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「法令の数字を覚えても、どの施設の数字か分からなくなる」
「第1類から第6類の物質名、性質、消火方法が混ざってしまう」
そんな疑問を解決します。
暗記事項を4つの型へ分ける方法
3科目で使い分ける暗記表のテンプレート
原則と例外を混同しない書き方
暗記表を両方向から答える練習法
問題演習から暗記表へ追加する基準
先に結論を言うと、甲種の暗記事項を一枚の巨大な表へ詰め込んではいけません。
暗記事項を「数字」「対応関係」「比較」「原則と例外」の4型へ分け、法令、物理学及び化学、性質及び消火で表の列を変えます。
完成した表は眺めるためではなく、答えを隠して思い出すために使います。左から右だけでなく、右から左にも答え、誤った文章のどこを直せば正しくなるかまで確認してください。
工藤政孝『わかりやすい!甲種危険物取扱者試験』では、物質の性状を丸暗記するのではなく、自分が混同する事項をまとめる方法と、問題を繰り返して苦手箇所を残す方法が示されています。公論出版版も、項目ごとに覚える、問題を解く、解説を確認する、覚え直す反復を勧めています。
本記事では、この考え方を基に、3科目へ共通して使える暗記表の作り方へ再構成します。
暗記事項を4つの型へ分ける
甲種で覚える内容は、次の4型に分けられます。

| 型 | 代表例 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 数字 | 指定数量、距離、期限、容量、回数 | 数字だけでなく、対象・条件・行為と一組にする |
| 対応関係 | 元素と炎色、物質と貯蔵方法、用語と定義 | 左右を入れ替えても答えられる二方向表にする |
| 比較 | 施設の要否、第1〜6類、似た物質の性状 | 共通点と相違点を同じ列で横並びにする |
| 原則と例外 | 消火方法、水との反応、密栓の要否 | 原則の行と例外の行を分け、例外理由も付ける |
この分類をしないままノートへ書き足すと、数字と物質名と例外が同じ強さで並びます。その結果、どの情報を手掛かりに答えるかが分からなくなります。
たとえば、法令の期限は「3年」だけでは使えません。誰が、何を、どの起点から、いつまでに行うかが必要です。
炎色反応は「ナトリウムは黄色」という一方向だけでなく、「黄色を示す元素は何か」と逆向きにも答える必要があります。
消火方法は「第3類は注水しない」のような一律暗記では危険です。類の原則と、黄りんのような代表例外を分けなければ、個別物質の問題で迷います。
最初に4型を決めると、表へ入れる列と、確認問題の作り方が決まります。
暗記表は一論点一枚にする
暗記表の単位は、科目全体ではなく一つの論点です。
「法令の数字一覧」という一枚ではなく、「免状・講習」「許可・届出」「定期点検」「保安距離」のように分けます。
物理学及び化学も、「公式一覧」へ全部を詰め込まず、「気体」「濃度」「熱」「酸化還元」「無機化学」のように分けます。
性質及び消火は、最初に第1〜6類の全体比較を作り、その後に第1類、第2類という類別表を作ります。全体表へ個別物質の細かな色、臭い、分解生成物まで入れる必要はありません。
一枚に残す情報は、次の基準で絞ります。
- 同じ選択肢の中で入れ替えられやすいもの
- 自分が問題演習で迷ったもの
- 原則から外れる代表例外
- 答えの根拠を一文で説明するために必要なもの
- 元のテキストへ戻るページまたは論点名
暗記表は参考書の縮小版ではありません。自分が取り違える境界だけを見えるようにする道具です。

法令は「主体・対象・条件・数字・行為」で覚える
法令の数字は、数字単独ではなく、最低でも五つの列へ分けます。
| 列 | 書く内容 |
|---|---|
| 主体 | 誰が行うか、誰が命令・承認・検査するか |
| 対象 | どの施設、危険物、数量、資格者が対象か |
| 条件 | 原則か例外か、指定数量の倍数、施設区分など |
| 数字 | 距離、期間、回数、容量など |
| 行為 | 許可、届出、検査、講習、点検、保存など |
必要に応じて、最後へ「提出先・相手」と「例外」の列を追加します。
たとえば保安距離を覚える場合、距離の数値を先に並べるのではなく、最初に「保安距離が必要な施設」と「必要でない施設」を分けます。その後、保安対象物ごとの原則距離を結び付けます。
公論出版版では、保安距離が必要な施設として、製造所、屋内貯蔵所、屋外貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、一般取扱所がまとめられています。ここで覚える単位は施設名の五つですが、問題では「どこからどこまで測るか」「特例条件があるか」も問われます。
したがって、暗記表には次のように残します。
| 論点 | 対象 | 原則 | 追加条件 | 混同相手 |
|---|---|---|---|---|
