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油バーナと固体燃料の燃焼装置の論点|油の供給系・霧化方式・調整範囲・微粉炭・流動層【エネ管・熱Ⅲ】

油バーナと固体燃料の燃焼装置の論点

熱Ⅲの燃焼装置のうち、液体と固体の燃料を燃やす側の論点を表と例題で並べました。油の供給系、霧化方式、調整範囲と用途、固体燃料の燃焼方式、流動層燃焼です。

ガスの燃焼装置はガスバーナと低NOx燃焼の論点の記事にあります。

液体燃料の供給系 ── 加熱・ろ過して粘度と圧力をそろえる

機器役割押さえる所
貯蔵タンク長期間の消費に見合う量を蓄える1週間分から長くて1か月分ぐらい。重質油はタンク内で加熱する
給油タンク(サービスタンク)バーナへ送る油を蓄える小容量のタンク2〜10時間分程度。バーナの近くに置く
油ろ過器(オイルストレーナ)異物を除き、ノズルの閉そくや断続噴霧を防ぐポンプ吸込み側と流量計入口側に置き、ポンプ・流量計も守る
油加熱器(オイルヒータ)バーナへ送る油の温度を調節する適当な粘度にして霧化をよくする

なぜ:重油は常温では粘く、そのままでは送れず、細かい霧にもできません。温めて粘度を下げ、異物を除いてから一定の圧力で送ると、ノズルが詰まらず同じ細かさの霧が出て、燃焼が安定します。

問われる形正誤ポイント
油加熱器は、重油の粘度を下げて細かい油滴にしやすくするために置く○送る油の温度を調節して適当な粘度に
油ろ過器はノズルの閉そくを防ぐものなので、バーナの直前だけに置く×ポンプ吸込み側と流量計入口側。ポンプ・流量計も守る
給油タンクは、貯蔵タンクと同じく1週間〜1か月分の油を蓄える×2〜10時間分程度の小容量
  • タンクの加熱は通常水蒸気を熱源にし、小容量タンクでは電気加熱の場合もある。
  • 油ろ過器には単式と複式(切り替えて使えるもの)がある。金網を連続的に洗う自動洗浄ろ過器もある。
  • 重油燃焼装置は、タンク → ろ過器 → 油ポンプ → 油加熱器 → バーナの順に油を送り、余った油は戻り管で戻す。

関連:液体燃料と重油の性状

油バーナの霧化方式 ── 油圧噴霧・流体噴霧・回転の三方式

油バーナの霧化方式:油圧噴霧式は油自身の高い圧力、流体噴霧式(高圧気流形・低圧気流形)は別に送る蒸気や空気の勢い、回転式は回転カップの遠心力でできる液膜に霧化用空気を当てて霧にする
方式霧にする力押さえる所
油圧噴霧式油自身の高い圧力。渦巻室で旋回させ、小孔から噴く非戻り油形と戻り油形がある
流体噴霧式(高圧気流形)蒸気または空気の勢い内部混合形は混合室で油と蒸気を混ぜ、噴出時の膨張で細かくする
流体噴霧式(低圧気流形)低圧の空気霧化用空気は燃焼に必要な空気量の30〜100%
回転式回転カップの遠心力でできる液膜に、霧化用空気を当てる霧化用空気は全燃焼空気量の20%以下

なぜ:油は表面から蒸発した蒸気が燃えるので、霧を細かくするほど表面積が増えて早く燃え切ります。方式の違いは、霧にする力をどこから得るかです。油自身の圧力か、別に送る蒸気・空気か、回転の遠心力かに分かれます。

問われる形正誤ポイント
回転式バーナは、油に高い圧力をかけ渦巻室で旋回させて小孔から噴く×それは油圧噴霧式。回転式はカップの遠心力と霧化用空気
戻り油形の油圧噴霧式は、供給圧力を一定にして余分な油を戻すので、油量が変わっても霧化が保てる○非戻り油形は油量を供給圧力で変える
流体噴霧式は空気や蒸気で霧化するので、粘度の高い油はうまく霧にできない×粘度の高い油もよく細かくできる
低圧気流形の霧化用空気は、燃焼に必要な空気量の数%で足りる×30〜100%。少量(20%以下)なのは回転式
内部混合形の高圧気流形が低い圧力でもよく霧化するのは、混ぜた蒸気が噴出時に急に膨張するから○油圧噴霧式より使用圧力が低くてよい
  • 油バーナは霧化方式で油圧噴霧式・回転式・流体噴霧式に分け、流体噴霧式は霧化媒体の圧力で高圧気流形と低圧気流形に分ける。
  • 噴霧式のほかに燃料を気化させて燃やす蒸発式もある。灯油・軽油のような良質油に限られ、始動性・負荷応答性が悪いので工業用にはほとんど使わない。
  • 低圧気流形には、霧化用の空気だけを送る非連動式と、燃焼用空気も送って燃焼量と連動させる連動式がある。
  • 「二流体バーナ」と呼ばれることもあるが、教科書の用語は流体噴霧式。

