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危険物取扱者甲種の第5類攻略|自己反応性物質の性質・貯蔵・消火

危険物取扱者甲種の第5類・自己反応性物質の性質、貯蔵、消火を解説する記事のアイキャッチ

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※本記事で「頻出」「出やすい」と表現する箇所は、消防試験研究センターの公式公開問題と、参考文献に挙げた問題集の収録・頻出表示をもとにした学習上の優先度です。公式の出題統計を示すものではありません。

困っている人
困っている人

「第5類は、なぜ外気を遮っても燃焼が止まりにくいの?」

「品名が多くて、有機過酸化物やニトロ化合物を整理できない」

「大量の水で消火するのに、アジ化ナトリウムだけ注水厳禁なの?」

そんな疑問を解決します。

この記事の内容

第5類の自己反応が加速する仕組み

10品名群と含有物の整理

貯蔵・取扱いの原則と例外

大量の水とアジ化ナトリウムの消火分岐

頻出物質と出題傾向

先に結論を言うと、第5類は「加熱・衝撃・摩擦などで分解が始まると、発熱とガス発生を伴って自己反応が加速しやすい危険物」です。

  • 危険の中心:自己反応による急激な分解・燃焼
  • きっかけ:加熱、衝撃、摩擦、不純物の混入など
  • 貯蔵の原則:冷所で熱・衝撃を避け、物質ごとの安定化方法を守る
  • 消火の原則:大量の水で冷却する
  • 最重要例外:アジ化ナトリウムには注水せず、乾燥砂を用いる

第5類は「水と接触して発火する第3類」と混同されやすい分野です。第5類の多くは水と激しく反応しません。燃焼が速く、窒息消火が効きにくいため、水で温度を下げることが中心になります。

第1〜6類の位置関係から確認したい人は、危険物取扱者甲種の第1〜6類一覧|性質と消火方法を比較を先に読んでください。

第5類は「自己反応が加速する危険物」

消防法別表第一で、第5類の性質は「自己反応性物質」とされています。総務省消防庁は、固体または液体で、加熱分解などによって比較的低い温度で多量の熱を発生し、または爆発的に反応するものと説明しています。

第5類危険物が加熱・衝撃・摩擦などをきっかけに分解し、熱とガスで自己反応が加速して発火・爆発へ進む流れの図
加熱・衝撃・摩擦をきっかけに、分解、発熱・ガス発生、反応加速、発火・爆発へ進む流れを整理します。

試験では、次の流れで危険性を考えると整理しやすくなります。

  1. 加熱、衝撃、摩擦、不純物の混入などがきっかけになる
  2. 分解反応が始まり、熱やガスが発生する
  3. 発生した熱が次の分解を促進する
  4. 反応が加速し、発火・爆発へ進むことがある

第5類の共通性質は、次の六つです。

  • 可燃性の固体または液体である
  • 有機窒素化合物が多い
  • 多くは分子内に酸素を含むが、例外もある
  • 加熱、衝撃、摩擦などで発火・爆発するものが多い
  • 燃焼速度が速く、消火が難しい
  • 比重が1より大きいものが多い

重要なのは「すべて」にしないことです。アジ化ナトリウムは第5類ですが、分子内に酸素を含みません。アジ化ナトリウムやヒドロキシルアミン、硫酸ヒドラジンのように、炭素を含まない無機の物質も含まれます。

また、分子内に酸素を含むものが多いため、外気を遮断するだけでは燃焼を止めにくいのが特徴です。二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物などの窒息・抑制中心の消火剤は、一般的な第一選択になりません。

第5類の10品名群と含有物

消防法別表第一では、第5類を次の10品名群と、それらのいずれかを含有するものに分けています。

  1. 有機過酸化物
  2. 硝酸エステル類
  3. ニトロ化合物
  4. ニトロソ化合物
  5. アゾ化合物
  6. ジアゾ化合物
  7. ヒドラジンの誘導体
  8. ヒドロキシルアミン
  9. ヒドロキシルアミン塩類
  10. その他のもので政令で定めるもの

「11品名」と丸暗記するより、「10品名群+含有物」と覚える方が、消防法別表第一の構造に合います。

品名群代表物質試験で結び付ける特徴
有機過酸化物過酸化ベンゾイル、MEKP、過酢酸O−O結合、分解しやすい、強い酸化性を示すもの
硝酸エステル類硝酸エチル、硝酸メチル、ニトログリセリン、ニトロセルロース液体の代表、湿潤保存、爆発性
ニトロ化合物ピクリン酸、トリニトロトルエン黄色系、乾燥・金属塩に注意
ニトロソ・アゾ・ジアゾジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾジニトロフェノール粉末や結晶、水中・アルコール混合液中で保存するもの
ヒドラジン・ヒドロキシルアミン系硫酸ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン塩類還元性、金属腐食、酸・酸化剤との反応
政令で定めるものアジ化ナトリウム、硝酸グアニジンアジ化ナトリウムは注水厳禁

