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圧力計と圧力伝送器|ゲージ圧・絶対圧・差圧、ブルドン管とダイアフラム、なぜ MPaG と書くか

圧力計と圧力伝送器のアイキャッチ

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現場の圧力計と DCS の圧力の値が合わないとき、最初に確かめるのは「どちらも同じ基準のゼロで測っているか」です。圧力には、大気圧をゼロとするゲージ圧、真空をゼロとする絶対圧、2点の差である差圧の3つがあり、基準が違えば数字は合いません。

圧力を受ける部品(受圧エレメント)は、現場指示用の圧力ゲージも信号を送る圧力伝送器もほぼ共通で、ブルドン管・ベローズ・ダイアフラムの3種類です。

この記事では、3つの圧力の基準、受圧エレメントの原理と得意不得意、差圧伝送器が「1つの原理で流量も圧力も液位も測れる」理由、微差圧の落とし穴を説明します。

この記事の結論

  • ゲージ圧(G)は大気圧がゼロ、絶対圧(abs)は真空がゼロ、差圧は2点の差。単位に G や abs を付けるのは基準を明示するため
  • ブルドン管は安価で電源不要、最大 200 MPa まで。精度は 0.5% 程度で振動・衝撃に弱い。現場圧力計の主流
  • ベローズは 30〜300 kPa 程度の低圧用。ダイアフラムは伝送器の受圧部の主流で、静電容量や歪ゲージで電気信号にする
  • 差圧伝送器は2点の圧力差を測るので、絞りと組み合わせた流量、圧力、液位、比重を同じ原理・構造で測れる
  • 微差圧(炉内圧など 0.1〜1 kPa)は外部の影響を受けやすく、大気圧側の導入口の扱いで指示が変わる
  • スラリーや凍結する流体、腐食性流体は、受圧部を直接触れさせずダイアフラムシールで隔離する

1. 圧力の3つの基準

呼び方ゼロの基準表記の例使う場面
ゲージ圧大気圧MPaG、kPaG現場圧力計、ほとんどのプロセス圧力
絶対圧完全な真空kPa abs、MPa abs真空系、気体の密度計算、温圧補正
差圧2点の一方kPa(差圧)、mmH2O流量、液位、フィルタの詰まり

大気圧は約 101 kPa なので、ゲージ圧 0 は絶対圧では約 101 kPa です。真空系では「絶対圧で 10 kPa」のように書き、ゲージ圧で書くと負の値になります。G や abs を省いた圧力の値は、それだけでは意味が決まりません。

圧力の3つの基準
圧力の3つの基準

DCS の値と現場圧力計が合わない例で多いのは、DCS が絶対圧伝送器の値を表示し、現場がゲージ圧計だった、という基準の違いです。まず単位の後ろの文字を見ます。

2. 受圧エレメント|ブルドン管・ベローズ・ダイアフラム

計装の教科書は、現場指示用の圧力計を「圧力ゲージ」、信号伝送機能を備えたものを「圧力伝送器」と呼び分けたうえで、受圧エレメントはほぼ共通だとしています。

ブルドン管

断面が楕円の金属管の一端を封じ、C 形・スパイラル形・ヘリカル形に曲げたものです。圧力を加えると、巻いた管がほどける方向に動き、自由端の変位が圧力にほぼ比例します。この変位をギヤやレバーで指針に伝えるのが現場の圧力計です。

  • 安価、外部エネルギー不要、最大 200 MPa まで測れる
  • 精度は 0.5% 程度とあまり高くなく、振動や衝撃に弱い
  • スラリーや凍結するおそれのある流体には、シール対策が要る

ベローズ

薄肉の金属円筒に蛇腹のひだを付けたもので、30〜300 kPa 程度の低圧用です。スプリングと組み合わせて取り出せる変位と力は、ブルドン管より大きくなります。

ダイアフラム

円板状の薄い受圧板です。金属(ステンレス、ハステロイ C、タンタル、チタン)のほか、セラミックやシリコンのものがあります。圧力とダイアフラムの面積の積が力になり、これを静電容量の変化、歪ゲージ、シリコン振動子などで電気信号に変えます。現代の圧力伝送器・差圧伝送器の受圧部はほぼダイアフラム式です。

