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化学プラントに就職するには|高卒・高専・大卒・院卒ルートの全体地図

「化学プラントで働いてみたいけど、自分の学歴で入れるのか分からない」

「オペレーターと生産技術って何が違うの?」

「就活サイトを見ても、化学メーカーの仕事の中身がピンとこない」

この記事は、そんな学生のための全体地図です。

私は大学院を出て化学メーカーに生産技術として入社し、今年で12年になります(高圧ガス甲種化学保有)。このブログでは熱交換器や蒸留塔といった設備の技術記事を300本ほど書いていますが、この記事はその入口——「そもそも化学プラントとはどんな職場で、誰がどうやって入るのか」をまとめたものです。

職場を見渡すと、高卒で入って現場を束ねる班長も、高専卒の設備エンジニアも、院卒の研究者もいます。結論から言うと、化学プラントは高卒・高専卒・大卒・院卒のどの学歴にも入口がある、珍しい職場です。ただし学歴によって「入りやすい職種」と「入るためのルート」がまったく違います。まずそこから見ていきましょう。

化学プラントとはどんな職場か

化学プラントは装置の集合体

「化学プラント」と聞いて思い浮かべるのは、夜にライトアップされた工場の景色かもしれません。あの銀色の塔や配管の中では、原料の石油や天然ガス由来の物質が、反応・蒸留・精製をへてプラスチックや合成繊維、医薬品の原料に変わっています。

働く場所としての化学プラントには、大きく分けて次のエリアがあります。

エリアそこにあるもの主に働く人
プラント(装置エリア)反応器・蒸留塔・熱交換器・ポンプ・タンク・配管オペレーター(巡回時)、保全
中央制御室(計器室)DCSと呼ばれる監視・操作用の画面がずらりと並ぶ部屋オペレーター
事務所棟生産技術・設備・安全環境などのスタッフの席技術系スタッフ
研究所・分析室実験設備、分析機器研究開発、品質管理

大事なポイントが2つあります。

1つ目。化学プラントは24時間365日止まりません。反応や蒸留は途中で止めると品質も安全も損なうので、装置は連続で運転し、人間が交代で見張ります。だから「交代勤務のオペレーター」という職種が必ず存在します。

2つ目。プラントの中で人が手作業で物を作ることはほとんどありません。製造の主役は装置で、人間の仕事は「装置を運転する・設計する・直す・改善する」こと。つまり化学プラントの仕事はすべて装置との付き合い方で説明できます。ここが自動車の組立工場などとの大きな違いです。

このブログの技術記事(→熱交換器の記事一覧、→蒸留の記事一覧)は、まさにその「装置との付き合い方」の辞書です。仕事の中身を深く知りたくなったら覗いてみてください。

どんな職種があるのか|5つ覚えれば足りる

5つの職種は働く場所で覚える

化学メーカーの技術系職種は細かく分ければキリがありませんが、就活の段階では次の5つを覚えれば十分です。

職種仕事を一言で勤務形態
オペレーター(運転員)中央制御室と現場でプラントを運転する交代勤務
生産技術(プロセスエンジニア)プラントの調子を数字で見て、改善・増産・トラブル解決を仕掛ける日勤
設備・保全エンジニアポンプや熱交換器の点検・修理・更新を計画する日勤
研究開発(R&D)新しい製品・プロセスを作る。ラボ→パイロット→実機へスケールアップ日勤
品質管理・品質保証製品を分析して規格を保証する。クレーム対応も日勤(分析は交代の場合も)

このほかに安全環境(保安・環境管理)、設計(プラントエンジニアリング)、購買や物流といった職種がありますが、まずは上の5つの違いが分かれば、求人票や採用ページが読めるようになります。

それぞれの仕事の中身——1日の流れ、きついところ、向き不向き——は、職種図鑑の記事(→化学メーカーの職種図鑑)で1つずつ描写しています。この記事では「誰がどこから入れるか」に話を進めます。

学歴別ルート|どの学歴からどの職種に入れるか

どの学歴にも入口がある

ここがこの記事の本題です。結論を先に表にします。

学歴主な入口職種ルート
高卒(工業高校・普通高校)オペレーター学校斡旋(求人票→校内選考→応募)
高専卒(本科)オペレーター、設備・保全、生産技術補助学校推薦が強い
大卒(化学・化工・機械・電気)生産技術、設備、品質管理、(一部)研究開発自由応募+逆求人
院卒(修士・博士)研究開発、プロセス開発、生産技術自由応募+推薦+院生特化サービス

