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ポンプと流体機械の参考書14冊|初学者・現場・設計実務の選び方

※本記事の参考文献には、Amazonアソシエイトのリンク(アフィリエイト広告)を含みます。

ポンプを学ぶ本は、大きく「機器を扱うための実務書」と「流れを理解するための流体力学書」に分かれます。現場で始動前確認や異常対応をしたい人が理論書から読み始めても、必要な答えへすぐにはたどり着けません。一方、設備エンジニアが実務書だけで済ませると、全揚程、管路抵抗、運転点、NPSH、動力を自分で検討する力が不足します。

そこで本記事では、ポンプ・ファン・ブロワ・圧縮機・真空ポンプを扱う実務書7冊と、流体力学を学ぶ7冊を、順位ではなく目的、読者、数式の量、現場への近さで比較します。所蔵する一次資料は、まえがきと目次をPDF原本の画像で確認しました。

最初の1冊を選ぶなら

  • 現場オペレーター・保全の入門:『絵とき「ポンプ」基礎のきそ』
  • 故障原因と再発防止:『ポンプの選定とトラブル対策』
  • 設備設計と選定:『入門 新ポンプ技術』
  • 流体機械を横断して学ぶ:『流体のエネルギーと流体機械』
  • 流体力学を体系的に学ぶ:JSMEテキストシリーズ『流体力学』
  • 数式に不安がある:『専門基礎ライブラリー 流体力学 改訂版』

1. 実務書と流体力学書は役割が違う

本の種類答えやすい疑問主な読者
ポンプ実務書形式、部品、運転、点検、故障、選定オペレーター、保全、設備担当
流体機械の教科書揚程、動力、効率、特性曲線、相似則、吸込性能設備・機械エンジニア
ファン・ブロワ・圧縮機の専門書気体機械の形式、運転点、サージング、省エネ、保全空気機械の運転・設計・保全担当
真空技術書真空の定義、排気、真空計、ポンプ、リーク、保守真空設備の利用・保全担当
流体力学書圧力、ベルヌーイ式、運動量、管内流れ、境界層、圧縮性流れ学生、設計者、理論を学び直す人

したがって、現場担当者は実務書を先に読み、分からない現象を流体力学書で掘り下げるのが効率的です。設備エンジニアは流体力学の基礎を押さえたうえで、対象機器の実務書へ進むと、メーカー資料を自分で評価しやすくなります。

2. 参考書14冊の比較早見表

書名向く人主な役割
絵とき「ポンプ」基礎のきそ初学者・現場構造、選定、運転、保守を一通り
ポンプの選定とトラブル対策現場・保全・設計選定注意点と故障の原因・対策
入門 新ポンプ技術設備設計・メーカー技術者理論、形式、設計、試験、運転
流体のエネルギーと流体機械学生・設備設計ポンプから送風機・真空ポンプまで横断
ファン・ブロワ 改訂版ブロワ担当・省エネ担当選定、運転点、制御、省エネ、事例
ファン・コンプレッサーの本オペレーター・保全気体機械の構造、取扱い、点検
わかりやすい真空技術 第3版真空設備の利用・保全担当基礎、計測、ポンプ、排気、管理
JSME 流体力学初学者~中級者工学としての標準的な基礎
JSME 演習 流体力学計算力を付けたい人テキスト対応の演習
専門基礎ライブラリー 流体力学 改訂版数式が苦手な初学者一次元流れ中心に平易に理解
演習で学ぶ「流体の力学」基礎数学から復習したい人図と演習で段階的に理解
流体力学(物理テキストシリーズ9)中級者~上級者理論をコンパクトに深める
流体力学 前編(物理学選書14)上級者完全流体から理論を厳密に学ぶ
流体力学(日野幹雄)中級者~上級者流体現象を広く深く学ぶ

3. 現場・設計で使う流体機械の実務書7冊

絵とき「ポンプ」基礎のきそ|現場の最初の1冊

企画、購入、運転、保全、検査、設計など、ポンプに関わる幅広い読者を想定した入門書です。部品の役割、ポンプ形式、仕様、比速度、性能曲線、吸込条件、据付け、試運転、日常点検までを一冊でたどれます。数式を解く前に、実機のどこを見て何を確認するかを知りたい人に向きます。

