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「第1類は不燃性なのに、なぜ危険なのか分からない」
「大量の水で消すのか、注水してはいけないのか迷う」
そんな疑問を解決します。
第1類(酸化性固体)の共通性質
消防法別表第一の品名一覧
貯蔵・取扱いで避けるもの
大量注水の原則と無機過酸化物の例外
代表物質の比較と試験での覚え方
先に結論を言うと、第1類は「一般に不燃性だが、他の可燃物の燃焼を激しくする酸化性固体」です。
学習は、次の二段階に分けると整理できます。
- 共通事項:加熱・衝撃・摩擦、可燃物との接触、異物混入を避ける
- 代表例外:無機過酸化物、とくに過酸化カリウム・過酸化ナトリウムは水と反応するため注水を避ける
第1類を「すべて同じ」と覚えるのも、個々の物質を最初から丸暗記するのも効率がよくありません。まず類としての共通性質を固め、次に「色」「水との反応」「水溶性」「潮解性」など原則から外れる性質を足します。
| 第1〜6類の位置関係から確認したい人は、[危険物取扱者甲種の第1〜6類一覧 | 性質と消火方法を比較](https://www.yamatoblog.tech/kikenbutsu-koshu-1-6rui-seishitsu-shouka)を先に読んでください。 |
|---|
第1類危険物は酸化性固体
消防法別表第一で、第1類の性質は「酸化性固体」とされています。総務省消防庁は、固体で、そのもの自体は燃焼しないものの、他の物質を強く酸化し、可燃物との混合物が熱・衝撃・摩擦で分解すると、極めて激しい燃焼を起こさせる危険があるものと説明しています。
試験では、次の四語を一組にしてください。
- 固体
- 一般に不燃性
- 酸化性
- 可燃物との混合で危険が増す
「不燃性」は「火災危険がない」という意味ではありません。第1類が可燃物へ酸素を供給したり、強い酸化作用を示したりすると、可燃物側の燃焼が激しくなります。物質によっては、加熱、衝撃、摩擦だけでも分解や発火へ進むものがあります。
なお、消防法上の酸化性固体は、酸化力の潜在的危険性または衝撃に対する敏感性を所定の試験で判定するものです。「酸素を含む物質ならすべて第1類」という分類ではありません。
第1類の品名一覧
消防法別表第一に掲げられる第1類の品名は、次のとおりです。
- 塩素酸塩類
- 過塩素酸塩類
- 無機過酸化物
- 亜塩素酸塩類
- 臭素酸塩類
- 硝酸塩類
- よう素酸塩類
- 過マンガン酸塩類
- 重クロム酸塩類
- その他のもので政令で定めるもの
- 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
まず1〜9の品名を覚え、10と11は「政令指定」「含有物」という法令上の受け皿として追加します。
物質名は、名前の末尾から品名へ戻す練習が有効です。塩素酸カリウムなら塩素酸塩類、過酸化ナトリウムなら無機過酸化物、硝酸アンモニウムなら硝酸塩類です。
ただし、化学式にカリウムや酸素を含むだけでは第1類とは限りません。たとえば硫酸カリウムは、消防法上の第1類危険物ではありません。名称または化学式から、該当する酸化性の陰イオン・過酸化物を識別します。
共通性質は「不燃性・酸化性・混合危険」で覚える
第1類が危険になる流れは、次のように整理できます。

- 第1類危険物と可燃物・有機物・還元性物質などが接触または混合する
- 加熱、衝撃、摩擦、強酸との接触などが反応のきっかけになる
- 酸化作用や分解が進み、可燃物の燃焼が促進される
- 発火や爆発の危険が高まる
したがって、「第1類は一般に不燃性だから、自ら発火することは絶対にない」という選択肢は危険です。過塩素酸アンモニウムのように、単独でも加熱により分解・発火するものがあります。
また、水への溶け方や潮解性は共通性質ではありません。水に溶けるものと溶けにくいものがあり、潮解性を持つものも一部です。「第1類はすべて水溶性」「第1類はすべて潮解性」という表現は誤りです。
貯蔵・取扱いは危険のきっかけを断つ
共通する貯蔵・取扱い方法は、危険が生じる条件を逆向きに消すと覚えられます。
