動画解説はこちら|YouTube

危険物取扱者甲種の第2類攻略|可燃性固体の性質・貯蔵・消火

危険物取扱者甲種の第2類・可燃性固体の性質、貯蔵、消火を解説する記事のアイキャッチ

※本記事の参考文献には、Amazonアソシエイトのリンク(アフィリエイト広告)を含みます。

困っている人
困っている人

「第2類は、どの物質なら水で消火できるのか分からない」

「赤りんと黄りん、硫化りんの性質が混ざってしまう」

そんな疑問を解決します。

この記事の内容

第2類(可燃性固体)の共通性質

消防法別表第一の品名一覧

貯蔵・取扱いで避けるもの

物質群ごとの消火方法

代表物質の比較と試験での覚え方

先に結論を言うと、第2類は「自らが燃料となり、着火・燃焼しやすい固体」です。

第1類が一般に不燃性で、他の可燃物の燃焼を激しくするのに対し、第2類は危険物そのものが燃えます。ただし、消火方法は第2類全体で一つではありません。

  • 赤りん・硫黄:水による冷却が有効
  • 硫化りん:水との反応で硫化水素を生じるため注水を避ける
  • 鉄粉・金属粉・マグネシウム:注水を避け、乾燥砂や適応する金属火災用消火剤を使う
  • 引火性固体:泡、二酸化炭素、粉末など適応する消火剤を選ぶ

この4分岐を先に作り、その後で色、燃焼生成物、水溶性などを足すと整理できます。

第1〜6類の位置関係から確認したい人は、危険物取扱者甲種の第1〜6類一覧|性質と消火方法を比較を先に読んでください。

第2類危険物は「自ら燃える固体」

消防法別表第一で、第2類の性質は「可燃性固体」とされています。総務省消防庁は、火炎によって着火しやすい固体、または比較的低温で引火しやすい固体であり、出火しやすく、燃焼が速く、消火が困難なものと説明しています。

法令上は、固体について所定の試験で火炎による着火の危険性を示すもの、または引火の危険性を判断する試験で引火性を示すものが可燃性固体です。引火性固体は、一気圧で引火点が40度未満の固体とされています。

試験では、次の四語を一組にしてください。

  • 固体
  • 可燃性
  • 着火しやすい
  • 燃焼が速く、消火が難しい

「固体だから蒸気が出ない」「液体ではないから引火しない」という判断はできません。引火性固体のように、固体でも発生した可燃性蒸気へ引火するものがあります。

また、第2類に該当するかどうかは物質名だけで一律に決まりません。総務省消防庁は、特に固体は粒度や形状によって危険性が異なると説明しています。粉末になって表面積が増えると、塊状のときより着火・燃焼しやすくなる点が重要です。

第2類の品名一覧

消防法別表第一に掲げられる第2類の品名は、次のとおりです。

  1. 硫化りん
  2. 赤りん
  3. 硫黄
  4. 鉄粉
  5. 金属粉
  6. マグネシウム
  7. その他のもので政令で定めるもの
  8. 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
  9. 引火性固体

まず1〜6と9を代表グループとして覚え、7と8は「政令指定」「含有物」という法令上の受け皿として追加します。

金属粉は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、マグネシウム以外の金属の粉です。試験では、アルミニウム粉や亜鉛粉が代表例として扱われます。鉄は鉄粉、マグネシウムはマグネシウムという独立した品名です。

赤りんは第2類ですが、黄りんは第3類です。同じ元素の同素体でも、消防法上の類別と取扱いが異なります。この比較は後で詳しく整理します。

共通性質は「着火・酸化剤・粉じん」で覚える

第2類の代表的な危険は、三つのルートで整理できます。

第2類危険物で直接着火・酸化剤との接触・粉じんにより危険が高まる3ルートを示した図
第2類の代表的な危険を、直接着火、酸化剤との接触・混合、粉じん爆発の3ルートで整理します。(一次資料を参考に当サイト作成)
  1. 火炎、火花、高温体などが着火源になる
  2. 酸化剤との接触・混合で燃焼や爆発の危険が高まる
  3. 微粉が空気中に浮遊し、着火すると粉じん爆発を起こすことがある

第2類は、一般に酸化されやすく燃えやすい固体です。第1類や第6類などの酸化性物質と接触させないことが、貯蔵・取扱いの基本になります。

また、多くは水に溶けにくく、一般に水より重いと整理されます。ただし、引火性固体の固形アルコールなど例外があるため、「すべて水に溶けない」「すべて比重が1より大きい」という断定は誤りです。

粉じん爆発も、すべての形状で起こるわけではありません。鉄粉、アルミニウム粉、亜鉛粉、マグネシウムなどが微粉となり、空気中に適切な濃度で浮遊し、火花や静電気などの着火源が重なると危険が高まります。

