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危険物取扱者甲種の第4類攻略|引火性液体の分類・性質・消火

危険物取扱者甲種の第4類・引火性液体の分類、性質、消火を解説する記事のアイキャッチ

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困っている人
困っている人

「第1石油類から第4石油類までの境界が覚えられない」

「特殊引火物とアルコール類は、引火点の順に並べればいいの?」

「普通の泡と水溶性液体用泡を、どう使い分けるの?」

そんな疑問を解決します。

この記事の内容

第4類の共通性質と火災の起こり方

7品名と引火点区分

引火点と発火点の違い

水溶性・非水溶性と消火剤の分岐

頻出物質と出題傾向

先に結論を言うと、第4類は「液体から生じた蒸気が引火する危険」を中心に整理する分野です。

  • 危険の主役:液面から生じた可燃性蒸気
  • 引火の条件:可燃性蒸気、空気、火源がそろう
  • 石油類の分類:引火点の帯で第1〜4石油類を分ける
  • 消火の第一分岐:水溶性か、非水溶性か
  • 頻出の例外:特殊引火物、アルコール類、乾性油を別枠で覚える

第4類は乙種第4類でも中心になる範囲ですが、甲種ではガソリンや灯油だけでなく、特殊引火物、水溶性の第1〜3石油類、アルコール類、動植物油類まで横断して問われます。

第1〜6類の位置関係から確認したい人は、危険物取扱者甲種の第1〜6類一覧|性質と消火方法を比較を先に読んでください。

第4類は「液体→蒸気→引火」で考える

消防法別表第一で、第4類の性質は「引火性液体」とされています。総務省消防庁は、液体であって引火性をもち、引火点が250℃未満のものと説明しています。

試験では、液体そのものが直接燃えると考えるより、次の順に考えると正誤を判断しやすくなります。

  1. 液面から可燃性蒸気が生じる
  2. 蒸気が空気と混ざる
  3. 火炎、火花、高温体などの火源で引火する
  4. 液面へ火炎が戻り、燃焼が続く

第4類の共通性質は、次の五つです。

  • 常温で液体であり、引火点をもつ
  • 一般に引火点が低いものほど、可燃性蒸気が生じやすく危険が大きい
  • 蒸気比重が1より大きいものが多く、可燃性蒸気が低所に滞留しやすい
  • 液比重が1より小さく、水に溶けないものが多い
  • 一般に電気の不良導体で、流動・ろ過・注入などで静電気を帯びやすい

ただし、すべての物質が「水より軽い」「水に溶けない」「電気を通さない」とは限りません。二硫化炭素は水より重く、アルコール類やアセトンは水に溶けます。共通性質には「一般に」「多い」を付けて覚えてください。

第4類の7品名と引火点区分

第4類の品名は、特殊引火物、第1石油類、アルコール類、第2石油類、第3石油類、第4石油類、動植物油類の七つです。

第4類危険物の第1〜4石油類を引火点の階段で示し、特殊引火物・アルコール類・動植物油類を別枠にした図
第1〜4石油類を引火点の帯で並べ、特殊引火物・アルコール類・動植物油類を別定義として整理します。(一次資料を参考に当サイト作成)

第1〜4石油類は引火点の帯で分類します。

第1石油類21℃未満ガソリン、ベンゼン、トルエン、アセトン
第2石油類21℃以上70℃未満灯油、軽油、キシレン、酢酸
第3石油類70℃以上200℃未満重油、クレオソート油、グリセリン
第4石油類200℃以上250℃未満ギヤー油、シリンダー油

境界値は「21、70、200、250」です。21℃ちょうどは第2石油類、70℃ちょうどは第3石油類、200℃ちょうどは第4石油類に入ります。250℃以上は第4石油類ではありません。