「ニトロ」と名前に付いても、必ず第5類とは限りません。ニトロベンゼンは第4類の第3石油類です。名称だけで類別を決めず、試験で扱う代表物質を品名群と対応させてください。

「ニトロ」が付く物質の類:ニトログリセリン・ニトロセルロースは第5類硝酸エステル類、TNT・ピクリン酸は第5類ニトロ化合物、ニトロベンゼンは第4類第3石油類

貯蔵・取扱いは熱・衝撃・不純物を避ける

第5類の基本は、反応を始めるきっかけを与えないことです。

  • 火気、直射日光、高温体を避け、冷所に貯蔵する
  • 衝撃、摩擦、振動を避ける
  • 酸、酸化剤、還元剤、金属粉など、物質ごとに危険な不純物を混入させない
  • 容器を損傷させず、必要な安定剤・希釈剤・水分を保つ
  • 分解しやすい物質は温度、湿気、通風の条件を個別に確認する

ただし、「第5類はすべて密栓」「第5類はすべて乾燥状態で保存」は誤りです。例外を物質名とセットで覚えます。

物質貯蔵・取扱いの要点なぜ必要か
過酸化ベンゾイル水で湿潤させ、純度を下げた状態で扱う乾燥状態の危険性を下げる
MEKP通気性のある栓を使用する分解ガスによる容器内圧上昇を避ける
ニトロセルロース水分やアルコールを含ませ、湿綿状態にする乾燥による危険性を下げる
ピクリン酸含水状態を保ち、金属との接触を避ける乾燥状態と爆発性金属塩の生成を避ける
ジアゾジニトロフェノール水中または水とアルコールの混合液中に保存する衝撃・摩擦に対する危険性を下げる
アジ化ナトリウム酸や重金属を避け、ポリエチレン・ポリプロピレン・ガラス製容器を使う有毒・爆発性の生成物や危険な金属アジ化物を避ける

物質ごとの保存法は、「密栓か通気か」「乾燥か湿潤か」「金属容器を使えるか」の三軸で整理すると、入れ替え問題に強くなります。

第5類の貯蔵の3軸:MEKPは通気性のフタで鉄・銅製不可、過酸化ベンゾイル・ニトロセルロース・ピクリン酸は湿らせ、ピクリン酸とアジ化ナトリウムは金属製容器を避ける

消火は大量の水が原則、アジ化ナトリウムは例外

第5類は反応速度が速く、物質自体に反応を進める要素をもつものが多いため、窒息消火だけでは効果が乏しい傾向があります。原則は、大量の水や泡などの水系消火剤で冷却し、分解反応の加速を抑えることです。

第5類の消火:原則と例外
一般の第5類大量の水、水噴霧、泡など冷却して分解反応の加速を抑える
アジ化ナトリウム乾燥砂加熱分解で生じる金属ナトリウムが水と反応する

アジ化ナトリウムは第5類の中で最重要の例外です。加熱すると分解して金属ナトリウムを生じ、これが水と激しく反応するため、注水は厳禁です。消火には乾燥砂などを用います。なお、水分があると重金属と反応して衝撃に敏感な爆発性アジ化物を生じるため、貯蔵では重金属との接触も避けます。

一方、硝酸グアニジンなどは大量の水で消火します。「政令で定めるものは全部注水厳禁」と広げないでください。

二酸化炭素、粉末、ハロゲン化物を、第5類全般の最適な消火剤とする選択肢にも注意します。外気を遮るだけで反応が止まりにくく、冷却効果も不足するからです。

第5類の消火器の適応:水・強化液・泡と乾燥砂が○、二酸化炭素・ハロゲン化物・粉末は×。アジ化ナトリウムは表では水系○だが性質問題では注水厳禁

なお、以上は資格試験向けの一般整理です。実際の火災や漏えいでは接近せず、物質ごとのSDS、事業所の緊急時手順、消防機関の指示を優先してください。

頻出物質を4グループで比較する

参考書の学習ポイントと問題集の収録問題では、共通性質、貯蔵時の例外、アジ化ナトリウムの消火、代表物質の所属が繰り返し扱われています。第5類は、共通原則だけでなく「この物質だけ違う」という例外問題が得点差になります。

有機過酸化物

有機過酸化物は、分子中の酸素−酸素結合が比較的切れやすく、分解しやすい物質です。過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、過酢酸が代表です。

過酸化ベンゾイルは、乾燥状態の危険性を下げるため水で湿潤させて扱います。MEKPは分解ガスを逃がすため、容器に通気性を持たせます。「有機過酸化物はすべて密栓」としないでください。