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ポンプの選定とトラブル対策|故障を繰り返さないための本

ポンプのトラブルを、機械だけでなく技術、人、経済性の問題として捉える実務書です。メカニカルシール、グランドパッキン、NPSH、吸込配管、ストレーナ、タンク、ベント、締切運転、並列運転など、選定時に見落としやすい論点とトラブル事例を確認できます。異常の応急処置ではなく、原因を切り分けて再発防止まで考える人向けです。

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入門 新ポンプ技術|設計と理論を実務につなぐ

ポンプに初めて関わる人から設計者までを対象に、基礎理論、各形式の作動原理、構造、設計、性能、用途を広く扱います。性能曲線の意味や選定根拠を、メーカー任せにせず理解したい設備エンジニアに向きます。現場入門書より数式と理論は増えますが、ポンプ単体の理解を一段深められます。

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流体のエネルギーと流体機械|ポンプと気体機械を横断する

流体の性質、管路、水撃、物体まわりの流れ、キャビテーションから、ポンプの揚程・動力・効率・運転点・連合運転・比速度・吸込性能へ進む教科書です。送風機や真空ポンプも扱うため、ポンプだけに閉じず「流体機械」という共通軸で理解したい人に向きます。

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ファン・ブロワ 改訂版|選定・制御・省エネを学ぶ

送風機の形式、性能、運転点、制御方式、省エネルギーを、計算例と設備事例で学ぶ本です。システムエフェクト、インバータ運転、ねじり共振、疲労、ダスト摩耗、腐食など、実設備で起きる問題まで扱います。省エネルギーセンターの公式案内では在庫僅少とされているため、購入前に在庫を確認してください。

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ファン・コンプレッサーの本|オペレーターと保全の入門

構造、機能、用途、取扱い、保全を、必要最小限の数式で説明する現場向けの本です。ファン、ブロワ、圧縮機の分類を一度に整理したい人や、日常点検で何を見るかを学びたい人に向きます。日本プラントメンテナンス協会は、オンデマンド出版での取扱いを案内しています。

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わかりやすい真空技術 第3版|真空ポンプだけでなく装置全体を学ぶ

真空の定義、圧力単位、気体分子、配管コンダクタンス、真空計から始まり、油回転ポンプ、ドライポンプ、ルーツポンプ、油拡散ポンプ、クライオポンプなどを扱います。さらに配置、配管、運転、保守、トラブル、リーク、定期点検まで含むため、真空ポンプ単体ではなく真空装置として理解したい人に適しています。

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4. 流体力学を基礎から深める参考書7冊

ここからは、旧記事で紹介していた7冊をランキングから外し、学習目的別に並べ直します。価格や在庫、版は変わるため、購入時に出版社と書店の情報を確認してください。

JSMEテキストシリーズ 流体力学|工学の基準になる1冊

流体の性質、静止流体、ベルヌーイ式、運動量、管内流れ、物体まわりの流れ、ナビエ・ストークス式、境界層、ポテンシャル流れ、圧縮性流れまでを体系的に扱います。各章に練習問題があり、大学の教科書としても、設備エンジニアの学び直しにも使いやすい構成です。日本機械学会の公式販売ページでは、2023年の表紙変更時も内容に変更がないと案内されています。

流体力学 (JSMEテキストシリーズ)

おすすめ度:

¥2,750

(税込)

図解も多く、流体力学の基礎を網羅できる、JSME定番シリーズです

定番のJSMEテキストシリーズで、流体力学の基礎を網羅できる一冊。
図解も多く、初学者でも理解しやすいように工夫されています。
同シリーズの「演習 流体力学」と内容がリンクしており、併用することで手を動かしながら流体力学の基礎を着けることができます。
私も大学生の時から愛用しており、就職してからも役立っています。

出版社日本機械学会 (2023/7/18)
ページ206ページ
価格2,750円
レベル初学者~中級者

JSMEテキストシリーズ 演習 流体力学|計算で定着させる

JSMEの本文テキストを読んで「分かったつもり」で止まらないための演習書です。式を覚えるより、与条件を整理し、単位をそろえ、どの保存則を使うか判断する練習に向きます。本文テキストと同じ順番で併用すると効率的です。

演習流体力学 (JSMEテキストシリーズ)

おすすめ度:

¥2,420(税込)

流体力学 (JSMEテキストシリーズ)と併用すると効率よく勉強できます!