- 火気、加熱、直射日光を避け、冷暗所で保管する
- 落下、衝撃、摩擦を避ける
- 可燃物、有機物、還元性物質、分解を促進する薬品との接触を避ける
- 容器を密栓し、異物の混入を防ぐ
- 無機過酸化物は水分や湿気の侵入を防ぐ
容器内で固まった危険物を、鉄製の器具やハンマーで砕くのは不適切です。衝撃・摩擦に加え、金属などの異物が混じる危険も増えます。
吸湿した危険物を加熱して乾燥させるという考え方も避けます。第1類には加熱によって分解し、酸素を放出しやすいものがあります。水分対策は、吸湿してから熱を加えるのではなく、密栓して湿気を入れないことが基本です。
試験問題では、「冷暗所」「密栓」「可燃物と隔離」は正しい方向、「加熱乾燥」「衝撃を加える」「有機物と同じ場所で保管」は誤りの方向と判断できます。
消火は大量の水が原則|無機過酸化物は例外
第1類火災の一般的な消火原則は、大量の水で冷却することです。周囲の可燃物が燃え、その熱で第1類が分解して酸素を供給する状態では、冷却によって熱分解と延焼を抑えます。

ただし、無機過酸化物は水と反応して熱と酸素を生じます。とくに過酸化カリウムと過酸化ナトリウムは水と激しく反応するため、水、強化液、泡などの水系消火剤を使用しません。初期消火では、乾燥砂や炭酸水素塩類の粉末消火剤などを用います。
整理すると、次の分岐です。
| 第1類の一般物質 | 大量の水で冷却し、熱分解と周囲の燃焼を抑える |
|---|---|
| 無機過酸化物 | 水との反応を避け、初期は乾燥砂・適応する粉末消火剤 |
二酸化炭素消火剤やハロゲン化物消火剤は、第1類火災には一般に適しません。第1類が分解して酸素を供給する状況では、外気を遮断するだけの窒息消火では効果が乏しいためです。
なお、これは資格試験向けの一般整理です。実際の漏えい・火災では、物質ごとのSDS、事業所の緊急時手順、消防機関の指示を優先してください。
代表物質は五つのグループで比較する
塩素酸塩類・過塩素酸塩類
塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウムなどが代表です。可燃物や有機物との混合、強酸との接触、加熱・衝撃・摩擦を避けるという第1類の基本が強く問われます。
塩素酸カリウムは、無色の結晶または白色の粉末として扱われ、水には溶けにくく熱水に溶けます。塩素酸ナトリウムは水に溶けやすく、吸湿性・潮解性があります。カリウム塩とナトリウム塩の性質を入れ替えないでください。
無機過酸化物
過酸化カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウムなどが代表です。
共通ポイントは「水との反応」です。とくにアルカリ金属の過酸化物は、水と反応して発熱し、酸素を発生します。貯蔵では水分・湿気を避け、消火では水系を避けるという一連の判断につながります。
色の問題では、過酸化カリウムはオレンジ色、過酸化ナトリウムは黄白色、過酸化バリウムは灰白色が代表です。
硝酸塩類
硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウムなどが代表です。硝酸塩類だから一律に同じ性質とせず、ナトリウム塩とカリウム塩の潮解性の違い、硝酸アンモニウムの加熱・衝撃による危険を分けて覚えます。
過マンガン酸塩類・重クロム酸塩類
過マンガン酸カリウムは赤紫色、重クロム酸カリウムと重クロム酸アンモニウムはオレンジ色の代表です。第1類の多くが無色または白色であるため、有色の物質は識別問題の得点源になります。
その他の頻出物質
亜塩素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、よう素酸カリウム、三酸化クロム、二酸化鉛なども出題対象です。
最初からすべての物性値を覚えるのではなく、「品名」「代表色」「水との関係」「潮解性」「特有の危険」の五欄でカード化すると比較できます。
個別問題は色・水溶性・潮解性で絞る
第1類の個別物質は数が多いため、例外が目立つ比較軸から覚えます。
| 色 | 原則は無色または白色。有色の代表は過酸化カリウム、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、三酸化クロム、二酸化鉛 |