試験では、「微粉」「空気中に浮遊」「着火源」の三条件を一組にしてください。塊状の金属が置かれているだけの状態と、微粉が舞っている状態を区別します。

貯蔵・取扱いは火源と酸化剤を離す

共通する貯蔵・取扱い方法は、着火と燃焼拡大の条件を取り除くと判断できます。

  • 火気、火花、高温体、直射日光を避け、冷暗所で保管する
  • 酸化剤との接触・混合を避ける
  • 容器を密栓し、湿気や異物の侵入を防ぐ
  • 粉じんを飛散・滞留させず、静電気などの着火源を防ぐ
  • 鉄粉、金属粉、マグネシウムは水や酸との接触を避ける
  • 引火性固体は可燃性蒸気の滞留を防ぎ、換気する

粉体を扱う設備では、摩擦や衝撃だけでなく静電気も着火源になります。試験上の対策は、粉じんを舞わせない、接地する、火花を生じる器具を避けるという方向で整理できます。

密栓は、湿気や異物の侵入を防ぐだけでなく、引火性固体から生じる蒸気が周囲へ拡散するのを抑える意味もあります。ただし、実際の容器・換気条件は物質ごとのSDSと設備基準に従います。

消火は物質群ごとに4分岐する

第2類の消火は「可燃性固体だから全部水」と覚えてはいけません。最初に物質群を特定し、水が使えるかで分岐します。

第2類危険物の消火を赤りん・硫黄、硫化りん、金属類、引火性固体に分けた図
赤りん・硫黄、硫化りん、金属類、引火性固体に分けて消火剤を選びます。実火災ではSDS等を優先してください。(一次資料を参考に当サイト作成)

赤りん・硫黄

水による冷却が有効です。棒状注水で粉末を飛散させないよう、霧状の水などで冷却する考え方を押さえます。硫黄は燃えると溶けて流れるため、土砂などで流動を止めて延焼を防ぐという個別対策も問われます。

硫化りん

水との反応で硫化水素を生じるため、注水を避けます。初期消火では乾燥砂などで覆い、空気を遮断します。水を使って冷却する赤りん・硫黄との入れ替えが頻出です。

鉄粉・金属粉・マグネシウム

注水を避け、初期は乾燥砂、膨張ひる石、膨張真珠岩、物質に適応する金属火災用消火剤などを用います。金属類では、水との接触による反応・発熱や可燃性ガスの発生、燃焼金属による水の分解などで危険が増すことがあります。

二酸化炭素やハロゲン化物も、燃焼中の金属粉には不適当とする試験問題があります。「窒息消火なら何にでも使える」と判断しないでください。

引火性固体

固形アルコールなどは、泡、二酸化炭素、粉末など、その物質に適応する消火剤を選びます。金属粉と同じ禁水グループへ一括しないことが重要です。

乾燥砂は便利ですが、火災全体へ無条件に使える万能策ではありません。粉体火災へ勢いよく投入したり、砂でかき混ぜたりすると燃焼物を飛散させるおそれがあります。

なお、以上は資格試験向けの一般整理です。実際の漏えい・火災では、物質ごとのSDS、事業所の緊急時手順、消防機関の指示を優先してください。

代表物質は5グループで比較する

硫化りん

三硫化りん、五硫化りん、七硫化りんなどが代表です。黄色系の固体として扱われ、水との接触で毒性・可燃性のある硫化水素を生じます。燃焼時には有害な硫黄酸化物などを生じるため、蒸気や燃焼ガスにも注意します。

試験では「硫化りんは水に溶けにくいから、水で消火できる」という誤った因果が作られます。水溶性が低くても、水と反応するため注水できないという点を区別してください。

赤りん

赤褐色の粉末で、水に溶けません。黄りんより安定で、通常は自然発火性を示しませんが、加熱や摩擦などで着火する危険があります。燃焼すると有害なりん酸化物を生じます。

消火は水による冷却が有効です。「りんなので全部禁水」ではなく、硫化りん・赤りん・黄りんを別々に判断します。

硫黄

黄色の固体で、水に溶けません。燃焼すると二酸化硫黄を生じます。燃えると溶けて流動し、火災範囲が広がることがあるため、土砂などで流れを止めたうえで水により冷却する整理が有効です。

鉄粉・金属粉・マグネシウム

鉄粉、アルミニウム粉、亜鉛粉、マグネシウムは、微粉状態で着火・燃焼しやすく、粉じん爆発の危険があります。アルミニウム粉とマグネシウムは銀白色、亜鉛粉は灰青色など、色の組合せも選択肢に使われます。

金属によって水、酸、アルカリとの反応性は異なります。アルミニウムと亜鉛は両性金属で、酸だけでなく強アルカリ水溶液とも反応して水素を発生します。鉄粉は酸、マグネシウムは熱水や希酸などとの反応が問題になります。

引火性固体

固形アルコールなど、比較的低温で引火する固体です。発生する可燃性蒸気に着火するため、火気を避け、密栓し、換気します。ほかの第2類に共通するとされる「一般に水に溶けにくい」「一般に水より重い」の例外として問われることがあります。

赤りんと黄りんを混同しない

赤りんと黄りんは、同じ元素からなる同素体ですが、消防法上の類別と危険性が異なります。

赤りん第2類・可燃性固体。赤褐色。黄りんより安定で、通常は自然発火しない。消火は水による冷却が有効
黄りん第3類・自然発火性物質及び禁水性物質。淡黄色。空気中で自然発火する危険があり、水中に保存する

