12です。

| 大区分 | 施設の区分 |
|---|---|
| 製造所 1 | 製造所 |
| 貯蔵所 7 | 屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、地下タンク貯蔵所、簡易タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所、屋外貯蔵所 |
| 取扱所 4 | 給油取扱所、販売取扱所、移送取扱所、一般取扱所 |
「屋外貯蔵所」と「屋外タンク貯蔵所」は別区分です。また、「移動タンク貯蔵所」は車両へ固定されたタンク、「移送取扱所」は配管とポンプなどで危険物を移送する取扱所です。
名称が似た施設は、貯蔵所か取扱所かまでセットで覚えてください。販売取扱所は第1種と第2種に分かれますが、取扱所の大区分では販売取扱所として数えるため、取扱所は4区分です。
この記事では手続きを扱います。各施設の保安距離、保有空地、構造、設備などは、次のLAW-03で詳しく解説します。
設置と変更は許可を受けてから工事
製造所等を新しく設置しようとする者は、製造所等ごとに市町村長等の許可を受けなければなりません。
許可が必要なのは、次の2つです。
- 製造所等を設置する
- 製造所等の位置、構造または設備を変更する
ここでいう変更は、危険物の品名や数量だけの変更ではありません。建物の配置、タンクの構造、配管・消火設備など、位置・構造・設備を変える工事です。
試験では「変更工事を完成してから許可を申請する」「市町村長等へ届け出れば工事できる」のように、順序や手続き名を入れ替えます。正しい順序は、許可申請→許可→工事です。
申請があると、市町村長等は、位置・構造・設備が技術上の基準へ適合し、危険物の貯蔵・取扱いが公共の安全維持や災害防止へ支障を及ぼすおそれがないか審査します。
許可から使用開始までの基本フロー
製造所等を設置・変更して使い始めるまでの基本手順は、次のとおりです。

- 設置または変更の許可を申請する
- 市町村長等の許可を受ける
- 工事を始める
- 対象工事なら工程途中に完成検査前検査を受ける
- 工事完了後、完成検査を申請する
- 市町村長等の完成検査を受ける
- 技術上の基準へ適合していると認められる
- 使用を開始する
原則として、完成検査で適合と認められる前に製造所等を使用できません。
「許可」は工事前の計画審査、「完成検査」は工事後の現物確認です。両方が必要であり、許可を受けただけでは使用開始できません。
完成検査と完成検査前検査を区別する
名前は似ていますが、目的と時点が違います。
| 比較 | 完成検査 | 完成検査前検査 |
|---|---|---|
| 時点 | 工事完了後 | 工程途中 |
| 対象 | 設置・変更した製造所等 | 液体危険物タンクを有する所定の製造所等・所定工事 |
| 確認するもの | 製造所等の位置・構造・設備が技術上の基準へ適合するか | 完成後に確認しにくいタンクの基礎・地盤、溶接部、漏れ・変形など |
| 結果との関係 | 原則、適合後に使用開始 | 適合後でなければ完成検査へ進めない特定事項がある |
完成検査前検査は、すべての製造所等へ一律に必要な検査ではありません。液体危険物を貯蔵・取扱いするタンクが中心です。
製造所と一般取扱所では、指定数量未満の容量しかない液体危険物タンクは対象から除かれます。タンクの設置・変更工事について、水張検査または水圧検査などを工程途中に受けます。
容量1,000kL以上の屋外タンク貯蔵所では、基礎・地盤に関する検査や溶接部検査も重要です。試験では「固体危険物の貯蔵所も完成検査前検査の対象」「すべての液体危険物タンクが同じ検査を受ける」のような広げすぎに注意してください。
仮使用と仮貯蔵・仮取扱いを区別する
「仮」が付く2制度は、対象と承認者が異なります。

| 比較 | 仮使用 | 仮貯蔵・仮取扱い |
|---|---|---|