3. 差圧伝送器は1つの原理で4つを測る

メーカーの実務書は、差圧伝送器の特徴を「二点間の圧力の差を測定するので、絞り機構との組合せによる流量測定のほか、圧力、液位、比重などのプロセス変量が、一つの原理、基本構造で測定可能」と説明しています。他の多くのセンサが1つの変量だけを対象とするのと違う点で、この特徴が、使用者側には保守・管理の容易さ、製造者側には量産による安定した特性をもたらします。

1台の差圧伝送器で4つを測る
1台の差圧伝送器で4つを測る
測るものつなぎ方
圧力高圧側にプロセス、低圧側を大気開放
差圧・流量高圧側にオリフィス上流、低圧側に下流
液位高圧側にタンク底部、低圧側に気相部(密閉)か大気(開放)
比重一定の高低差の2点の圧力差

だから、差圧伝送器の構造と導圧管の扱いを理解すれば、流量計・圧力計・レベル計の大半に応用できます。導圧管は導圧管の記事で扱います。

4. 微差圧の落とし穴|大気圧側の導入口

加熱炉やボイラの炉内圧は、大気圧を基準に 0.1〜1 kPa という極めて小さな差圧です。実務書は、微差圧では大気圧の導入口が外部からの影響を受けやすいことを問題として挙げ、細かい金網を多層にした「防風ポット」を付けて安定させる方法を示しています。

炉内圧は大気側の口で揺れる
炉内圧は大気側の口で揺れる

さらに、加熱炉やボイラの輻射熱で差圧計の片側だけが加熱されると出力が大きく変動するので、遮蔽板を付けるか断熱材で覆います。

炉内圧の指示が風の強い日に揺れるなら、計器ではなく大気圧側の導入口の問題を疑います。

5. 直接触れさせない|ダイアフラムシール

腐食性、スラリー、高粘度、凍結や固化のおそれがある流体では、受圧部に直接触れさせません。プロセス側に薄いダイアフラムを置き、封入液を満たしたキャピラリチューブで伝送器へ圧力を伝える「ダイアフラムシール」を使います。

導圧管が不要になり、詰まりや漏れの心配が減りますが、封入液の密度と温度の影響を受けます。封入液がシリコーンオイルなら比重は約 1 なので、取付高さの差 1 m 当たり約 10 kPa の差圧がゼロ点に加わります。キャピラリは短いほど応答がよく、温度と静圧の影響が小さくなります。

6. 現場で見る場所

  1. 単位の基準:DCS と現場計器で G と abs が揃っているか
  2. 現場圧力計の状態:指針がゼロに戻るか(無圧時)、ガラスの曇り、針の振れ。振動の多い場所ではグリセリン封入形
  3. 導圧管と元弁:閉め忘れ、ドレン、凍結(導圧管の記事)
  4. ダイアフラムシールの高低差:伝送器本体が高圧側シールより下にあるか。ゼロ点の遷移量が設定されているか
  5. 微差圧計の大気側:防風ポットの有無、輻射熱の遮蔽

7. 先輩に聞かれたら答えられる3問

  1. ゲージ圧 0 MPaG は絶対圧で約いくらですか。
  2. 現場の圧力計の主流の受圧エレメントは何ですか。その精度の目安は。
  3. 差圧伝送器で液位を測るとき、高圧側と低圧側はどこにつなぎますか。

答えは順に、約 0.1 MPa abs(大気圧)/ブルドン管、0.5% 程度/高圧側はタンク底部、低圧側は気相部(密閉)か大気(開放)、です。

まとめ

圧力にはゲージ圧・絶対圧・差圧の3つの基準があり、単位に G や abs を付けて区別します。受圧エレメントはブルドン管(安価・高圧・精度 0.5%)、ベローズ(低圧)、ダイアフラム(伝送器の主流)で、現場圧力計と伝送器で共通です。

差圧伝送器は1つの原理で流量・圧力・液位・比重を測れるので、その構造と導圧管を理解すると多くの計器に応用できます。微差圧は大気側の導入口、腐食性流体はダイアフラムシールと、条件に応じた工夫があります。

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参考文献

  • 川村貞夫・石川洋次郎『メーカーの技術者が書いた やさしく計装がわかる 工業計測と制御の基礎』工業技術社, 2.2「圧力・絶対圧力・差圧の測定」  Amazonで見る
  • 横河電機編『計装メーカが書いた フィールド機器・虎の巻』工業技術社, Ⅱ 5.5「ダイアフラムシールの設置上の注意」、6「差圧・圧力伝送器のアプリケーション」
  • 高圧ガス保安協会『高圧ガス保安技術』, 11.4.2「圧力計」  最新版をAmazonで見る
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