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温度計の種類と選び方|熱電対と測温抵抗体はどう違うか、保護管と応答の遅れ

温度計の種類と選び方のアイキャッチ

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プラントの温度計のほとんどは、熱電対か測温抵抗体(Pt100)のどちらかです。熱電対は2種類の金属の接点に生じる小さな電圧で、測温抵抗体は白金の細線の電気抵抗で温度を測ります。

使い分けの目安は単純です。高温(およそ 650℃ 以上)なら熱電対、精度と安定性が要るなら測温抵抗体。そして、どちらもプロセスに直接触れるのではなく、保護管の中に入っていることが、応答の遅れと寿命に効きます。

この記事では、2種類の原理と得意不得意、シース形と保護管付きの違い、温度信号が計器室へ届くまでの3方式、断線したとき指示がどこへ行くかを説明します。

この記事の結論

  • 熱電対は2種の金属の接点に温度差で生じる電圧(ゼーベック効果)で測る。高温に強く、応答が速く、安価
  • 測温抵抗体(Pt100)は白金線の抵抗が温度で変わることを使う。0℃ で 100Ω、100℃ で 138.5Ω。感度は熱電対の約 10 倍、長期安定。650℃ 以上は不可
  • 熱電対は補償導線と基準接点補償が要る。測温抵抗体は3線式で導線抵抗の誤差を消す
  • センサは保護管の中に入れる。保護管が厚いほど頑丈だが応答は遅い。シース形は細くて速い
  • 熱電対が断線すると、変換器の設定で指示を上限か下限へ振り切らせる(バーンアウト)。温度が低いほうが危険なら上限へ
  • 温度計は「どこの温度を測っているか」が肝心。保護管の先端の位置と挿入長を確認する

1. 温度計の2大方式

計装の教科書は、実用化されている温度測定法を十数種類挙げたうえで、「工業用では熱電対と測温抵抗体が多用されている」と書いています。プラントで見かける温度計は、ほぼこの2つです。

熱電対と測温抵抗体の使い分け
熱電対と測温抵抗体の使い分け
熱電対測温抵抗体
原理2種の金属を接合し、接点と端子の温度差で生じる起電力(ゼーベック効果)白金の細線の電気抵抗が温度で変わる
記号・呼び名K、J、T、E、R、S、B など。K が最も一般的Pt100(0℃ で 100Ω)
測定範囲高温向き。K は素線径によって常用 650〜1000℃、白金系は 1400℃ 以上650℃ 以上は不可
感度小さい(mV 単位)熱電対の約 10 倍。レンジを 10℃ 幅にもできる
安定性高温で劣化する長期にわたり安定
応答速い遅い。小さい・狭い部分の測定は困難
強度比較的強い機械的強度が低い
配線の注意補償導線、基準接点補償導線抵抗が誤差になる。測定電流による自己発熱
向き炉、反応器の高温部、応答が要る所精度が要る所、常温〜中温の安定測定

「高温は熱電対、精度は測温抵抗体」と覚えておけば、担当設備の温度計がなぜその種類かはほぼ説明できます。

2. 熱電対|補償導線と基準接点補償

熱電対は、2種の金属の接合点(測温点)と、反対側の端(基準接点)の温度差に応じた電圧を出します。つまり測温点の温度そのものではなく、基準接点との差を測っています。

そこで2つの仕組みが要ります。

  • 補償導線:熱電対の金属は高価なので、常温付近では熱電対と同じ特性を持つ安価な線でつなぎます。これが補償導線です。種類を間違えたり、極性を逆に接続したりすると、その分がそのまま誤差になります
  • 基準接点補償:変換器の入力端子の温度は周囲温度で変わります。変換器は端子の温度を測り、0℃ との差に相当する電圧を加えて補正します

熱電対の種類は JIS で決まっていて、K(クロメル・アルメル)が最も広く使われます。K 熱電対の常用限度は素線径で変わり、細い 0.65 mm では 650℃、太い 3.2 mm では 1000℃ です。低温用には T(銅・コンスタンタン)、高温用には白金系の R・S・B を使います。

高温で長く使う熱電対は、保護管内の酸素や浸透したガスで劣化し、数か月で誤差が大きくなることがあります。教科書は、炉の熱電対で起電力特性が許容誤差を超えた例に対し、保護管内を窒素パージして劣化を防ぐ方法を紹介しています。

3. 測温抵抗体|3線式で導線抵抗を消す

測温抵抗体は、一定の電流を流し、両端の電圧を電流で割って抵抗値を求め、温度に換算します。JIS で白金の Pt100 が規定され、0℃ で 100Ω、100℃ で 138.5Ω になります。

熱電対と根本的に違うのは、センサに電流を流す必要があることです。電流は JIS で 0.5・1・2 mA の3種類が規定され、通常は 2 mA、高精度では 0.5 か 1 mA を使います。電流が大きすぎると自己発熱で誤差が出ます。