「黄りんは第3類だが、水中保存する」という点は、類名だけを見ると混乱しやすい部分です。黄りんは空気との接触を断つため水中に保存します。第3類のすべてが水中保存できるわけではありません。

試験では、色、類別、自然発火性、毒性、保存方法を入れ替えます。「赤=第2類・比較的安定」「黄=第3類・自然発火・水中保存」を一組にしてください。

発生ガスと水との関係を整理する

第2類は、物質名と発生ガスを対応させる問題も多く出ます。

  • 硫化りん+水:硫化水素
  • 硫黄や硫化りんの燃焼:二酸化硫黄などの有害ガス
  • 赤りんの燃焼:りん酸化物
  • 一部の金属+水、酸または強アルカリ:水素

硫化水素は毒性があるだけでなく可燃性でもあります。一方、二酸化硫黄やりん酸化物は燃焼時に生じる有害物質です。「水との反応」と「燃焼生成物」を同じ欄で暗記すると混ざるため、学習カードを二欄に分けてください。

金属の反応は、すべての金属に同じ条件を当てはめないことが重要です。「何と接触したか」「常温水か熱水か」「酸かアルカリか」を含めて判断します。

試験で間違えやすい六つのポイント

第2類を酸化性固体とする

酸化性固体は第1類です。第2類は可燃性固体で、自らが燃料となります。

第2類はすべて水で消火できるとする

赤りん・硫黄には水が有効ですが、硫化りん、鉄粉、金属粉、マグネシウムには注水を避けます。

硫化りんは水に溶けにくいので注水できるとする

溶解と反応は別です。硫化りんは水との反応で硫化水素を生じるため、注水を避けます。

赤りんを第3類として水中保存するとする

第3類で水中保存するのは黄りんです。赤りんは第2類で、通常は自然発火しません。

すべて水に溶けず、すべて水より重いとする

これらは一般的傾向であり、引火性固体などに例外があります。共通性質として断定しないでください。

金属は塊でも粉でも同じ危険性とする

固体は粒度や形状で危険性が変わります。微粉になると表面積が増え、着火・燃焼や粉じん爆発の危険が高まります。

第2類の勉強順序

次の四周で覚えると、個別知識が消火判断へつながります。

1周目:可燃性固体、自ら燃える、着火しやすいと説明する

2周目:9品名と代表物質を対応させる

3周目:赤りん・硫黄、硫化りん、金属類、引火性固体の4群で消火を分ける

4周目:色、発生ガス、水溶性、粉じん爆発、赤りんと黄りんの比較を追加する

問題を解くときは、選択肢をいきなり物質名だけで判断しません。「自ら燃える第2類の共通事項か」「水が使えるグループか」「その物質だけの特徴か」の順で絞ります。

復習カードは、表に物質名、裏に次の五欄を作ると便利です。

  1. 品名・類別
  2. 色・形状
  3. 水との反応
  4. 燃焼生成物
  5. 消火方法

30秒セルフテスト

次の七問に答えてください。

  1. 第2類の性質名は何か
  2. 第2類は自ら燃えるか
  3. 第2類と接触させない代表的な物質群は何か
  4. 水で冷却できる代表二物質は何か
  5. 水との反応で硫化水素を生じる品名は何か
  6. 注水を避ける金属系三グループは何か
  7. 第3類で水中保存するりんの同素体は何か

答えは、可燃性固体、燃える、酸化剤、赤りんと硫黄、硫化りん、鉄粉・金属粉・マグネシウム、黄りんです。

七問に答えた後、「硫化りんと赤りんは、なぜ消火方法が分かれるのか」を説明できれば、第2類の中心論点を理解できています。

次に読む記事

第2類を第1類と比較し直す人は、危険物取扱者甲種の第1類攻略|酸化性固体の性質・貯蔵・消火を確認してください。

第1〜6類の一覧へ戻る人は、危険物取扱者甲種の第1〜6類一覧|性質と消火方法を比較へ進んでください。

記事群全体の学習順序は、危険物取扱者甲種の完全攻略ロードマップにまとめています。

次の記事では、第3類の自然発火性物質・禁水性物質を扱い、「空気で危険」「水で危険」「両方で危険」の三つに分けます。

まとめ

危険物取扱者甲種の第2類について、共通性質、品名、貯蔵・取扱い、消火方法を整理しました。

  • 第2類は可燃性固体で、自らが燃料となる
  • 火気、高温、酸化剤との接触、微粉の飛散、静電気を避ける
  • 赤りんと硫黄は水による冷却が有効
  • 硫化りんは水との反応で硫化水素を生じるため注水を避ける
  • 鉄粉、金属粉、マグネシウムも注水を避け、乾燥砂や適応する金属火災用消火剤を使う
  • 引火性固体は、泡、二酸化炭素、粉末など適応する消火剤を選ぶ
  • 赤りんは第2類、黄りんは第3類で水中保存する

まず「第2類は自ら燃える固体」と声に出し、次に「水が使えるのは赤りん・硫黄、硫化りんと金属類は禁水」と続けてください。この二文が第2類攻略の土台です。

参考文献