| 保安距離 | 必要な5施設 | 対象物との距離を確保 | 防火上有効な塀・特例基準に注意 | 保有空地 |
この行は具体的な距離一覧の代わりではありません。最初に要否と制度の意味を固定し、距離は対象物別の小表へ分けます。
法令15問の論点整理は、危険物取扱者甲種の法令の出題傾向と勉強法で確認してください。指定数量は、危険物取扱者甲種の指定数量と倍数計算で別表にできます。
物理学・化学は「関係・単位・成立条件」で覚える
物理学及び化学は、用語だけを覚える事項と、式を使う事項を分けます。
用語・性質の表には、次の列を使います。
| 用語 | 分類 | 対応する性質 | 比較相手 | 例外・注意 |
|---|
公式の表には、次の列を使います。
| 求める量 | 使う関係 | 記号と単位 | 成立条件 | よくある誤り |
|---|
式だけを書いた公式集は、問題文から式を選ぶ練習になりません。「何を求めるとき」「どの条件なら使えるか」「単位をどうそろえるか」を同じ行へ入れてください。
炎色反応のような対応関係は、元素から色を答える表と、色から元素を答える表を別々に作る必要はありません。二列の表を作り、左右を交互に隠します。
| 元素 | 炎色 |
|---|---|
| リチウム | 赤色・深赤色 |
| ナトリウム | 黄色 |
| カリウム | 赤紫色 |
これは覚え方の例です。甲種で扱う7元素の全表と注意点は、危険物取扱者甲種の無機化学で確認してください。
計算問題では、暗記表だけで答えを出そうとしないでください。式の成立条件と単位を覚えた後、問題ごとの与件から式を選びます。計算タイプの見分け方は、危険物取扱者甲種の計算問題5パターンで解説しています。
性質・消火は「共通性質・水・消火・例外」で覚える
性質及び消火は、物質名を先頭へ並べると覚えにくくなります。
まず類の共通性質を固定し、その下へ品名別の相違点と例外を追加します。
| 類・品名 | 状態・外観 | 危険性 | 水との関係 | 貯蔵・取扱い | 消火原則 | 代表例外 |
|---|
全6類の比較表では、細かな品名を入れず、次を確認します。
- 酸化性か、可燃性か、自然発火性・禁水性か、自己反応性か
- 固体か液体か
- 水が冷却に使えるか、水との接触が危険か
- 消火の中心が冷却か、窒息か、乾燥砂か
- 類の原則から外れる代表物質は何か
たとえば第3類は、一般に乾燥砂などで覆い、注水を避けるのが原則です。しかし黄りんは自然発火性のみをもつ物品で、噴霧注水による冷却が例外として扱われます。
暗記表では、黄りんを原則の行へ混ぜず、次のように別行にします。
| 区分 | 水との関係 | 消火 |
|---|---|---|
| 第3類の原則 | 注水を避ける | 乾燥砂など |
| 代表例外・黄りん | 水中貯蔵 | 噴霧注水で冷却 |
例外を別行にすると、「第3類だから必ず禁水」という誤った広げ方を防げます。
第1〜6類の全体比較は、危険物取扱者甲種の第1〜6類一覧を使ってください。消火方法を横断比較する場合は、危険物別の消火方法一覧へ進みます。
原則と例外を同じ行へ入れない
「原則は大量注水。ただしAとBは禁水」のように一つのセルへ詰め込むと、見直したときに例外だけが埋もれます。
原則と例外は、上下の別行にしてください。
| 区分 | 対象 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 原則 | 類全体・制度全体 | 基本となる扱い | 共通性質または制度目的 |
| 例外 | 具体的な物質・施設・条件 | 原則と異なる扱い | 水との反応、施設条件、特例など |
例外には、物質名や施設名だけでなく、なぜ原則から外れるかを短く付けます。
理由があると、名前を忘れても選択肢の危険性から推測できます。反対に、理由を付けられない例外は、元のテキストへ戻って確認する対象です。
すべての例外を暗記表へ入れる必要はありません。問題演習で問われたもの、二冊のテキストで共通して強調されるもの、自分が混同するものから追加します。
暗記表は左から右、右から左、誤り訂正で回す
暗記表を作っただけでは、試験で知識を取り出せません。

次の5ステップで使います。
- 一つの小表を読む
- 右側を隠し、左の手掛かりから答える
- 左側を隠し、答えから対象を逆引きする
- 間違えた行だけ、誤りの原因を一語で付ける
- 対応問題を解き、選択肢の誤りを訂正する
たとえば「ナトリウム→黄色」だけで終えず、「黄色→ナトリウム」も答えます。
法令なら「制度名→期限」だけでなく、「この期限が適用される制度は何か」を答えます。
性質及び消火なら「物質名→消火方法」だけでなく、「注水できない理由→該当する物質」を答えます。
最後に、誤った選択肢を正しい文章へ直します。五肢択一では、数字、主体、施設、物質名、消火剤の一部だけを入れ替えた選択肢が出るためです。
本記事の5ステップは、一次資料の反復学習方針を基に、暗記表向けへ当サイトが再構成した方法です。公式団体が指定する学習手順ではありません。