流体力学 (JSMEテキストシリーズ) の例題と練習問題を充実させた問題集。
基本的な問題からやや複雑な問題まで、各章の理解度を確認することができる内容となっています。
また、演習の前後には要点が解説されており、良い復習になります。
流体力学 (JSMEテキストシリーズ)と併用することで効果を最大限に発揮するテキストです。

出版社日本機械学会 (2023/7/18)
ページ159ページ
価格2,420円
レベル初学者~中級者

専門基礎ライブラリー 流体力学 改訂版|数式が苦手な初学者向け

単純な一次元流れを中心に、複雑な式を避けて要点をつかむ構成です。公式情報では2025年9月に改訂版が発行され、二次元・三次元流れや数値流体力学につながる内容も再構成されています。下の既存紹介ブロックは旧版の情報を含むため、購入時は「改訂版」であることを確認してください。

流体力学―シンプルにすれば「流れ」がわかる (専門基礎ライブラリー)

おすすめ度:

¥2,343(税込)

演習問題の詳細かつ丁寧な解説が魅力!

流体力学の標準的な内容を読みやすい文章と丁寧な図で解説している一冊。
実教出版のホームページ上に演習問題の詳細かつ丁寧な回答が掲載されているので安心です。
独学かつ短期間で流体力学をマスターしたい方におすすめの参考書です。

出版社実教出版 (2009/3/1)
ページ264ページ
価格2,343円
レベル初学者~中級者

演習で学ぶ「流体の力学」|図と問題で段階的に学ぶ

高校数学や力学に不安がある人でも、図と演習を通じて一歩ずつ進める入門書です。旧記事では第2版を紹介していましたが、出版社カタログでは現行の『演習で学ぶ「流体の力学」』が案内されています。下の紹介ブロックは第2版の情報を含みます。

演習で学ぶ「流体の力学」入門第2版

おすすめ度:

¥3,960(税込)

数学が苦手な方におすすめ!

演習問題で手を動かしながら流体力学の基礎を学べる一冊。
高校数学レベルの途中式まで省略せず記述、流れをイメージしやすい図解など挫折させない工夫満載の初学者にピッタリな参考書です。
515ページと分厚いのが、丁寧に解説されている証拠です。

出版社秀和システム; 第2版 (2018/7/19)
ページ515ページ
価格3,960円
レベル初学者~中級者

流体力学(物理テキストシリーズ9)|理論をコンパクトに深める

流れを表す量、基礎方程式、完全流体、渦、波動、粘性流体、境界層、高速気流へ進む理論書です。初学者の最初の1冊より、JSMEなどで工学的な基礎を学んだ後に、理論を整理し直す用途に向きます。

流体力学 (物理テキストシリーズ 9)

おすすめ度:

¥2,420(税込)

流体力学が美しくまとめられた一冊!

理論流体力学の権威である今井功先生の著書。
流体力学の基礎が美しくコンパクトにまとめられています。
余計な解説はしていないので、大学レベルの数学が身についていないと挫折するかもしれません。
研究室や職場で困ったときに調べるといった用途に合っていると感じます。

出版社岩波書店; 〔新装版〕 (1993/9/8)
ページ254ページ
価格2,420円
レベル中級者~上級者

流体力学 前編(物理学選書14)|上級者向けの本格的な理論書

完全流体の力学を基礎方程式から厳密に学ぶ本です。現場でポンプを扱うために通読する本ではありません。ポテンシャル流れ、渦、理論流体力学を深く学びたい人が、基礎教科書の次に読む位置づけです。

流体力学 (前編) (物理学選書 (14))

おすすめ度:

¥7,480(税込)

電子書籍で学びたい方におすすめ!

こちらも、今井功先生の著書。
428ページに渡り、流体力学を完全網羅しています。
比較的古い書籍ですが、kindle版があるのがうれしいところです。
電子書籍で勉強したいという方におすすめです。

出版社裳華房 (1973/11/25)
ページ428ページ
価格kindle版:6,732円
単行本:7,480円
レベル中級者~上級者

流体力学(日野幹雄)|流体現象を広く深く理解する

流体力学の奥行きと現象のつながりを学べる本です。例題中心の初学者向けではないため、JSMEテキストや演習書で基礎計算を身につけてから読むのがよいでしょう。設計式の使い方だけでなく、流れの物理を理解したい人に向きます。

流体力学

おすすめ度:

¥8,690(税込)

流体力学を奥深くまで学びたい方!