| 対象 | 位置・構造・設備の変更工事中にある既存の製造所等 | 製造所等以外の場所で指定数量以上の危険物を一時的に貯蔵・取扱い |
| 使える範囲・期間 | 変更工事に係る部分以外の全部または一部。法令上、10日以内という同じ制限はない | 10日以内 |
| 承認者 | 市町村長等 | 所轄消防長または消防署長 |
| 意味 | 完成検査前に、工事部分以外を使う | 本来の製造所等以外で一時的に置く・扱う |
仮使用で使えるのは、変更工事に係る部分以外です。工事中の部分そのものを仮に使える制度ではありません。
仮貯蔵・仮取扱いは、指定数量以上の危険物を製造所等以外で扱う例外です。所轄消防長または消防署長の承認を受け、期間は10日以内です。
試験では承認者を交換した選択肢がよく作られます。「仮使用=市町村長等」「仮貯蔵・仮取扱い=所轄消防長または消防署長」を対象と一緒に固定してください。
許可・承認・届出は動詞で判定する
行政手続きは、言葉の印象ではなく、何をしようとしているかで判定します。
| 行為 | 手続き | 相手 |
|---|---|---|
| 製造所等を設置する | 許可 | 市町村長等 |
| 位置・構造・設備を変更する | 許可 | 市町村長等 |
| 変更工事部分以外を完成検査前に使う | 承認(仮使用) | 市町村長等 |
| 製造所等以外で指定数量以上を10日以内だけ貯蔵・取扱いする | 承認(仮貯蔵・仮取扱い) | 所轄消防長または消防署長 |
| 品名・数量・指定数量の倍数を変更する | 届出 | 市町村長等 |
| 製造所等の譲渡・引渡しを受ける | 届出 | 市町村長等 |
| 製造所等の用途を廃止する | 届出 | 市町村長等 |
位置・構造・設備を変えるなら許可、危険物の品名・数量・倍数だけを変えるなら届出です。
ただし、品名や数量の変更が設備変更を伴うなら、位置・構造・設備の変更許可が別途問題になります。試験では「位置・構造・設備を変更しないで」という条件を読み落とさないでください。
届出期限は10日前か遅滞なく
届出問題は、事前か事後かを切り分けます。
| 届出事項 | 期限 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 位置・構造・設備を変えず、危険物の品名・数量・指定数量の倍数を変更 | 変更しようとする日の10日前まで | 危険物の内容が変わる前に行政側が把握 |
| 製造所等の譲渡・引渡しによる地位承継 | 遅滞なく | 事実が生じた後の届出 |
| 製造所等の用途廃止 | 遅滞なく | 事実が生じた後の届出 |
「10日以内」と「10日前」は別です。仮貯蔵・仮取扱いは期間が10日以内、品名・数量・倍数変更の届出は変更日の10日前までです。
危険物保安監督者など人に関する選任・解任の届出も「遅滞なく」が基本です。人の制度は、危険物取扱者甲種の保安体制攻略でまとめています。
許可・申請先は施設と区域で決まる
消防法では、市町村長、都道府県知事、総務大臣をまとめて「市町村長等」と呼びます。
| 施設・区域 | 許可権者 |
|---|---|
| 消防本部・消防署を置く市町村の区域内にある一般の製造所等 | 市町村長 |
| 消防本部・消防署を置かない市町村の区域内にある一般の製造所等 | 都道府県知事 |
| 1つの消防本部等所在市町村の区域内だけにある移送取扱所 | 市町村長 |
| 上記以外で、1都道府県内にある移送取扱所 | 都道府県知事 |
| 2以上の都道府県にまたがる移送取扱所 | 総務大臣 |
最初に「移送取扱所か」を確認し、次に区域を確認します。一般の製造所等では、その市町村に消防本部・消防署があるかが軸です。
問題文に「消防長」「消防署長」が出たら、仮貯蔵・仮取扱いの承認と混同していないか確認してください。設置・変更許可の相手は市町村長等です。
試験で狙われるひっかけ
| 誤りやすい表現 | 正しい整理 |
|---|---|
