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送風機の種類と特徴|多翼・後向き・翼形・ラジアル・軸流・斜流・ルーツ

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送風機の名前は、見る資料によって分け方が違います。「遠心式と軸流式」「ターボ形と容積形」「多翼とターボ」「ファンとブロワー」が同じ表に並ぶこともあり、初学者には分かりにくいところです。

混乱を避けるには、最初に作動原理を見て、次に気体の流れる方向と羽根形状を見るのが近道です。この記事では、現場オペレーターが実機を見分けるとき、化学メーカーのエンジニアが候補機種を比較するときに使える順番で整理します。

この記事の結論

  • 最初に「ターボ形」と「容積形」を分けます。ターボ形は羽根車から連続的にエネルギーを与え、容積形は一定の空間に取り込んだ気体を送り出します。
  • ターボ形は、気体の流れる方向から遠心、斜流、軸流に分けます。
  • 多翼、ラジアル、後向きは遠心式の羽根形状です。翼形ファンは、後向き羽根の断面を翼形にしたものです。
  • ルーツブロワーは容積形です。遠心式と同じ性能曲線の感覚で扱わず、吐出圧力、軸動力、温度、保護装置を確認します。
  • 機種の適用範囲は重なります。必要風量と圧力だけでなく、ガス性状、運転範囲、効率、騒音、保守性を含めてメーカー曲線で選定します。

1. 送風機は2つの軸で分類すると分かりやすい

送風機の分類で混乱する原因は、作動原理、気流方向、羽根形状、圧力による呼称が混在することです。次の順に分けると整理できます。

第1段階|作動原理

  • ターボ形:回転する羽根車によって気体へ連続的にエネルギーを与える
  • 容積形:ロータとケーシングで区切られた空間の気体を移送する

第2段階|ターボ形の気流方向

  • 遠心式:軸方向から吸い込み、主に半径方向へ送り出す
  • 斜流式:軸方向から吸い込み、斜め方向へ送り出す
  • 軸流式:軸方向から吸い込み、ほぼ同じ軸方向へ送り出す

第3段階|遠心式の羽根形状

  • 多翼(シロッコ、前向き羽根)
  • ラジアル(プレート、径向き羽根)
  • 後向き(ターボ)
  • 翼形(エアホイル。後向き羽根の一種)
送風機を作動原理でターボ形と容積形に分け、ターボ形を遠心・斜流・軸流へ分類する2段階の図
(一次資料を参考に当サイト作成)

ファン、ブロワー、圧縮機という呼称は、主にどこまで圧力を上げるかを示す別の分類です。圧力比、絶対圧力、呼称の境界は「ファン・ブロワー・圧縮機の違い」で確認してください。

2. 遠心式は渦巻きケーシングと羽根形状を見る

遠心式では、気体が羽根車の中心付近から入り、回転する羽根によって外周へ送られます。羽根車の外側にある渦巻き状のケーシングで流れを集め、吐出口へ導きます。

現場で最初に見るのは、ケーシングの外形と吸込・吐出口の向きです。円形の吸込口が羽根車の軸方向にあり、吐出口が接線方向へ出ている渦巻きケーシングなら、遠心式である可能性が高いと判断できます。ただし、外装カバーやダクトで見えないことがあるため、最終確認は銘板、図面、型式、メーカー資料で行います。

遠心式の中でも、羽根形状によって性能と扱いやすさが変わります。

形式現物で見る点主な特徴選定・運転で注意する点
多翼ファン細く短い前向き羽根が多数並ぶ小形にまとめやすく、換気・空調などで広く使われる風量増加側で軸動力が増えやすい。ダスト、ミスト、付着性成分は堆積とアンバランスを確認する
後向きファン回転方向に対して羽根出口が後ろへ傾く産業用に広く使われ、効率と運転範囲のバランスを取りやすい低風量側の不安定領域、付着、摩耗はガス条件とメーカー曲線で確認する
翼形ファン後向き羽根の断面が翼形後向きファンと同系統の特性で、高効率を狙う形式翼表面の摩耗・付着で性能やバランスが変わる。構造と清掃方法を確認する
ラジアルファンボスから径方向へ直線羽根が伸びる構造が比較的単純で、固体粒子を含む気体や粉体輸送で候補になる「汚れを必ず自動除去する」とは考えない。摩耗、付着、羽根厚さ、交換・補修性を確認する
多翼・ラジアル・後向き・翼形ファンを、回転方向に対する羽根出口の向きと翼断面で見分ける図
(一次資料を参考に当サイト作成)