もう1つの違いは導線抵抗です。センサは現場、電流源と電圧測定部は計器室にあるので、間の電線の抵抗が測定に入ります。電線の抵抗は外気温で変わるので、2線式では誤差になります。そこで3線式にして、電線1本分の抵抗を測って差し引きます。高精度なら4線式です。プラントの測温抵抗体はほぼ3線式で、端子箱に3本の線が来ているのはこのためです。

4. 保護管とシース|頑丈さと応答の速さ

センサの素線は細くて弱いので、プロセスに直接さらしません。

  • 保護管付き:素線を絶縁管に通し、金属や非金属の保護管に入れる。保護管の材質で使える温度と雰囲気が決まる。SUS304 は常用 850℃ だが酸化・還元性ガスに弱い、SUS316 は高温耐食性がよい、カンタルは 1100℃、といった具合
  • シース形:細い金属チューブ(シース)に素線を入れ、酸化マグネシウムの粉末で絶縁したもの。外径 0.5〜8 mm。曲げやすく、狭い場所に入り、保護管付きより応答が速い。ただし細いほど常用上限温度が下がる(K で 0.5 mm は 600℃、8 mm は 1050℃)

現場で多いのは、シース形をさらに保護管に入れた「保護管付シース熱電対」です。二重に守られている分、応答は遅くなります。

温度制御が「ゆっくり」なのは、プロセスの熱容量だけでなく、この保護管の遅れも一因です。温度計の応答が制御に効くことは、フィードバック制御の記事で扱いました。

5. 温度信号はどう計器室へ届くか

教科書は、温度信号の伝送を3方式に整理しています。

方式現場計器室向き
受信計器内蔵形センサだけ指示計・調節計の入力部に変換機能を内蔵距離が短いとき
温度変換器センサだけ変換器(モジュール形・箱形)で 4〜20 mA に計器室に集めたいとき
温度伝送器センサ+伝送器で 4〜20 mA に受信計器距離が数百 m になるとき。配線費・ノイズ・精度で有利

現場の温度計に「頭」(端子箱より大きい箱)が付いていれば、温度伝送器です。マイコン搭載形なら、センサの種類やレンジを計器室から変えられ、診断情報も得られます。

6. 断線したら指示はどこへ行くか|バーンアウト

熱電対の線が切れると、変換器には信号が来なくなります。そのまま「0 mV=低温」と解釈すると、加熱炉の温度制御は「温度が低い」と判断して燃料を増やし、危険です。

そこで変換器にはバーンアウト回路があり、断線時に伝送信号を最大(アップスケール)か最小(ダウンスケール)にするかを選びます。高圧ガス保安技術の教科書も、温度が低いほうが危険なループでは上限に振り切る設定にして、フェイルセーフを確保すると説明しています。

「温度計が急に振り切れた」ときは、まず断線を疑います。プロセスの温度が本当に振り切れることはめったにありません。

7. 現場で見る場所

  1. 種類:銘板か P&ID で、熱電対(K など)か測温抵抗体(Pt100)か。端子箱の線が2本なら熱電対、3本なら測温抵抗体が多い
  2. 保護管の先端位置と挿入長:保護管の先が流れの中心に届いているか。壁際では配管の温度を測ってしまう
  3. 補償導線:熱電対の種類と補償導線の種類・極性が合っているか(交換時)
  4. バーンアウトの向き:断線したとき指示が上下どちらへ行く設定か。制御ループなら安全側か
  5. 応答:温度が変わるとき、指示が追いつくまでの時間。保護管の熱容量

8. 先輩に聞かれたら答えられる3問

  1. 650℃ を超える温度を測るなら、熱電対と測温抵抗体のどちらですか。
  2. 測温抵抗体を3線式にする理由は何ですか。
  3. 熱電対が断線したとき、指示を上限へ振り切らせるのはどんなループですか。

答えは順に、熱電対/導線抵抗(外気温で変わる)の誤差を消すため/温度が低いほうが危険なループ(加熱炉など)、です。

まとめ

プラントの温度計は熱電対と測温抵抗体(Pt100)が主で、高温は熱電対、精度と安定性は測温抵抗体という使い分けです。熱電対には補償導線と基準接点補償が、測温抵抗体には3線式が要ります。

センサは保護管に守られていて、厚いほど頑丈で遅く、シース形は細くて速いです。断線時の指示の向き(バーンアウト)はループの安全側に設定します。現場では、種類、保護管の先端位置、補償導線、バーンアウトの向きを確認してください。

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参考文献

  • 川村貞夫・石川洋次郎『メーカーの技術者が書いた やさしく計装がわかる 工業計測と制御の基礎』工業技術社, 2.1「温度検出と信号変換」(熱電対、測温抵抗体、保護管、変換部)  Amazonで見る
  • 高圧ガス保安協会『高圧ガス保安技術』, 11.4.1「温度計」、11.8.6「安全計装」  最新版をAmazonで見る
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