硝酸エステル類

硝酸エチル、硝酸メチル、ニトログリセリン、ニトロセルロースが代表です。硝酸エチルと硝酸メチルは常温付近で引火性にも注意し、ニトログリセリンは衝撃・摩擦で爆発する危険があります。

ニトロセルロースは固体で、乾燥状態を避け、水分やアルコールを含ませた湿綿状態で扱います。「ニトロ」と付いても、ニトロ化合物ではなく硝酸エステル類です。

ニトロ化合物・ジアゾ化合物

ピクリン酸とトリニトロトルエンはニトロ化合物です。ピクリン酸は黄色の結晶で、乾燥状態や金属との接触を避けます。金属と反応して爆発性の金属塩を生じることがあるためです。

ジアゾジニトロフェノールはジアゾ化合物で、水中または水とアルコールの混合液中に保存します。名称が似ていても、ピクリン酸と保存法を一つにまとめないでください。

ヒドロキシルアミン系・アジ化ナトリウム

ヒドロキシルアミンとその塩類は、強い還元性や金属腐食性、酸化剤との激しい反応が問われます。水溶液の容器材質にも注意が必要です。

アジ化ナトリウムは無色の結晶で、水に溶けますが、加熱分解で金属ナトリウムを生じるため注水消火はできません。酸と接触すると有毒で爆発性のあるアジ化水素を生じ、重金属と接触すると衝撃に敏感なアジ化物を生じるおそれがあります。金属製やポリ塩化ビニル製の容器を避けます。

試験で間違えやすい8つのポイント

第5類はすべて固体とする

固体と液体があります。MEKP、過酢酸、硝酸エチル、硝酸メチル、ニトログリセリンなどは液体です。

第5類はすべて分子内に酸素を含むとする

多くは酸素を含みますが、アジ化ナトリウムは含みません。

水に溶ける物質には注水できるとする

水溶性と注水消火の可否は別です。アジ化ナトリウムは水に溶けますが、注水厳禁です。

第5類はすべて密栓するとする

MEKPは分解ガスによる圧力上昇を避けるため、通気性のある栓を使います。

第5類は乾燥状態で保存するとする

過酸化ベンゾイル、ピクリン酸、ニトロセルロースなどは、危険性を下げるため湿潤状態で扱います。

二酸化炭素や粉末で窒息消火するとする

第5類は外気を遮るだけでは反応を止めにくく、一般には大量の水による冷却を中心にします。

政令で定めるものはすべて注水厳禁とする

注水厳禁の代表はアジ化ナトリウムです。硝酸グアニジンは大量の水で消火します。

ニトロと付く物質はすべて第5類とする

ニトロベンゼンは第4類、ニトロセルロースは第5類の硝酸エステル類です。名称だけで判断しません。

次に読む記事

第4類との違いを復習する人は、危険物取扱者甲種の第4類攻略|引火性液体の分類・性質・消火を確認してください。

第1〜6類の一覧へ戻る人は、危険物取扱者甲種の第1〜6類一覧|性質と消火方法を比較へ進んでください。

記事群全体の学習順序は、危険物取扱者甲種の完全攻略ロードマップにまとめています。

次は危険物取扱者甲種の第6類攻略|酸化性液体の性質・貯蔵・消火へ進み、第1類との共通点と相違点、代表物質、消火方法を整理してください。

まとめ

危険物取扱者甲種の第5類について、自己反応性、10品名群、貯蔵・取扱い、消火方法、代表物質を整理しました。

まず「自己反応が加速する流れ」、次に「大量の水とアジ化ナトリウムの例外」、最後に「物質別の保存法」の順で学んでください。この三段階が第5類攻略の土台です。

仕上げに、次の八問に答えてください。

  1. 第5類の性質名は何か
  2. 自己反応を始める代表的な三つの刺激は何か
  3. 第5類を消防法別表第一の構造で表すと、何品名群と何か
  4. 第5類の一般的な消火方法は何か
  5. 注水厳禁の代表物質は何か
  6. MEKPの容器に通気性を持たせる理由は何か
  7. ニトロセルロースを湿潤状態にする理由は何か
  8. ピクリン酸を金属に接触させない理由は何か

答えは、自己反応性物質、加熱・衝撃・摩擦、10品名群と含有物、大量の水などによる冷却、アジ化ナトリウム、分解ガスによる内圧上昇を避けるため、乾燥状態の危険性を下げるため、爆発性の金属塩を生じるおそれがあるためです。

八問に答えた後、「水に溶けるアジ化ナトリウムへ注水できない理由」を説明できれば、第5類の中心論点を理解できています。

参考文献

化学プラントニュース―週報と事故速報をわかりやすく紹介するnoteマガジン PLANT NEWS ON NOTE 化学プラントニュース 化学・石油プラントの重要ニュースを、毎週の週報と事故速報でお届けします。現場で押さえたい動きを、わかりやすく整理します。 noteで最新ニュースを読む