読み取ってほしいことが3つあります。

  • オペレーターは高卒・高専卒の主戦場。大卒がオペレーター職で採られることは少数派です(会社によっては大卒オペレーター採用もあります)
  • 生産技術・設備は学部卒の主戦場。「研究開発がしたいなら院へ」が化学業界の相場で、学部卒で研究開発に配属される例は多くありません
  • 院卒の就活は研究テーマと職種のマッチングが軸。修士の2年間は就活と研究の両立になるので、動き出しの早さが効きます

自分の学歴の詳しい戦い方は、それぞれ専用記事があります。

高卒・高専卒で化学プラントに就職する

院卒で化学メーカーの研究開発職に就く

なお「入口」と書いたのは、入社後に職種が動くからです。オペレーターから生産技術へ、生産技術から設備へ、といった異動は珍しくありません。最初の職種で一生が決まるわけではない——これは覚えておいて損がありません。

就職までのスケジュール|高卒と大卒ではルールが違う

勝負は1年前に始まっている

化学プラントの就職で意外と知られていないのが、高卒と大卒で就活のルールそのものが違うことです。

高卒(学校斡旋)の場合:

  • 7月1日に求人票が学校に公開される
  • 9月上旬に応募開始、9月中旬から選考解禁(1人1社制が原則)
  • つまり勝負は高3の夏。それまでの成績・出席・資格で校内選考が決まる

大卒・院卒の場合:

  • 大学3年(修士1年)の夏インターンが事実上のスタート
  • 3月に広報解禁(エントリー開始)、6月に選考解禁が政府ルール。ただし実際はインターン経由の早期選考が広く行われている
  • 逆求人サイト(プロフィールを書いて企業からのスカウトを待つタイプ)は大3の春〜夏に登録した人から声がかかる

どちらのルートにも共通するのは、「動き出しが1年前」だということです。高卒なら高2の終わり、大卒なら大3の春には準備が始まっています。この記事を読んでいるのがそれより前なら、十分に間に合います。

学生のうちにやっておくこと

先回りできることは、実はそれほど多くありません。次の3つに絞ります。

1. 資格を1つ取る(危険物乙4が定番)

化学プラントの現場では危険物取扱者・高圧ガス製造保安責任者などの国家資格が現実に使われています。学生のうちに取れて、履歴書に書けて、面接で話せるのは危険物乙4。余力があれば高圧ガス丙種・乙種まで。どの資格をどの順で取るべきかは資格ロードマップの記事(→資格ロードマップ)に全部まとめてあります。

2. 工場見学・インターンで「現場」を一度見る

化学プラントは合う・合わないがはっきり分かれる職場です(においや高所、交代勤務など)。文章でいくら調べても分からないことが、見学の30分で分かります。夏インターンは選考の入口も兼ねているので、大3の夏は最低1社は行っておくべきです。

3. 仕事の中身を語れるようにしておく

面接で強いのは「生産技術とは何をする仕事か」を自分の言葉で言える学生です。就活サイトの説明文の丸暗記はすぐ見抜かれます。このブログの職種図鑑(→化学メーカーの職種図鑑)と技術記事群は、そのための素材として使ってください。

この地図の使い方|次に読む記事

この記事は入口です。あなたの状況に合わせて次に進んでください。

知りたいこと次に読む記事
業界の全体像化学業界とは
職種ごとの仕事の中身化学メーカーの職種図鑑
オペレーターの1日と交代勤務プラントオペレーターの仕事内容
生産技術の仕事の中身生産技術・設備エンジニアの仕事内容
高卒・高専卒の戦い方高卒・高専卒で化学プラントに就職する
院卒の戦い方院卒で研究開発職に就く
取るべき資格化学プラント就職で有利な資格
就活サービスの選び方理系就活サービス比較
きつさ・向き不向き化学プラント就職はやめとけ?

(既存記事への接続)

化学プラントは、高卒からでも院卒からでも入口がある職場です。ただし学歴ごとにルートとルールが違い、どのルートも勝負は1年前から始まっています。まずは職種の違いを知り、資格を1つ取り、現場を一度見る。この3つで、就活サイトを眺めているだけの学生とは違う場所に立てます。このブログは技術記事300本で「入ったあと」も支えます。ブックマークして辞書として使ってください。