化学メーカーがホワイトと言われる4つの理由と背景【学歴別注意点も】

化学メーカーって本当にホワイトなの?
化学メーカーの注意点は?

そんな悩みを解決します。

本記事の内容

  • 化学メーカーがホワイトと言われる4つの理由
  • 化学メーカーがホワイトと言われる背景
  • 化学メーカーの学歴別注意点

結論は、化学メーカーは他業種と比べて平均年収が高いこと、休日が多いこと、福利厚生が充実していることからホワイトな業界と言えます。

その背景には「化学メーカーは日本で唯一米国を上回る労働生産性を有している産業」ということがあります。

しかし、化学メーカー特有のデメリットもあるので、学歴別の注意点も解説します。

この記事を読めば化学メーカーがホワイトな理由、日本の化学メーカーの生産性の高さ、注意すべきことが分かります。

私の仕事は化学メーカーの生産技術職です。
その経験をもとに分かりやすく解説します。
☑ 化学メーカー生産技術職(7年目)
☑ 工学修士(専攻:化学工学)

化学メーカーがホワイトと言われる4つの理由

化学メーカーがホワイトだと言われる主な理由は以下の4つです。

  1. 年収が高い(平均656万円)
  2. 年間休日数が多い(平均128.8日)
  3. 福利厚生が充実している
  4. 残業時間が少なくなってきている

①年収が高い

化学メーカーは製造業の中でも年収は656万円と高い傾向にあります。

業界平均年収 (万円)最高年収 (万円)
石油7771205
医薬品7711560
電気機器6652111
化学656(40歳程のデータ)1738
非鉄金属6381044
機械6321092
車・輸送用機器6311007
鉄鋼6271091
ゴム620829
食品6151250
ガラス607867
金属製品5901199
パルプ・紙569838

また、dodaの業種別平均年収ランキングでは他業種含めたメーカー平均として453万円という数値も出ています。

化学メーカーの平均年収656万円は高水準と言えます。

実際、中堅化学メーカーに勤める院卒31歳総合職の私の年収は660万円程です。

平均年収データでは40歳くらいで656万円と数値に乖離があります。

これは平均年収には一般職も含まれること、私の勤める会社が平均より少し給料が高いこと考えられます。

さらに、同じ会社の31歳でも院卒の私より70万円程多く稼いでいるのが高卒・高専卒の方です。

高卒・高専卒の方が年収が高くなる理由は交代勤務手当です。

交代勤務手当は夜勤等の不規則な勤務に対しての手当てで、31歳であれば月5~7万円程になります。

年収についてもっと知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。

【年収実績公開】化学メーカーは高年収!だけど年収基準の会社選びは失敗します。

②年間休日数が多い

化学メーカーの休日数は比較的多いです。

dodaのサイトで年間休日が多い業界TOP10入りしていました。

年間休日数が128.8日であれば1年の1/3くらいは休みですね。

実際に私の会社でもデータと同じくらいの休日があります。

休みが多いのは、週休二日+大型連休(GW、夏季、正月の3回)によるものです。

大型連休は10連休も珍しくありません。

大型連休があれば、帰省や旅行を満喫できますね。

③福利厚生が充実している

化学メーカーは福利厚生が良いと言われます。

実際、私の会社でも以下のような福利厚生制度があります。

  • 寮・社宅・持ち家などの住宅補助
  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 特別休暇制度
  • 健康診断の補助
  • 社員食堂
  • フィットネスジム
  • 結婚出産の祝い金
  • 宴会の費用補助
  • 家族旅行補助
  • クラブ活動な