特殊引火物は二つの判定経路がある

特殊引火物は、ジエチルエーテル、二硫化炭素のほか、次のいずれかに該当するものです。

  • 発火点が100℃以下
  • 引火点が−20℃以下で、かつ沸点が40℃以下

したがって「引火点が−20℃以下なら、すべて特殊引火物」とは判断できません。また、二硫化炭素は沸点が40℃を超えますが、発火点が100℃以下であるため特殊引火物です。

アルコール類は引火点だけで決まらない

消防法上のアルコール類は、1分子中の炭素数が1〜3の飽和一価アルコールです。代表はメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールです。

炭素数4の1-ブタノールや炭素数5の1-ペンタノールは、アルコール類ではなく引火点に応じて第2石油類などに分類されます。アルコール含有量が60%未満の水溶液は、消防法上のアルコール類から除かれます。

動植物油類も別定義

動植物油類は、動物の脂肉等または植物の種子・果肉から抽出したもので、引火点が250℃未満のものです。法令で定める条件により貯蔵・保管されているものは除かれます。

アマニ油などの乾性油は、布や紙に染み込んだ状態で酸化熱が蓄積すると自然発火する危険があります。第4類だから自然発火しない、と一律に判断しないでください。

引火点と発火点を区別する

引火点は、液体から生じた蒸気に火源を近づけたとき、瞬間的に引火する最低温度です。外部の火源が必要です。

発火点は、火源を近づけなくても、高温によって自ら発火する最低温度です。引火点とは測っている現象が違います。

引火点火源あり可燃性蒸気が一瞬燃え始める最低温度
発火点火源なし高温によって自ら発火する最低温度

「引火点が低い物質は、発火点も必ず低い」「引火点より発火点の方が必ず低い」といった大小関係の一律化はできません。

試験では、ガソリンの引火点は非常に低い一方、二硫化炭素は発火点が第4類中で特に低いというように、何の温度を比較しているかを確認します。霧状になれば引火点以下でも危険が増すことがある点も押さえます。

水溶性かどうかで消火方法が分かれる

第4類の消火は、まず水溶性か非水溶性かを確認します。

第4類危険物の消火を非水溶性と水溶性に分け、棒状注水と普通泡の不適応を示した図
非水溶性では棒状注水、水溶性では普通泡を避け、物質に適合する消火剤を選びます。実火災ではSDS等を優先してください。(一次資料を参考に当サイト作成)

非水溶性液体

ガソリン、ベンゼン、トルエン、灯油、軽油などは水に溶けず、水より軽いものが多くあります。棒状の水や棒状の強化液を放射すると、危険物が水に浮いて流れ、火災範囲を広げるおそれがあります。

試験では、泡消火剤で液面を覆う窒息消火、粉末・二酸化炭素・ハロゲン化物による抑制または窒息を基本候補として整理します。霧状の強化液も第4類火災の適応として扱われます。

水溶性液体

アルコール類、アセトン、アセトアルデヒド、酸化プロピレンなどは水溶性です。普通の泡消火剤を使うと、泡が液体に溶けて消え、液面を覆う効果を失います。

泡を使う場合は、水溶性液体用泡消火剤、いわゆる耐アルコール泡を選びます。「水に溶けるから普通の泡でよい」という選択肢は誤りです。

消火の分岐避けるもの基本候補
非水溶性液体棒状の水・棒状の強化液泡、粉末、二酸化炭素、霧状強化液など
水溶性液体普通泡に置き換えること水溶性液体用泡、粉末、二酸化炭素など

水噴霧は、物質別の記載がある一方、全第4類へ一律に適応するとは限りません。問題文で物質名、放射方法、消火器の種類を確認してください。

なお、以上は資格試験向けの一般整理です。実際の漏えい・火災では接近せず、物質ごとのSDS、事業所の緊急時手順、消防機関の指示を優先してください。

貯蔵・取扱いは蒸気と静電気を抑える

第4類の共通対策は、可燃性蒸気を発生・滞留させず、着火源を与えないことです。

  • 容器を密栓し、冷暗所に貯蔵する
  • 火炎、火花、高温体、直射日光を避ける
  • 通風・換気を行い、蒸気を屋外の安全な高所へ排出する
  • 低所、ピット、溝などの蒸気滞留に注意する
  • 流動、ろ過、撹拌、注入、詰替えで生じる静電気を、接地・ボンディング等で除去する
  • 第1類・第6類などの酸化性物質との混触を避ける