関連:液体燃料の燃焼と微粒化

油バーナの負荷調整範囲と用途 ── 霧化を油圧に頼らない方式ほど広く絞れる

油バーナの負荷調整範囲:非戻り油形の油圧噴霧式は油量を減らすと供給圧力も下がって霧が粗くなり絞れる範囲が狭いが、戻り油形は供給圧力を一定に保ち、高圧気流形・回転式は霧化が油の圧力に頼らないので、油量を変えても霧の細かさが保たれる(模式)
方式油圧・容量炎・調節範囲・主な用途
油圧噴霧式0.6〜3.0 MPa、30〜3,000 L/h広角の炎。油量調節範囲が狭い。大型ボイラ
高圧気流形0.15〜0.5 MPa、2〜2,000 L/h狭角の長炎。油量調節範囲が広い。連続加熱炉・セメントキルンなどの高温加熱炉
低圧気流形0.13〜0.15 MPa、2〜300 L/h比較的狭角の短炎。小型加熱炉
回転式0.13〜0.15 MPa、5〜1,000 L/h比較的広角の炎。燃焼量の調整範囲が広い。中・小型ボイラ

なぜ:非戻り油形の油圧噴霧式は、油量を油の圧力で変えます。油量を絞ると霧にする力も落ちるので、霧が粗くなって燃焼が不安定になります。回転式や高圧気流形は霧化を回転や蒸気・空気が受け持つので、油量を変えても霧の細かさが保たれ、調節範囲が広くなります。

問われる形正誤ポイント
非戻り油形の油圧噴霧式は、高圧気流形より油量調節範囲が広い×狭い。高圧気流形は広い
回転式の燃焼量の調整範囲が広いのは、油圧が霧化に効かないから○霧化はカップと空気が受け持つ
高圧気流形の流体噴霧式は、広角の炎をつくる×狭角の長炎。広角は油圧噴霧式
回転式は、大型ボイラ向けの大容量バーナとして使われる×中・小型ボイラ。大型ボイラは油圧噴霧式
  • 霧化に要る油圧は、油圧噴霧式が 0.6〜3.0 MPa と高く、ほかの方式は 0.5 MPa 以下で済む。
  • 回転式の霧化用空気は送風圧も数 kPa 程度でよい。
  • 高圧気流形の霧化媒体(蒸気または空気)の圧力は 0.4〜2.1 MPa。

関連:油バーナの霧化方式

固体燃料の燃焼方式(火格子・微粉炭・融灰式) ── 細かいほど少ない空気で燃える

固体燃料の燃焼方式:燃料の粒は微粉炭の74 μm以下、融灰式は微粉炭より粗い粉砕炭、流動層は1〜数mm、火格子は3〜25 mmと粗くなる。細かいほど表面積が大きく少ない過剰空気で完全燃焼でき、粉砕の動力・設備費・飛じんは増える
方式燃料の大きさ燃え方・長所と短所
火格子燃焼粒径 3〜25 mm の塊火格子の上で燃やす。粉砕しないので動力費が少ない。中小容量向き
微粉炭燃焼74 μm 以下の微粉1次空気と吹き込み浮遊状態で燃やす。少ない過剰空気で完全燃焼。設備費・動力・飛じんが多い
融灰式燃焼微粉炭より粗い粉砕炭灰を溶かして液状で連続的に取り出す。燃焼室を灰の溶融温度(1,400〜1,600℃)以上に保つ

なぜ:固体は表面から燃えるので、細かくするほど表面積が増えて空気と触れやすく、少ない過剰空気で速く燃え切ります。バーナで燃やせるので燃焼量の調節も容易で、大容量に向きます。その代わり粉にする動力と設備が要り、灰も細かくなって飛じんが増えます。