| 設置・変更は市町村長等へ届け出ればよい | 設置と位置・構造・設備の変更は許可 |
| 許可申請前に工事を始め、完成までに許可を受ける | 許可を受けてから工事 |
| 許可を受ければすぐ使用できる | 原則、完成検査で適合後に使用 |
| 完成検査前検査はすべての製造所等が対象 | 所定の液体危険物タンクの工事が対象 |
| 完成検査前検査は工事完了後に行う | 工程途中に行う |
| 仮使用では変更工事部分を使える | 工事に係る部分以外を承認範囲で使える |
| 仮使用は10日以内 | 10日以内は仮貯蔵・仮取扱い |
| 仮貯蔵の承認者は市町村長等 | 所轄消防長または消防署長 |
| 品名・数量変更は変更後10日以内に届出 | 変更しようとする日の10日前まで |
| 用途廃止は10日以内に届出 | 遅滞なく市町村長等へ届出 |
| 移送取扱所はすべて都道府県知事の許可 | 区域により市町村長・都道府県知事・総務大臣 |
問題文では「前・後」「以内・前まで」「許可・承認・届出」「市町村長等・消防長または消防署長」を確認します。
3問のミニ演習
問1 品名と数量の変更
製造所等の位置・構造・設備を変えず、貯蔵する危険物の品名と指定数量の倍数を変更します。必要な手続きと期限は何ですか。
答え:変更しようとする日の10日前までに、市町村長等へ届け出ます。位置・構造・設備を変更しないことが条件です。
問2 変更工事中の仮使用
製造所等の変更工事中に、工事に係る部分以外を完成検査前から使いたい場合、誰の何が必要ですか。
答え:市町村長等の承認が必要です。仮使用の対象は、変更工事に係る部分以外の全部または一部です。
問3 製造所等以外での一時貯蔵
指定数量以上の危険物を、製造所等以外の場所で7日間だけ貯蔵します。誰の何が必要ですか。
答え:所轄消防長または消防署長の承認が必要です。10日以内の仮貯蔵に当たります。
次に読む記事
製造所等ごとの保安距離、保有空地、構造、設備を学ぶ場合は、次の「製造所等の位置・構造・設備」で詳しく解説します。
指定数量と倍数計算へ戻る場合は、危険物取扱者甲種の指定数量と倍数計算を使ってください。
危険物取扱者、保安監督者、保安講習の違いは、危険物取扱者甲種の保安体制攻略で整理できます。
記事群の全体像は、危険物取扱者甲種の完全攻略ロードマップで確認できます。
まとめ
製造所等の区分と手続きの要点をまとめます。
- 製造所等は、製造所1、貯蔵所7、取扱所4の合計12区分
- 設置と位置・構造・設備の変更は、市町村長等の許可を受けてから工事
- 許可だけでは使用できず、原則として完成検査で基準適合後に使用開始
- 完成検査前検査は、所定の液体危険物タンク工事を工程途中に確認
- 仮使用は変更工事部分以外を使う制度で、市町村長等の承認が必要
- 仮貯蔵・仮取扱いは製造所等以外で指定数量以上を10日以内扱う制度
- 仮貯蔵・仮取扱いの承認者は、所轄消防長または消防署長
- 品名・数量・指定数量の倍数変更は、変更日の10日前までに届出
- 譲渡・引渡しによる地位承継と用途廃止は、遅滞なく届出
- 申請先は、施設の種類と設置区域で決まる
問題演習では、最初に動詞へ印を付けてください。「設置・位置構造設備変更」「工事後の使用」「一時的な例外」「品名数量変更」「譲渡・廃止」のどれかを判定すると、許可・検査・承認・届出を切り分けられます。
参考文献
- 工藤政孝『わかりやすい!甲種危険物取扱者試験』弘文社、製造所等の区分、許可・検査・届出(PDF p.36-40、p.86-91) Amazonで見る
- 公論出版『甲種危険物取扱者試験 令和8年版』製造所等の許可・検査・届出(PDF p.29-42) Amazonで見る
- e-Gov法令検索「消防法」(第10条、第11条、第11条の2、第11条の4、第12条の6、2026年8月28日閲覧)
- e-Gov法令検索「危険物の規制に関する政令」(第2条、第3条、第8条、第8条の2、2026年8月28日閲覧)
化学プラント大全 