流体力学の奥深さ、面白さがわかる濃い一冊。
初学者が学ぶには例題が少ないため、他の問題集と併用すると良いと思います。
初学者よりは、一度流体力学を学んだ方がさらに知識を深めるために読むことをおすすめします。

出版社朝倉書店 (1992/12/1)
ページ469ページ
価格8,690円
レベル中級者~上級者

5. 職種別のおすすめ学習ルート

目的読む順番実機で確認すること
現場オペレーター絵ときポンプ → 選定とトラブル対策流れ方向、弁、ベント、圧力、電流、漏れ、音、振動
保全担当絵ときポンプ → 選定とトラブル対策 → 対象機の取扱説明書基準値、分解構造、摩耗部品、締付け、潤滑、履歴
化学メーカー設備担当JSME流体力学 → 入門 新ポンプ技術 → 選定とトラブル対策液質、流量、全揚程、NPSHa、運転範囲、材料、軸封
ブロワ担当流体のエネルギーと流体機械 → ファン・ブロワ → ファン・コンプレッサー運転点、吸込条件、風量制御、サージング、振動、温度
真空設備担当わかりやすい真空技術 → メーカー取扱説明書排気系統、真空計、リーク、油、冷却、ガス負荷、点検周期
理論を深めたい人JSME流体力学 → JSME演習 → 今井・日野式の仮定と実設備の境界条件が合うか

6. 本を実務で使うときの読み方

  1. 最初から通読しない:対象機の形式、現象、部品名を目次と索引で探します。
  2. 実機資料を横に置く:データシート、性能曲線、P&ID、取扱説明書、点検記録と照合します。
  3. 通常値を先に決める:正常時の吸込・吐出し圧力、流量、電流、振動、温度、真空度を記録します。
  4. 式の前提を確認する:定常か、非圧縮か、密度・粘度は一定か、配管の基準面はどこかを確認します。
  5. 最新版の仕様を優先する:規格、メーカー許容値、機種固有の手順は、本ではなく最新の正式資料で確認します。

例えば性能曲線を学ぶときは「ポンプの性能曲線の読み方」、吸込条件は「NPSHaとNPSHr」、配管との関係は「配管の圧力損失計算」を併読すると、教科書の式と実設備を結び付けやすくなります。形式を選ぶ段階では「ポンプの種類と分類」と「ポンプ選定の手順」を参照してください。

7. NPSHの表記はNPSHa・NPSHrで統一する

専門書では、版や規格によってNPSHの記号表記が異なることがあります。本記事群では、設備側で利用可能なNPSHをNPSHa、ポンプ側で必要なNPSHをNPSHrと表記します。古い書籍を読むときは、記号だけで判断せず、その本が何を定義しているか確認してください。

8. まとめ

現場でポンプを扱う人は、実務書から入り、実機の状態と結び付けて読むのが近道です。設備設計をする人は、流体力学の基礎とポンプ専門書の両方が必要です。ファン・ブロワ、圧縮機、真空ポンプはポンプと共通する考え方を持ちますが、気体の圧縮性、サージング、真空計測、排気系統など固有の論点があるため、専用書で補います。

一冊ですべてを解決しようとせず、「現場で扱う」「選定する」「計算する」「原因を調べる」という目的ごとに本を使い分けてください。ポンプ記事群の全体像は「送液ポンプ完全ガイド」にまとめています。

確認した一次資料と公式情報

  • 外山幸雄『絵とき「ポンプ」基礎のきそ』まえがき・目次(PDF p.7, 9)
  • 外山幸雄『ポンプの選定とトラブル対策』はじめに・目次(PDF p.7, 9)
  • 松村正夫『入門 新ポンプ技術』序・目次(PDF p.7, 10)
  • 尾形俊輔編著『ファン・ブロワ』目次(PDF p.9, 11)
  • 日本プラントメンテナンス協会『ファン・コンプレッサーの本』まえがき・はじめに(PDF p.7, 9)
  • 高橋徹『流体のエネルギーと流体機械』目次(PDF p.10, 11)
  • 真空技術基礎講習会運営委員会『わかりやすい真空技術 第3版』目次(PDF p.11, 15)
  • 日本機械学会『流体力学』目次(PDF p.11, 12)
  • 今井功『流体力学』目次・まえがき(PDF p.17, 21)
  • 日本機械学会 公式販売ページ実教出版 改訂版公式ページ省エネルギーセンター 出版案内日本プラントメンテナンス協会 書籍案内(2026年8月25日確認)
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