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危険物取扱者甲種とは?できること・乙種との違いをわかりやすく解説

危険物取扱者甲種とは?できること・乙種との違い

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危険物取扱者の甲種と乙種は、何が違うのだろう。

甲種を取れば何ができるのか、自分は甲種を目指すべきなのか知りたい。

そんな疑問を解決します。

この記事の内容

甲種で取り扱える危険物と、できる仕事

甲種・乙種・丙種の違い

甲種を選ぶべき人と、乙種から始める方がよい人

甲種試験の科目・問題数・合格基準

先に結論を言うと、危険物取扱者甲種は、第1類から第6類まで、消防法上のすべての危険物を取り扱える免状です。自分で取扱作業をするだけでなく、資格を持たない人が行う取扱作業に立ち会うこともできます。

乙種は、免状を取得した類だけが対象です。丙種は、第4類のうち指定された危険物を自分で取り扱えますが、立会いはできません。

複数の類を扱う化学プラントや研究・製造現場で働くなら、甲種の守備範囲が生きます。一方、ガソリンや灯油など第4類だけを扱う予定で、まだ甲種の受験資格がない人は、乙種第4類から始めるのも合理的です。

※制度情報は2026年8月23日に消防試験研究センターの公式サイトで確認しています。

危険物取扱者甲種とは

危険物取扱者は、消防法で定められた危険物を取り扱うための国家資格です。免状には甲種・乙種・丙種の3種類があり、違いは主に次の3点にあります。

  • 取り扱える危険物の範囲
  • 無資格者の取扱作業に立ち会えるか
  • 受験資格が必要か

このうち甲種は、すべての種類の危険物が対象です。

「甲種は乙種第1〜6類を一つにまとめたようなもの」と考えると、最初の理解としては分かりやすいでしょう。ただし、試験は乙種の単純な寄せ集めではありません。物理学・化学は乙種より広く、危険物の性質・消火も全6類から出題されます。

甲種でできること

危険物取扱者甲種でできることを示す図
(一次資料を参考に当サイト作成)

第1〜6類の危険物を取り扱える

甲種免状があれば、消防法上の第1類から第6類まで、すべての危険物について取扱作業ができます。

ガソリン、灯油、アルコール類などの第4類だけではありません。酸化性固体、禁水性物質、自己反応性物質、酸化性液体なども対象です。

複数の原料・溶剤・反応性物質を扱う事業所では、類ごとに乙種免状をそろえなくても、一つの甲種免状で全類をカバーできます。

無資格者の取扱作業に立ち会える

甲種と乙種の免状を持つ人は、免状の対象となる危険物について、資格を持たない人の取扱作業に立ち会えます。

甲種の対象は全類なので、立会いができる範囲も第1〜6類すべてです。ここが、指定された第4類危険物を自分で取り扱うことだけが認められる丙種との大きな違いです。

複数の類を扱う現場に対応しやすい

甲種の強みは「どの類が来ても免状の範囲外にならない」ことです。

化学工場、石油・燃料関連施設、塗料・樹脂・医薬品の製造、研究開発、危険物倉庫などでは、一つの事業所で複数類を扱うことがあります。異動や担当変更で対象物質が変わっても、免状の対象範囲という点では対応しやすくなります。

ただし、資格を取れば就職・昇進・収入が自動的に保証されるわけではありません。実際の評価は、職場の業務、経験、会社の資格制度によって変わります。

甲種が対象とする第1〜6類

危険物は、単純に「燃えやすい物」だけではありません。燃焼を助ける酸化性物質、水と接触すると発火・可燃性ガス発生のおそれがある物質、分解して急激に反応する物質なども含まれます。

性質代表例
第1類酸化性固体塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機過酸化物
第2類可燃性固体硫黄、赤りん、鉄粉、金属粉、マグネシウム
第3類自然発火性物質・禁水性物質カリウム、黄りん、アルキルアルミニウム
第4類引火性液体ガソリン、アルコール類、灯油、軽油、重油
第5類自己反応性物質有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物
第6類酸化性液体過塩素酸、過酸化水素、硝酸

甲種の試験では、この6類すべてについて、共通する性質、代表的な物質、貯蔵・取扱い、火災予防、適切な消火方法を学びます。

第1〜6類の詳しい比較は、別記事「第1〜6類の性質と消火方法を一覧で比較」で扱います。

甲種・乙種・丙種の違い

危険物取扱者の甲種・乙種・丙種の違いを示す図
(一次資料を参考に当サイト作成)

3種類の違いをまとめると、次のようになります。

比較項目甲種乙種丙種
対象となる危険物第1〜6類すべて免状を取得した類第4類のうち指定された危険物
自分で取扱作業ができるかできる対象類でできる指定範囲でできる
無資格者の取扱作業に立ち会えるか全類でできる対象類でできるできない
受験資格必要不要不要
向いている人複数類を扱う人、全類を一つの免状でカバーしたい人扱う類が決まっている人、まず1類から始めたい人指定された第4類危険物の取扱いに目的を絞る人

