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TEMA型式の読み方【BEM・AES・BKUが意味するもの】

TEMA型式の読み方【BEM・AES・BKUが意味するもの】

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困っている人
困っている人

BEMとかAESとか、何を意味してるの?

固定管板・U字管・遊動頭はどう選ぶ?

そんな悩みを解決します。

この記事の内容

・TEMA型式の3文字が意味するもの

・固定管板・U字管・遊動頭の使い分け(熱膨張と清掃性)

・シェル形式(E・F・J・K・X)の選び方

私の仕事は化学プラントの設計です。
ユーザー側が仕様書を書き、提案を評価するために必要な範囲で解説します。

メーカーの見積書に「BEM」「AES」「BKU」といった3文字の記号が書かれています。これはTEMA型式と呼ばれる、多管式熱交換器の構造を表す標準記号です。

TEMA(Tubular Exchanger Manufacturers Association、米国管式熱交換器工業会)が定めたもので、世界共通で通用します。

この3文字が読めれば、その機器が清掃できるのか、熱膨張に耐えられるのか、なぜその価格なのかが分かります。逆に読めないと、提案の妥当性を判断できません。

この記事の結論

・TEMA型式は3文字。1文字目=フロントヘッド、2文字目=シェル、3文字目=リアヘッド

・最も重要なのは3文字目。ここで熱膨張への対応清掃できる範囲が決まります。

・固定管板(M・L・N)は安価だが熱膨張差に弱く、シェル側を機械清掃できません。

・U字管(U)は熱膨張が自由で安価だが、チューブ内を機械清掃できません。

・遊動頭(S・T)は両方できるが最も高価です。

3文字の構成

TEMA型式は、熱交換器を3つの部分に分けて、それぞれをアルファベット1文字で表します。

位置部分代表的な記号
1文字目フロントヘッド(前部鏡板/チューブ側入口)A、B、C、N、D
2文字目シェル(胴)E、F、G、H、J、K、X
3文字目リアヘッド(後部鏡板)L、M、N、P、S、T、U、W

たとえば BEM なら「ボンネット形フロントヘッド + 1パスシェル + 固定管板」。AES なら「取外しカバー付きチャンネル + 1パスシェル + 内部浮動頭」です。

1文字目:フロントヘッド

記号名称特徴
Aチャンネル+取外しカバーカバーを外すだけでチューブ内を点検・清掃できる。配管を外す必要がない。汚れる流体をチューブ側に流すときの標準
Bボンネット(一体形)構造が単純で安価。ただしチューブ内にアクセスするには配管を外してボンネットごと取り外す必要がある
C、N管板と一体高圧用、あるいは危険流体でシール箇所を減らしたい場合
D特殊高圧形高圧用の特殊構造

A と B の選択は「清掃頻度」で決まります。年に何度もチューブ内を洗う運用なら A、めったに開けないなら B で十分です。価格差は A のほうが高くなります。

2文字目:シェル形式

記号名称主な用途と特徴
E1パスシェル最も一般的。標準はこれ
F2パスシェル(縦仕切板)1台で2シェル相当。温度クロス対策。仕切板からの熱漏れ・流体漏れに注意
G、Hスプリットフローサーモサイフォンリボイラなど。圧力損失を抑えたい場合
Jダイバイデッドフロー流入を分割して流路長を半分に。圧力損失が E の約1/8。コンデンサ向き
Kケトル形シェル側で液を溜めて蒸発させる。リボイラ・蒸発器の標準
Xクロスフローシェル側を横断させるだけ。圧力損失が最小。真空コンデンサ向き

圧力損失で選ぶ

シェル形式の選択は、多くの場合シェル側の圧力損失で決まります。

凝縮器では、シェル側を通るのが蒸気(体積流量が大きい)なので、E形では圧力損失が過大になりがちです。そこで J形や X形を使って流路を短くします。

とくに真空系の凝縮器では、圧力損失が数百 Pa 増えるだけで塔底温度が上がってしまうため、X形が選ばれます。

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3文字目:リアヘッド ― ここが最重要

3文字目で、熱膨張への対応清掃できる範囲が決まります。実務上、最も判断が要るのがここです。

固定管板(L・M・N)

構造:チューブ両端の管板をシェルに溶接で固定する

長所:構造が単純で最も安価。シェル側からの漏れがない

短所:管束を引き抜けないため、シェル側の機械清掃ができない

短所:シェルとチューブの温度差による熱膨張差を吸収できない

熱膨張差が問題になる目安は、シェルとチューブの平均金属温度差が50 K 程度を超えるあたりです。これを超えると、管板やチューブに過大な応力がかかり、チューブ抜けや座屈が起きます。

対策としてシェルに伸縮継手(エキスパンションジョイント)を入れる方法がありますが、伸縮継手自体が疲労で割れるリスクを抱えることになります。

固定管板が向くのは、シェル側が汚れず、かつ温度差が小さい用途です。冷却水をシェル側に流す用途などが典型例です。

U字管(U)