考えられる福利厚生はほとんど備わっており、至れり尽くせりな状態です。

特に日常生活にインパクトが大きのは住宅補助制度です。

31歳の私は住宅補助制度により、2LDKアパートが月1万円代(光熱費別)という破格な金額で住居することができています。

結婚する前には月1万円以下の寮に入居できますし、家を購入した際にも補助があります。

福利厚生が充実しているおかげで専業主婦の妻と息子の3人暮らしをしていますが、月10万円程を貯金や投資に充てられています。

④残業時間が少なくなってきている

近年は残業時間が非常に少なくなってきていると感じます。

実際、残業時間が多く激務と言われる生産技術職でさえ、多くて月30時間、平均月15時間程と言った具合です。

数年前までは月80時間を超える残業は当たり前で「ブラック」と言われていましたので、大きな変化を感じています。

これは化学メーカーに限る話ではないと思います。

理由は以下の時間外労働の上限規制が施行されたからです。

・原則
月45時間、年360時間

・労使が合意する場合
年720時間、月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内

・いつから
大企業では2019年4月~、中小企業では2020年4月~

詳細はこちらをご覧になってください。
働き方改革関連法とは|厚生労働省

以下のデータから、時間外労働の上限規制の効果が分かります。

大企業で時間外労働の上限規制が施行された2019年に総実労働時間が下がっていることが分かりますね。効果絶大です。

2020年労働時間等実態調査 一般社団法人 日本経済団体連合会

一方、転職サイトdodaでは残業の多い職種17位として紹介されています。

少なくとも私の周りには平均で月30時間を超える残業をしている人はいませんね。

ホワイト企業を探したい方はこちらの記事もどうぞ。

【ホワイト企業の見分け方】ホワイト500に認定されている会社は優良企業

化学メーカーがホワイトと言われる背景

このように高年収かつ休日が多く、福利厚生も充実している背景の一つに「日本の化学メーカーの生産性の高さ」があることを解説します。

以下のデータは、公益財団法人 日本生産性本部 生産性総合研究センター が産業別労働生産性水準の国際比較をまとめたものです。

労働生産性とは、1人・1時間当たりの付加価値額を示しています。

$$労働生産性=\frac{付加価値額}{労働者数×労働時間}$$

引用元:産業別労働生産性水準の国際比較

このデータから、日本の化学メーカーは米国を上回る労働生産性を有していることが分かります。

また、労働生産性で米国を上回る業種は日本で化学メーカーだけということが分かります。

つまり日本の化学メーカーは1人・1時間当たりの付加価値額が大きい業種であると言えます。

国際的にもこのような優位性があり、高年収かつ休日が多く福利厚生も充実しているため日本の化学メーカーはホワイトと言われることが多いのです。

化学メーカーの学歴別注意点

ここまで化学メーカーの良い点をご紹介しました。

「デメリットや注意点はないの?」と思いますよね。

ここでは、化学メーカー特有の注意点とデメリットを学歴別に解説していきます。

私の学歴・経歴

・大学院卒

・1年目:現場オペレーター(交代勤務)

・2~3年目:生産技術職(研究寄り)

・4~6年目:生産技術職(現場寄り)

高卒・高専卒

高卒・高専卒の方は以下の点に注意してください。

①生産オペレーターとして期待されている
②生産オペレーターは危険を伴う

高卒・高専卒の場合は生産オペレーターとして採用されることが多いです。

生産オペレーターは機械を運転して化学製品を製造する職種です。

化学製品を生産するときには、回転機器、化学薬品、高温物など取り扱うため危険を伴います

企業は労働災害が発生しないように機械の設計、薬傷や中毒、火傷の対策などに関してハード・ソフト面であらゆる対策をしています。

しかし、労働災害がゼロにならないのは事実であり、危険を伴う仕事であることは知っておかなければならないことです。

生産オペレーターは高給であり、人によっては大卒・大学院卒を抜いて管理職、さらに部長職まで上り詰める方もいます。

現場を熟知して安全第一を指導できる人材は製造拠点に必要であり貴重な人材になれます。

大卒・大学院卒(理系)

大卒・大学院卒(理系)の方は以下の点に注意してください。

①最初は希望した職種に配属されないことも
②大企業であるほど転勤、海外赴任の可能性が高い

理系の大卒・院卒の場合は研究職、開発職、生産技術職に就きたいなど、職種にこだわりがあると思います。

しかし、就職して数か月から3年間くらいは研修などの観点で、希望とは別の部署に配属されることがあります。

特に化学メーカーなどの製造業では、「現地・現物」が重要であり製造現場を知っているということが重要です。

生産技術職はもとより、院卒の研究職希望でも現場に配属されることもありますので、現場に出る覚悟は必要です。

また、大企業であるほど転勤や海外赴任の可能性も高くなります。

転勤や海外赴任の可能性が高くなる理由は、管理職には様々な拠点との調整力が必要であり、各拠点での人脈が必要だからです。

大卒・院卒の方は将来的には管理職としてのリーダーシップと企業の運営を期待されています。

配偶者や子供ができた場合でも転勤・単身赴任する可能性があることを知っておきましょう。

大卒・大学院卒(文系)

大卒・大学院卒(文系)の方は以下の点に注意してください。

①文系は狭き門
②主役になれないと感じることも

化学メーカーの文系の採用人数は理系と比べて少数です。

化学メーカーに絞るとなかなか内定が取れないという状況になる可能性があります。

また、化学メーカーでは研究-生産が主役な雰囲気があるため、文系の方は主役になれないと感じることもあると思います。

逆に言えば化学メーカーには企画力、マーケティング力、語学力、コミュニケーション力などに優れた文系の人材が少なく、こういったスキルを持っている方が活躍できる場は大いにあると感じます。

転職者

転職者の方は以下の点に注意してください。

①経歴を最大限活かせる職場に配属される
②その他は学歴別に同じ

どこの企業でも言えると思いますが、転職者は即戦力として期待されます。

したがって、経歴を最大限に活かせる職場(前職と同じ職種)に配属される可能性が大きいでしょう。

採用条件によりますが総合職であれば、大卒・院卒と同じく勤務地も選べないことが多いので注意しましょう。

まとめ

化学メーカーがホワイトである理由と学歴別注意点を解説しました。

取り上げた注意点に納得できれば、化学メーカーはあなたにとってホワイトであり良い業種と言えます。

注意いただきたいのは、今回取り上げたデータは化学業界の平均であり、待遇は企業によって異なるということです。

化学業界に興味のある方は、就活サイトなどを利用した企業の個別研究を進めましょう。