「蒸気は空気より重いから排気口を高所にする」は、途中を省いた表現です。床面近くの吸気口で低所の蒸気を捕集し、排気口は屋外の安全な高所に設ける、という流れで理解します。

また、タンクの通気管は換気設備ではありません。液の出入りや温度変化による圧力変動からタンクを保護する役割があります。

頻出物質を7グループで比較する

特殊引火物

ジエチルエーテルは揮発性が高く、空気や光との長期接触で爆発性過酸化物を生じる危険があります。二硫化炭素は水より重く、水に溶けず、発火点が非常に低い物質です。容器の液面に水を張って蒸発を抑える貯蔵法も問われます。

アセトアルデヒドと酸化プロピレンは水溶性で、重合や過酸化物生成の危険をもつため、不活性ガス封入や水溶性液体用泡との組合せが重要です。

ガソリン

自動車ガソリンはオレンジ色に着色された非水溶性の第1石油類です。純品は無色です。水より軽く、蒸気は空気より重いため低所に滞留し、静電気も生じやすいと整理します。

「ガソリンは水に溶ける」「水溶性液体用泡が必要」という選択肢に注意してください。

ベンゼン・トルエン・キシレン

ベンゼン、トルエン、キシレンはBTXとして比較されます。いずれも芳香族炭化水素で水に溶けにくく、蒸気に毒性があります。

類別は、ベンゼンとトルエンが第1石油類、キシレンが第2石油類です。引火点の順序と品名を対応させます。

アセトン・アルコール類

アセトンは水溶性の第1石油類、メタノール・エタノール・プロパノールはアルコール類です。どちらも水溶性液体用泡を使う代表です。

メタノールは毒性があり、炎が薄い青色で見えにくい点が頻出です。エタノールは麻酔性があり、酸化されるとアセトアルデヒド、さらに酢酸になる流れも確認します。

灯油・軽油

灯油と軽油は非水溶性の第2石油類です。ガソリンより引火点は高いものの、流動時の静電気、蒸気の滞留、火源接近を避ける原則は同じです。

引火点が高いことを「燃えない」「棒状注水してよい」と読み替えないでください。

重油・グリセリン・第4石油類

重油は非水溶性、グリセリンは水溶性の第3石油類です。同じ第3石油類でも、水への溶け方と指定数量、泡消火剤の選択が異なります。

ギヤー油、シリンダー油などは第4石油類です。石油類は引火点が高くなるほど常温での引火危険が下がりますが、加熱・噴霧・漏えい時の危険は残ります。

動植物油類

アマニ油、キリ油などの乾性油は、空気中で酸化されやすく、布・紙・おがくずなどに染み込むと酸化熱が蓄積して自然発火することがあります。

「第4類で自然発火する代表は乾性油」「乾きやすい油ほど酸化しやすい」を一組で覚えます。

試験で間違えやすい8つのポイント

第4類は液体そのものが直接燃えるとする

燃焼の中心は、液面から生じた可燃性蒸気と空気の混合気です。

すべて水より軽く、水に溶けないとする

二硫化炭素は水より重く、アルコール類やアセトンなどは水溶性です。

蒸気は空気より軽く、高所へ逃げるとする

第4類の可燃性蒸気は空気より重いものが多く、低所へ滞留します。

特殊引火物を引火点だけで決める

発火点100℃以下、または引火点−20℃以下かつ沸点40℃以下という二経路です。

アルコール類を第1石油類の水溶性物質とする

アルコール類は独立した品名です。アセトンは水溶性の第1石油類です。

非水溶性液体へ棒状注水する

水に浮いて流れ、火災範囲を広げるおそれがあります。