乙種との最大の違いは「対象範囲」

乙種は第1類から第6類まで類別に試験が分かれており、合格した類だけを取り扱えます。乙種第4類、いわゆる乙4を持っていても、第1類や第3類の危険物をその免状で取り扱ったり、取扱作業に立ち会ったりすることはできません。

甲種なら、全6類が一つの免状の対象になります。

甲種だけ受験資格が必要

乙種と丙種は誰でも受験できますが、甲種を受けるには一定の受験資格が必要です。

主な入口は、化学系学科等の卒業、化学科目15単位以上、乙種免状と実務経験2年以上、所定の4種類の乙種免状、化学に関する修士・博士の学位です。

自分がどれに該当するかは、別記事「甲種の受験資格を4ルートで判定する」で、必要書類まで含めて確認できるようにします。

甲種を選ぶべき人

次のどれかに当てはまるなら、甲種を最初から目指す価値があります。

  • すでに甲種の受験資格を満たしている
  • 化学プラントなどで複数類の危険物を扱う
  • 将来の異動や担当変更も考え、全類をカバーしたい
  • 乙種を類ごとに追加受験するより、一度に全体を学びたい
  • 危険物の性質と消火方法を体系的に学びたい

特に、化学系の大学・高専出身者や、大学等で化学科目を15単位以上修得した人は、直接受験できる可能性があります。受験資格を確認せずに乙種を取り始める前に、卒業証明書や成績証明書を確認してみてください。

乙種から始める方がよい人

次のような人は、乙種から始める方が目的に合うことがあります。

  • 甲種の受験資格をまだ満たしていない
  • 仕事で必要なのが第4類など特定の類だけ
  • まず危険物試験の法令や問題形式に慣れたい
  • 所定の4種類の乙種免状をそろえて、甲種の受験資格を得たい

たとえば、ガソリン、灯油、軽油、重油、アルコール類などを扱う仕事に目的が絞られているなら、乙種第4類が直接役立つ場合があります。

「甲種の方が広いから、全員が最初から甲種を受けるべき」という話ではありません。必要な範囲、現在の受験資格、使える勉強時間で選ぶのが正解です。

免状を持つことと、事業所の役職に選任されることは別

ここは誤解しやすいところです。

甲種免状を取得すれば、すべての類の危険物について取扱作業と立会いができます。しかし、免状を取得しただけで、自動的に危険物保安監督者などの役職に就くわけではありません。

事業所で法令上の役割に選任されるには、施設の条件、実務経験、事業所による選任など、別の要件を確認する必要があります。

この記事で説明しているのは「甲種免状そのものの対象範囲」です。実務上の選任要件は、別記事「化学プラント技術者が甲種を取るメリット」で分けて解説します。

甲種試験の概要

危険物取扱者甲種試験の科目・問題数・試験時間・合格基準を示す図
(一次資料を参考に当サイト作成)

甲種は、次の3科目を合計45問、2時間30分で解く五肢択一式の筆記試験です。実技試験はありません。

試験科目問題数
危険物に関する法令15問
物理学及び化学10問
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法20問
合計45問

合格するには、3科目それぞれで60%以上が必要です。合計点だけで判定する試験ではないため、苦手科目を得意科目で完全に補うことはできません。

試験の詳しい仕組みは「試験科目・問題数・試験時間・合格基準」、何から勉強するかは「甲種の出題傾向と科目別攻略順」で扱います。

取得までの次の一歩

甲種を目指すと決めたら、いきなり参考書を最初から読み始める前に、次の順で確認してください。

  1. 甲種の受験資格を満たしているか
  2. 必要な証明書類を用意できるか
  3. 受験地の試験日と受付期間はいつか
  4. 45問・3科目のどこに学習時間を配分するか

まず読む記事は「甲種の受験資格を4ルートで判定する」です。受験できることを確認したあとに、試験方式と出題傾向へ進むと無駄がありません。

このカテゴリ全体の順序は「危険物取扱者甲種の完全攻略ロードマップ」にまとめます。

まとめ

危険物取扱者甲種の特徴は、次の5点です。

  • 第1〜6類すべての危険物を取り扱える
  • 全類について、無資格者の取扱作業に立ち会える
  • 乙種は取得した類だけ、丙種は指定された第4類の取扱作業だけが対象
  • 甲種だけは受験資格が必要
  • 試験は3科目45問で、各科目60%以上が必要

複数類を扱う現場や化学プラントで働く人、将来の担当変更まで見据えて全類をカバーしたい人には、甲種が向いています。

一方、必要なのが特定の類だけ、または甲種の受験資格がまだないなら、乙種から始めるのも有効です。

次は、自分が甲種を受験できるかを確認しましょう。

参考文献