多翼ファンを「クリーン空気専用」、ラジアルファンを「汚れたガスなら必ず選ぶ」と一律に決めることはできません。ダスト量だけでなく、粒径、硬さ、付着性、湿り、腐食性、周速、羽根の補強、清掃方法によって適否が変わります。材料、摩耗、腐食、付着の詳しい比較はBL-11へ集約します。

3. 後向きファンと翼形ファンは同じ階層ではない

カタログでは「ターボファン」と「エアホイルファン」が別製品として並ぶため、別原理の機械に見えることがあります。しかし分類上、翼形ファンは後向き羽根の断面を翼形にしたものです。

現物を正面から見たときに分かるのは、羽根出口が回転方向に対して前向きか、径向きか、後向きかという違いです。翼形かどうかは羽根の断面を見ないと判断できません。点検口から見える範囲だけで断定せず、羽根車組立図やメーカー断面図で確認します。

また、「ターボファン」という呼び名は文献やメーカーによって範囲が異なります。後向きファンを指す場合も、ターボ形送風機全般を指す場合もあるため、名称だけでなく羽根形状と性能曲線を確認する必要があります。

4. 軸流ファンは気体がほぼ真っすぐ通る

軸流ファンは、プロペラに似た動翼へ気体が軸方向から入り、軸方向へ流出する形式です。筒形のケーシング内に動翼があり、機種によっては前後に静翼または案内羽根があります。

遠心式のような大きな渦巻きケーシングがなく、吸込口と吐出口がほぼ一直線に並ぶため、外観から見分けやすい形式です。低い圧力上昇で大風量を扱う用途に向き、工場換気、トンネル通風、ボイラー通風、空冷式熱交換器などで使われます。空冷式熱交換器では、管束の下から押し込む押込通風形と、管束の上から吸い出す吸込通風形があります。

一方、軸流ファンは低風量側で失速や不安定な運転が問題になることがあります。翼角を変えられる形式、静翼を備えた形式、多段式など構造差も大きいため、「軸流は低圧用」とだけ覚えず、必要静圧、性能曲線、許容運転範囲、騒音を確認します。

5. 斜流ファンは遠心と軸流の中間

斜流ファンは、気体が軸方向から入り、羽根車でハブに沿って斜め方向へ転向し、案内羽根によって再び軸方向へ流出する形式です。羽根車の形と特性は遠心式と軸流式の中間に位置します。

外観は筒形またはコーン形に近く、配管・ダクトを直線的につなぎやすいのが特徴です。同程度の風量を扱う軸流ファンより圧力を得たい場合や、遠心式より設置形状をコンパクトにしたい場合に候補となります。ただし、実際の優劣は機番、回転速度、静翼、ケーシング、運転点で変わります。

6. ルーツブロワーはターボ形ではなく容積形

ルーツブロワーは、まゆ形の二葉ロータ、または三葉ロータをケーシング内で互いに逆方向へ回転させます。ロータ同士とロータ・ケーシング間は接触させず、区切られた空間に取り込んだ気体を吸込側から吐出側へ移送します。ロータの位相は同期歯車で保ちます。

ルーツブロワーの二葉ロータが90度の位相差で逆回転し、気体を中央ではなくケーシング外周で運ぶ図
(一次資料を参考に当サイト作成)

回転速度が一定なら、吐出圧力が変わっても風量変化が比較的小さいのが特徴です。ただし、すきまからの漏れがあるため「圧力に関係なく完全に一定」ではありません。

遠心式との大きな違いは、吐出側の抵抗が増えると機械が作る圧力差と軸動力が増えることです。吐出弁の誤閉止や配管閉塞では、吐出圧力、温度、電動機負荷が上がり、保護装置の作動や機器損傷につながります。安全弁、圧力・温度・過負荷保護、始動・停止手順は、設備設計とメーカー取扱説明書で確認します。