水溶性液体へ普通泡を使う

泡が溶けて消えやすいため、水溶性液体用泡を使います。

第4類は自然発火しないとする

アマニ油などの乾性油は、酸化熱が蓄積すると自然発火することがあります。

第4類の出題傾向と勉強順序

一次資料の学習ポイントと収録問題を見ると、ガソリン、アルコール類、共通性質、水溶性液体用泡が繰り返し扱われています。甲種では、乙4で見慣れないピリジン、キシレン、アニリン、酸化プロピレン、アクリル酸などの品名別事項も出題候補です。

次の四周で学ぶと、分類と個別物質を混同しにくくなります。

1周目:液体→蒸気→引火、低所滞留、静電気という共通像を説明する

2周目:第1〜4石油類の境界値21・70・200・250を覚える

3周目:特殊引火物、アルコール類、動植物油類を別枠で追加する

4周目:水溶性・非水溶性と泡消火剤、代表物質の特徴を対応させる

復習カードは、表に物質名、裏に次の六欄を作ると効果的です。

  1. 品名
  2. 引火点区分
  3. 水溶性・非水溶性
  4. 蒸気比重・液比重の特徴
  5. 貯蔵・取扱いの注意
  6. 消火剤

30秒セルフテスト

次の八問に答えてください。

  1. 第4類の性質名は何か
  2. 第2石油類の引火点範囲は何か
  3. 特殊引火物の二つの判定経路は何か
  4. アセトンは何類の何石油類か
  5. メタノールは石油類か、アルコール類か
  6. 第4類の可燃性蒸気は高所と低所のどちらに滞留しやすいか
  7. 水溶性液体に泡を使う場合、何泡を選ぶか
  8. 非水溶性液体へ棒状注水を避ける理由は何か

答えは、引火性液体、21℃以上70℃未満、発火点100℃以下または引火点−20℃以下かつ沸点40℃以下、第4類の第1石油類、アルコール類、低所、水溶性液体用泡、危険物が水に浮いて流れ火災範囲を広げるためです。

八問に答えた後、「アセトンとガソリンは同じ第1石油類なのに、泡の選択が違う理由」を説明できれば、第4類の中心論点を理解できています。

次に読む記事

第3類との違いを復習する人は、危険物取扱者甲種の第3類攻略|自然発火性・禁水性物質の性質と消火を確認してください。

第1〜6類の一覧へ戻る人は、危険物取扱者甲種の第1〜6類一覧|性質と消火方法を比較へ進んでください。

記事群全体の学習順序は、危険物取扱者甲種の完全攻略ロードマップにまとめています。

次の類別記事では、第5類の自己反応性物質を扱い、外部の酸素がなくても燃焼が続く理由と消火方法を整理します。

まとめ

危険物取扱者甲種の第4類について、共通性質、7品名、引火点区分、水溶性、貯蔵・取扱い、消火方法を整理しました。

  • 第4類は引火性液体で、危険の主役は可燃性蒸気
  • 蒸気は空気より重いものが多く、低所へ滞留する
  • 第1〜4石油類は引火点21・70・200・250℃を境界に分ける
  • 特殊引火物は発火点、または引火点と沸点の複合条件で判定する
  • アルコール類と動植物油類は、石油類の引火点順とは別枠で定義する
  • 非水溶性液体へ棒状注水すると、浮いて火災を広げるおそれがある
  • 水溶性液体に泡を使うなら、水溶性液体用泡を選ぶ
  • 乾性油は酸化熱の蓄積による自然発火に注意する

まず「液体→蒸気→引火」、次に「石油類の境界値」、最後に「水溶性と泡」の順で学んでください。この三段階が第4類攻略の土台です。

参考文献