語呂合わせは入口として使う
語呂合わせは、順番や組合せを思い出す入口として便利です。ただし、語呂だけで正誤問題の条件までは判断できません。
語呂を作る場合は、次の三つを一緒に残します。
- 語呂が指す対象
- 正しい対応表
- 語呂では判断できない例外
炎色反応の語呂を覚えても、元素名と色の対応を逆向きに答えられなければ不十分です。
施設名の語呂を覚えても、保安距離と保有空地の違い、測定する位置、特例条件までは語呂だけで判断できません。
語呂は「思い出すきっかけ」、表は「対応関係の確認」、問題演習は「条件が変わっても答えられるかの確認」と役割を分けてください。
問題演習で迷った項目だけを追加する
暗記表は、テキストを読みながら完成させるものではありません。
最初は最低限の骨格だけを作り、問題演習で迷った事項を追加します。
追加するのは、次のいずれかに該当する行です。
- 不正解だった
- 正解したが二択で迷った
- 正解理由を説明できなかった
- 同じ数字、施設、物質を二回以上取り違えた
- 原則は分かったが例外で迷った
反対に、資料を見ずに両方向から答えられ、選択肢の誤りも説明できる行は、直前用の表から外して構いません。
問題を○・△・×へ分け、復習対象を選ぶ方法は、危険物取扱者甲種の問題演習と復習ノートで解説しています。
暗記表と復習ノートの役割は異なります。
| 暗記表 | 似た知識を比較し、正しい関係を確認する |
|---|---|
| 復習ノート | 自分が間違えた問題と原因、再演習結果を管理する |
復習ノートから頻出する弱点だけを暗記表へ移すと、表が自分専用のものになります。
直前用の一枚へ圧縮する
試験直前に見る一枚は、全範囲の要約ではありません。
最後まで残った弱点だけを、3区画へ分けます。
| 区画 | 入れる内容 |
|---|---|
| 法令 | 混同する主体・施設・期限・数字 |
| 物理学及び化学 | 間違える対応関係・公式条件・単位 |
| 性質及び消火 | 混同する物質・水との関係・消火例外 |
各区画は、5〜10行程度から始めます。表を見なくても答えられる行は外し、模試や再演習で迷った行だけ残します。
直前用の一枚へ新しい知識を追加し続けると、見る量が増えて重要度が分からなくなります。試験前日は追加より削除を優先してください。
暗記表作りで避けたい5つの失敗
テキストをそのまま書き写す
情報量が減らず、比較したい境界が見えません。表には判断に必要な語だけを残し、ページ番号から元のテキストへ戻れるようにします。
一枚に全範囲を入れる
文字が小さくなり、復習する論点を選べません。一論点一枚に分け、直前用だけ最後に圧縮します。
数字だけを並べる
どの制度、施設、条件の数字か分からなくなります。主体、対象、条件、行為を同じ行へ入れます。
原則と例外を同じセルへ詰め込む
例外が埋もれます。原則と例外を別行にし、例外理由を付けます。
表を眺めて終える
分かった気になりますが、答えを隠したときに出てこない場合があります。左右を交互に隠し、誤った選択肢を訂正するところまで行います。
次に読む記事
法令の暗記表を作る場合は、危険物取扱者甲種の法令の出題傾向と勉強法から、優先論点を選んでください。
物理学及び化学は、危険物取扱者甲種の物理・化学の出題傾向と勉強法で、理解する範囲と暗記する範囲を分けられます。
性質及び消火は、危険物取扱者甲種の性質・消火の出題傾向と勉強法から、第1〜6類の比較表へ進んでください。
記事群の全体像は、危険物取扱者甲種の完全攻略ロードマップで確認できます。
まとめ
危険物取扱者甲種の暗記表の作り方をまとめます。
- 暗記事項を、数字、対応関係、比較、原則と例外の4型へ分ける
- 暗記表は科目全体ではなく、一論点一枚で作る
- 法令は、主体、対象、条件、数字、行為を一組にする
- 物理学及び化学は、関係、単位、成立条件を同じ行へ入れる
- 性質及び消火は、類の共通性質を先に置き、水との関係、消火原則、代表例外を追加する
- 原則と例外は別行にし、例外理由を付ける
- 表は左から右、右から左、誤り訂正の3方向で使う
- 問題演習で迷った行だけを追加し、答えられる行は直前用の一枚から外す
最初から完璧な暗記表を作る必要はありません。まず、いま最も混同する論点を一つ選び、5〜10行の小さな表を作ってください。答えを隠して両方向から確認し、間違えた行だけを残す運用へ変えると、暗記表が得点へつながります。
参考文献
- 工藤政孝『わかりやすい!甲種危険物取扱者試験』弘文社、合格大作戦・法令の重要ポイント・炎色反応・第3類危険物のまとめ(PDF p.23、p.27、p.219、p.400) Amazonで見る
- 公論出版『甲種危険物取扱者試験 令和8年版』本書の構成・保安距離・炎色反応・危険物の類ごとの消火方法(PDF p.3、p.79、p.259、p.357) Amazonで見る
- 一般財団法人消防試験研究センター「試験科目及び問題数」(2026年8月30日閲覧)
化学プラント大全 