ルーツブロワーは曝気、空気輸送、プロセスガス移送などで使われますが、脈動、騒音、温度上昇、クリアランス管理も選定条件です。運転・保全の詳細はBL-12で扱います。

7. 現場で種類を見分ける6つの確認点

外観だけで機種名を決めず、次の順で確認します。

遠心・軸流・斜流送風機を、ケーシング外形と吸込・吐出の流路から見分ける図
(一次資料を参考に当サイト作成)
  1. 銘板と型式を読む:メーカー、型式、回転速度、定格風量、圧力、電動機容量を確認します。名称が社内呼称だけの場合はメーカー資料へ戻ります。
  2. ケーシング形状を見る:渦巻き形なら遠心式、筒形で吸込・吐出が直線なら軸流または斜流、楕円形のロータ室と歯車箱があるならルーツの可能性があります。
  3. 気体の入口と出口を追う:軸方向から入り接線方向へ出るか、ほぼ直進するか、吸込側からロータ室を通って反対側へ移るかを図面で確認します。
  4. 羽根・ロータの形を見る:前向き多数羽根、径向き直線羽根、後向き羽根、翼形断面、プロペラ状動翼、二葉・三葉ロータを区別します。
  5. 性能曲線を見る:風量―圧力だけでなく、軸動力、効率、回転速度、許容運転範囲を確認します。ルーツは遠心式と曲線の読み方が違います。
  6. 図面と取扱説明書で確定する:点検口を開ける場合は停止、隔離、残圧・残留ガス確認、回転体の停止確認など、設備の安全手順に従います。運転中の推測確認は行いません。

8. 機種選定は「用途名」ではなく条件をそろえて比較する

送風機の適用範囲には重なりがあります。曝気だから必ずルーツ、粉体だから必ずラジアル、換気だから必ず多翼、という決め方では不足です。少なくとも次の条件をそろえて、メーカーの性能曲線と許容範囲を比較します。

確認項目主な内容
必要風量と圧力最小・通常・最大、静圧か全圧か、吸込・吐出し絶対圧力
ガス条件組成、温度、密度、湿度、腐食性、可燃性・毒性、凝縮の有無
同伴物ダスト量、粒径、硬さ、付着性、ミスト、液滴
運転範囲連続・間欠、負荷変動、台数制御、絞り・回転数・翼角制御
信頼性予備機、重要度、保護装置、許容停止時間
保守性点検口、清掃、羽根・ロータ交換、軸受・シール、予備品
環境条件騒音、振動、設置面積、基礎、周囲温度、防爆・屋外仕様
経済性定格点だけでなく実際の運転範囲での消費電力、初期費用、保全費

空冷式熱交換器の例でも、必要風量と静圧を求め、メーカーが示すファン性能曲線と比較して選定します。機種名を先に決めるのではなく、プロセス側の要求と機械側の特性を同じ条件で照合するのが基本です。

9. まとめ

送風機は、最初にターボ形と容積形を分け、ターボ形を遠心・斜流・軸流へ分けると整理できます。多翼、ラジアル、後向き、翼形は遠心式の羽根形状で、翼形は後向き羽根の一種です。ルーツブロワーは容積形なので、遠心式とは運転特性と保護の考え方が異なります。

現場では、銘板、ケーシング、流路、羽根・ロータ、性能曲線、図面の順で確認します。選定では用途名だけに頼らず、風量・圧力、ガス性状、運転範囲、保守性をそろえて比較してください。送風機記事群の全体像は「送風機・ブロワー完全ガイド」、呼称と圧力の違いは「ファン・ブロワー・圧縮機の違い」で確認できます。

参考文献

  • 尾形俊輔ほか『ファン・ブロワ 改訂版』PDF p.14–20, 44–45  Amazonで見る
  • 日本プラントメンテナンス協会『ファン・コンプレッサーの本』PDF p.24, 27–32, 64–65  Amazonで見る
  • 高橋徹『流体のエネルギーと流体機械』第3章、PDF p.123, 137–141  Amazonで見る
  • 化学工学会編『化学工学便覧 改訂五版』PDF p.142, 144(リンクは改訂七版)  最新版をAmazonで見る
  • 熱交換器ハンドブック編集委員会編『熱交換器ハンドブック』PDF p.69, 72, 75  Amazonで見る
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