|---|---|
| 水溶性 | 水に溶けるものが多いが、塩素酸カリウム、二酸化鉛、過酸化バリウムなど溶けにくい代表を確認 |
| 潮解性 | ナトリウム塩に多いが一律ではない。硝酸ナトリウムと硝酸カリウムの違いは頻出 |
| 水反応 | 無機過酸化物、とくにアルカリ金属の過酸化物を最優先 |
学習カードは、表に物質名、裏に次の順で書きます。
- 品名
- 色・形状
- 水との関係
- 貯蔵・取扱いの注意
- 消火方法
すべての数値をカードへ載せると比較軸が埋もれます。まず正誤を分ける特徴を覚え、問題演習で繰り返し出る数値だけ後から追加してください。
試験で間違えやすい五つのポイント
第1類を可燃性固体とする
可燃性固体は第2類です。第1類は酸化性固体で、一般に不燃性ですが、可燃物の燃焼を促進します。
水と反応して可燃性ガスを出すとする
無機過酸化物が水と反応して発生するのは酸素です。酸素は不燃性ですが、燃焼を助けます。「可燃性ガス発生」は第3類の禁水性物質と混同した表現です。
すべて大量注水で消火するとする
無機過酸化物は水系消火剤を避けます。とくに過酸化カリウム、過酸化ナトリウムを優先して覚えてください。
すべて水に溶け、潮解性があるとする
水溶性も潮解性も物質ごとに異なります。類の共通性質ではありません。
固結したものを砕けば安全に取り出せるとする
第1類は衝撃・摩擦や異物混入を避けます。ハンマーや金属器具で砕く操作は不適切です。
第1類の勉強順序
次の四周で覚えると、個別知識が共通事項へ結び付きます。
1周目:酸化性固体、一般に不燃性、可燃物との混合危険を説明する
2周目:9品名と代表物質を対応させる
3周目:貯蔵・取扱いと消火を「危険のきっかけ」から判断する
4周目:色、水溶性、潮解性、個別反応の例外を追加する
問題を解くときは、選択肢をいきなり物質名だけで判断しません。「共通事項に合うか」「無機過酸化物の例外か」「その物質だけの特徴か」の順で絞ります。
30秒セルフテスト
次の六問に答えてください。
- 第1類の性質名は何か
- 第1類は一般に可燃性か、不燃性か
- 危険が増す三つの外力は何か
- 一般的な消火方法は何か
- 水系消火剤を避ける代表グループは何か
- 無機過酸化物が水と反応して発生する助燃性ガスは何か
答えは、酸化性固体、一般に不燃性、加熱・衝撃・摩擦、大量の水による冷却、無機過酸化物、酸素です。
六問に答えた後、過酸化カリウムと塩素酸カリウムの消火方法が分かれる理由を説明できれば、原則と例外を区別できています。
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記事群全体の学習順序は、危険物取扱者甲種の完全攻略ロードマップにまとめています。
次の記事では、第2類の可燃性固体を扱い、第1類の「燃焼を助ける固体」と第2類の「自ら燃える固体」を比較します。
まとめ
危険物取扱者甲種の第1類について、共通性質、品名、貯蔵・取扱い、消火方法を整理しました。
- 第1類は酸化性固体で、一般に不燃性
- 可燃物との接触・混合に加熱、衝撃、摩擦が加わると危険が高まる
- 貯蔵では、冷暗所、密栓、異物混入防止、可燃物との隔離が基本
- 消火は大量注水による冷却が原則
- 無機過酸化物、とくに過酸化カリウム・過酸化ナトリウムは水系消火剤を避ける
- 個別物質は、品名、色、水との関係、潮解性、特有の危険で比較する
まず「一般に不燃性なのに、可燃物の燃焼を助ける」と声に出し、次に「大量注水が原則、無機過酸化物は例外」と続けてください。この二文が第1類攻略の土台です。
参考文献
- 工藤政孝『わかりやすい!甲種危険物取扱者試験』弘文社、第1類の危険物(PDF p.325、328、333-344) Amazonで見る
- 公論出版『甲種危険物取扱者試験 令和8年版』第1類危険物の一覧・共通事項・品名ごとの事項(PDF p.348-350、359-371) Amazonで見る
- 総務省消防庁「『危険物』とは?」(2026年8月26日閲覧)
- 総務省消防庁「消防法 別表第一」(2026年8月26日閲覧)
化学プラント大全 