構造:チューブをU字に曲げ、片端だけを管板に固定する

長所:チューブが自由に伸縮できるので熱膨張差の問題がない

長所:管板が1枚で済むので安価。管束を引き抜けるのでシェル側の清掃が可能

短所チューブ内の機械清掃ができない(U字の曲がり部にブラシが入らない)

短所:U字部のチューブを1本だけ交換できない

U字管の可否は「チューブ側が汚れるかどうか」の一点で決まります。チューブ側が清浄(蒸気、清浄な油など)なら、安価で熱膨張にも強い優れた選択です。チューブ側が汚れるなら選べません。

遊動頭(S・T・P・W)

構造:片側の管板を固定せず、シェル内で自由に動けるようにする

長所:熱膨張差を吸収でき、かつ管束を引き抜けるので両側とも機械清掃が可能

短所:構造が複雑で最も高価。シェル径も大きくなる

短所:内部にシール部があり、内部漏れ(両流体の混合)のリスクがある

S形(内部浮動頭・スプリットリング)が最も一般的です。T形(引抜き式浮動頭)は管束をそのまま引き抜けるので保全性がより高い反面、シェル径がさらに大きくなります。

内部漏れが絶対に許されない場合(片方が毒性物質、あるいは製品汚染が問題になる場合)は、遊動頭を避けるという判断もあります。

3つの比較表

固定管板(M)U字管(U)遊動頭(S)
熱膨張差への対応×(伸縮継手が必要)
チューブ内の機械清掃×
シェル側の機械清掃×
価格安い安い高い
内部漏れリスクなしなしあり
1本単位のチューブ交換

この表がリアヘッド選定のすべてです。「どちらの流体が汚れるか」と「温度差はいくらか」の2つを答えれば、選ぶべき型式は自動的に決まります。

代表的な組合せ

型式構成典型的な用途
BEMボンネット+1パスシェル+固定管板清浄な流体どうし。最も安価な標準機
AEM取外しカバー+1パスシェル+固定管板チューブ側が汚れ、シェル側は清浄
BEUボンネット+1パスシェル+U字管チューブ側に蒸気などの清浄流体。温度差が大きい用途
AES取外しカバー+1パスシェル+遊動頭両側とも汚れる。温度差も大きい。最も汎用だが高価
BKUボンネット+ケトル形+U字管蒸留塔のリボイラ
AXU取外しカバー+クロスフロー+U字管真空コンデンサ

ユーザー側が仕様書に書くこと

TEMA型式そのものを指定するかどうかは、案件によります。判断材料を渡してメーカーに選ばせるほうが良い結果になることも多くあります。

必ず伝えるべき情報

・両流体の名称・流量・入出口温度・物性(粘度、比熱、熱伝導率、密度)

・設計圧力・設計温度

どちらの流体がどう汚れるか(汚れの種類、洗浄周期の想定)

・許容圧力損失(両側)

・材質の指定または腐食環境の情報

・据付スペースの制約(とくに管束引抜きスペースの有無)

・清掃方法の想定(化学洗浄か機械清掃か)

とくに「汚れ」と「引抜きスペース」は、ユーザー側しか知らない情報です。ここを伝えないと、現場で清掃できない機器が納入されることになります。

提案を受け取ったら確認すること

・型式の3文字目は何か。その選択の理由は何か

・シェルとチューブの金属温度差はいくらか(固定管板の場合)

・伸縮継手が入っているか。入っているなら、その寿命と点検方法

・管束引抜きに必要な長さと重量。現場のクレーン能力で足りるか

まとめ

・TEMA型式は3文字。1文字目=フロントヘッド、2文字目=シェル、3文字目=リアヘッド。

・1文字目(A/B)は清掃頻度で決まります。

・2文字目は圧力損失と機能で決まります。凝縮器なら J・X、リボイラなら K。

・3文字目が最重要。固定管板は安価だが熱膨張差に弱くシェル側を清掃できない。U字管は熱膨張に強いがチューブ内を清掃できない。遊動頭は両方できるが高価。

・「どちらの流体が汚れるか」と「温度差はいくらか」の2つで、選ぶべき型式は決まります。

・ユーザー側は汚れ方と引抜きスペースを必ず伝えます。ここはユーザーしか知りません。

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参考文献

  • 吉田邦夫・吉田英生 監修『熱交換器ハンドブック』省エネルギーセンター、2005年、II編1「多管式熱交換器」1.2 水冷・プロセス流体、IV編 設備保全 3「検査」、4「寿命予測とトラブル事例」 Amazonで見る
  • 尾花英朗『熱交換器設計ハンドブック(増訂版)』工学図書、1974年(1994年 2版6刷)、第1部 第1章「熱交換器の分類」、第4部「熱交換器の基本設計」 Amazonで見る