問われる形正誤ポイント
微粉炭燃焼が少ない過剰空気で完全燃焼できるのは、表面積が大きく空気とよく混ざるから○74 μm 以下の微粉を浮遊状態で燃やす
微粉炭燃焼は、火格子燃焼より設備費・運転動力が小さい×大きい。火格子は粉砕しないので動力費が少ない
微粉炭燃焼の許容最小熱負荷は 80% 以上とされる×40% 以上。これ以下では安定燃焼が難しい
灰を溶けた状態で炉底から取り出す方式を、乾式燃焼という×湿式燃焼(スラグタップ燃焼・融灰燃焼)
燃焼室熱発生率の上限の目安は、微粉炭のほうが重油・ガスより大きい×微粉炭 400〜1,200、重油・ガス 400〜8,000 MJ/(m³·h)

例題

重油を燃やす燃焼室の燃焼室熱発生率を求めます(値は仮のもの)。

条件:重油の低発熱量 40 MJ/kg、燃やす量 150 kg/h。燃焼室の容積 12 m³、予熱空気が持ち込む熱 300 MJ/h。

①燃料の熱:150×40=6,000 MJ/h。

②予熱空気の保有熱を足す:6,000+300=6,300 MJ/h。

③燃焼室の容積で割る:6,300÷12=525 MJ/(m³·h)。

④桁を確かめる:重油の目安 400〜8,000 MJ/(m³·h) の中に入る。予熱空気の熱を足し忘れると 500 と小さく出る。

  • 燃焼室熱発生率は、単位時間に燃焼室の単位容積で燃やせる燃料の低発熱量。上げるほど燃焼室は小さくなるが、上げすぎると不完全燃焼や炉壁の損傷になる。
  • 火格子燃焼率は、火格子の単位面積・単位時間あたりの燃料の供給量〔kg/(m²·h)〕。
  • 火格子燃焼には移床式・下込式・散布式・階段式のストーカがある。
  • 融灰式は火炉の熱負荷が 16.7 GJ/(m³·h) 以上の高負荷燃焼ができる。

関連:石炭・コークスと新しい燃料

流動層燃焼 ── 低い温度で安定して燃え、炉内で脱硫できる

流動層燃焼:分散板の下から空気を送って砂・石灰石と石炭を沸き立たせ、層内の伝熱管で熱を取る。燃焼温度は800〜1,000℃で石炭の灰が溶ける1,400〜1,600℃よりずっと低く、クリンカの障害とNOxが少なく、石灰石で炉内脱硫もできる
項目流動層燃焼比べると
燃料粒径 1〜数 mm の石炭を、石灰石やケイ砂などの流動媒体とともに燃やす微粉炭は 74 μm 以下
燃焼温度800〜1,000℃石炭の灰が溶けるのは 1,400〜1,600℃
伝熱層内に伝熱管を置き、熱伝達率が高いボイラを小型化できる
硫黄分石灰石を流動媒体にすると炉内脱硫ができる一般のボイラは排ガスから脱硫する
常圧の方式バブリング(ガス流速 1〜2 m/s)、高速循環(4〜8 m/s、サイクロンで粒子を戻す)加圧流動層(1〜3 MPa)はガスタービンも回す

なぜ:燃料は大量の高温の粒子とかき混ぜられるので、空気との接触がよく、低い温度でも安定して燃え続けます。灰が溶ける温度より低く燃やすので、灰が溶けて固まるクリンカの障害が少なく、NOx も少なくなります。石灰石を流動媒体にすれば、燃えてできた硫黄分を層の中で捕まえられます。

問われる形正誤ポイント
流動層燃焼の燃焼温度は 1,200〜1,500℃ 程度×800〜1,000℃
流動層でクリンカの障害と NOx が少ないのは、燃焼温度が低いから○灰の溶融温度よりずっと低い
層内に伝熱管を置くと熱伝達率は上がるが、ボイラは大きくなる×小型化できる
石灰石を流動媒体にすると、炉の中で脱硫できる○層の中で硫黄分を捕える
バブリング方式のガス流速は 4〜8 m/s と比較的速い×1〜2 m/s。4〜8 m/s は高速循環方式
  • 燃料は層の中で固体粒子と十分にかき混ぜられるので燃焼時間が短く、低過剰空気燃焼もできる。低品位炭も含め広い範囲の石炭を燃やせる。
  • 高速循環方式は、炉の外へ飛んだ粒子をサイクロンで捕まえて炉へ戻し、燃焼効率と脱硫剤の利用率を上げる。
  • 炉内脱硫は流動層の特徴。一般のボイラの燃焼室内での脱硫は効果があまり認められず、排ガスを湿式か乾式で脱硫する。

関連:NOx・SOxの生成と排煙処理

出典:エネルギー管理士試験講座(省エネルギーセンター)熱分野Ⅲ「燃料と燃焼」1編 3・4章。同 熱分野Ⅳ「熱利用設備及びその管理」2編 1章

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